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再び東へ⑥
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馬車がリフォーム出来た。私と晃太が受け取りに行く、ビアンカとルージュ、5匹の仔達もだ。
「内部を確認してくれ」
カルロさんがドアを開ける。
中は座席が無くなり、以前の倍以上に広くなった感じだ。段差もないし、ピカピカ。木のいい匂いがする。皆でチェック。
「トレント材を使用しているから、少々のことではびくともしないぞ」
「はい、ありがとうございます」
特に問題ない。私は残りの料金を支払う。
元気が職人さん達にじゃれついている。ルリとクリスはビアンカにぴったり。コハクとヒスイは馬車の中から出ない。
カルロさん職人さん達に、最後もう一度お礼を言う。
「いやいや、いい仕事させてもらったよ」
「あの、もし付与に問題が出たときは、どこに行けばいいですか?」
そう、衝撃吸収の付与に何かあれば、どうしたらいいか分からない。
「付与なら、ここでも出来るがかなり限られているぞ。衝撃吸収なら、ここでもできる。あと、この馬車には車輪に車軸、床板に物理防御があるから、これ以上となると馬車全体にかける自動修復か重量軽減くらいだ。ただ、これだけの物量だ、かけることが出来る付与師は、王都にしかいないはずだ」
「重量軽減、重さが軽くなるんですか?」
「そうだな。まあ、羽のようにって訳じゃないがな。ランクの低いものなら、1割くらいだな」
「1割」
考える。少しでも軽い方が、ノワールにはいいはずだ。
なら、マーファの次は王都かな。
「アルブレン規模の街なら、付与師がいるはずだからな。もちろん、うちでも出来るから、いつでも来てくれ。ただ、料金がかかるからな」
カルロさんが、きらり、営業スマイル。
「ありがとうございます、では、何かあれば頼らせていただきます」
「いつでも来てくれ。おうおう、お前は可愛いなあ」
元気がカルロさんに飛び掛かる。
「わんっ」
「こら、元気」
「いい、いい。そうかゲンキか、いい名前だな」
カルロさんは元気をもふもふ。良かった、毎日ブラッシングをしてて。
馬車の中の匂いを嗅いでいるコハクとヒスイを回収。馬車を晃太のアイテムボックスに入れる。
私達は最後にもう一度お礼を言って、工房を後にした。
次の日。
ノワールを馬車に繋いだ。ギルドで教わった通りに。一応手綱は握るが、ビアンカとルージュが先導してくれるから形だけ座る。
バラダーさんが門にいたので見送りに来てくれた。
「ミズサワさん。いつでもアルブレンに帰って来てください」
「はい、ありがとうございます」
私と晃太がぺこり。
父と母も来て挨拶していた。ログハウスの周辺を警らしてくれたからね。
馭者台に座る。高い、足が微妙に届かない。乗るじゃなくて、よじ登る。
晃太がノワールに、少しでも楽に走れるように、支援魔法をかける。
マーファはここから東、魔法馬の馬車で20日だ。
「今日の結界石まで、移動やね」
「そやな」
晃太はギルドでもらった地図を広げる。私は地図が読めない女なので、こういう事は晃太に任せている。
『結界石までなのですか?』
『あんなものより、私の光魔法の方が強力よ』
おお、頼りになる。
『出来るだけ、進むのです』
『そうね。良いわよねユイ?』
「それはいいけど、ノワール、大丈夫なん? 無理させんで、馬車ば牽いているんばい」
『大丈夫なのですよね?』
「ブヒヒヒン」
『付いてきなさいノワール。行きましょう』
そして、ビアンカとルージュが発進する。ノワールも発進。
「「うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁッ」」
とんでもないスピードで。
私と晃太は馭者台からベルトを外し、だらりと落ちる。本当にベルトがあって助かった。なかったら落ちていたよ。
『大丈夫なのですか?』
『どうしたのユイ、コウタ?』
「ブヒヒヒン」
声がでない。
スピードが出る。つまり、馭者台に座る私達にも当然、圧がかかる。風圧がね。今日はしかも向かい風だから、特に。
あれだ、バラエティーとかでみる、大きな扇風機を当てられっぱなしな感じだ。目が開けられない、息がしにくい。
座り込み、なんとか息を整える。あれだ、ヘルメットがいる。
「あのさ、ビアンカさん、ルージュさん、もちょっとね、スピード落としてもらえんかね? 私らじゃ、あれは耐えきらんよ」
『そうなのですか? ごめんなのです』
『少し張り切り過ぎたかしら? 気を付けるわ』
「ブヒヒヒン」
水分補給しつつ落ち着いてから、車輪を確認、大丈夫みたいだ。それから馬車の中でルームのドアを開ける。
「大丈夫ね? なんかかなり出とったみたいやけど」
真っ先に母が心配して聞いてきた。
花が寝たまま尻尾振ってる。元気達は中庭だ。
「実はね、風圧がね」
説明すると、ああ、みたいな顔だ。
「なら、ヘルメットは?」
「なかよ、ディレックスでは手に入らんし」
「そうなあ。どうするなあ?」
「スピード落としてもらうよ」
トイレ休憩し、ルームを出る前に、ふと思い付く。
「なあ、晃太、あんたの支援魔法で風の防御支援とかできん?」
「あ、そやなあ、やってみるかね?」
晃太が悩んで、魔法発動。
よく分からないけど、大丈夫かな?
