96 / 850
連載
乗り越えよう②
しおりを挟む
次の日。暑いなかノワール爆走。
ビアンカの魔法で、多少温度はいい。
爆走しているノワールを見ながら、本日の担当ロッシュさんとシュタインさんとおしゃべりしながら過ごす。
「こんなに暑いのに鎧とか着て、汗疹とか大丈夫なんですか?」
ロッシュさんは金属と革の鎧、シュタインさんは革の鎧だ。暑くないのだろうか?
「大丈夫ですよ。下のシャツに一時付与してますから」
一時付与は、私達の馬車とは違い短期間しか効果がない付与。比較的簡単にでき、安価だそうだ。職人ギルドに頼めばでき、今の時期、冷却効果や熱吸収の付与をしていると。なるほど、向こうにもそんな肌着あった。
「一時付与は比較的簡単ですからね。スライムのコアと水魔法か生活魔法の冷却さえ使えれば出来ますよ。パーティーによっては自分達でしてたりしますよ。うちはラーヴが使えますから」
「いいこと聞きました」
花や元気達のバンダナに、冷却か熱吸収を付与してもらおう。母が冷却の生活魔法使えたはず。
「でも、今暑いですからギルドの確保しているスライムのコアが少ないはず。コアを持参した方がいいですよ」
「そうなんですね。ねえ、ビアンカ、ルージュ、スライムその辺におらん?」
『いないのです』
『そうね。スライムなんて私達に近づいて来ないわよ』
「デスヨネ」
最近ビアンカからダンジョンビームが来る。冷蔵庫ダンジョンに潜ったり、あのドラゴン倒したりしてレベルアップして、もうすぐ500になると。魔物は上位魔物や格上相手に挑まない。一般人でも倒せるスライムが、うちのビアンカとルージュに挑めないだろう。
………………怖かあ。我ながら恐ろしい魔物を従魔にしたなあ。毎日のケーキを喜んで食べる姿がかわいかけん、よかか。
「スライムなら、冷蔵庫ダンジョンの一階にいますよ。初心者達が小遣い稼ぎで、ボス部屋のスライムのコア狙いますから」
と、シュタインさん情報。
「一階のボス部屋には、スライムたしか、10匹でたかな? コアは全部のスライムがドロップしませんが、2個くらい出ますよ」
「なるほど、ビアンカ、ルージュ、大丈夫ね?」
『スライムごとき、なんともないのです』
『そうよ』
「コアごと粉砕しそうやけんね。力加減ばね頼むばい」
『ああ』
『そういうこと。なら、ダンジョンに行くの?』
「明日はギルドでいろいろあるけんね。ダンジョン行くにも準備して行かんと」
そう言うと、ビアンカが考え込む。
「どうしたん?」
『ねえユイ、スライムのボス部屋に行くのですよね?』
「そやね」
あ、私がボス部屋開けないと、ビアンカとルージュが開けたら桁違うからね。
『元気にボス部屋を任せたいのです』
「生後3ヶ月になんばいいようと?」
最近5匹のなかで一際大きくすくすく育っている元気。サイズはすでに秋田犬だ。顔は幼いままだけど。やんちゃなのよね。よく引き倒されるし、突撃される。一度リードを持ってもらったシュタインさんがバランスを崩して、私とぶつかるし、ルームのソファーや従魔の部屋の柵もぼろぼろだ。おもちゃの破損もペースが早い。
『一度、しっかり動かせた方がいいかもしれないのです。元気は注意してもすぐに忘れるのです。気絶するくらい発散させたら、しばらくは落ち着くかもしれないのです』
「そ、そうなん?」
「でも大丈夫な? 元気まだ、赤ちゃんやろうもん」
黙って聞いていた晃太が、心配そうに聞く。
『私達がついていれば、スライムくらい大丈夫なのです』
ドラゴンもほぼ一撃でしたしね。
「ユイさん、スライムくらいなら子供が薪で叩いても倒せますよ」
私達の話を聞いて予想が付いたのか、ロッシュさんが説明してくれる。
「そうなんですね。なら、大丈夫かね」
結局、準備出来たら、冷蔵庫ダンジョンの一階に行くことに。
「他の子にはさせんよね?」
まだ、生後3ヶ月の赤ちゃんなのだ。とりわけ元気がパワーに溢れているだけ。
『そうね、コハクにもさせてもいいかもしれないわ。あの子、元気が怒られているのをよく見ているから、いきなり飛び出したりはしないと思うけど。ヒスイはまだちょっと心配だから』
『そうなのです。ヒスイはまだ小さいのです。ルリとクリスは引っ込み思案なのです。いずれ狩りを教えるとしても、まず、元気の動きを見せたいのです』
「なら、ヒスイとルリとクリスは見学ね」
ヒスイは初めに比べたら大きくなっている。だけど未だに一番小さい。
なんでもビアンカやルージュみたいな上位魔物は、生まれてから半年間での死亡率が高く、半数は半年間で亡くなってしまうそうだ。そして雌個体も、他の魔物に比べて、出産後の死亡率が高い。ルージュの産みの母親がそうだったように。母親がいなければ、子供はすぐに死ぬ。そして他の魔物に襲われて命を落とす。成長速度も他の魔物に比べてゆっくり。成体となるには、最低3年かかり、独り立ちを認めてもらうには、何十年とかかる。ちなみに緑のゴブリンは表現は悪いがポコポコ生まれて、あっという間に成長する。ただ、ゴブリンの寿命は5~10年。上位に進化しなくては寿命は延びないそうだ。
コハクは順調に成長しているが、ルージュの心配はやはりヒスイ。半年のラインが、ネックのようだ。甘えん坊なヒスイ。どうにか半年、頑張ろう。ルージュにしっかり栄養摂らせて、たっぷりお乳出してもらわないと。ビアンカもたくさん栄養摂らせないと。なんと言ってもビアンカは元気、ルリ、クリスの3匹のお母さんだ。お乳の量だって必要だしね。ルリとクリスも初めに比べたら、サイズはアップしているが、元気ほどではない。こちらも気を付けないと。
よし、帰ったら、しっかり栄養つくもんば、食べさせよう。
