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ファンタジー的な⑧

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「じゃあ、運んでください」
「「「はい」」」
 まずはノワールのご飯と仔達のご飯だ。
 ノワールはたっぷり野菜とイチゴ。仔達には貝柱のシチューだ。晃太と鷹の目の皆さんが手分けして運んでくれる。勢いよく食べ出す。後で仔達にはデザートだ。うららのプレーンパンケーキにしよう。これなら仔達も大丈夫と父の鑑定に出た。ちなみに元気は軽く2、3枚食べる。
『ユイ、ユイ』
『エビ、エビ』
「はいはい」
 ビアンカとルージュがワクワクして待ってる。もう、かわいかね。
 テーブルに皿やコップを母とエマちゃん、テオ君が並べる。
「よし、先にビアンカとルージュのご飯を、と。うーん」
『ユイ、油淋鶏なのです。中に赤いのが入った卵のやつもいいのです』
『エビ、エビ、エビ』
「はいはい」
 まずは、紫竜の油淋鶏とエビチリとエビマヨをタップタップタップ。八陣の明太子入り卵焼きをタップ。専用のお皿に並べてもらい、ホークさんとチュアンさんが運んでくれる。
「うわあ、いい匂い」
 ミゲル君が、はわわわん、と顔を緩める。エマちゃんとテオ君も視線で追う。サイドメニューにするかね。
『ガブガブッ、美味しいのですっ』
『ガブガブッ、エビッ、エビッ、エビーッ』
 ようございました。
 母がシチューをよそい、晃太がビールやお茶を出す。父は花をケージに誘導。
 私は液晶画面をタップ。紫竜の油淋鶏とエビチリとエビマヨ。シチューに中華はどうかと思うけど、良かろう。後はサラダかな。みつよしのI市特産野菜サラダと生ハムサラダ、マデリーンさん用にグラスの白ワイン。私達も同じサラダ、サーモンカルパッチョ、八陣の明太子入り卵焼き。エマちゃんとテオ君にはリンゴジュース、私とチュアンさんは麦茶、晃太は日本酒、残りはビールと。
「これは?」
「え、どこから開けるの、これ?」
 ホークさんとミゲル君がビールのプルタブが分からず、戸惑いの表情。
「ああ、こうやってですね」
 父がプルタブの開け方を教えて、ぷしゅっ、とな。グラスに注いで準備オッケー。
「では、ヒスイのおしゃべり記念と、遅れましたが、鷹の目の皆さんの歓迎会と言うことで、乾杯」
 父の音頭で乾杯。
「「「「「「かんぱーい」」」」」」
 麦茶を一口。
「ん、旨いっ。このエール、すごく旨いっ」
「凄く冷えて旨いっ」
 一口飲んで、ホークさんと、ミゲル君が感嘆の声をあげる。日本のビールですからね。
「まだありますからね、飲んでください」
「はーい、ユイさん」
 ミゲル君が元気よく返事をする。
 チュアンさんが肩を掴む。ぷしゅーとなるミゲル君。
「今日は歓迎会ですから、ね」
「はあ」
 私の言葉にチュアンさんが渋々納得、ミゲル君復活。
「シチュー、美味しいっ」
「旨あっ」
 エマちゃんとテオ君がシチューが好評だ。母が嬉しそう。
 マデリーンさんからもワインとシチューが好評だ。
「このサラダ、とっても野菜が美味しいです」
「こちらは私が住んでいた国の野菜なんですよ。私の住んでいた国は、地域によってこだわった野菜や果物を育てているんです。食べ物や食材にはこだわりがありますからね」
「そうなんですか。ユイさんの住んでいた国は食材が充実していたんですね。ふふ、私達までその恩恵に与るなんて。ドレッシングもとっても美味しいです」
 ドレッシングも伯父の店特製。そのサラダが褒められて、鼻が伸びる。
「どんどん食べてください」
「はい、ありがとうございます」
 私もシチューを食べる。うん、安定の美味しさ。
「貝柱、まだある?」
「後、5個やね」
「少なくなったね。また、行かんと」
 冷蔵庫ダンジョンに。ビアンカとルージュが1度で1個食べるからね。
「うわあ、この赤いソースのエビ、絶品ですね」
「白いソースのエビも甲乙付けがたい」
 ホークさんとチュアンさんがエビチリとエビマヨを食べて、思わず声をあげる。
「このお肉も美味しいっ」
「ばくばく」
「これエールが進むっ」
 エマちゃんとテオ君もミゲル君は油淋鶏をパクパク、パクパク。
『ユイ、ユイ、無くなったのですっ』
『エビがいいわ、あ、元気とコハクが足りないようよ』
「はいはい」
