216 / 850
連載
パニック?⑥
しおりを挟む
「にゃあにぁあ」
「クゥンクゥン」
「クゥンクゥン」
ヒスイ、ルリ、クリスも来てペロペロもふもふ。かわいかあ、たまらん。
「迎えに来てくれたんね~」
もふもふ。
ルリとクリスは満足したのか、すぐにシュタインさんや山風の皆さんの元に。ヒスイは私にすり寄ったまま。あはははははん、そうね、お姉ちゃんがよかね。もふもふん。そこに、母の抱っこ紐から出た花が短い足で駆けよって来た。
「クゥンクゥンクゥン」
ぽちゃぽちゃお腹を出して、牛蒡みたいな尻尾をパタパタパタパタ。あはははははん、たまらん。
「花ちゃんただいまあ」
「花ちゃん」
私と晃太が人目も気にせず、もふもふん。
「テイマーさん、それは?」
置いてけぼりの金の虎の皆さん、あ、忘れてた。
「ああ、紹介しますね。まず、この子が花、小型犬です。ちょっと人見知りで」
「わんっわんっ」
びびりの花は、金の虎の皆さんを見て後ずさる。
「え? 小型犬? テイマーさん、爵位あるんですか?」
ファングさんが疑うように聞いてくる。小型犬は貴族しか飼育してないからね。この為の設定を。
「違いますよ。花は飼育放棄されたのを、私達が引き取ったんです」
「そうなのか。飼育放棄か、かわいそうな目に合ったんだな」
花を見るファングさんの目に同情が浮かぶ。当の花は後退り、吠える吠える。
「すみません、知らない人には吠えちゃって」
「いいや、あんなに小さいんだ、警戒するのは仕方ないさ」
分厚い肩をすくめるファングさん。その隣でアルスさんが興味深そうに見ている。
「後はこの子はヒスイ。ルージュの娘です。あそこにいる茶色の目の子がコハク、ルージュの息子です」
私が順番に説明する。
「ビアンカの娘が、青い目がルリ、片目が赤いのがクリス、で、一番大きいのが息子の元気です。元気はとにかくやんちゃで、人見知りしないし、飛びかかるので気を付けてください」
「ああ。アルブレンで噂を聞いたが、揃うと圧巻だな」
アルブレンか、あれからずいぶん大きくなったしね。豆柴サイズだったヒスイも、何倍も大きくなってるし。かわいかのよ。
「皆、挨拶ばしい」
なんとなく声をかけるが、人見知りのルリ、クリス、ヒスイは後退り。
金の虎の皆さん、触りたさそうだけど。特にアルスさんが。キラキラ青い目で、私に訴える。触っちゃだめ? みたいな。キラキラ。キラキラ。魔法にかかりそう。
「わんっ」
「にぁあ~」
私の声に答えたのは元気とコハク。
止める間もなく、ばぁっ、と来て飛びかかる。
「おわあっ」
飛びかかり先はガリストさん。リードを持っていた晃太が、引っ張られて「肩、肩」言ってる。
元気が後ろ足で立ち上がり、ペロペロ。コハクも後ろ足で立ち上がり、ペロペロ。
「あ、すみませんっ」
「い、いや、いや、いいんだ。はは、かわいいですな」
ガリストさんはごつい満面の笑みを浮かべる。わざわざ足を着いて、元気とコハクをもふもふ。なんだか、慣れてるけど。
「ガリストさん、犬か猫飼ってました?」
「ん? 昔な、子供の頃に大型犬を。こんなに柔らかい毛質ではなかったが、懐かしいな」
「へっへっ」
元気がペロペロするが、ガリストさんはごつい笑顔のまま舐められている。それから皆さん順番に撫で撫で。
「柔らかいんだな」
「本当だね、ふわふわしてる」
「まさか、クリムゾンジャガーに触れるなんて。なんて滑らかなのかしら」
「姉ちゃん、欲しい」
「おバカ、恐ろしい事言うんじゃないよ」
その間に山風の皆さんと挨拶した両親がやって来る。
「おかえり」
