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首都でも、帰途でも⑥
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午前中に付与をお願いした工房に向かい受け取る。午後からコーリナ商会に向かう。
今回はギルドを通さなくてもいいため、商会に直接向かう。赤騎士団のベテラン風の2名が付いてきてくれた。
商会の前に立つ門番に声をかけ、冒険者ギルドカードを提示。すぐに通してくれた。ビアンカとルージュがいるからね。商会の中には私と晃太、ビアンカとルージュと仔達、ホークさんだけ入る。ノワールをチュアンさん達に任せる。
あの時の応接間に通されて、すぐにヨルジャさんが革袋を持ってやって来た。
「お待たせしましたミズサワ様」
ヨルジャさんの視線がホークさんで止まるが、一瞬だった。
「手続きが終わりました。こちらが返金になります」
ずらりと並ぶ大金貨と金貨。
「ギルドの手数料、当店の手数料を引き、合計7260万になります」
ヨルジャさんの説明はこうだ。
手数料がかなり多く1600万。残りはホークさんとエマちゃんの治療費が大部分を占めている。特にホークさんの状況が悪く、いつ息を引き取ってもおかしくない状況だった。それを救ったのは、上位治療魔法だ。わざわざ首都の教会本部から、高位神官に来てもらい魔法をかけてもらわなかったら、数日も持たなかっただろうと。しかも一回だけで終わらず、2回目の治療で水分が辛うじて摂取できるまでになったと。後はチュアンさんが出来る限りの治療魔法をかけ続けたこともある。
お金を確認して受け取る。
「拘束年数はどうされますか? 書類を書き直し出来ますよ」
「それでなんですが。皆さん、長く付いてきてくれるそうで。でも区切りは付けました。その時に皆さんと再度話し合うことになりました」
「左様ですか」
奴隷紋の解除は、手数料さえ払えばどこの奴隷商会でも出来るし、教会で神官クラスがいれば少しのお布施でしてくれるそうだ。
良いことを聞いた。
お礼を言ってコーリナ商会の帰り間際、元気がヨルジャさんに尻尾をぷりぷり。ヨルジャさん、ポーカーフェイスだけど、顔に触りたいと出ていたので、どうぞと勧める。ビアンカがいるから、遠慮がちに触っている。
「これは素晴らしい毛並みですね。とてもかわいい」
「わんわんっ」
ブラッシングしてますからね。
そこにコハクが加わる。
「おお、ジャガーの子供もかわいいですね。なんと滑らかでしょうか」
「にゃあ、にゃあ~」
うん、ヨルジャさん、好きね、もふもふ。顔がおかしいくらいに破顔してるやん。
「ふふふ。娘達に今日自慢できます。フォレストガーディアンウルフとクリムゾンジャガーの子供はとてもかわいいと」
鼻がびーん、と伸びる。
これでもし商売していたら、おひとつ頂きます、と言うが、いかんせん扱っているのは奴隷だからね。
私はヨルジャさんにお礼を言う。
しばらくもふもふしてもらい、私達はゲストハウスに戻った。
その日の夜。
エマちゃんとテオ君のリクエストのハンバーグと唐揚げとなった。母が昨日から仕込んでいた唐揚げを次々に揚げていく。私はホットプレートでハンバーグを焼いていく。エマちゃんとテオ君が嬉しそうにソワソワ。ダイニングキッチン前でビアンカとルージュもソワソワ。ゲージの中で花がくんくん、従魔の部屋では仔達が大合唱。毎日やねん。
焼き上がったハンバーグを、レタスやトマト、粉ふきいもが乗ったお皿に乗せる。唐揚げは大皿に盛る。カニカマのサラダと白パプリカの卵炒め。白パプリカは塩揉みしてますよ。今日は飲酒オッケーにしてアルコール配布する。私は缶チューハイ、両親とホークさんとミゲル君はビール、晃太とチュアンさんは日本酒、マデリーンさんはロゼ。エマちゃんとテオ君はお茶とご飯。
「「「「「頂きます」」」」」
ぱくり。
うん、ハンバーグ、柔らかい。唐揚げも生姜がよく染み込んでいる。これはご飯ならいくらでもおかわりしそうだ。
