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再び、首都へ①

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 いよいよ再び首都に出発。ちょっと暑さが和らぎ、朝と夕方が過ごしやすい。
 前の日に、ダワーさんと面会。小児用の抗生剤と解熱剤、書類を受け取る。
「向こうの薬師ギルドには連絡はついております。そのまま孤児院に渡してください。書類には抗生剤と解熱剤の説明や注意事項が書かれています。何かあれば向こうの薬師ギルドが対応してくれます」
「ありがとうございます」
「お気をつけて」
 次にタージェルさんから秋のグーテオークションに寄贈する品々を受け取り、それのリストも。
「こちらの手紙を商人ギルドに渡して頂ければすぐに分かるようになってます」
「はい、ありがとうございます」
 私はタージェルさんとリストと品々を確認する。よし、大丈夫やね。
 リティアさんも来ていくつか書類を出す。これは晃太への依頼だ。首都までの搬送。なんせ時間停止のサイズ不明のアイテムボックス持ちだからね。
 晃太がリストと書類をチェックする。
「はい、分かりました、どこに渡せば?」
「冒険者ギルドです。こちらの木札を渡していただければすぐに分かりますので」
「はい」
 よし、準備完了かな。
 いざ、首都に出発。
 フィナさんに連れられて、ダイアナちゃんが見送りに来てくれた。
「お姉ちゃんっ」
 あはははん、嬉しい、お姉ちゃん。ダイアナちゃんは水色の襟のセーラー服だ。かわいか。
 きゅう、と抱きついてきたので、きゅう、と抱き締める。
「どうしておうちに来てくれないの?」
 ぷー、とダイアナちゃんがふくれる。かわいか。フィナさんが、こら。
「ごめんね。今度、お土産持ってくるけんね」
「うんっ」
「これダイアナ離れなさい。ミズサワさん、お気をつけて」
 フィナさんが、ダイアナちゃんを引き離す。ダイアナちゃんはビアンカとルージュに突撃しそうな感じだ。結構おてんばさんだからね。
 母と花、ダイアナちゃんとフィナさん。そして警備の人に見送られてマーファを出発。
 ノワールは絶好調に爆走。
 本来は1か月かかるのに、10日で走破する。途中で宿泊したのはトッパのみ、目的は温泉ね。美肌効果や、打ち身や捻挫とかにも効くらしい。どっぷり浸かりました。
 そして約2ヶ月ぶりの首都。今回は少し余裕がある。なんせ前回は鷹の目の皆さんが心配だったし、中毒症になるわでゆっくり出来なかった。観光出来るかな? グーテオークションまで10日あるし。
「秋の鮪はなんやろうや?」
『たくさん獲るのです』
『あの木の箱、船だったわね、あれに乗るのね』
「そやな、鮪、鮪」
『カツがいいのです』
『私は生でもカツでもいいわ』
「わんわんっ」
「みゃーっ」
『るりもたべるゅ~』
『くりつゅもたべるゅの~』
『ねえね~、ヒスイも~』
「はいはい」
 晃太とビアンカ、ルージュ、仔達の心弾むトークが続く。
 観光できるかね?
