200 / 850
連載
冒険者らしく②
しおりを挟む
クラベルとの2週間の依頼も無事に終了した。
「皆さん、お世話になりました」
「こちらこそ。稼がせてもらった上に、毎日食事ありがとうございます。ケイコさんにくれぐれもよろしくお伝えください」
アーロンさん達とぺこり、して別れる。
次のスキルアップの依頼は、未定にしている。とにかく上層階に行かなくては。
母がパーティーハウスで開けっ放しにしているルームの中で、色々作ってくれている。マルシェである程度の買い物もしてくれているので、明後日から20階スタートになる。
3週間予定だ。
しばらく花とお別れなので、もふもふ。
出来るだけの準備をして、と。作りおきリストもチェック。
「お父さん、新しい孤児院の様子は?」
ちょうど冷蔵庫ダンジョンに行っている間に、引っ越しとなるから、父にお願いしている。
「順次必要な物の搬入はできとる。今のあの孤児院に比べられんくらいよかよ。明日は風呂の搬入と浄化の魔道具の設置やから、お父さんが立ち会い予定や」
「お願いねお父さん。もし、必要なのがあれば順次揃えて」
「ん」
「今回はハルスフォン様からの依頼があるんやから、しっかりせんといかんよ」
母が肉じゃがの染み具合をみながら、はっぱをかけてくる。
「わかっとう」
私達は必要物品や作りおき、残される両親と花の必要な物を確認し、冷蔵庫ダンジョンに挑むことになった。
『戦闘モード 風乙女(シルフィリア)』
ビアンカが蛇部屋に飛び込んでいく。
で、転がるドロップ品。
これで救われる人がおる、そう思うが、やっぱり直視はいやや。
バーザタイラントのドロップ品の目玉は目玉。だじゃれじゃないんよ、本当よ。革は加工すると湿気を吸収するので、乾燥剤に使われるそうだ。肉も食べられるらしいが、いらない。他にも詳しく説明してくれたけど、シャットアウトした。
「晃太、大丈夫ね」
「まあなぁ、ああ、蛇いやや」
あまり顔色のよくない晃太。支援魔法訓練の一環で、ボス部屋の魔物に色々デバフをかけるようにしている。もちろんビアンカとルージュがしっかりガードしてね。私は役に立たないので、外で待機。
『コウタの支援魔法スキルを上げないと、原始のダンジョンの場所を教えてもらえないわ。大丈夫よ、私とビアンカがいるんだから』
「わかっとうけど、これな、精神的なものやねん」
我が家はみな、蛇嫌い。
「姉ちゃんも、せんな」
「ははは、張り倒すよ」
2日かけて、蛇部屋をちゅどん、どかん、バキバキ。結局、私も戦闘した。晃太ばっかりにさせるのも気が引けたし、レベル上がれば、ルームのレベルも上がるし。実はルームのレベルがあれから上がらない。
私は奇声を発しながら、フライパンを振り回した。
「姉ちゃん頑張ってっ」
後方でビアンカの影に隠れた晃太がエールを飛ばす。
「張り倒すよっ、ギャーッ」
私は目を閉じてフライパンを振り下ろす。がつん、と手応えあり。
てってれってー。
【レベル63にアップしました】
もう、いやや。蛇、いやや。
それから21階に移動する。
よし、果樹がある。
こちらはハルスフォン様にお土産だ。果樹園を経営しているから、何本かね。ビアンカの魔法でちょちょいのちょい。果実を一つ植えて、と。試しに、日本産のリンゴや青リンゴも植えてみた。こちらのリンゴはちょっと硬いし酸味が強いからね。距離を開けて植える。よし。
後は薪の調達。神様に聞いたら、こちらは切り株状態にすれば、一週間で元に戻ると。ただし、私達がダンジョン内でちゅどん、どかん、していなければ、もっと時間がかかるそうだ。理由は、ボス部屋が主だ。ボス部屋で得られるドロップ品は、外で一体で得られる数や量に比べて半数以下。残りはダンジョンが吸収し栄養としている。つまり、ビアンカとルージュがちゅどん、どかんすればそれだけ栄養があり、木々の再生スピードが増すと。神様情報です。
さて、私がノコギリでどこからしようか悩んでいると。
『ユイ、どうしたのです?』
「んー、薪ば調達するために、伐ろうと思うんやけど、どっから刃ば入れようかってね」
『? えい、なのです』
スパン。
メリメリメリメリ。
ビアンカの鼻息で、そこそこの木が倒れていく。
『これでいいのですか?』
「………………うん、ありがとうビアンカ」
うちのビアンカさんの鼻息って、チェーンソー以上の威力なのね。
………………怖かあ。
余分な枝葉もあっという間に切り落としてくれたし、薪状態にまでしてもらった。魔法万歳。
