もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

文字の大きさ
上 下
276 / 853
連載

受けるべき②

しおりを挟む
 順調にちゅどん、どかん、バキバキ。
 鷹の目の皆さんも頑張ってくれてる。
 冷蔵庫ダンジョンに入って1週間が経過した。以前のような回数、ボス部屋に挑まないが、商いの神様と鍛冶の神様のブーストのおかげか、ドロップ品や宝箱の中身が豪勢だ。
 その中で、ナイフが数本出たため、引き取ることにした。これで全員ナイフ持ち。後はエマちゃんとテオ君のメインの武器が欲しい所だ。せっかくだもんね妥協しない。属性の付与のやつがいい。エマちゃんはショートソード、テオ君はロングソードがいいそうだ。で、後はチュアンさんの槍が出てきてくれたらいいんだけど。なかなか出ない。
 一番暑い時間は、流石にルームに避難。
 空調の効いたルームで、休憩。鷹の目の皆さんは先程のボス部屋を終了して、シャワーと仮眠を取ってる。私はひたすらご飯を作っている。もう大丈夫だと思うが、戦闘許可が下りない。父の鑑定待ちだ。
 今日はブラックツナの刺身と肉じゃがと、後はなんにしようかな? 暑いし、スタミナのあるのがいいかな? 暑い時は逆に熱いのが食べたいんよね。空調効かせて、餃子を焼いてもいいし、豚キムチとか、ガーリックソースを使ったステーキなんかどうかな?
 考えながら、ブラックツナが、しれっとなくなっている。晃太が箸と醤油を入れた小皿を持ち、モグモグ。
「行儀が悪かよ」
「よかやん。少しやけん」
 モグモグ。まあ、よかか、晃太のアイテムボックスがなければ、こんなにちゅどん、どかん、バキバキ出来ない。せっかくのドロップ品を諦めないといけないからだ。
「晃太、夕飯、後は肉じゃがなんやけどもう1品どうする? 餃子か豚キムチかガーリックソースのステーキにしようかと思っとるんやけど」
『ステーキなのです』
『ステーキがいいわ』
 エアコンの下で、首だけこちらを向けて、ビアンカとルージュがリクエスト。本当に家犬と家猫にしか見えない。
「なら、ステーキがよかな。21階のフィレば焼いて。あ、わい、もずくもいる」
「はいはい」
 ステーキなら付け合わせにもやしかな?
 その日の夜、ダンジョン内だけど、頑張ってもらっているから、アルコール解禁にした。

 更に数日過ぎて、本日最後のシーサーペント部屋。
 とにかく数が凄い、牙がね。
 腰に来る。牙はホークさんの矢の為にいくつか引き取りだ。ホークさんは空いた時間でルームの中庭でノワールに乗ったり、自室で矢の製作、エマちゃんとテオ君の戦闘訓練と忙しく過ごしている。魔力訓練はチュアンさんとマデリーンさんが主体で行っている。ミゲル君は矢の製作の手伝い、エマちゃんとテオ君は食事の準備の手伝いをしてくれる。もちろんブラッシング等は全員で行ってくれている。本当に助かる。
「ユイさん、宝箱出ました」
 チュアンさんが出現した宝箱を発見、教えてくれる。
『罠はないわよ』
「ありがとうルージュ、さて、開けましょう」
 わくわく。ぱかり。
 お馴染み、ビロードの箱が。晃太が開ける。
 中には大きなサファイアに周りをびっしりと極小ダイヤモンドがぐるりと囲んだ指輪とピアス。キラキラだ。買い取りやな。
 それから25階に移動する。明後日の午前中にはダンジョン脱出予定日だからね。

