96 / 831
連載
乗り越えよう②
しおりを挟む
次の日。暑いなかノワール爆走。
ビアンカの魔法で、多少温度はいい。
爆走しているノワールを見ながら、本日の担当ロッシュさんとシュタインさんとおしゃべりしながら過ごす。
「こんなに暑いのに鎧とか着て、汗疹とか大丈夫なんですか?」
ロッシュさんは金属と革の鎧、シュタインさんは革の鎧だ。暑くないのだろうか?
「大丈夫ですよ。下のシャツに一時付与してますから」
一時付与は、私達の馬車とは違い短期間しか効果がない付与。比較的簡単にでき、安価だそうだ。職人ギルドに頼めばでき、今の時期、冷却効果や熱吸収の付与をしていると。なるほど、向こうにもそんな肌着あった。
「一時付与は比較的簡単ですからね。スライムのコアと水魔法か生活魔法の冷却さえ使えれば出来ますよ。パーティーによっては自分達でしてたりしますよ。うちはラーヴが使えますから」
「いいこと聞きました」
花や元気達のバンダナに、冷却か熱吸収を付与してもらおう。母が冷却の生活魔法使えたはず。
「でも、今暑いですからギルドの確保しているスライムのコアが少ないはず。コアを持参した方がいいですよ」
「そうなんですね。ねえ、ビアンカ、ルージュ、スライムその辺におらん?」
『いないのです』
『そうね。スライムなんて私達に近づいて来ないわよ』
「デスヨネ」
最近ビアンカからダンジョンビームが来る。冷蔵庫ダンジョンに潜ったり、あのドラゴン倒したりしてレベルアップして、もうすぐ500になると。魔物は上位魔物や格上相手に挑まない。一般人でも倒せるスライムが、うちのビアンカとルージュに挑めないだろう。
………………怖かあ。我ながら恐ろしい魔物を従魔にしたなあ。毎日のケーキを喜んで食べる姿がかわいかけん、よかか。
「スライムなら、冷蔵庫ダンジョンの一階にいますよ。初心者達が小遣い稼ぎで、ボス部屋のスライムのコア狙いますから」
と、シュタインさん情報。
「一階のボス部屋には、スライムたしか、10匹でたかな? コアは全部のスライムがドロップしませんが、2個くらい出ますよ」
「なるほど、ビアンカ、ルージュ、大丈夫ね?」
『スライムごとき、なんともないのです』
『そうよ』
「コアごと粉砕しそうやけんね。力加減ばね頼むばい」
『ああ』
『そういうこと。なら、ダンジョンに行くの?』
「明日はギルドでいろいろあるけんね。ダンジョン行くにも準備して行かんと」
そう言うと、ビアンカが考え込む。
「どうしたん?」
『ねえユイ、スライムのボス部屋に行くのですよね?』
「そやね」
あ、私がボス部屋開けないと、ビアンカとルージュが開けたら桁違うからね。
『元気にボス部屋を任せたいのです』
「生後3ヶ月になんばいいようと?」
最近5匹のなかで一際大きくすくすく育っている元気。サイズはすでに秋田犬だ。顔は幼いままだけど。やんちゃなのよね。よく引き倒されるし、突撃される。一度リードを持ってもらったシュタインさんがバランスを崩して、私とぶつかるし、ルームのソファーや従魔の部屋の柵もぼろぼろだ。おもちゃの破損もペースが早い。
『一度、しっかり動かせた方がいいかもしれないのです。元気は注意してもすぐに忘れるのです。気絶するくらい発散させたら、しばらくは落ち着くかもしれないのです』
「そ、そうなん?」
「でも大丈夫な? 元気まだ、赤ちゃんやろうもん」
黙って聞いていた晃太が、心配そうに聞く。
『私達がついていれば、スライムくらい大丈夫なのです』
ドラゴンもほぼ一撃でしたしね。
「ユイさん、スライムくらいなら子供が薪で叩いても倒せますよ」
私達の話を聞いて予想が付いたのか、ロッシュさんが説明してくれる。
「そうなんですね。なら、大丈夫かね」
結局、準備出来たら、冷蔵庫ダンジョンの一階に行くことに。
「他の子にはさせんよね?」
まだ、生後3ヶ月の赤ちゃんなのだ。とりわけ元気がパワーに溢れているだけ。
『そうね、コハクにもさせてもいいかもしれないわ。あの子、元気が怒られているのをよく見ているから、いきなり飛び出したりはしないと思うけど。ヒスイはまだちょっと心配だから』
『そうなのです。ヒスイはまだ小さいのです。ルリとクリスは引っ込み思案なのです。いずれ狩りを教えるとしても、まず、元気の動きを見せたいのです』
「なら、ヒスイとルリとクリスは見学ね」
ヒスイは初めに比べたら大きくなっている。だけど未だに一番小さい。