 首都に入るために並ぶと、すぐに来ました赤騎士団。今回もオスヴァルトさんが出迎えてくれた。なんだか、申し訳ない。ペコペコしながら、どうぞどうぞされて列を抜けて前に進む。
「ありがとうございますオスヴァルトさん」
「いいえ。まずはギルドに到着報告で宜しいですか? 前と同じゲストハウスをご準備しております」
「何から何までありがとうございます」
 オスヴァルトさん率いる赤騎士団のおかげで、トラブルなくギルドに到着。到着報告をつつがなく終えて、晃太は搬送品を出すため別室に。赤騎士団の1人とルージュとチュアンさんとマデリーンさんが付いていく。また船に乗りたい件を伝えると直ぐに手配してくれた。明明後日だ。
 次に私は商人ギルドの窓口に。寄贈品を出すためだ。私も別室に案内される。オスヴァルトさんとホークさん、エマちゃんが付いてきてくれた。ヒスイもにゃんにゃん言いながら付いてきたので、連れていく。だってかわいかもん。残りはロビーでまってもらう。
 綺麗で品のよい応接室に通され、私はタージェルさんから預かったリストや宝飾品をテーブルに出す。対応してくれたお年の男性ギルド職員さん、ラズノーさんは手袋を着けてチェック。てきぱきとリストと照合。
 無言ですべてチェックして、やっと口を開く。
「素晴らしい品々ですね。流石噂のテイマー様。これだけの品々を寄贈されるとは。本当に宜しいのですか? みな、上質、かなりの額になりますよ。特にこのピンクダイヤモンドは」
「特に問題はありません。子供達の為になれば」
「そうでございますか。野暮な事をお聞きしました。ではすべて預からせて頂きます。ないとは思いますが、もし買い手がなければ返却されますが、その時は我が商人ギルドが買い取らせて頂きます。こちらの木札をオークションが終わるまでお持ちください」
「はい」
 挨拶して、応接室を出る。
 ロビーで少し待つと、晃太が戻って来た。
「無事に終わったね?」
「ん」
 よしよし。
「あのオスヴァルトさん、教会に寄っても構いませんか?」
「宜しいですよ」
 きっと悪人面さんが、薬を待っているはず。
 教会に行くとすぐに悪人面さんが対応してくれた。
「こちらが抗生剤で、こっちが解熱剤です。これは説明書になるので、必ず目を通してください」
「ありがとうございます、ありがとうございます」
 悪人面さんはぼろぼろの手で薬と書類を抱き締める。
「これで子供達が救えます、ありがとうございます」
「すべてマーファの薬師ギルドの皆さんのおかげですから」
 なんて話していると、ビアンカとルージュの注意が飛ぶ。
『ユイ、魔力の高い雌が来るのです』
『敵意なし、かなりの歳ね』
 ビアンカとルージュが鼻先で示した先に、姿を現したのは、かなり高齢女性。杖を突き、若いシスターさんに付き添われている。
 誰やろ? 雰囲気的に偉い人かね? 付き添ってくれたオスヴァルトさんも一礼してるし。
 悪人面さんが、何か言いたそうに口を開くが、高齢女性がそっと手で制する。
 高齢女性は私の前でお辞儀。私もお辞儀。
「初めましてテイマー様。私はこの教会の責任者をしております、ディナールでございます。先日は多額の寄付を頂き、そしてこの度の治験に関してもご尽力頂き感謝の言葉もありません」
 すごく丁寧で優しい話し方。
「お礼を申し上げなくてはならなかったのに、遅くなり申し訳ありません」
「いえ、わざわざありがとうございます。薬に関してはマーファの薬師ギルドの皆さんの尽力ですし」
 高齢女性は優しいおばあちゃんみたいな笑顔を浮かべる。
『この雌、かなりの魔力保持者なのです』
『そうね。他の人型に比べたらかなり多いわ』
 やめて、鼻息荒く、近付いていかんで。若いシスターさんが卒倒しそうやん。元気達を外で待たせて良かった、びっくりして転けたら大事だし。
 高齢女性はビアンカとルージュの鼻息に怯むことなく、微笑んだまま挨拶して、戻っていった。案外肝っ玉据わってそう。
「今の方は?」
 ただの責任者とは思えないけど。
 オスヴァルトさんと悪人面さんが顔を見合わせる。
「あの方は始祖教の枢機卿ですよ」
「枢機卿?」
 聞いたことある、宗教で偉い人よね。
「ミズサワ殿は、宗派は?」
 オスヴァルトさんが確認のように聞いてくる。
「宗派ですか? 特にありませんが、始祖神様も時空神様も雨の女神様も信じています。闘神様も魔法の三柱神様も他の神様も信じています」
 だってお会いしてますもん。
 最近。全然お返事がない。あの緑の巣以来まったく返事がない。きっとお忙しいんだろうけど。
 そういえば、こちらの宗派ってよく分からん。
 だが、私の答えにほっとした表情を浮かべる2人。
「私はマーファに来るまで田舎暮らしだったので、よく分からないんです。あ、ホークさん、後で教えてください」
「はい、ユイさん」
 悪人面さんに挨拶して、教会を出る。
 赤騎士団の誘導で北区のゲストハウスに。
 明日はマルシェに向かうと告げると、ブエルさんがまた来てくれるように手配してくれた。
 後、今回もメイドさんや食事はお断りした。
 オスヴァルトさん、赤騎士団を見送り、私達はゲストハウスに入った。
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