「さあ、ユイさん」
 いよいよ来た、私のノワール試乗が。
 シーサーペント部屋から出て、25階のボス部屋近くのセーフティゾーンに到着。日が落ちて、気温も下がって来たので、ノワールの試乗となった。
「今日は軽くにします。とりあえず乗ってみましょう」
「はあ」
 ノワールの上でホークさんが手を伸ばすが、私の足ではよじ登れない。結局チュアンさんが片膝突いてくれた。人の肩を踏み台なんて失礼な事はしたくないが、届かないから申し訳ない。
「すみませんチュアンさん」
「構いません、どうぞユイさん」
「はい」
 恐る恐る足をかける。
「姉ちゃん、足が逆や、そのままやったら、ホークさんと向き合う形になるよ」
「あ、そうな」
 足を替えて、と。ホークさんが引っ張り上げてくれた。とりあえずは指示されたように横座りの体勢になってから、鞍に跨がる。
 うわあ、高いぃ。怖かぁ。
「ユイさん、肩の力を抜いてください。ノワールは賢いですから大丈夫ですよ。何かあれば俺が支えますから」
「はい、お願いします」
 うーん、そうは言われても、怖か。
『ノワール、ユイを乗せているのですから、ゆっくり進むのですよ』
『今日は走ってはダメよ。ユイが慣れるまではね』
「ブヒヒンッ」
 うん、賢い。ノワール、賢い。
「では、軽く」
 そう言ってノワールはパカパカ歩き出す。おお、怖か。だけど、いつもは見れない視界で新鮮だ。鞍には衝撃吸収もあるから揺れているようで、体には衝撃は走らない。魔法って便利。
 パカパカ、パカパカ。
 ノワールは中庭をパカパカ。これくらいのスピードなら、全然大丈夫。
 不意に、視界にホークさんの腕が入る。あの時『神への祈り』が発動して良かった。
「ユイさん、大丈夫ですか?」
「あ、はい」
 返事をして振り返って後悔。そう、私は今、鞍の上でホークさんと2人乗り。私はホークさんの前にいるので、すぐ後ろにいるのは当たり前だ。顔面寸前に、ホークさんの精悍な顔が入る。
 あ、なんか、恥ずかしくなってきた。急に恥ずかしくなってきた。視界の高さはノワールの試乗で、意識が行ってなかったが、あ、これ、恥ずかしくない? たくましいホークさんの腕が、私を挟むようにして手綱を持っている。仕方ないが、とんでもなく密着してない? あら、恥ずかしくなってきたー。は、恥ずかしくなってきたー。アルスさんが迫ってきたとは違う感じがする。同じ男性なのに、違う。アルスさんは幼い無垢な雰囲気だが、ホークさんは違う。ちゃんとした成人男性の空気が溢れている。なんだか、心臓ドキドキしているのは、何故や? 恥ずかしいのか?
 はっ、いかん、恥ずかしくなるなんて、ホークさんに失礼だ。ホークさんは職務でノワールに乗ってくれているんや、私が恥ずかしがるのはおかしい。だって私がお願いしたんやから。
 でも、これは予想以上にちょっと……………まるで餃子の具になった気分や。ホークさんは餃子の皮ね。そう、私な具、具や。
「どうしましたユイさん?」
「いえ、別に」
 これは恥ずかしくない、と言い聞かせたけど、顔が妙に熱いのは、きっと気のせいなんやね。
しおりを挟む
感想 681

あなたにおすすめの小説

【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。

BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。 父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した! メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!

召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます

かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~ 【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】 奨励賞受賞 ●聖女編● いきなり召喚された上に、ババァ発言。 挙句、偽聖女だと。 確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。 だったら好きに生きさせてもらいます。 脱社畜! ハッピースローライフ! ご都合主義万歳! ノリで生きて何が悪い! ●勇者編● え?勇者? うん?勇者? そもそも召喚って何か知ってますか? またやらかしたのかバカ王子ー! ●魔界編● いきおくれって分かってるわー! それよりも、クロを探しに魔界へ! 魔界という場所は……とてつもなかった そしてクロはクロだった。 魔界でも見事になしてみせようスローライフ! 邪魔するなら排除します! -------------- 恋愛はスローペース 物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。

うたた寝している間に運命が変わりました。

gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。

聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!

伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。 いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。 衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!! パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。  *表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*  ー(*)のマークはRシーンがあります。ー  少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。  ホットランキング 1位(2021.10.17)  ファンタジーランキング1位(2021.10.17)  小説ランキング 1位(2021.10.17)  ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。

家ごと異世界ライフ

ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

この度、双子の妹が私になりすまして旦那様と初夜を済ませてしまったので、 私は妹として生きる事になりました

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
*レンタル配信されました。 レンタルだけの番外編ssもあるので、お読み頂けたら嬉しいです。 【伯爵令嬢のアンネリーゼは侯爵令息のオスカーと結婚をした。籍を入れたその夜、初夜を迎える筈だったが急激な睡魔に襲われて意識を手放してしまった。そして、朝目を覚ますと双子の妹であるアンナマリーが自分になり代わり旦那のオスカーと初夜を済ませてしまっていた。しかも両親は「見た目は同じなんだし、済ませてしまったなら仕方ないわ。アンネリーゼ、貴女は今日からアンナマリーとして過ごしなさい」と告げた。 そして妹として過ごす事になったアンネリーゼは妹の代わりに学院に通う事となり……更にそこで最悪な事態に見舞われて……?】

噂(うわさ)―誰よりも近くにいるのは私だと思ってたのに―

日室千種・ちぐ
ファンタジー
身に覚えのない噂で、知らぬ間に婚約者を失いそうになった男が挽回するお話。男主人公です。

悪役令嬢は大好きな絵を描いていたら大変な事になった件について!

naturalsoft
ファンタジー
『※タイトル変更するかも知れません』 シオン・バーニングハート公爵令嬢は、婚約破棄され辺境へと追放される。 そして失意の中、悲壮感漂う雰囲気で馬車で向かって─ 「うふふ、計画通りですわ♪」 いなかった。 これは悪役令嬢として目覚めた転生少女が無駄に能天気で、好きな絵を描いていたら周囲がとんでもない事になっていったファンタジー(コメディ)小説である! 最初は幼少期から始まります。婚約破棄は後からの話になります。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。