「美味しいっ、ケイコお母さんのハンバーグ、美味しいっ」
「唐揚げ、旨いっ」
双子に大好評だ。
「たくさん食べるんよ」
母が嬉しそうだ。
「「はーいっ」」
『お母さんっ、無くなったのですっ』
『足りないわっ』
「もう食べたんかい」
てんこ盛りの夕御飯を食べたビアンカとルージュが、お皿を咥えている。私は思わず突っ込みしたが、母が追加で巨大ハンバーガーを作って出していた。
次の日、クレイ港に向かい、ギルドに。
解体職人さんから手厚く歓迎された。
「テイマーさん、ブラックツナありがとうございます。皆でいただきました」
解体主任さんが代表してお礼を言ってきた。
「足りましたか?」
「はい。皆、滅多に口に出来ないと、こぞって食べました。ありがとうございます。テイマーさんのブラックツナの解体は済んでいます。確認をお願いします」
「はい」
渡しておいたマジックバッグから鍋やバットが出てくる。
おお、鮪や。テレビとかの番組で見た鮪の塊。
『これは美味しそうだわ』
『そうなのですね。貝柱とは違うようなのですが、美味しそうなのです』
興味津々に覗く2人。ダメよ、と釘を刺す。
あれは大トロかな? で、あれが中トロで、あれが赤身。中落ちもある。頭もあら状にされている。目玉付近が美味しいんだよね。晃太は言われる前にいそいそと自分のアイテムボックスに入れてる。それから黒いシーサーペントを提出。解体職人さん達が手早く動いている。
「明日の午前中には終わりますので」
「はい。ではお昼過ぎに来ます」
「お待ちしています」
さ、帰ろう。
『ユイ、ブラックツナはどうやって食べるのですか?』
『そのままでも良さそうよ』
「そうやね、まずはお刺身かね? あとは鮪カツとかかな? まあ、お母さんに任せるよ」
あの大トロと中トロ、見ただけで美味しそうだし。
「わい、刺身がよか」
晃太が間髪入れずに答えてる。
「はいはい。お父さんもお刺身がよかろう。皆さん、刺身は大丈夫ですか?」
鷹の目の皆さんに聞くと、お刺身自体を食べた事があるのはホークさんとマデリーンさんだけ。お刺身と言ってもカルパッチョだ。なので、よく分からないと。ホークさんもマデリーンさんも口にしたのは10年以上も前で、あまり覚えていないそうだ。ならば、今日はお試しやね。無理なら火を通せばよか。母にツナを自作するか聞いたが、ツナ缶あるし、処理方法もよく分からないからわざわざ作らないと。
「姉ちゃん、はよ、帰ろう」
「はいはい。皆さん、帰りますよー」
「「「はーい」」」
ノワールが牽いた馬車は問題なくゲストハウスに。
すぐにルームを開けて、待機していた母がブラックツナの処理に入る。
鷹の目の皆さんに、ブラッシングや中庭で仔達を遊ばせてもらい、私と晃太は異世界への扉で買い物に回る。まだ、いろいろ不足分があるからね。それから鮪カツの下拵えやタルタルソースを作っているとあっという間に夕方だ。
父も帰って来て、いざ、夕御飯。
本日は和食だ。
神様にお祈りしてみたが、本日もお留守だった。かなり鮪カツ作ったけど、仕方ない、神様やからお忙しいんやね。
で、テーブルに並ぶブラックツナの刺身にカツ。ほうれん草の胡麻和え、アップルシーブルーブのおすまし。ビアンカとルージュはブラックツナの刺身とカツが乗った丼だ。ちなみに2人ともワサビはダメ。仔達も刺身は大丈夫だった。元々が生肉食べるの種族だからね。母がしっかり浄化をして、と。よし、準備オッケー。本日もアルコールオッケーデーだ。せっかくのお刺身だからね。
「「「「「いただきまーす」」」」」
ぱくり。
おお、大トロや、まさしく大トロ、すうっと溶けて、あ、無くなった。貝柱とは違う美味しさが広がる。しっかり脂があるけど、くどくない。うわあ、こりゃ美味しい。で、次は中トロ、ぱくり。おお、これもあっさりとして、これはお寿司とかにしたら好きかも。で、赤身は、ぱくり。大トロと比べたら脂は少ないが、しっかりした感じだ。ん、これは?
