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冒険者らしく②
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クラベルとの2週間の依頼も無事に終了した。
「皆さん、お世話になりました」
「こちらこそ。稼がせてもらった上に、毎日食事ありがとうございます。ケイコさんにくれぐれもよろしくお伝えください」
アーロンさん達とぺこり、して別れる。
次のスキルアップの依頼は、未定にしている。とにかく上層階に行かなくては。
母がパーティーハウスで開けっ放しにしているルームの中で、色々作ってくれている。マルシェである程度の買い物もしてくれているので、明後日から20階スタートになる。
3週間予定だ。
しばらく花とお別れなので、もふもふ。
出来るだけの準備をして、と。作りおきリストもチェック。
「お父さん、新しい孤児院の様子は?」
ちょうど冷蔵庫ダンジョンに行っている間に、引っ越しとなるから、父にお願いしている。
「順次必要な物の搬入はできとる。今のあの孤児院に比べられんくらいよかよ。明日は風呂の搬入と浄化の魔道具の設置やから、お父さんが立ち会い予定や」
「お願いねお父さん。もし、必要なのがあれば順次揃えて」
「ん」
「今回はハルスフォン様からの依頼があるんやから、しっかりせんといかんよ」
母が肉じゃがの染み具合をみながら、はっぱをかけてくる。
「わかっとう」
私達は必要物品や作りおき、残される両親と花の必要な物を確認し、冷蔵庫ダンジョンに挑むことになった。
『戦闘モード 風乙女(シルフィリア)』
ビアンカが蛇部屋に飛び込んでいく。
で、転がるドロップ品。
これで救われる人がおる、そう思うが、やっぱり直視はいやや。
バーザタイラントのドロップ品の目玉は目玉。だじゃれじゃないんよ、本当よ。革は加工すると湿気を吸収するので、乾燥剤に使われるそうだ。肉も食べられるらしいが、いらない。他にも詳しく説明してくれたけど、シャットアウトした。
「晃太、大丈夫ね」
「まあなぁ、ああ、蛇いやや」
あまり顔色のよくない晃太。支援魔法訓練の一環で、ボス部屋の魔物に色々デバフをかけるようにしている。もちろんビアンカとルージュがしっかりガードしてね。私は役に立たないので、外で待機。
『コウタの支援魔法スキルを上げないと、原始のダンジョンの場所を教えてもらえないわ。大丈夫よ、私とビアンカがいるんだから』
「わかっとうけど、これな、精神的なものやねん」
我が家はみな、蛇嫌い。
「姉ちゃんも、せんな」
「ははは、張り倒すよ」
2日かけて、蛇部屋をちゅどん、どかん、バキバキ。結局、私も戦闘した。晃太ばっかりにさせるのも気が引けたし、レベル上がれば、ルームのレベルも上がるし。実はルームのレベルがあれから上がらない。
私は奇声を発しながら、フライパンを振り回した。
「姉ちゃん頑張ってっ」
後方でビアンカの影に隠れた晃太がエールを飛ばす。
「張り倒すよっ、ギャーッ」
私は目を閉じてフライパンを振り下ろす。がつん、と手応えあり。
てってれってー。
【レベル63にアップしました】
もう、いやや。蛇、いやや。
それから21階に移動する。
よし、果樹がある。
こちらはハルスフォン様にお土産だ。果樹園を経営しているから、何本かね。ビアンカの魔法でちょちょいのちょい。果実を一つ植えて、と。試しに、日本産のリンゴや青リンゴも植えてみた。こちらのリンゴはちょっと硬いし酸味が強いからね。距離を開けて植える。よし。
後は薪の調達。神様に聞いたら、こちらは切り株状態にすれば、一週間で元に戻ると。ただし、私達がダンジョン内でちゅどん、どかん、していなければ、もっと時間がかかるそうだ。理由は、ボス部屋が主だ。ボス部屋で得られるドロップ品は、外で一体で得られる数や量に比べて半数以下。残りはダンジョンが吸収し栄養としている。つまり、ビアンカとルージュがちゅどん、どかんすればそれだけ栄養があり、木々の再生スピードが増すと。神様情報です。
さて、私がノコギリでどこからしようか悩んでいると。
『ユイ、どうしたのです?』
「んー、薪ば調達するために、伐ろうと思うんやけど、どっから刃ば入れようかってね」
『? えい、なのです』
スパン。
メリメリメリメリ。
ビアンカの鼻息で、そこそこの木が倒れていく。
『これでいいのですか?』
「………………うん、ありがとうビアンカ」
うちのビアンカさんの鼻息って、チェーンソー以上の威力なのね。
………………怖かあ。
余分な枝葉もあっという間に切り落としてくれたし、薪状態にまでしてもらった。魔法万歳。
ノコギリの出番はないようだ。
10本程薪にして、晃太のアイテムボックスに。
これで薪は大丈夫かな。
『ユイ、終わったのですか?』
「うんありがとうビアンカ」
『明日から、海フィールドよ。ユイ達もそろそろレベルを上げないといけないわ。せめてノワールとの差を埋めないと』
「あのね、ルージュさん。はあ、そうやね、そうせんとね。晃太、わかっとうよね」