ビアンカの魔法で、多少温度はいい。
爆走しているノワールを見ながら、本日の担当ロッシュさんとシュタインさんとおしゃべりしながら過ごす。
「こんなに暑いのに鎧とか着て、汗疹とか大丈夫なんですか?」
ロッシュさんは金属と革の鎧、シュタインさんは革の鎧だ。暑くないのだろうか?
「大丈夫ですよ。下のシャツに一時付与してますから」
一時付与は、私達の馬車とは違い短期間しか効果がない付与。比較的簡単にでき、安価だそうだ。職人ギルドに頼めばでき、今の時期、冷却効果や熱吸収の付与をしていると。なるほど、向こうにもそんな肌着あった。
「一時付与は比較的簡単ですからね。スライムのコアと水魔法か生活魔法の冷却さえ使えれば出来ますよ。パーティーによっては自分達でしてたりしますよ。うちはラーヴが使えますから」
「いいこと聞きました」
花や元気達のバンダナに、冷却か熱吸収を付与してもらおう。母が冷却の生活魔法使えたはず。
「でも、今暑いですからギルドの確保しているスライムのコアが少ないはず。コアを持参した方がいいですよ」
「そうなんですね。ねえ、ビアンカ、ルージュ、スライムその辺におらん?」
『いないのです』
『そうね。スライムなんて私達に近づいて来ないわよ』
「デスヨネ」
最近ビアンカからダンジョンビームが来る。冷蔵庫ダンジョンに潜ったり、あのドラゴン倒したりしてレベルアップして、もうすぐ500になると。魔物は上位魔物や格上相手に挑まない。一般人でも倒せるスライムが、うちのビアンカとルージュに挑めないだろう。
………………怖かあ。我ながら恐ろしい魔物を従魔にしたなあ。毎日のケーキを喜んで食べる姿がかわいかけん、よかか。
「スライムなら、冷蔵庫ダンジョンの一階にいますよ。初心者達が小遣い稼ぎで、ボス部屋のスライムのコア狙いますから」
と、シュタインさん情報。
「一階のボス部屋には、スライムたしか、10匹でたかな? コアは全部のスライムがドロップしませんが、2個くらい出ますよ」
「なるほど、ビアンカ、ルージュ、大丈夫ね?」
『スライムごとき、なんともないのです』
『そうよ』
「コアごと粉砕しそうやけんね。力加減ばね頼むばい」
『ああ』
『そういうこと。なら、ダンジョンに行くの?』
「明日はギルドでいろいろあるけんね。ダンジョン行くにも準備して行かんと」
そう言うと、ビアンカが考え込む。
「どうしたん?」
『ねえユイ、スライムのボス部屋に行くのですよね?』
「そやね」
あ、私がボス部屋開けないと、ビアンカとルージュが開けたら桁違うからね。
『元気にボス部屋を任せたいのです』
「生後3ヶ月になんばいいようと?」
最近5匹のなかで一際大きくすくすく育っている元気。サイズはすでに秋田犬だ。顔は幼いままだけど。やんちゃなのよね。よく引き倒されるし、突撃される。一度リードを持ってもらったシュタインさんがバランスを崩して、私とぶつかるし、ルームのソファーや従魔の部屋の柵もぼろぼろだ。おもちゃの破損もペースが早い。
『一度、しっかり動かせた方がいいかもしれないのです。元気は注意してもすぐに忘れるのです。気絶するくらい発散させたら、しばらくは落ち着くかもしれないのです』
「そ、そうなん?」
「でも大丈夫な? 元気まだ、赤ちゃんやろうもん」
黙って聞いていた晃太が、心配そうに聞く。
『私達がついていれば、スライムくらい大丈夫なのです』
ドラゴンもほぼ一撃でしたしね。
「ユイさん、スライムくらいなら子供が薪で叩いても倒せますよ」
私達の話を聞いて予想が付いたのか、ロッシュさんが説明してくれる。
「そうなんですね。なら、大丈夫かね」
結局、準備出来たら、冷蔵庫ダンジョンの一階に行くことに。
「他の子にはさせんよね?」
まだ、生後3ヶ月の赤ちゃんなのだ。とりわけ元気がパワーに溢れているだけ。
『そうね、コハクにもさせてもいいかもしれないわ。あの子、元気が怒られているのをよく見ているから、いきなり飛び出したりはしないと思うけど。ヒスイはまだちょっと心配だから』
『そうなのです。ヒスイはまだ小さいのです。ルリとクリスは引っ込み思案なのです。いずれ狩りを教えるとしても、まず、元気の動きを見せたいのです』
「なら、ヒスイとルリとクリスは見学ね」
ヒスイは初めに比べたら大きくなっている。だけど未だに一番小さい。
なんでもビアンカやルージュみたいな上位魔物は、生まれてから半年間での死亡率が高く、半数は半年間で亡くなってしまうそうだ。そして雌個体も、他の魔物に比べて、出産後の死亡率が高い。ルージュの産みの母親がそうだったように。母親がいなければ、子供はすぐに死ぬ。そして他の魔物に襲われて命を落とす。成長速度も他の魔物に比べてゆっくり。成体となるには、最低3年かかり、独り立ちを認めてもらうには、何十年とかかる。ちなみに緑のゴブリンは表現は悪いがポコポコ生まれて、あっという間に成長する。ただ、ゴブリンの寿命は5~10年。上位に進化しなくては寿命は延びないそうだ。
コハクは順調に成長しているが、ルージュの心配はやはりヒスイ。半年のラインが、ネックのようだ。甘えん坊なヒスイ。どうにか半年、頑張ろう。ルージュにしっかり栄養摂らせて、たっぷりお乳出してもらわないと。ビアンカもたくさん栄養摂らせないと。なんと言ってもビアンカは元気、ルリ、クリスの3匹のお母さんだ。お乳の量だって必要だしね。ルリとクリスも初めに比べたら、サイズはアップしているが、元気ほどではない。こちらも気を付けないと。
よし、帰ったら、しっかり栄養つくもんば、食べさせよう。
2,507
お気に入りに追加
7,875
あなたにおすすめの小説