母が空の抱っこ紐のままでおかえり、してくれる。
「ただいま、わざわざ来てくれたん。あ、こちらね金の虎の皆さん。アルブレンで緑の巣の時にお世話になったんよ。皆さん、うちの両親です」
私が両親に、金の虎の皆さんを紹介。元気とコハクをもふっていた皆さんが、あわてて立ち上がる。
「皆さん、アルブレンでは娘達がお世話になりました」
父が挨拶し、両親が頭を下げる。
「いや、俺達の方が世話になったようなものです。お気になさらないでください」
ファングさんの口調が、両親を前に丁寧になる。
「お父さん、これから私達ギルドに行くけど、一緒に行く?」
「いや、帰るよ」
「なら、ビアンカ一緒に帰って」
『分かったのです』
そんな話をしていると、マアデン君とハジェル君が母に何か言って、ロッシュさんがげんこつ落としている。
なんやなんや。
どうやら今日のカレーやアップルパイが美味しかったと、母に報告したら、上機嫌になった母が2人にリクエストを聞いたそうだ。ちょっと調子に乗ってきたので、ロッシュさんがげんこつ落としたと。
「いいんですよ。まだ、育ち盛りなんですから」
母はニコニコだ。
「なんばリクエストしたと?」
頭を押さえるマアデン君とハジェル君に聞いてみる。
「あのハンバーグと、唐揚げと、たれのついた肉の挟まったサンドイッチ」
「ポトフも食べたいっす。後、大きな鍋で食べた白いスープのも食べたいっす。あ、ビアンカさんとルージュさんが来た日に食べた、たれのついた肉も食べたいっす」
「なんね、それくらいね。じゃあ、メニューにいれようかね」
「「やったぁ」」
素直や。
で、後ろでロッシュさんがげんこつを構える。
ぴぁ、と私の後ろに隠れるマアデン君とハジェル君。
「これくらい、いいじゃないですか。ロッシュさんも何かリクエストあったら言ってくださいね」
「はあ、ユイさんは優しいですね。でも、昼飯楽しみにしてます。俺は好き嫌いないですから」
「はい」
さて、そろそろギルドに行こうとすると、すすす、とアルスさんが母の元に。
「アップルパイ、食べたい」
「?」
すかさずファングさんとリィマさんが回収。事情を知らない母は、いきなり未成年が近付いて来て、すぐに回収されたのに驚いている。
帰って説明しなくては。
花を母の抱っこ紐に入れて、ビアンカと仔達は先にパーティーハウスに戻る。
ギルドに行き、晃太だけ倉庫に向かう。量が多いからね。リティアさんは残念お休みなので、後日お土産渡そう。
山風や金の虎の皆さんの分は買い取り窓口が対応。待っている間に、明日からどうするか相談。ノワールを連れて行くかどうかだ。ルージュ曰く、ノワールを含めたら20階まではなんとかなるそうだ。なんせ、重かしね。それから開始時間も1時間早く繰り上げることになった。今まで最高戦力だからね。余裕を持ってボス部屋に何回か臨めるから、時間を繰り上げようと言うことになった。話が終わると、山風と金の虎の査定が終了。いくらか聞いたらいけないから離れる。ロッシュさんもファングさんも目を見開いていたけどね。晃太も戻ってきた。
「皆さん。1日ありがとうございました。明日からもお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします。」
「こんなに割合のいい依頼はそうない。出来るだけのことはする」
リーダーさん達頼もしい。
とにかく初日終了だ。
挨拶して別れようとしたら、キラキラ。
ん? 目の前に、キラキラ青い目。
あら、さっきまでリィマさんの隣におらんやったかね?