なんでもビアンカやルージュみたいな上位魔物は、生まれてから半年間での死亡率が高く、半数は半年間で亡くなってしまうそうだ。そして雌個体も、他の魔物に比べて、出産後の死亡率が高い。ルージュの産みの母親がそうだったように。母親がいなければ、子供はすぐに死ぬ。そして他の魔物に襲われて命を落とす。成長速度も他の魔物に比べてゆっくり。成体となるには、最低3年かかり、独り立ちを認めてもらうには、何十年とかかる。ちなみに緑のゴブリンは表現は悪いがポコポコ生まれて、あっという間に成長する。ただ、ゴブリンの寿命は5~10年。上位に進化しなくては寿命は延びないそうだ。
コハクは順調に成長しているが、ルージュの心配はやはりヒスイ。半年のラインが、ネックのようだ。甘えん坊なヒスイ。どうにか半年、頑張ろう。ルージュにしっかり栄養摂らせて、たっぷりお乳出してもらわないと。ビアンカもたくさん栄養摂らせないと。なんと言ってもビアンカは元気、ルリ、クリスの3匹のお母さんだ。お乳の量だって必要だしね。ルリとクリスも初めに比べたら、サイズはアップしているが、元気ほどではない。こちらも気を付けないと。
よし、帰ったら、しっかり栄養つくもんば、食べさせよう。
ビアンカの魔法で、多少温度はいい。
爆走しているノワールを見ながら、本日の担当ロッシュさんとシュタインさんとおしゃべりしながら過ごす。
「こんなに暑いのに鎧とか着て、汗疹とか大丈夫なんですか?」
ロッシュさんは金属と革の鎧、シュタインさんは革の鎧だ。暑くないのだろうか?
「大丈夫ですよ。下のシャツに一時付与してますから」
一時付与は、私達の馬車とは違い短期間しか効果がない付与。比較的簡単にでき、安価だそうだ。職人ギルドに頼めばでき、今の時期、冷却効果や熱吸収の付与をしていると。なるほど、向こうにもそんな肌着あった。
「一時付与は比較的簡単ですからね。スライムのコアと水魔法か生活魔法の冷却さえ使えれば出来ますよ。パーティーによっては自分達でしてたりしますよ。うちはラーヴが使えますから」
「いいこと聞きました」
花や元気達のバンダナに、冷却か熱吸収を付与してもらおう。母が冷却の生活魔法使えたはず。
「でも、今暑いですからギルドの確保しているスライムのコアが少ないはず。コアを持参した方がいいですよ」
「そうなんですね。ねえ、ビアンカ、ルージュ、スライムその辺におらん?」
『いないのです』
『そうね。スライムなんて私達に近づいて来ないわよ』
「デスヨネ」
最近ビアンカからダンジョンビームが来る。冷蔵庫ダンジョンに潜ったり、あのドラゴン倒したりしてレベルアップして、もうすぐ500になると。魔物は上位魔物や格上相手に挑まない。一般人でも倒せるスライムが、うちのビアンカとルージュに挑めないだろう。
………………怖かあ。我ながら恐ろしい魔物を従魔にしたなあ。毎日のケーキを喜んで食べる姿がかわいかけん、よかか。
「スライムなら、冷蔵庫ダンジョンの一階にいますよ。初心者達が小遣い稼ぎで、ボス部屋のスライムのコア狙いますから」
と、シュタインさん情報。
「一階のボス部屋には、スライムたしか、10匹でたかな? コアは全部のスライムがドロップしませんが、2個くらい出ますよ」
「なるほど、ビアンカ、ルージュ、大丈夫ね?」
『スライムごとき、なんともないのです』
『そうよ』
「コアごと粉砕しそうやけんね。力加減ばね頼むばい」
『ああ』
『そういうこと。なら、ダンジョンに行くの?』
「明日はギルドでいろいろあるけんね。ダンジョン行くにも準備して行かんと」
そう言うと、ビアンカが考え込む。
「どうしたん?」
『ねえユイ、スライムのボス部屋に行くのですよね?』
「そやね」
あ、私がボス部屋開けないと、ビアンカとルージュが開けたら桁違うからね。
『元気にボス部屋を任せたいのです』
「生後3ヶ月になんばいいようと?」
最近5匹のなかで一際大きくすくすく育っている元気。サイズはすでに秋田犬だ。顔は幼いままだけど。やんちゃなのよね。よく引き倒されるし、突撃される。一度リードを持ってもらったシュタインさんがバランスを崩して、私とぶつかるし、ルームのソファーや従魔の部屋の柵もぼろぼろだ。おもちゃの破損もペースが早い。
『一度、しっかり動かせた方がいいかもしれないのです。元気は注意してもすぐに忘れるのです。気絶するくらい発散させたら、しばらくは落ち着くかもしれないのです』
「そ、そうなん?」
「でも大丈夫な? 元気まだ、赤ちゃんやろうもん」
黙って聞いていた晃太が、心配そうに聞く。
『私達がついていれば、スライムくらい大丈夫なのです』
ドラゴンもほぼ一撃でしたしね。
「ユイさん、スライムくらいなら子供が薪で叩いても倒せますよ」
私達の話を聞いて予想が付いたのか、ロッシュさんが説明してくれる。
「そうなんですね。なら、大丈夫かね」
結局、準備出来たら、冷蔵庫ダンジョンの一階に行くことに。
「他の子にはさせんよね?」
