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エリクサー⑥
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現在、ユリアレーナ王国の王子様は4人。
第2側室カトリーナ様の一人息子、第1王子ジークフリード様。
第1側室エレオノーラ様には、第2王子ゲオルグ様、第3王子ローラント様、第4王子エアハルト様。
第1王位継承権はフェリアレーナ様だけど、セザール様と結婚したら、自然消滅。王子様達が1つずつ繰り上がりになる。
で、その王子様達には、婚約者がいないそうで。
原因はガーガリア妃だ。
いろいろあって、婚約できていないそうで。
ただ、今年22歳のジークフリード王子様と、19歳のゲオルグ王子様には、ほぼ正室に内定しているご令嬢がいる。
ここまではワルド君が説明。
「ただ、フェリアレーナ様の時のように、ご破談になる可能性があるんですよ」
ハーフエルフのコロンフルさんが追加で説明。
「ああ、最初の婚約は白紙になったって」
リティアさんの話を思い出す。
「そうです。だから、ジークフリード王子とゲオルグ王子もご破談になる可能性があり、未だに候補に名を上げようとする者達が混戦しているんです」
特に王座に近いジークフリード様とゲオルグ様の正室候補にと、爵位のある人達が、自分の娘や身内をあの手この手を使いアピール。
表はきらびやかだが、裏はどろどろのどろんどろんのお妃レース。
うわあ。
「それにラーバフ伯爵は、フェリアレーナ様を自分の息子と結婚させる事が出来なかった。あの膿のせいで。初めのフェリアレーナ様の婚約相手はカルーラの辺境伯の嫡男だったんです。その婚約がご破談、なら、自分の息子を婚約者にって画策したけど、結果、膿のせいでハルスフォン伯爵にってことになり、相当煮え湯を飲まされたようですよ」
ここで言う膿って言うのは、ガーガリア妃の事。
貴族の世界とか、王族の世界とかよく分からないけど、お世継ぎ的なのはいいのかね? よく分からん。
しかし、コロンフルさん、よく知ってるなあ。綺麗な顔して女はこの手の話は、好きなんです、と。
ふ、ふーん。
「だからフェリアレーナ様がダメならどちらかの王子の妃にって事で、3人の娘に、かなりの額を注ぎ込んでいるんです」
ワルド君が興味のない顔で続ける。
ちなみにローラント王子は10歳、エアハルト王子は8歳の為、このお妃レースには関係ないが、いずれこの幼い王子達を巡って似たような状況になるはずと。
現在、3人のラーバフ伯爵の娘は首都サエーキにいて、最高の英才教育を受けているそうだ。もちろん身の回りの物も、最高級の物で囲み、豪華なお茶会や夜会を開催。他の婚約者候補開催のお茶会や夜会にも積極的に出ている。そうなれば衣装や装飾品にお金がかかる。見くびられないように、と。他にも根回しやらなんなら、いろいろお金がかかるそうで。
よお、分からん、貴族の世界。
その3人の娘さん達は、そこまでして、王子が好きなのかね? まあ、好きなら頑張りんしゃい。親でもあるラーバフ伯爵も、そんな娘さんを応援しているだけだろう。
「そのせいで、孤児院の予算が削られているんです。街の壁の修繕や、他の予算もです」
「それって、いいの?」
肩を竦めるワルド君。
「よくはないですね。ラーバフ伯爵の妹がかなり注意して、なんとか遣り繰りしてるようですよ」
「そう」
その妹さん、苦労しているね。
『ユイ、ユイ、お腹空いたのです』
『帰りましょう。コハク達が心配だわ』
「ああ、ごめん。皆さん、私達これで」
「引き留めて申し訳ないな。テイマーさん、お気をつけて、ああ、この2体の従魔がいるから心配ありませんな」
はははと笑うダルダールさん。だが、気にかけてくれるのは嬉しい。
挨拶して別れる。
「ねえ、ビアンカ、ルージュ。あの孤児院に寄付ばしたいけどよか?」
『? お金を渡すのですか?』
『人が生きていくには、お金がいるんだったわね』
「そう、それが、あそこにはそのお金が少なくて、子供達がお腹を空かせているんよ」
『ユイの考えなら構わないのです』
『そうね。いくらやんちゃでも、小さな子がひもじい思いをしているなら、かわいそうだわ。お金で解決できるなら、別に構わないわ』
『そうなのです。ひもじいのは、見ていると切ないのです』
「ありがとう2人とも」
本当にありがたい。
2人をこんな風に育ててくれた、フォレストガーディアンウルフのお母さん、感謝します。
ダンジョンドロップ品の、ギルド買い取り日まで、私はもへじ生活やぺんたごん、ディレックスを往復する。
あの後、晃太にお妃レースの件、寄付の件を説明する。
なら、今、必要そうな物も添えようと言うことに。
靴や服、下着、靴下、タオル、文房具。ナチュラルコットンの生地。赤ちゃんの哺乳瓶、粉ミルク。あ、自然素材の石鹸もあるから、それも追加。思い付く限りのものを揃える。
ヘルプに来てくれた母もタグを外したり、シチューを作ってくれた。私は異世界への扉に通い過ぎてダウン。花とヒスイのペロペロ攻撃を受けながら、魔力回復をまつ。嬉しいのだが、窒息しそう。うつ伏せになれば、元気とコハクが踏み越えるし、結局母の寝室に避難した。だけど、ヒスイがドアをバリバリして、ドアにキズが入る。もう、と思いながらドアを開けると、ヒスイがすり寄って来たので、全てを許します。あははははん、かわいかあ。中庭で遊んでいたルリとクリスまで来たので、もふもふ、すべすべに囲まれて休んだ。極楽や。クリスのお尻が微妙に私の顔にのる。あはははん、窒息しそう。まあ、よかか。