 油淋鶏、あ、ない、仕方ない、異世界のメニューも全メニューがあるわけではない。4~5割くらいだ。エビチリは大皿がない、エビマヨはあり。唐揚げとエビチリ、大皿エビマヨをタップタップタップと。手分けして、ビアンカとルージュのお皿に。元気とコハクにもおかわりのシチューを母がよそう。
 うん、鷹の目の皆さん、足りないようやね。どうしようかね。私は冷蔵庫から冷えたビールを出して、ホークさんとミゲル君に渡す。よほど美味しかったのか、すでに350mlが空だ。マデリーンさんにも白ワイン追加、と。よし、ビールや白ワインならみつよしのフライドポテト、白身魚の香草焼き、八陣のチーズの春巻き、JOY-Pのコーンピザと。あ、テオ君の視線が唐揚げに行ってる。よし、唐揚げもタップ。
「姉ちゃん、刺身」
「はいはい」
「優衣、お母さんは餃子」
「はいはい」
「春巻き」
「はいはい」
 タップタップタップ。シチューがメインなのに。まあ、よかか。
 鷹の目の皆さんはまあよく食べるし、よく飲む。体が資本だからね。
「チュアンさん、日本酒、飲んでみます?」
 少し顔を赤くした晃太が、麦茶のチュアンさんに勧める。
 チュアンさんは少し考えて、出されたお猪口をみて、それくらいなら、と。
 くい、とな。
「ッ、旨いッ、喉ごしも、香りが抜ける感じも、少しの辛みも全てッ」
「いけますなぁ」
 はいはいと晃太がお酌。どうやらチュアンさんは日本酒派かな。
 えーっと日本酒なら、だし巻きかな? サワラの西京焼きも追加、と。あ、春巻きも皆さんに追加して、と。
『ユイ、ユイ、おかわりなのですッ』
『エビーッ』
「ちょっと待ってん」
 タップタップタップ。
 それでビアンカとルージュがやっと落ち着いて、私達もおしゃべりしながら食事を進める。春巻きと唐揚げの熱さに、熱い熱いとわいわい。
 冷蔵庫のビールが無くなる頃に、私達も鷹の目の皆さんも落ち着いた。ああ、よく食べた、げふう。シチューも空だ。ビアンカとルージュも少し食べたいと。ビアンカとルージュの少しは少しではないが、それで空っぽだ。
 まあ、チュアンさんとマデリーンさんの顔色が真っ赤。晃太も負けてないけどね。
「ふう、皆さん、足りました?」
「もう十分です。本当にありがとうございます」
 ホークさんがお礼を言ってくる。隣のミゲル君が、ちょっとふらふらしてる。
「ミゲル君、お茶飲んだ方が良くないね?」
「はぁ~いぃ」
 あ、酔っぱらい。
 チュアンさんが麦茶を飲ませる。
 よし、デザート、デザート。ヒスイとルリとクリスはプレーンパンケーキが1枚、元気とコハクは2枚。運んでもらう。
「ビアンカ、ルージュ、お腹一杯よね」
『別腹なのです』
『そうよ』
 牛かい。まあ、よか、今日は。
 うららのパンケーキ。よし、夏のフルーツ盛り盛りパンケーキ。
 ぺろりと無くなる。
「エマちゃん、テオ君、甘いのどうする? 入る?」
 だけど、2人ともお腹そこそこ一杯のようだ。でも、食べたい、みたいな顔。
 よし、ならば、JOY-Pの苺のミニパフェ。
「これなら入る?」
「「うんっ」」
 嬉しそうな双子にミニパフェを渡す。
「「甘ーい」」
 笑顔がまぶしか、ようございました。
「ごー…………ごー…………………」
「おい、ミゲル。ミゲル」
 寝てるよ。取り敢えず、ソファーに横にしてブランケットをかける。
「すみません、お手数をかけて」
 ホークさんとチュアンさんが謝ってくるが、今日はよかよか。
「いいんですよ。皆さんの歓迎会なんですから。デザートどうされます?」
「いや、そんな」
 と、遠慮される。マデリーンさんは本当にお腹一杯と。そう言えばチュアンさん甘いの好きそうな感じだったな。護衛の時に、一口と迫ったミゲル君を頭突きしたし。ホークさんは、さくら庵の抹茶のティラミス。チュアンさんはうららの夏のフルーツ盛り盛りパンケーキ。父はお汁粉。私と晃太と母はお腹一杯。
 パンケーキを前のチュアンさんのお祈りが、熱心なこと。そして、それは大切に食べ始める。強面にパンケーキ、いや、好評ならよか。抹茶のティラミスも好評だ。
「ねえ、ユイさん、今度あれ食べたい」
 エマちゃんがチュアンさんを見て、羨ましそうに言う。
「こら、エマ」
「いいですよ。今度ね」
「うんっ」
「エマ、はい、だ」
「はーい」
 うん、素直でかわいか。
 デザートを堪能して、片付けて、お開きとなる。
『ユイ、おかわりなのです』
『別腹よ』
「もうやめとき」
 お皿を咥えるビアンカとルージュ。流石にもうだめよ。なんやねんそのお腹、ぽんぽこりんやねん。
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