「お母さん、これは?」
「頭のとこのやね。脳天や」
「ふーん」
ぱくり、おお、これも脂がのってるけど、さらりと美味しい。
鮪カツはどうかな? タルタルソースを付けて、と。サクッとな。うーん、半生だけどジューシー。他の白身魚とは違う旨さが広がり、タルタルソースの合うこと。塩でもいいかな?
「旨かなあ。口の中でとろける」
晃太が次々にお刺身を食べる。父もだ。お刺身は出されたら食べるくらいの母も次々食べている。
「ブラックツナ、旨いな」
「ああ、こんなに生魚に旨味があるなんて」
「以前食べた物とは比べられないわ」
「エールが進むッ」
成人組はお刺身が好評だ。アルコールが進んでいる。
「私、カツの方が好き」
「俺も」
エマちゃんとテオ君はタルタルソースたっぷりの鮪カツが気に入った様子で、ばくばく食べてる。
「なあ、姉ちゃん」
アルコールで真っ赤になった晃太が、改まる。
「なんね」
「黒鮪、獲りに行こうや」
「なんば真剣に言いようと? この前船に乗れたのは、たまたまやろうもん。次は別の冒険者パーティーが乗るはずやし、そろそろマーファに帰らんといかんやろうもん。それに秋にはまたくるんやけん、あれだけあるんやから、そん時でよかろう」
「でも、すぐ無くなるばい」
『ユイッ、無くなったのですッ。このカリッとしたやつがいいのですッ』
『私は両方ねッ』
「わんわんっ」
「にゃあ、にゃあ~」
「くうん、くうん」
「くうん、くうん」
『ばあば、ばあば、ヒスイも食べる~』
……………………………
「な」
「そうやね。ギルドに相談するかね」
私は中トロを食べる。うん、美味しい。
翌日、黒いシーサーペントを受け取り時に相談すると、すぐに手配してくれ、別の漁場でビアンカとルージュの大漁祭りとなったのは言うまでもない。
今回はギルドを通さなくてもいいため、商会に直接向かう。赤騎士団のベテラン風の2名が付いてきてくれた。
商会の前に立つ門番に声をかけ、冒険者ギルドカードを提示。すぐに通してくれた。ビアンカとルージュがいるからね。商会の中には私と晃太、ビアンカとルージュと仔達、ホークさんだけ入る。ノワールをチュアンさん達に任せる。
あの時の応接間に通されて、すぐにヨルジャさんが革袋を持ってやって来た。
「お待たせしましたミズサワ様」
ヨルジャさんの視線がホークさんで止まるが、一瞬だった。
「手続きが終わりました。こちらが返金になります」
ずらりと並ぶ大金貨と金貨。
「ギルドの手数料、当店の手数料を引き、合計7260万になります」
ヨルジャさんの説明はこうだ。
手数料がかなり多く1600万。残りはホークさんとエマちゃんの治療費が大部分を占めている。特にホークさんの状況が悪く、いつ息を引き取ってもおかしくない状況だった。それを救ったのは、上位治療魔法だ。わざわざ首都の教会本部から、高位神官に来てもらい魔法をかけてもらわなかったら、数日も持たなかっただろうと。しかも一回だけで終わらず、2回目の治療で水分が辛うじて摂取できるまでになったと。後はチュアンさんが出来る限りの治療魔法をかけ続けたこともある。
お金を確認して受け取る。
「拘束年数はどうされますか? 書類を書き直し出来ますよ」
「それでなんですが。皆さん、長く付いてきてくれるそうで。でも区切りは付けました。その時に皆さんと再度話し合うことになりました」
「左様ですか」
奴隷紋の解除は、手数料さえ払えばどこの奴隷商会でも出来るし、教会で神官クラスがいれば少しのお布施でしてくれるそうだ。
良いことを聞いた。
お礼を言ってコーリナ商会の帰り間際、元気がヨルジャさんに尻尾をぷりぷり。ヨルジャさん、ポーカーフェイスだけど、顔に触りたいと出ていたので、どうぞと勧める。ビアンカがいるから、遠慮がちに触っている。