我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★

復讐はちゃんとしておりますから、安心してお休みください、陛下
七辻ゆゆ
ファンタジー
「フィオネよ、すまな……かった……」
死の床で陛下はわたくしに謝りました。
「陛下、お気が弱くなっておいでなのですね。今更になって、地獄に落とされるのが恐ろしくおなりかしら?」
でも、謝る必要なんてありません。陛下の死をもって復讐は完成するのですから。

婚約破棄の場に相手がいなかった件について
三木谷夜宵
ファンタジー
侯爵令息であるアダルベルトは、とある夜会で婚約者の伯爵令嬢クラウディアとの婚約破棄を宣言する。しかし、その夜会にクラウディアの姿はなかった。
断罪イベントの夜会に婚約者を迎えに来ないというパターンがあるので、では行かなければいいと思って書いたら、人徳あふれるヒロイン(不在)が誕生しました。
カクヨムにも公開しています。

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……

妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。
しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹
そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる
もう限界がきた私はあることを決心するのだった

押し付けられた仕事は致しません。
章槻雅希
ファンタジー
婚約者に自分の仕事を押し付けて遊びまくる王太子。王太子の婚約破棄茶番によって新たな婚約者となった大公令嬢はそれをきっぱり拒否する。『わたくしの仕事ではありませんので、お断りいたします』と。
書きたいことを書いたら、まとまりのない文章になってしまいました。勿体ない精神で投稿します。
『小説家になろう』『Pixiv』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。