ちらり、と覗く、赤い舌。
あらあ、今朝のデジャブ。
『ダメよ、ユイが困るわ』
ルージュがアルスさんのパーカーの裾を咥えて止めて、硬直した私をシュタインさんが後ろに引き寄せてくれた。
は、いかん。キラキラ魔法で、麻痺しとった。しかもシュタインさん病み上がりなのに。
「す、すみませんシュタインさん」
「いいえ。だけどあいつ懲りないですね」
「アルスーッ」
「あんたって子はーッ」
ファングさんとリィマさんが真っ青になって怒ってる。
「すまないテイマーさん。あいつは日頃あんなこと絶対しないやつなんだ。よっぽどあんたが気に入ったみたいだ」
あら、未成年に気に入られる三十路女。週刊誌のネタみたいになってきたよ。やだあ、目だけ、太い横線入って掲載されそうだよ。
「ちゃんと言い聞かせておくから」
「まあ、本人悪気がないようですけど。私もいくら未成年とはいえ、ペロリは勘弁してください。変な世界に片足突っ込みそうになるので」
冷静に返したが、内心、はあはあ、犯罪者みたいな息づかいをしている。
腑に落ちないアルスさんを引きずり、金の虎の皆さんはペコペコしながら撤退。嵐のように去っていった。
「シュタインさん、もう大丈夫みたいですよ」
「あ、ああ、そうですね」
よっぽど心配したのか、シュタインさんは金の虎の皆さんの姿が見えなくなるまで、肩を抱いてくれていた。ありがたい。
山風の皆さんとも挨拶して、パーティーハウスに。
「クゥンクゥンクゥンクゥーン」
「花ちゃんさっき会ったやない」
「花ちゃん」
お腹出して尻尾パタパタしながら歓迎してくれる花。あはははん、かわいかあ。
仔達の歓迎を受けながら、パーティーハウスに入る。
「ねえ、お父さん」
「ん?」
居間のソファーに座って、ルリとクリスを撫でている父が顔を上げる。
「今日来たの、シュタインさんの具合見るためやろ?」
わざわざ、冷蔵庫ダンジョン前で待っていたのは、そうじゃないかと思っていたからだ。
「ばれたね。心配やったけんね。軽度の貧血くらいや、冒険者としても活動可能レベルやな」
「そうね、良かった」
なら、明日それとなく伝えるかね。
なんだか、大したことしてないのに、どっと疲れた1日やったなあ。
キラキラ青い目の魔法、まあ、今までの中でも強烈やったなあ。
あれ? なんかもう一つあったような……………思い出さないってことは、大したことないって事やね、うん。
「クゥンクゥン」
「クゥンクゥン」
ヒスイ、ルリ、クリスも来てペロペロもふもふ。かわいかあ、たまらん。
「迎えに来てくれたんね~」
もふもふ。
ルリとクリスは満足したのか、すぐにシュタインさんや山風の皆さんの元に。ヒスイは私にすり寄ったまま。あはははははん、そうね、お姉ちゃんがよかね。もふもふん。そこに、母の抱っこ紐から出た花が短い足で駆けよって来た。
「クゥンクゥンクゥン」
ぽちゃぽちゃお腹を出して、牛蒡みたいな尻尾をパタパタパタパタ。あはははははん、たまらん。
「花ちゃんただいまあ」
「花ちゃん」
私と晃太が人目も気にせず、もふもふん。
「テイマーさん、それは?」
置いてけぼりの金の虎の皆さん、あ、忘れてた。
「ああ、紹介しますね。まず、この子が花、小型犬です。ちょっと人見知りで」
「わんっわんっ」
びびりの花は、金の虎の皆さんを見て後ずさる。
「え? 小型犬? テイマーさん、爵位あるんですか?」
ファングさんが疑うように聞いてくる。小型犬は貴族しか飼育してないからね。この為の設定を。
「違いますよ。花は飼育放棄されたのを、私達が引き取ったんです」
「そうなのか。飼育放棄か、かわいそうな目に合ったんだな」
花を見るファングさんの目に同情が浮かぶ。当の花は後退り、吠える吠える。
「すみません、知らない人には吠えちゃって」
「いいや、あんなに小さいんだ、警戒するのは仕方ないさ」
分厚い肩をすくめるファングさん。その隣でアルスさんが興味深そうに見ている。
「後はこの子はヒスイ。ルージュの娘です。あそこにいる茶色の目の子がコハク、ルージュの息子です」
私が順番に説明する。
「ビアンカの娘が、青い目がルリ、片目が赤いのがクリス、で、一番大きいのが息子の元気です。元気はとにかくやんちゃで、人見知りしないし、飛びかかるので気を付けてください」
「ああ。アルブレンで噂を聞いたが、揃うと圧巻だな」
アルブレンか、あれからずいぶん大きくなったしね。豆柴サイズだったヒスイも、何倍も大きくなってるし。かわいかのよ。
「皆、挨拶ばしい」
なんとなく声をかけるが、人見知りのルリ、クリス、ヒスイは後退り。
金の虎の皆さん、触りたさそうだけど。特にアルスさんが。キラキラ青い目で、私に訴える。触っちゃだめ? みたいな。キラキラ。キラキラ。魔法にかかりそう。