「蛇やなければよか」
さあ、明日から海フィールドだ。
「皆さん、お世話になりました」
「こちらこそ。稼がせてもらった上に、毎日食事ありがとうございます。ケイコさんにくれぐれもよろしくお伝えください」
アーロンさん達とぺこり、して別れる。
次のスキルアップの依頼は、未定にしている。とにかく上層階に行かなくては。
母がパーティーハウスで開けっ放しにしているルームの中で、色々作ってくれている。マルシェである程度の買い物もしてくれているので、明後日から20階スタートになる。
3週間予定だ。
しばらく花とお別れなので、もふもふ。
出来るだけの準備をして、と。作りおきリストもチェック。
「お父さん、新しい孤児院の様子は?」
ちょうど冷蔵庫ダンジョンに行っている間に、引っ越しとなるから、父にお願いしている。
「順次必要な物の搬入はできとる。今のあの孤児院に比べられんくらいよかよ。明日は風呂の搬入と浄化の魔道具の設置やから、お父さんが立ち会い予定や」
「お願いねお父さん。もし、必要なのがあれば順次揃えて」
「ん」
「今回はハルスフォン様からの依頼があるんやから、しっかりせんといかんよ」
母が肉じゃがの染み具合をみながら、はっぱをかけてくる。
「わかっとう」
私達は必要物品や作りおき、残される両親と花の必要な物を確認し、冷蔵庫ダンジョンに挑むことになった。
『戦闘モード 風乙女(シルフィリア)』
ビアンカが蛇部屋に飛び込んでいく。
で、転がるドロップ品。
これで救われる人がおる、そう思うが、やっぱり直視はいやや。
バーザタイラントのドロップ品の目玉は目玉。だじゃれじゃないんよ、本当よ。革は加工すると湿気を吸収するので、乾燥剤に使われるそうだ。肉も食べられるらしいが、いらない。他にも詳しく説明してくれたけど、シャットアウトした。
「晃太、大丈夫ね」
「まあなぁ、ああ、蛇いやや」
あまり顔色のよくない晃太。支援魔法訓練の一環で、ボス部屋の魔物に色々デバフをかけるようにしている。もちろんビアンカとルージュがしっかりガードしてね。私は役に立たないので、外で待機。
『コウタの支援魔法スキルを上げないと、原始のダンジョンの場所を教えてもらえないわ。大丈夫よ、私とビアンカがいるんだから』
「わかっとうけど、これな、精神的なものやねん」
我が家はみな、蛇嫌い。
「姉ちゃんも、せんな」
「ははは、張り倒すよ」
2日かけて、蛇部屋をちゅどん、どかん、バキバキ。結局、私も戦闘した。晃太ばっかりにさせるのも気が引けたし、レベル上がれば、ルームのレベルも上がるし。実はルームのレベルがあれから上がらない。
私は奇声を発しながら、フライパンを振り回した。
「姉ちゃん頑張ってっ」
後方でビアンカの影に隠れた晃太がエールを飛ばす。
「張り倒すよっ、ギャーッ」
私は目を閉じてフライパンを振り下ろす。がつん、と手応えあり。
てってれってー。
【レベル63にアップしました】
もう、いやや。蛇、いやや。
それから21階に移動する。
よし、果樹がある。
こちらはハルスフォン様にお土産だ。果樹園を経営しているから、何本かね。ビアンカの魔法でちょちょいのちょい。果実を一つ植えて、と。試しに、日本産のリンゴや青リンゴも植えてみた。こちらのリンゴはちょっと硬いし酸味が強いからね。距離を開けて植える。よし。
後は薪の調達。神様に聞いたら、こちらは切り株状態にすれば、一週間で元に戻ると。ただし、私達がダンジョン内でちゅどん、どかん、していなければ、もっと時間がかかるそうだ。理由は、ボス部屋が主だ。ボス部屋で得られるドロップ品は、外で一体で得られる数や量に比べて半数以下。残りはダンジョンが吸収し栄養としている。つまり、ビアンカとルージュがちゅどん、どかんすればそれだけ栄養があり、木々の再生スピードが増すと。神様情報です。
さて、私がノコギリでどこからしようか悩んでいると。
『ユイ、どうしたのです?』
「んー、薪ば調達するために、伐ろうと思うんやけど、どっから刃ば入れようかってね」
『? えい、なのです』
スパン。
メリメリメリメリ。
ビアンカの鼻息で、そこそこの木が倒れていく。
『これでいいのですか?』
「………………うん、ありがとうビアンカ」
うちのビアンカさんの鼻息って、チェーンソー以上の威力なのね。
………………怖かあ。
余分な枝葉もあっという間に切り落としてくれたし、薪状態にまでしてもらった。魔法万歳。
ノコギリの出番はないようだ。
10本程薪にして、晃太のアイテムボックスに。
これで薪は大丈夫かな。
『ユイ、終わったのですか?』
「うんありがとうビアンカ」
『明日から、海フィールドよ。ユイ達もそろそろレベルを上げないといけないわ。せめてノワールとの差を埋めないと』
「あのね、ルージュさん。はあ、そうやね、そうせんとね。晃太、わかっとうよね」
「蛇やなければよか」
さあ、明日から海フィールドだ。
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