ノコギリの出番はないようだ。
10本程薪にして、晃太のアイテムボックスに。
これで薪は大丈夫かな。
『ユイ、終わったのですか?』
「うんありがとうビアンカ」
『明日から、海フィールドよ。ユイ達もそろそろレベルを上げないといけないわ。せめてノワールとの差を埋めないと』
「あのね、ルージュさん。はあ、そうやね、そうせんとね。晃太、わかっとうよね」
「蛇やなければよか」
さあ、明日から海フィールドだ。
「皆さん、お世話になりました」
「こちらこそ。稼がせてもらった上に、毎日食事ありがとうございます。ケイコさんにくれぐれもよろしくお伝えください」
アーロンさん達とぺこり、して別れる。
次のスキルアップの依頼は、未定にしている。とにかく上層階に行かなくては。
母がパーティーハウスで開けっ放しにしているルームの中で、色々作ってくれている。マルシェである程度の買い物もしてくれているので、明後日から20階スタートになる。
3週間予定だ。
しばらく花とお別れなので、もふもふ。
出来るだけの準備をして、と。作りおきリストもチェック。
「お父さん、新しい孤児院の様子は?」
ちょうど冷蔵庫ダンジョンに行っている間に、引っ越しとなるから、父にお願いしている。
「順次必要な物の搬入はできとる。今のあの孤児院に比べられんくらいよかよ。明日は風呂の搬入と浄化の魔道具の設置やから、お父さんが立ち会い予定や」
「お願いねお父さん。もし、必要なのがあれば順次揃えて」
「ん」
「今回はハルスフォン様からの依頼があるんやから、しっかりせんといかんよ」
母が肉じゃがの染み具合をみながら、はっぱをかけてくる。
「わかっとう」
私達は必要物品や作りおき、残される両親と花の必要な物を確認し、冷蔵庫ダンジョンに挑むことになった。
『戦闘モード 風乙女(シルフィリア)』
ビアンカが蛇部屋に飛び込んでいく。
で、転がるドロップ品。
これで救われる人がおる、そう思うが、やっぱり直視はいやや。
バーザタイラントのドロップ品の目玉は目玉。だじゃれじゃないんよ、本当よ。革は加工すると湿気を吸収するので、乾燥剤に使われるそうだ。肉も食べられるらしいが、いらない。他にも詳しく説明してくれたけど、シャットアウトした。
「晃太、大丈夫ね」
「まあなぁ、ああ、蛇いやや」
あまり顔色のよくない晃太。支援魔法訓練の一環で、ボス部屋の魔物に色々デバフをかけるようにしている。もちろんビアンカとルージュがしっかりガードしてね。私は役に立たないので、外で待機。
『コウタの支援魔法スキルを上げないと、原始のダンジョンの場所を教えてもらえないわ。大丈夫よ、私とビアンカがいるんだから』
「わかっとうけど、これな、精神的なものやねん」
我が家はみな、蛇嫌い。
「姉ちゃんも、せんな」
「ははは、張り倒すよ」
2日かけて、蛇部屋をちゅどん、どかん、バキバキ。結局、私も戦闘した。晃太ばっかりにさせるのも気が引けたし、レベル上がれば、ルームのレベルも上がるし。実はルームのレベルがあれから上がらない。
私は奇声を発しながら、フライパンを振り回した。
「姉ちゃん頑張ってっ」
後方でビアンカの影に隠れた晃太がエールを飛ばす。
「張り倒すよっ、ギャーッ」
私は目を閉じてフライパンを振り下ろす。がつん、と手応えあり。
てってれってー。
【レベル63にアップしました】
もう、いやや。蛇、いやや。
それから21階に移動する。
よし、果樹がある。
こちらはハルスフォン様にお土産だ。果樹園を経営しているから、何本かね。ビアンカの魔法でちょちょいのちょい。果実を一つ植えて、と。試しに、日本産のリンゴや青リンゴも植えてみた。こちらのリンゴはちょっと硬いし酸味が強いからね。距離を開けて植える。よし。
後は薪の調達。神様に聞いたら、こちらは切り株状態にすれば、一週間で元に戻ると。ただし、私達がダンジョン内でちゅどん、どかん、していなければ、もっと時間がかかるそうだ。理由は、ボス部屋が主だ。ボス部屋で得られるドロップ品は、外で一体で得られる数や量に比べて半数以下。残りはダンジョンが吸収し栄養としている。つまり、ビアンカとルージュがちゅどん、どかんすればそれだけ栄養があり、木々の再生スピードが増すと。神様情報です。
さて、私がノコギリでどこからしようか悩んでいると。
『ユイ、どうしたのです?』
「んー、薪ば調達するために、伐ろうと思うんやけど、どっから刃ば入れようかってね」
『? えい、なのです』
