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行動計画⑤

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 2回目のドロップ品の納品もすみ、数日経過。
 カートとバギーが出来上がった。
 カートはスーパーとかにあるやつの木製で、足回りがちょっとがっちり。動かすも、問題なし。父設計のキャスターの動きも悪くない。このキャスターには稼働するのに、接続部にシーサーペントの骨が使用されている。こちらでいうプラスチックやシリコンだ。これがなければキャスターの劣化が早い。しかもこのシーサーペントの骨、加工にこつがあるが、それさえすれば衝撃や熱や冷気に強く、軽くて丈夫で優秀。今回のちゅどん、どかん、でずいぶん拾ったから、しばらく大丈夫だろう。
 で、バギーが圧巻。
 スタイルは店で見た卵型の籠が乗った、4輪のバギーだが、ガタイのいい仕上がりになっている。ただ、その卵型の籠がデカイ。私が膝を抱えて入っても、余裕を持って入れるサイズだよ。
「籠は丈夫さと寝心地を追及しました。重さにも耐えられるように3重構造になっております。仮令(たとえ)ウルフの仔が倍の体重になってもゆったり支えられます」
 ヘラフィさんがやりきった感で説明してくれる。
「足回りも、キャスターは大型を使用しましたが、稼働には問題はないかと。かなりの重量を支えられます」
「ありがとうございます」
 試しに、誰か乗っけようか、と思案した瞬間。
 元気がバギーの足をかみかみ。キズが入る。
 まだ、支払ってないのにっ。
 まあ購入はするけどさ。ヘラフィさんは気がつかずニコニコだ。
 ヘラフィさんに断り、試運転。まず、準備していたブランケットを敷く。ビアンカとルージュに一晩体の下に敷いてもらって匂いをつけている。これなら元気やコハクも安心して眠れるはず。
「さて、誰が乗るかね」
 興味津々の仔達から厳選。レディーファーストになった。
「ルリ、クリス、ヒスイ。新しいバギーだよん」
『乗ってみるのです』
『大丈夫よ、私が見てるわ』
 よいしょっと、まずヒスイを抱える。声をかけながら卵型の籠に。初めは出たそうな顔をしたが、直ぐに匂いを嗅ぎ出す。ルリは父がクリスは晃太が籠に。3匹入ったけど、大丈夫みたい。まだ余裕がある。ルリとクリスは直ぐに慣れたのか、尻尾振ってる。
「おやおや可愛いですねえ」
「そうですね」
 人前だから、パシャパシャできない。
 少し押して歩くも、問題なし。
 問題は元気とコハクだ。乗せたはいいが、直ぐに飛び降りてしまう。でも、元気とコハクもゆっくり寝れるようなサイズ。寝てしまえば中で寝るでしょう。
「ありがとうございます。おいくらになります?」
「はい、カートと籠代は頂いております。乳母車が50万になります」
 籠が特注中の特注で、これだけで20万。後は骨組みやキャスター、付与だ。
 支払う為にお店に入る。
「本当にミズサワさんには感謝です。キャスターの制作を一任して頂いて」
 あら、そうなん?
 父がキャスターの特許のアドバイスをしてくれたからと、こちらの工房で制作をお願いしたそうだ。キャスターは好評で制作が追いつかないそうだ。
 支払いを済ませ、店を出る。
「あ、姉ちゃん、これどうする?」
 外で待っていた晃太が困った顔。
「ふぁんっふぁんっ」
「くんくんっ」
「みぁあみぁあ」
 バギーの籠の中で、嬉しそうな顔で尻尾を振ってるルリ、クリス、ヒスイ。まあ、かわいかあっ。
「降りんのよ」
 困った顔だが、口が尖っている晃太。
「そうね。気にいったんやね」
 かわいかなあ。
「このまま帰ろかね」
 晃太がバギーを押して帰る。
 帰る途中で、買い物途中のフィナさんとダイアナちゃんとばったり遭遇。
「あ、お姉ちゃんっ」
「ダイアナちゃん」
 ぱっ、と走って来たダイアナちゃん。私がしゃがむと、抱きついてきた。ああ、可愛い、思い出す可愛い従姉妹の娘。
「お姉ちゃん、どうしておうちに来てくれないの?」
「ごめんね」
「こら、ダイアナ。申し訳ありませんミズサワさん」
「いいえ、ダイアナちゃん、すっかり元気になりましたね」
「わんっ」
「あんたやないったい」
「すべて、ミズサワさんのお陰です」
 フィナさんが穏やかな顔だ。
「無事に半成人を迎えられます。本当にありがとうございます」
 こちらの七五三だね。
「それはいつですか?」
「来年の春です」
「そうですか。私達もダイアナちゃんの晴れ姿見れます?」
「もちろんです。ぜひ、いらしてください」
 よし。スカイランからいつ帰るか計画を立てよう。
 ダイアナちゃんはビアンカとルージュを撫でた後、バギーに乗ったルリとクリス、ヒスイに手を伸ばしている。
「こら、ダイアナ」
 バギーによじ登ろうとするダイアナちゃんを、フィナさんが引き離す。元気とコハクがダイアナちゃんをペロペロ。
 フィナさんと軽く会話して、スカイランの話が出る。
「えー、お姉ちゃん、どっか行っちゃうの?」
「こらダイアナ」
「ダイアナちゃんの半成人には帰って来るよ」
「本当?」
「うん」
 フィナさんとダイアナちゃんと別れ、パーティーハウスへ。
 途中でバギーは注目の的だった。
 概ね可愛いだが。バギーのサイズが大きいから、余計に注目の的だ。
 じろじろ見られたが、トラブルなくパーティーハウスに到着。
 思う存分パシャパシャ。
「よかやん」
 母も満足そうだ。パーティーハウスの周りを母も押してみたが、問題なし。花も興味津々だが、乗せようとしたが、ギリギリで嫌がる。多分、ビアンカとルージュの匂いがしっかりついてるからかな。動物病院に行く時のキャリーバッグには、嬉しそうに入るけどね。
 ただ、問題はルリとクリスとヒスイが、バギーから降りようとしない。
「くうん、くうん」
「ふんふん」
「にぁー、にぁー」
 バギーから下ろすと、バギーの足にすがり付いている。尻尾をぷりぷり振ってる。仕方なく晃太がアイテムボックスに仕舞うと、今度は晃太にすがり付いている。
 あはははん、かわいか。すがり付かれている晃太は、口が尖る尖る。
 バギーとカートも出来たし、そろそろ移動開始かな。
 お昼を食べながら、色々話す。
 本日は全員、さくら庵の和風ハンバーグ定食にした。
 ビアンカとルージュも和風ハンバーグ定食、ジョイップのカツ丼をたらふく食べる。
「いつ、いくん?」
 晃太が小鉢の白和えを食べながら聞いてくる。
「そうやね。元気とコハクのスライム部屋が終わって直ぐに行こうかね。サブ・ドアがあるけん、心配せんでよかしね。あ、サブ・ドアを開ける時間決めとく?」
「そうやね。あまり遅いと花が起きると困るしね」
 話して18~20時の間となる。
「明日、スライム部屋で、明後日出発でよか? アルブレン経由でよか?」
 カツ丼を食べているビアンカとルージュに振り返る。
『問題ないのです』
『大丈夫よ』
「よし、なら、決定や。昼からギルドに行って報告やね」
 私は赤だしの味噌汁を飲みきった。
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