「なあ、お母さん、確か遮断って魔法がなかったね?」
父が思い出すように言う。
「当たる風だけ、遮断出来んかね? ほら、ヘルメットのガラスの部分みたいに」
なるほど、いいかも。
考え考え、母が遮断を発動する。
「姉ちゃん、まずゆっくり走ってもらったら?」
「そうやね。ねえ、ノワールにいつも馬車を牽く速度で走ってもらえるか、伝えてくれん?」
『分かったのです、ノワール、分かったのですか?』
「ブヒヒヒン」
『大丈夫よ』
「まず、ゆっくり行って。それからスピード上げようかね」
初めからそうすれば良かった。
それから、ノワールはいつものスピードで走ってもらい、徐々にスピードをあげてもらう。
途中で集団で移動している馬車を追い越す。ビアンカとルージュに騒然となったけど、必死に大丈夫です、と叫び追い越した。
結界石を2つ無視して進み、暗くなり出してやっと止まった。
「この調子なら、マーファに結構早く着かん?」
「そうやな、でもよかやん。ねえ、ルージュ、近くに誰かおる?」
『いないわ』
「なら、馬車入れて、ルーム入ろうかね」
馬車を晃太のアイテムボックスに入れて、ルームのドアを開けた。
てってれってー。
【スキル ルームレベル22にアップしました HP3000追加】
「内部を確認してくれ」
カルロさんがドアを開ける。
中は座席が無くなり、以前の倍以上に広くなった感じだ。段差もないし、ピカピカ。木のいい匂いがする。皆でチェック。
「トレント材を使用しているから、少々のことではびくともしないぞ」
「はい、ありがとうございます」
特に問題ない。私は残りの料金を支払う。
元気が職人さん達にじゃれついている。ルリとクリスはビアンカにぴったり。コハクとヒスイは馬車の中から出ない。
カルロさん職人さん達に、最後もう一度お礼を言う。
「いやいや、いい仕事させてもらったよ」
「あの、もし付与に問題が出たときは、どこに行けばいいですか?」
そう、衝撃吸収の付与に何かあれば、どうしたらいいか分からない。
「付与なら、ここでも出来るがかなり限られているぞ。衝撃吸収なら、ここでもできる。あと、この馬車には車輪に車軸、床板に物理防御があるから、これ以上となると馬車全体にかける自動修復か重量軽減くらいだ。ただ、これだけの物量だ、かけることが出来る付与師は、王都にしかいないはずだ」
「重量軽減、重さが軽くなるんですか?」
「そうだな。まあ、羽のようにって訳じゃないがな。ランクの低いものなら、1割くらいだな」
「1割」
考える。少しでも軽い方が、ノワールにはいいはずだ。
なら、マーファの次は王都かな。
「アルブレン規模の街なら、付与師がいるはずだからな。もちろん、うちでも出来るから、いつでも来てくれ。ただ、料金がかかるからな」
カルロさんが、きらり、営業スマイル。
「ありがとうございます、では、何かあれば頼らせていただきます」
「いつでも来てくれ。おうおう、お前は可愛いなあ」
元気がカルロさんに飛び掛かる。
「わんっ」
「こら、元気」
「いい、いい。そうかゲンキか、いい名前だな」
カルロさんは元気をもふもふ。良かった、毎日ブラッシングをしてて。
馬車の中の匂いを嗅いでいるコハクとヒスイを回収。馬車を晃太のアイテムボックスに入れる。
私達は最後にもう一度お礼を言って、工房を後にした。
次の日。
ノワールを馬車に繋いだ。ギルドで教わった通りに。一応手綱は握るが、ビアンカとルージュが先導してくれるから形だけ座る。
バラダーさんが門にいたので見送りに来てくれた。