スパン。
メリメリメリメリ。
ビアンカの鼻息で、そこそこの木が倒れていく。
『これでいいのですか?』
「………………うん、ありがとうビアンカ」
うちのビアンカさんの鼻息って、チェーンソー以上の威力なのね。
………………怖かあ。
余分な枝葉もあっという間に切り落としてくれたし、薪状態にまでしてもらった。魔法万歳。
ノコギリの出番はないようだ。
10本程薪にして、晃太のアイテムボックスに。
これで薪は大丈夫かな。
『ユイ、終わったのですか?』
「うんありがとうビアンカ」
『明日から、海フィールドよ。ユイ達もそろそろレベルを上げないといけないわ。せめてノワールとの差を埋めないと』
「あのね、ルージュさん。はあ、そうやね、そうせんとね。晃太、わかっとうよね」
「蛇やなければよか」
さあ、明日から海フィールドだ。
2,454
お気に入りに追加
7,876
あなたにおすすめの小説

我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜
言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。
しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。
それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。
「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」
破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。
気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。
「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。
「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」
学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス!
"悪役令嬢"、ここに爆誕!

いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

何でも奪っていく妹が森まで押しかけてきた ~今更私の言ったことを理解しても、もう遅い~
秋鷺 照
ファンタジー
「お姉さま、それちょうだい!」
妹のアリアにそう言われ奪われ続け、果ては婚約者まで奪われたロメリアは、首でも吊ろうかと思いながら森の奥深くへ歩いて行く。そうしてたどり着いてしまった森の深層には屋敷があった。
ロメリアは屋敷の主に見初められ、捕らえられてしまう。
どうやって逃げ出そう……悩んでいるところに、妹が押しかけてきた。

婚約破棄?それならこの国を返して頂きます
Ruhuna
ファンタジー
大陸の西側に位置するアルティマ王国
500年の時を経てその国は元の国へと返り咲くために時が動き出すーーー
根暗公爵の娘と、笑われていたマーガレット・ウィンザーは婚約者であるナラード・アルティマから婚約破棄されたことで反撃を開始した

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜
望月かれん
ファンタジー
中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。
戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。
暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。
疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。
なんと、ぬいぐるみが喋っていた。
しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。
天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。
※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。