「これは素晴らしい毛並みですね。とてもかわいい」
「わんわんっ」
ブラッシングしてますからね。
そこにコハクが加わる。
「おお、ジャガーの子供もかわいいですね。なんと滑らかでしょうか」
「にゃあ、にゃあ~」
うん、ヨルジャさん、好きね、もふもふ。顔がおかしいくらいに破顔してるやん。
「ふふふ。娘達に今日自慢できます。フォレストガーディアンウルフとクリムゾンジャガーの子供はとてもかわいいと」
鼻がびーん、と伸びる。
これでもし商売していたら、おひとつ頂きます、と言うが、いかんせん扱っているのは奴隷だからね。
私はヨルジャさんにお礼を言う。
しばらくもふもふしてもらい、私達はゲストハウスに戻った。
その日の夜。
エマちゃんとテオ君のリクエストのハンバーグと唐揚げとなった。母が昨日から仕込んでいた唐揚げを次々に揚げていく。私はホットプレートでハンバーグを焼いていく。エマちゃんとテオ君が嬉しそうにソワソワ。ダイニングキッチン前でビアンカとルージュもソワソワ。ゲージの中で花がくんくん、従魔の部屋では仔達が大合唱。毎日やねん。
焼き上がったハンバーグを、レタスやトマト、粉ふきいもが乗ったお皿に乗せる。唐揚げは大皿に盛る。カニカマのサラダと白パプリカの卵炒め。白パプリカは塩揉みしてますよ。今日は飲酒オッケーにしてアルコール配布する。私は缶チューハイ、両親とホークさんとミゲル君はビール、晃太とチュアンさんは日本酒、マデリーンさんはロゼ。エマちゃんとテオ君はお茶とご飯。
「「「「「頂きます」」」」」
ぱくり。
うん、ハンバーグ、柔らかい。唐揚げも生姜がよく染み込んでいる。これはご飯ならいくらでもおかわりしそうだ。
「美味しいっ、ケイコお母さんのハンバーグ、美味しいっ」
「唐揚げ、旨いっ」
双子に大好評だ。
「たくさん食べるんよ」
母が嬉しそうだ。
「「はーいっ」」
『お母さんっ、無くなったのですっ』
『足りないわっ』
「もう食べたんかい」
てんこ盛りの夕御飯を食べたビアンカとルージュが、お皿を咥えている。私は思わず突っ込みしたが、母が追加で巨大ハンバーガーを作って出していた。
次の日、クレイ港に向かい、ギルドに。
解体職人さんから手厚く歓迎された。
「テイマーさん、ブラックツナありがとうございます。皆でいただきました」
解体主任さんが代表してお礼を言ってきた。
「足りましたか?」
「はい。皆、滅多に口に出来ないと、こぞって食べました。ありがとうございます。テイマーさんのブラックツナの解体は済んでいます。確認をお願いします」
「はい」
渡しておいたマジックバッグから鍋やバットが出てくる。
おお、鮪や。テレビとかの番組で見た鮪の塊。
『これは美味しそうだわ』
『そうなのですね。貝柱とは違うようなのですが、美味しそうなのです』
興味津々に覗く2人。ダメよ、と釘を刺す。
あれは大トロかな? で、あれが中トロで、あれが赤身。中落ちもある。頭もあら状にされている。目玉付近が美味しいんだよね。晃太は言われる前にいそいそと自分のアイテムボックスに入れてる。それから黒いシーサーペントを提出。解体職人さん達が手早く動いている。
「明日の午前中には終わりますので」
「はい。ではお昼過ぎに来ます」
「お待ちしています」
さ、帰ろう。
『ユイ、ブラックツナはどうやって食べるのですか?』
『そのままでも良さそうよ』
「そうやね、まずはお刺身かね? あとは鮪カツとかかな? まあ、お母さんに任せるよ」
あの大トロと中トロ、見ただけで美味しそうだし。
「わい、刺身がよか」
晃太が間髪入れずに答えてる。
「はいはい。お父さんもお刺身がよかろう。皆さん、刺身は大丈夫ですか?」
