もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

文字の大きさ
上 下
110 / 851
連載

新しい扉⑥

しおりを挟む
「姉ちゃん」
「なんね?」
「ドロップ品の数が、今までに増しておかしいばい」
「そうね」
 ビアンカの氷属性魔法覚醒した次の日、22階に移動した。
 あれからルージュも、レベル500になりたいと、鼻息荒い。まあ、いいけどさ。
 新しくできたルームのサブ・ドアは、いろいろ調べた結果、ルーム以外のドアと通じることが出来、その登録はスキル保持者の私にしかできない。例えば、今借りているパーティーハウスのドアのどれかを登録すれば、離れた場所からでもルームを介して繋がっていられる。登録・解除するにはHPがそれぞれ5万必要。
 ラッキー、これならダンジョンに潜っても、毎日花を撫でに帰れる、と思ったが、晃太が待ったをかけた。
「これは慎重に繋がる場所を選ばんといかんよ。質の悪い連中に知られたら、犯罪とかに使われるかもしれん」
「そ、そうやな」
 サスペンスで見るアリバイってやつに利用されたら大変だ。後は密輸とか。
 晃太が冷静で良かった。ルームというスキル自体、知られるとまずいけどね。
 一旦帰ってどうするか、家族会議となる。
『ユイ、ボス部屋が復活したのです』
 ビアンカが尻尾を振ってくる。
「はいはい、晃太、行くばい」
「ん」
 只今、貝部屋の前だ。
 リティアさんが、貝の粉の需要があるって言ってたしね。貝柱、美味しいし。
 ビアンカが開け、ルージュが光の貴婦人(リュミライトレディ)で飛び込む。ビアンカが開けたので、一歩遅れてビアンカも続く。
 ちゅどん、どかん。はい、終了。
 晃太にお茶を出してもらい、私はドロップ品を拾う。凄か数。
 しれっと貝柱を食べているが、よか、たくさんあるしね。
 最後に出てきた宝箱。
 ルージュにチェックしてもらい開ける。
 出てきたのは革のポーチだ。2つ。え? ポーチ? 本当に化粧ポーチサイズだけど。中を開けると、真っ暗だ。なんだか、底がない。晃太のアイテムボックスに入れると、マジックバッグと表示が出たと。あれだ、見た目の容量以上に入るバッグのことだ。どれくらいのサイズか不明だが、どうしようかと悩む。
『それがあったら便利なのです』
『そうね、狩った獲物を入れられるし、わざわざ咥えて運ばなくてもいいわね』
 ビアンカとルージュが嬉しそうだが、何を入れてくるか、逆に不安だ。蛇とかね、蛇ね、蛇とかよ。
「でもさ、ほら、パーティーハウスば借りんといかんしね。点数稼ぎでギルドに回した方が………」
『なら、また出るまでボス部屋行くのです』
『そうね』
 やっぱりそうなりますか。
 結局、ちゅどん、どかんしたが、その日はマジックバッグは出なかった。
 ぶー、となる2人を宥める。
 超特大カレーライスで、ご機嫌になったけどね。
 口元をぺろりして、おかわり言ってきた。
『動いたから、まだ食べたいのです』
『おかわりほしいわ』
「はいはい」
 晃太と手分けしてカレーライスを盛る。
「わいのおかわりの分とっといて」
「はいはい」
 明日も食べたいとリクエストあったので、私は夕食後、せっせと下拵えに入った。あ、明日神様にも作ろう。あの三柱神様が揃ってカレーライスを食べている姿を想像し、私はほこほこした気分で野菜を切った。

 ルームの中庭で走り回る、かわいか5匹の仔達。
 そろそろ元気のスライム部屋効果が切れそうなので、念のため中庭で過ごしている。飛び出しから、前回みたいに亀の前とかにいそうだから。
 かわいかなあ、でも、最近ちょっと狭く感じる様になった中庭。ただ、元気達が大きくなっているだけだろうけど。拡張したくても、そういったオプションがないし、ルームのレベルが上がれば、出来るかも知れないけど。そうなると、私が戦闘しなくてはならなくなる。出来れば避けたい。
「にゃあ、にゃあ」
「ん? なんねヒスイ、抱っこね?」
 膝に乗り上がるヒスイ。重かあ。まあ、かわいかけん、よか。しばらく膝にヒスイを抱っこしていると、おねむモードに。まあ、天候穏やかだし、このままいいかな、と思っていたらビアンカがルームから顔を出す。
『ユイ、そろそろ行くのです』
 ジョイップのランチをたらふく食べて、お昼寝していたビアンカとルージュが、起きてきた。
「もうよかと?」
『大丈夫よ、さあ、行きましょう』
 ヤル気満々のビアンカとルージュを連れられて、23階のボス部屋に。是非にコラーゲンたっぷりのサプリメントが欲しいしね。ぐふふ。念のため、晃太にルームに残ってもらう。
 軽く運動と言って、駆けているビアンカとルージュ。あちこちでセイレーンが落ちている。軽く運動なんだけど。せっせとドロップ品を拾う。
『体が温まったのです』
『さ、行きましょう』
 ストレッチしたから、ジョギングしましょうみたいな会話だよ。
 ボス部屋はビアンカが開け、ルージュが火炎姫(フレアジャンヌ)でまず炎の塊をボス部屋に放つ。それから飛び込み、ビアンカが援護の為に飛び込む。はい、終了。
 晃太を呼んで、ドロップ品を拾う。
「姉ちゃん、上の階にはいつ行くと?」
「そやなあ」
 明日が最終日だ。
 フカヒレに見向きもしないビアンカとルージュと相談し、今日に24階に上がりルームを開ける。
 で、次の日、24階のシーサーペント部屋をちゅどん、どかん。せっせとドロップ品を拾う。最後に出てきた宝箱をルージュにチェックしてもらう。
『大丈夫よ』
「ありがとうルージュ、さて、開けましょう」
 私が開けると、ポーションが1本のみ。せこ、と思ったが、晃太のアイテムボックスに入れると、中級エリクサーと出た。
「ファンタジーや」
「ファンタジーやな」
 私と晃太は実感が湧かないけどそう言って、中級エリクサーを晃太のアイテムボックスに。これは本当の緊急時に使おう。
 晃太がリストを書き上げて、最終確認。
「さあ、帰ろうかね」
 出てきた脱出用魔法陣に全員で乗る。
『いい? じゃあ、流すわよ』
 ルージュが魔力を流し、景色が変わる。
 10日ぶりだ。
 今日はゆっくりしよう。
 あ、まず、ギルドかな? そうだね、リティアさん、待ってるかも。パーティーハウスの件もあるし。
 なんて思っていると、リティアさんがスマイル浮かべてすっ飛んできた。何故かタージェルさんも。
「お帰りなさいませ、ミズサワ様」
「お疲れのところ申し訳ないのですが、ギルドまでご足労お願いできませんか?」
 分かっていますよ、ドロップ品だよね。
 断る訳には行かない、パーティーハウスの件があるからね。
 私達はリティアさんとタージェルさんの誘導で、ギルドに向かった。
しおりを挟む
感想 672

あなたにおすすめの小説

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜

言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。 しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。 それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。 「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」 破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。 気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。 「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。 「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」 学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス! "悪役令嬢"、ここに爆誕!

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。