「わんっ」
「にぁあ~」
私の声に答えたのは元気とコハク。
止める間もなく、ばぁっ、と来て飛びかかる。
「おわあっ」
飛びかかり先はガリストさん。リードを持っていた晃太が、引っ張られて「肩、肩」言ってる。
元気が後ろ足で立ち上がり、ペロペロ。コハクも後ろ足で立ち上がり、ペロペロ。
「あ、すみませんっ」
「い、いや、いや、いいんだ。はは、かわいいですな」
ガリストさんはごつい満面の笑みを浮かべる。わざわざ足を着いて、元気とコハクをもふもふ。なんだか、慣れてるけど。
「ガリストさん、犬か猫飼ってました?」
「ん? 昔な、子供の頃に大型犬を。こんなに柔らかい毛質ではなかったが、懐かしいな」
「へっへっ」
元気がペロペロするが、ガリストさんはごつい笑顔のまま舐められている。それから皆さん順番に撫で撫で。
「柔らかいんだな」
「本当だね、ふわふわしてる」
「まさか、クリムゾンジャガーに触れるなんて。なんて滑らかなのかしら」
「姉ちゃん、欲しい」
「おバカ、恐ろしい事言うんじゃないよ」
その間に山風の皆さんと挨拶した両親がやって来る。
「おかえり」
母が空の抱っこ紐のままでおかえり、してくれる。
「ただいま、わざわざ来てくれたん。あ、こちらね金の虎の皆さん。アルブレンで緑の巣の時にお世話になったんよ。皆さん、うちの両親です」
私が両親に、金の虎の皆さんを紹介。元気とコハクをもふっていた皆さんが、あわてて立ち上がる。
「皆さん、アルブレンでは娘達がお世話になりました」
父が挨拶し、両親が頭を下げる。
「いや、俺達の方が世話になったようなものです。お気になさらないでください」
ファングさんの口調が、両親を前に丁寧になる。
「お父さん、これから私達ギルドに行くけど、一緒に行く?」
「いや、帰るよ」
「なら、ビアンカ一緒に帰って」
『分かったのです』
そんな話をしていると、マアデン君とハジェル君が母に何か言って、ロッシュさんがげんこつ落としている。
なんやなんや。
どうやら今日のカレーやアップルパイが美味しかったと、母に報告したら、上機嫌になった母が2人にリクエストを聞いたそうだ。ちょっと調子に乗ってきたので、ロッシュさんがげんこつ落としたと。
「いいんですよ。まだ、育ち盛りなんですから」
母はニコニコだ。
「なんばリクエストしたと?」
頭を押さえるマアデン君とハジェル君に聞いてみる。
「あのハンバーグと、唐揚げと、たれのついた肉の挟まったサンドイッチ」
「ポトフも食べたいっす。後、大きな鍋で食べた白いスープのも食べたいっす。あ、ビアンカさんとルージュさんが来た日に食べた、たれのついた肉も食べたいっす」
「なんね、それくらいね。じゃあ、メニューにいれようかね」
「「やったぁ」」
素直や。
で、後ろでロッシュさんがげんこつを構える。
ぴぁ、と私の後ろに隠れるマアデン君とハジェル君。
「これくらい、いいじゃないですか。ロッシュさんも何かリクエストあったら言ってくださいね」
「はあ、ユイさんは優しいですね。でも、昼飯楽しみにしてます。俺は好き嫌いないですから」
「はい」
さて、そろそろギルドに行こうとすると、すすす、とアルスさんが母の元に。
「アップルパイ、食べたい」
「?」
すかさずファングさんとリィマさんが回収。事情を知らない母は、いきなり未成年が近付いて来て、すぐに回収されたのに驚いている。
帰って説明しなくては。
花を母の抱っこ紐に入れて、ビアンカと仔達は先にパーティーハウスに戻る。
ギルドに行き、晃太だけ倉庫に向かう。量が多いからね。リティアさんは残念お休みなので、後日お土産渡そう。
山風や金の虎の皆さんの分は買い取り窓口が対応。待っている間に、明日からどうするか相談。ノワールを連れて行くかどうかだ。ルージュ曰く、ノワールを含めたら20階まではなんとかなるそうだ。なんせ、重かしね。それから開始時間も1時間早く繰り上げることになった。今まで最高戦力だからね。余裕を持ってボス部屋に何回か臨めるから、時間を繰り上げようと言うことになった。話が終わると、山風と金の虎の査定が終了。いくらか聞いたらいけないから離れる。ロッシュさんもファングさんも目を見開いていたけどね。晃太も戻ってきた。
「皆さん。1日ありがとうございました。明日からもお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします。」
「こんなに割合のいい依頼はそうない。出来るだけのことはする」
リーダーさん達頼もしい。
とにかく初日終了だ。
挨拶して別れようとしたら、キラキラ。
ん? 目の前に、キラキラ青い目。
あら、さっきまでリィマさんの隣におらんやったかね?