鷹の目の皆さんに聞くと、お刺身自体を食べた事があるのはホークさんとマデリーンさんだけ。お刺身と言ってもカルパッチョだ。なので、よく分からないと。ホークさんもマデリーンさんも口にしたのは10年以上も前で、あまり覚えていないそうだ。ならば、今日はお試しやね。無理なら火を通せばよか。母にツナを自作するか聞いたが、ツナ缶あるし、処理方法もよく分からないからわざわざ作らないと。
「姉ちゃん、はよ、帰ろう」
「はいはい。皆さん、帰りますよー」
「「「はーい」」」
ノワールが牽いた馬車は問題なくゲストハウスに。
すぐにルームを開けて、待機していた母がブラックツナの処理に入る。
鷹の目の皆さんに、ブラッシングや中庭で仔達を遊ばせてもらい、私と晃太は異世界への扉で買い物に回る。まだ、いろいろ不足分があるからね。それから鮪カツの下拵えやタルタルソースを作っているとあっという間に夕方だ。
父も帰って来て、いざ、夕御飯。
本日は和食だ。
神様にお祈りしてみたが、本日もお留守だった。かなり鮪カツ作ったけど、仕方ない、神様やからお忙しいんやね。
で、テーブルに並ぶブラックツナの刺身にカツ。ほうれん草の胡麻和え、アップルシーブルーブのおすまし。ビアンカとルージュはブラックツナの刺身とカツが乗った丼だ。ちなみに2人ともワサビはダメ。仔達も刺身は大丈夫だった。元々が生肉食べるの種族だからね。母がしっかり浄化をして、と。よし、準備オッケー。本日もアルコールオッケーデーだ。せっかくのお刺身だからね。
「「「「「いただきまーす」」」」」
ぱくり。
おお、大トロや、まさしく大トロ、すうっと溶けて、あ、無くなった。貝柱とは違う美味しさが広がる。しっかり脂があるけど、くどくない。うわあ、こりゃ美味しい。で、次は中トロ、ぱくり。おお、これもあっさりとして、これはお寿司とかにしたら好きかも。で、赤身は、ぱくり。大トロと比べたら脂は少ないが、しっかりした感じだ。ん、これは?
「お母さん、これは?」
「頭のとこのやね。脳天や」
「ふーん」
ぱくり、おお、これも脂がのってるけど、さらりと美味しい。
鮪カツはどうかな? タルタルソースを付けて、と。サクッとな。うーん、半生だけどジューシー。他の白身魚とは違う旨さが広がり、タルタルソースの合うこと。塩でもいいかな?
「旨かなあ。口の中でとろける」
晃太が次々にお刺身を食べる。父もだ。お刺身は出されたら食べるくらいの母も次々食べている。
「ブラックツナ、旨いな」
「ああ、こんなに生魚に旨味があるなんて」
「以前食べた物とは比べられないわ」
「エールが進むッ」
成人組はお刺身が好評だ。アルコールが進んでいる。
「私、カツの方が好き」
「俺も」
エマちゃんとテオ君はタルタルソースたっぷりの鮪カツが気に入った様子で、ばくばく食べてる。
「なあ、姉ちゃん」
アルコールで真っ赤になった晃太が、改まる。
「なんね」
「黒鮪、獲りに行こうや」
「なんば真剣に言いようと? この前船に乗れたのは、たまたまやろうもん。次は別の冒険者パーティーが乗るはずやし、そろそろマーファに帰らんといかんやろうもん。それに秋にはまたくるんやけん、あれだけあるんやから、そん時でよかろう」
「でも、すぐ無くなるばい」
『ユイッ、無くなったのですッ。このカリッとしたやつがいいのですッ』
『私は両方ねッ』
「わんわんっ」
「にゃあ、にゃあ~」
「くうん、くうん」
「くうん、くうん」
『ばあば、ばあば、ヒスイも食べる~』
……………………………
「な」
「そうやね。ギルドに相談するかね」
私は中トロを食べる。うん、美味しい。
翌日、黒いシーサーペントを受け取り時に相談すると、すぐに手配してくれ、別の漁場でビアンカとルージュの大漁祭りとなったのは言うまでもない。
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