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パーフェクトプラン③

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「やっぱり少なかなあ」
「仕方なかよ」
 3度目の20階ボス部屋。
 晃太が開けたが、私の時と同じ蛇。
「ボス部屋復活は1時間とプラス、3、15、8分。出てくる魔物は変わらず。数は5、7、8」
 簡単にまとめた内容だ。
 リストも製作。
 今回はドロップ品のすべて合わせたもの。それから毎回ボス部屋を開ける毎に作成し、その間隔も記入する、時系列のリストだ。
「階層も変化ないな」
 晃太が地図をチェック。
『ねえ、ユイ、つまらないのです』
『体をもっと動かしたいわ』
「ブヒヒヒンッ」
 ぶーぶー。
「はいはい。じゃあ、次はビアンカかルージュが開けてね。レベルの差が出るか確認せんとね」
 とたんに嬉しそうにビアンカとルージュが、そわそわし始める。
『分かったのです』
『どうするビアンカ?』
 楽しそうに話し出す。
 ボス部屋の復活時間を確認。1時間と5分。
『行くのです』
『私が開けるわ』
 ルンルンで動く2人。
 ノワールがブヒヒヒン、ブヒヒヒン。
 私と晃太は仔達とルームに避難する。
 ルージュがドアを片手で押し開ける、私と晃太が両手で踏ん張って押し開けたのに。
 ビアンカが風乙女(シルフィリア)で飛び込み、ルージュが光の貴婦人(リュミライトレディ)で続く。ノワールが続こうとしたが、風と光がボス部屋から噴き出して、後退り。
 その間にちゅどん、どかん、終了する。
『終わったのです』
『少しすっきりしたわ』
 上機嫌でとことこ出てくるビアンカとルージュ。
 相変わらずすごかね。
「ブルブルッ、ブルブルッ」
 ずるいずるいと言わんばかりに、脚を踏み鳴らすノワール。
「ノワール、仕方なかろう。2人とも大丈夫ね? 晃太お茶ば、休んどき」
『まだまだ大丈夫なのです』
『そうよ。今日は後3回くらい行けるわ』
「恐ろしい事言わんで。とにかくドロップ品拾うから、ちょっと休んどき」
『分かったのです』
『分かったわ』
 晃太がお茶を準備し、私はドロップ品を拾うためにボス部屋に。
 おびただしい数のドロップ品が転がる。
 やっぱりレベルの差かな? だけど私達とビアンカとルージュ達のレベルの差は、400以上あるから、中間的な数値のデータが欲しかなあ。
 考えながらドロップ品を拾う。目玉、直視しないしない。途中で晃太が参加してドロップ品を拾う。最後に出てきた宝箱、罠はない。大粒の真珠のイヤリングと、同じデザインのペンダントだ。小粒のダイヤモンドも散りばめられている。
「さて、晃太、数は?」
「目玉が59、革が34、肉が40、魔石が88」
「レベルの差が出たね」
「そやな」
「私達のレベルの差が有りすぎて、あんまり参考にならんね。レベルが500の人なんてそうおらんやろうしね」
「なら…………ノワールに開けさせたら?」
 リストを記入しながら、顔を上げる。
「ノワールに?」
「そう。ノワールのレベル、確か親父が調べたら、138やったはずや」
 そうやった。軍隊ダンジョンで派手に飛ばしていたからね。父に鑑定してもらっていたが、ノワールにボス部屋の扉を開けさせるか。出きるかな?
「うーん、ノワールば説得してみるかね」
 ボス部屋を出て、水を飲んでいるノワールに声をかける。
「ノワール」
「ブヒヒン」
「ねえノワール、あんたボス部屋のドア、開けれる?」
 答えるように、脚を踏み鳴らすノワール。
「ビアンカ、ルージュ、ノワールはなんて言いようか分かる?」
『やってみたい、って言っているのです』
『させて欲しいって』
「そうね。ねえ、次のボス部屋復活したらノワールに開けて欲しいんよ。ノワールに指導してくれる?」
『いいのです』
『分かったわ、ノワール、いらっしゃい』
「ブヒヒン」
 それからビアンカとルージュによる、講座が始まる。ノワールも真面目に聞いている。
 それからボス部屋が復活するまでの時間、ルームで夕御飯の準備や、仔達のおやつを上げる。今日の夕御飯は母が作ったひじき、カレイの煮付け、卵いりの油揚げの煮付けだ。ビアンカとルージュにも同じものだが、足りないのでマルシェで買ったカンパーニュで、ハムとレタスとトマトのサンドイッチを作る。ノワールのご飯もオッケー。
「姉ちゃん。ボス部屋復活したよ」
「そうみたいやね。時間は1時間と20分ね」
 時計を確認。
 指導されヤル気満々のノワール。
「大丈夫かね?」
『大丈夫なのです』
『そうよ、私達が付いているわ』
「頼むよ」
 ノワールが、まず扉の前に立つ。
「アップッ」
 晃太がノワールに支援。
「ブヒヒーンッ」
 後ろ足でたち、前肢で空を切る。そのままの勢いで前肢で扉を叩きつけるようにして、勢いよく開ける。
  バダンッ
 開いたと同時にビアンカとルージュが飛び込んでいく。
 晃太の支援を受けて、ノワールも続こうとしたが、あっという間に終わってしまう。
「ブルブルッ」
 地団駄を踏むノワール。
 たぶん、自分も戦いたかったのに、じゃない?
『ごめんなのです』
『思ったより、数がいなかったから、すぐに終わってしまったの』
「ノワール、ほら、次ね次」
 ブルブル、ブルブルと不満げなノワールを宥める。
「とにかくドロップ品を拾ってくるからね。今日はこれでおしまいよ、夕御飯にしようね」
『まだ、行けるのですが、お腹が減ったのです』
『そうね、腹拵えね』
「おしまいよって言ったよね?」
 突っ込み、突っ込み。
 ボス部屋を覗くと、散らばるドロップ品。確かに私や晃太が開けた時に比べて多い。最後に出てきた宝箱。罠はなし、中級ポーション2本、魔力回復ポーション、解毒ポーション、現金20万。
 時空神様が言っていたなあ、ボス部屋の魔物の数はレベルで変わると。それはレベル100毎が多いって。
「さて、晃太、数は?」
「目玉が10、革が6、肉が4、魔石が11」
「約2倍やな。後何回かノワールに開けてもらって確認やね。さ、ご飯にしようか」
「そやな」
 リストに加えて、ボス部屋を出る。
 ルームを開けて、入りブラッシングにお乳、補助食、夕御飯を済ませる。その間にボス部屋復活、時間のチェックと。
 後片付けしつつ、休憩してお風呂の準備。
『ユイ、ユイ』
『ボス部屋に行きたいわ』
「ブヒヒン、ブヒヒーンッ」
「おしまいよって、言ったやん」
 でも、きゅるん、きゅるん、きゅるん、されて意志の弱い飼い主は陥落。
 ボス部屋をちゅどん、どかん、晃太とドロップ品を拾って回った。
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