ちらり、と覗く、赤い舌。
あらあ、今朝のデジャブ。
『ダメよ、ユイが困るわ』
ルージュがアルスさんのパーカーの裾を咥えて止めて、硬直した私をシュタインさんが後ろに引き寄せてくれた。
は、いかん。キラキラ魔法で、麻痺しとった。しかもシュタインさん病み上がりなのに。
「す、すみませんシュタインさん」
「いいえ。だけどあいつ懲りないですね」
「アルスーッ」
「あんたって子はーッ」
ファングさんとリィマさんが真っ青になって怒ってる。
「すまないテイマーさん。あいつは日頃あんなこと絶対しないやつなんだ。よっぽどあんたが気に入ったみたいだ」
あら、未成年に気に入られる三十路女。週刊誌のネタみたいになってきたよ。やだあ、目だけ、太い横線入って掲載されそうだよ。
「ちゃんと言い聞かせておくから」
「まあ、本人悪気がないようですけど。私もいくら未成年とはいえ、ペロリは勘弁してください。変な世界に片足突っ込みそうになるので」
冷静に返したが、内心、はあはあ、犯罪者みたいな息づかいをしている。
腑に落ちないアルスさんを引きずり、金の虎の皆さんはペコペコしながら撤退。嵐のように去っていった。
「シュタインさん、もう大丈夫みたいですよ」
「あ、ああ、そうですね」
よっぽど心配したのか、シュタインさんは金の虎の皆さんの姿が見えなくなるまで、肩を抱いてくれていた。ありがたい。
山風の皆さんとも挨拶して、パーティーハウスに。
「クゥンクゥンクゥンクゥーン」
「花ちゃんさっき会ったやない」
「花ちゃん」
お腹出して尻尾パタパタしながら歓迎してくれる花。あはははん、かわいかあ。
仔達の歓迎を受けながら、パーティーハウスに入る。
「ねえ、お父さん」
「ん?」
居間のソファーに座って、ルリとクリスを撫でている父が顔を上げる。
「今日来たの、シュタインさんの具合見るためやろ?」
わざわざ、冷蔵庫ダンジョン前で待っていたのは、そうじゃないかと思っていたからだ。
「ばれたね。心配やったけんね。軽度の貧血くらいや、冒険者としても活動可能レベルやな」
「そうね、良かった」
なら、明日それとなく伝えるかね。
なんだか、大したことしてないのに、どっと疲れた1日やったなあ。
キラキラ青い目の魔法、まあ、今までの中でも強烈やったなあ。
あれ? なんかもう一つあったような……………思い出さないってことは、大したことないって事やね、うん。
2,330
お気に入りに追加
7,876
あなたにおすすめの小説

我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね
章槻雅希
ファンタジー
よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。
『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

押し付けられた仕事は致しません。
章槻雅希
ファンタジー
婚約者に自分の仕事を押し付けて遊びまくる王太子。王太子の婚約破棄茶番によって新たな婚約者となった大公令嬢はそれをきっぱり拒否する。『わたくしの仕事ではありませんので、お断りいたします』と。
書きたいことを書いたら、まとまりのない文章になってしまいました。勿体ない精神で投稿します。
『小説家になろう』『Pixiv』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。