もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

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冷蔵庫ダンジョン②

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 戦闘しています。ご注意ください。




 冷蔵庫ダンジョン16階、次のボス部屋目指して突き進む。
 一応地図も買ったが、晃太が見ている。私は地図は読めない。地図がなくても、ルージュがある程度分かるそうなので、私は付いていくだけ。
 元気とコハクはリードを装着。ルリとクリス、ヒスイは私にぴったりついている。前はルージュ、後ろにビアンカ、真ん中が私達だ。私達の周りにはリンゴサイズの光が漂っている。
 たまに猪が突撃してきたが、我等のビアンカとルージュの敵ではない。一撃だ。ドロップ品のお肉や牙、皮、骨を拾いながら進む。
 一度探索している冒険者のパーティーに接触。まだ若そうな剣士がいきなり剣を向け、大変だったが、必死に説明。
「早とちりしてすみません」
 と、リーダーらしき男性が謝って来たので、事なきを得た。剣士の人も、周りのパーティーメンバーに絞られて、謝って来た。
「まだ、先に進まれるんですか?」
 休憩がてら、近くのセーフティーゾーンで話を聞いてみた。
「いえ、これから帰る所です。さっき、ボス部屋から出てきて。あ、ボス部屋行かれます? 復活には多分あと一時間くらいかかりますよ」
「そうですか。どうする?」
 私も膝に乗ったヒスイを抱え直して、寛ぐビアンカとルージュに聞く。
『飛ばして、先に進むのです』
『そうね、それがいいわ。今日中にもっと進みたいから』
「飛ばすようです」
「そうですか。これだけの従魔ですから大丈夫だと思いますが、気を付けて」
 ここの冒険者の皆さん、いい人ばかりだ、いつも気にかけてくれる。
 冒険者パーティーの皆さんに撫で撫でされている元気とコハクを回収。ルリとクリスはちょっと人見知りだから、ビアンカにぴったりついている。
 冒険者パーティーの皆さんと別れて、ボス部屋に。一組いたが、素通りしていいか確認。青ざめた顔でどうぞ、してくれた。
 中は先ほどのボス部屋と変わらない。階段を上り、17階へ。
 草原フィールドだけど、あちこち木がある。
「あ、姉ちゃん、木の実があるばい」
「本当や、クルミみたいやな。ちょっと持って帰ろうか、パーカーさんとこにお土産や」
 先に進みたいと言う、ビアンカとルージュを宥めて、木を揺するが落ちてこない。
「晃太、登らんね」
「無理や」
『ユイ、コウタ、私がするわ』
 見かねたルージュが木に一発猫パンチ。いや、ジャガーパンチ。
 びくともしなかった木がぐらつき、クルミが霙のように落ちてくる。
「あたたたたたたッ」
「いてっ、いてっ」
『あ、大丈夫?』
 もろにクルミシャワーを浴びてしまう。
 ゴルフボールサイズのクルミだ。痛かったけど、たくさんあるけん、よかか。
「ありがとうルージュ、次もあったらよろしくね」
 落ちたクルミをせっせと拾う。元気が一つ咥えて遊んでいたので慌てて取り上げる。間違って飲み込んだら、私達ではどうしようもない。
 もう一本のクルミの木も、ルージュのジャガーパンチで落としてもらい拾う。
 17階のボス部屋前のセーフティーゾーンには誰もおらず、腹拵えして、休憩して、いざ、ボス部屋に。
 今度はビアンカが突撃。緑の巣で使った風魔法を纏って。
『戦闘モード 風乙女(シルフィリア)』
 ルージュがボス部屋を開けて、ビアンカが飛び込み、ものの数分もかからず、終了。
『終わったのです』
「お疲れ様ビアンカ、休んどって。なんの魔物やった?」
『山羊よ』
「そうね」
 晃太とひたすらドロップ品を拾う。
 多分山羊のチーズだろうけど名前が分からない。柔らかそうな白いチーズと、茶色のチーズ。2リットルの牛乳瓶も出てきた。後はお肉に、角に、糸だ。
「えーっとな。フェタチーズが20。イエトオストが16。2リットル牛乳瓶が19。胸肉が23。尻肉が18。ネックが24。角が39。糸が51。魔石が35。ちょっと大きめが5やな」
 白いチーズがフェタチーズ、茶色のチーズがイエトオストと言う名前か、勉強になる。宝箱にはポーションが5本、中級ポーションが2本。小さなビロードの箱には、薄緑の宝石が銀の土台に填まった指輪、イヤリング。可愛らしいデザイン。晃太がアイテムボックスに入れるとペリドットと表記された。
 次は上級者向けや。
「戻ろうか?」
 一応聞いてみる。
『え、何でなのです?』
『そうよ、まだまだ、体も暖まってないわ』
 きょとん、として返事をする2人。
「あ、やっぱり」
 スキップシステムがあるとはいえ、今日潜ったばかりなのに、昼過ぎに上級者ゾーンに突入した。

 18階は草原と森林を足して割った、みたいだ。
 念のため晃太の支援魔法。私達にね。ビアンカとルージュにはいらないと言われた。
『あっちよ』
 ルージュが先頭。
 お乳をしっかり飲んだ元気達はお昼寝時間のため、ルームの従魔の部屋だ。
 リンゴサイズの光を出してもらい進む。
「あ、姉ちゃん、あそこリンゴや」
「本当や、パーカーさんにお土産、ぎゃあぁぁぁぁぁッ」
 ヘビーッ。
 茶色の鱗模様の蛇が、木々の隙間から顔を出した。
『ふんっ』
 スパンッ。
 ビアンカの鼻息みたいな掛け声と共に、クビがすっぱり落ちる。
「ひーッ、ビアンカ、ありが、ぎゃあぁぁぁぁぁッ」
 ヘビーッ、ヘビーッ、ヘビーッ。
『ふんっふんっふんっ』
 スパンッ、スパンッ、スパンッ。
 クビが落ち、転がるドロップ品。あ、勿体なか。
 嫌がる晃太に回収してもらう。
『さあ、行くのです』
『どうしたのユイ?』
「ちょっと、ちょっと待ってん、腰がね、腰が抜けとるんよ」
 結局リンゴは諦めた。まだ、出てきそうだから。
『ユイ、この階、蛇が多いわよ』
「今日中に19階へ移動やな。ね、晃太さん」
「そうやな、姉ちゃん」
 蛇嫌いの結束は固い。
 早歩きで移動。二時間でボス部屋到着。中、絶対に蛇だ。
 びくびくしながらビアンカとルージュの水分補給をする。ルームの中を確認する。元気達は、まだ、お昼寝していた。
『今度は私ね』
『分かったのです。扉は私が開けるのです』
 ルージュが扉の真正面にお座り。すうっと深呼吸。
『私はクリムゾンジャガー、血の轍を紡ぐ者』
 ルージュの足元にふわっと空気が流れる。
『炎よ、我が名の元に集え』
 赤いライン、いや、花弁のような模様が浮かび上がる。まるで薔薇のような模様。
『我の手先となりて、すべからず、奪い取れ』
 あ、あっつうッ。
 凄い熱気が、ルージュから溢れだす。
『戦闘モード 火炎姫(フレアジャンヌ)』
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