第2側室カトリーナ様の一人息子、第1王子ジークフリード様。
第1側室エレオノーラ様には、第2王子ゲオルグ様、第3王子ローラント様、第4王子エアハルト様。
第1王位継承権はフェリアレーナ様だけど、セザール様と結婚したら、自然消滅。王子様達が1つずつ繰り上がりになる。
で、その王子様達には、婚約者がいないそうで。
原因はガーガリア妃だ。
いろいろあって、婚約できていないそうで。
ただ、今年22歳のジークフリード王子様と、19歳のゲオルグ王子様には、ほぼ正室に内定しているご令嬢がいる。
ここまではワルド君が説明。
「ただ、フェリアレーナ様の時のように、ご破談になる可能性があるんですよ」
ハーフエルフのコロンフルさんが追加で説明。
「ああ、最初の婚約は白紙になったって」
リティアさんの話を思い出す。
「そうです。だから、ジークフリード王子とゲオルグ王子もご破談になる可能性があり、未だに候補に名を上げようとする者達が混戦しているんです」
特に王座に近いジークフリード様とゲオルグ様の正室候補にと、爵位のある人達が、自分の娘や身内をあの手この手を使いアピール。
表はきらびやかだが、裏はどろどろのどろんどろんのお妃レース。
うわあ。
「それにラーバフ伯爵は、フェリアレーナ様を自分の息子と結婚させる事が出来なかった。あの膿のせいで。初めのフェリアレーナ様の婚約相手はカルーラの辺境伯の嫡男だったんです。その婚約がご破談、なら、自分の息子を婚約者にって画策したけど、結果、膿のせいでハルスフォン伯爵にってことになり、相当煮え湯を飲まされたようですよ」
ここで言う膿って言うのは、ガーガリア妃の事。
貴族の世界とか、王族の世界とかよく分からないけど、お世継ぎ的なのはいいのかね? よく分からん。
しかし、コロンフルさん、よく知ってるなあ。綺麗な顔して女はこの手の話は、好きなんです、と。
ふ、ふーん。
「だからフェリアレーナ様がダメならどちらかの王子の妃にって事で、3人の娘に、かなりの額を注ぎ込んでいるんです」
ワルド君が興味のない顔で続ける。
ちなみにローラント王子は10歳、エアハルト王子は8歳の為、このお妃レースには関係ないが、いずれこの幼い王子達を巡って似たような状況になるはずと。
現在、3人のラーバフ伯爵の娘は首都サエーキにいて、最高の英才教育を受けているそうだ。もちろん身の回りの物も、最高級の物で囲み、豪華なお茶会や夜会を開催。他の婚約者候補開催のお茶会や夜会にも積極的に出ている。そうなれば衣装や装飾品にお金がかかる。見くびられないように、と。他にも根回しやらなんなら、いろいろお金がかかるそうで。
よお、分からん、貴族の世界。
その3人の娘さん達は、そこまでして、王子が好きなのかね? まあ、好きなら頑張りんしゃい。親でもあるラーバフ伯爵も、そんな娘さんを応援しているだけだろう。
「そのせいで、孤児院の予算が削られているんです。街の壁の修繕や、他の予算もです」
「それって、いいの?」
肩を竦めるワルド君。
「よくはないですね。ラーバフ伯爵の妹がかなり注意して、なんとか遣り繰りしてるようですよ」
「そう」
その妹さん、苦労しているね。
『ユイ、ユイ、お腹空いたのです』
『帰りましょう。コハク達が心配だわ』
「ああ、ごめん。皆さん、私達これで」
「引き留めて申し訳ないな。テイマーさん、お気をつけて、ああ、この2体の従魔がいるから心配ありませんな」
はははと笑うダルダールさん。だが、気にかけてくれるのは嬉しい。
挨拶して別れる。
「ねえ、ビアンカ、ルージュ。あの孤児院に寄付ばしたいけどよか?」
『? お金を渡すのですか?』
『人が生きていくには、お金がいるんだったわね』
「そう、それが、あそこにはそのお金が少なくて、子供達がお腹を空かせているんよ」
『ユイの考えなら構わないのです』
『そうね。いくらやんちゃでも、小さな子がひもじい思いをしているなら、かわいそうだわ。お金で解決できるなら、別に構わないわ』
『そうなのです。ひもじいのは、見ていると切ないのです』
「ありがとう2人とも」
本当にありがたい。
2人をこんな風に育ててくれた、フォレストガーディアンウルフのお母さん、感謝します。
ダンジョンドロップ品の、ギルド買い取り日まで、私はもへじ生活やぺんたごん、ディレックスを往復する。
あの後、晃太にお妃レースの件、寄付の件を説明する。
なら、今、必要そうな物も添えようと言うことに。
靴や服、下着、靴下、タオル、文房具。ナチュラルコットンの生地。赤ちゃんの哺乳瓶、粉ミルク。あ、自然素材の石鹸もあるから、それも追加。思い付く限りのものを揃える。
ヘルプに来てくれた母もタグを外したり、シチューを作ってくれた。私は異世界への扉に通い過ぎてダウン。花とヒスイのペロペロ攻撃を受けながら、魔力回復をまつ。嬉しいのだが、窒息しそう。うつ伏せになれば、元気とコハクが踏み越えるし、結局母の寝室に避難した。だけど、ヒスイがドアをバリバリして、ドアにキズが入る。もう、と思いながらドアを開けると、ヒスイがすり寄って来たので、全てを許します。あははははん、かわいかあ。中庭で遊んでいたルリとクリスまで来たので、もふもふ、すべすべに囲まれて休んだ。極楽や。クリスのお尻が微妙に私の顔にのる。あはははん、窒息しそう。まあ、よかか。
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