まだ、生後3ヶ月の赤ちゃんなのだ。とりわけ元気がパワーに溢れているだけ。
『そうね、コハクにもさせてもいいかもしれないわ。あの子、元気が怒られているのをよく見ているから、いきなり飛び出したりはしないと思うけど。ヒスイはまだちょっと心配だから』
『そうなのです。ヒスイはまだ小さいのです。ルリとクリスは引っ込み思案なのです。いずれ狩りを教えるとしても、まず、元気の動きを見せたいのです』
「なら、ヒスイとルリとクリスは見学ね」
ヒスイは初めに比べたら大きくなっている。だけど未だに一番小さい。
なんでもビアンカやルージュみたいな上位魔物は、生まれてから半年間での死亡率が高く、半数は半年間で亡くなってしまうそうだ。そして雌個体も、他の魔物に比べて、出産後の死亡率が高い。ルージュの産みの母親がそうだったように。母親がいなければ、子供はすぐに死ぬ。そして他の魔物に襲われて命を落とす。成長速度も他の魔物に比べてゆっくり。成体となるには、最低3年かかり、独り立ちを認めてもらうには、何十年とかかる。ちなみに緑のゴブリンは表現は悪いがポコポコ生まれて、あっという間に成長する。ただ、ゴブリンの寿命は5~10年。上位に進化しなくては寿命は延びないそうだ。
コハクは順調に成長しているが、ルージュの心配はやはりヒスイ。半年のラインが、ネックのようだ。甘えん坊なヒスイ。どうにか半年、頑張ろう。ルージュにしっかり栄養摂らせて、たっぷりお乳出してもらわないと。ビアンカもたくさん栄養摂らせないと。なんと言ってもビアンカは元気、ルリ、クリスの3匹のお母さんだ。お乳の量だって必要だしね。ルリとクリスも初めに比べたら、サイズはアップしているが、元気ほどではない。こちらも気を付けないと。
よし、帰ったら、しっかり栄養つくもんば、食べさせよう。
2,362
お気に入りに追加
7,797
あなたにおすすめの小説
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
【完結24万pt感謝】子息の廃嫡? そんなことは家でやれ! 国には関係ないぞ!
宇水涼麻
ファンタジー
貴族達が会する場で、四人の青年が高らかに婚約解消を宣った。
そこに国王陛下が登場し、有無を言わさずそれを認めた。
慌てて否定した青年たちの親に、国王陛下は騒ぎを起こした責任として罰金を課した。その金額があまりに高額で、親たちは青年たちの廃嫡することで免れようとする。
貴族家として、これまで後継者として育ててきた者を廃嫡するのは大変な決断である。
しかし、国王陛下はそれを意味なしと袖にした。それは今回の集会に理由がある。
〰️ 〰️ 〰️
中世ヨーロッパ風の婚約破棄物語です。
完結しました。いつもありがとうございます!
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
とある断罪劇の一夜
雪菊
恋愛
公爵令嬢エカテリーナは卒業パーティーで婚約者の第二王子から婚約破棄宣言された。
しかしこれは予定通り。
学園入学時に前世の記憶を取り戻した彼女はこの世界がゲームの世界であり自分が悪役令嬢であることに気づいたのだ。
だから対策もばっちり。準備万端で断罪を迎え撃つ。
現実のものとは一切関係のない架空のお話です。
初投稿作品です。短編予定です。
誤字脱字矛盾などありましたらこっそり教えてください。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
【完結】妹に全部奪われたので、公爵令息は私がもらってもいいですよね。
曽根原ツタ
恋愛
ルサレテには完璧な妹ペトロニラがいた。彼女は勉強ができて刺繍も上手。美しくて、優しい、皆からの人気者だった。
ある日、ルサレテが公爵令息と話しただけで彼女の嫉妬を買い、階段から突き落とされる。咄嗟にペトロニラの腕を掴んだため、ふたり一緒に転落した。
その後ペトロニラは、階段から突き落とそうとしたのはルサレテだと嘘をつき、婚約者と家族を奪い、意地悪な姉に仕立てた。
ルサレテは、妹に全てを奪われたが、妹が慕う公爵令息を味方にすることを決意して……?
悪役令嬢らしいのですが、務まらないので途中退場を望みます
水姫
ファンタジー
ある日突然、「悪役令嬢!」って言われたらどうしますか?
私は、逃げます!
えっ?途中退場はなし?
無理です!私には務まりません!
悪役令嬢と言われた少女は虚弱過ぎて途中退場をお望みのようです。
一話一話は短めにして、毎日投稿を目指します。お付き合い頂けると嬉しいです。
なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。