「ミズサワさん。いつでもアルブレンに帰って来てください」
「はい、ありがとうございます」
私と晃太がぺこり。
父と母も来て挨拶していた。ログハウスの周辺を警らしてくれたからね。
馭者台に座る。高い、足が微妙に届かない。乗るじゃなくて、よじ登る。
晃太がノワールに、少しでも楽に走れるように、支援魔法をかける。
マーファはここから東、魔法馬の馬車で20日だ。
「今日の結界石まで、移動やね」
「そやな」
晃太はギルドでもらった地図を広げる。私は地図が読めない女なので、こういう事は晃太に任せている。
『結界石までなのですか?』
『あんなものより、私の光魔法の方が強力よ』
おお、頼りになる。
『出来るだけ、進むのです』
『そうね。良いわよねユイ?』
「それはいいけど、ノワール、大丈夫なん? 無理させんで、馬車ば牽いているんばい」
『大丈夫なのですよね?』
「ブヒヒヒン」
『付いてきなさいノワール。行きましょう』
そして、ビアンカとルージュが発進する。ノワールも発進。
「「うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁッ」」
とんでもないスピードで。
私と晃太は馭者台からベルトを外し、だらりと落ちる。本当にベルトがあって助かった。なかったら落ちていたよ。
『大丈夫なのですか?』
『どうしたのユイ、コウタ?』
「ブヒヒヒン」
声がでない。
スピードが出る。つまり、馭者台に座る私達にも当然、圧がかかる。風圧がね。今日はしかも向かい風だから、特に。
あれだ、バラエティーとかでみる、大きな扇風機を当てられっぱなしな感じだ。目が開けられない、息がしにくい。
座り込み、なんとか息を整える。あれだ、ヘルメットがいる。
「あのさ、ビアンカさん、ルージュさん、もちょっとね、スピード落としてもらえんかね? 私らじゃ、あれは耐えきらんよ」
『そうなのですか? ごめんなのです』
『少し張り切り過ぎたかしら? 気を付けるわ』
「ブヒヒヒン」
水分補給しつつ落ち着いてから、車輪を確認、大丈夫みたいだ。それから馬車の中でルームのドアを開ける。
「大丈夫ね? なんかかなり出とったみたいやけど」
真っ先に母が心配して聞いてきた。
花が寝たまま尻尾振ってる。元気達は中庭だ。
「実はね、風圧がね」
説明すると、ああ、みたいな顔だ。
「なら、ヘルメットは?」
「なかよ、ディレックスでは手に入らんし」
「そうなあ。どうするなあ?」
「スピード落としてもらうよ」
トイレ休憩し、ルームを出る前に、ふと思い付く。
「なあ、晃太、あんたの支援魔法で風の防御支援とかできん?」
「あ、そやなあ、やってみるかね?」
晃太が悩んで、魔法発動。
よく分からないけど、大丈夫かな?
「なあ、お母さん、確か遮断って魔法がなかったね?」
父が思い出すように言う。
「当たる風だけ、遮断出来んかね? ほら、ヘルメットのガラスの部分みたいに」
なるほど、いいかも。
考え考え、母が遮断を発動する。
「姉ちゃん、まずゆっくり走ってもらったら?」
「そうやね。ねえ、ノワールにいつも馬車を牽く速度で走ってもらえるか、伝えてくれん?」
『分かったのです、ノワール、分かったのですか?』
「ブヒヒヒン」
『大丈夫よ』
「まず、ゆっくり行って。それからスピード上げようかね」
初めからそうすれば良かった。
それから、ノワールはいつものスピードで走ってもらい、徐々にスピードをあげてもらう。
途中で集団で移動している馬車を追い越す。ビアンカとルージュに騒然となったけど、必死に大丈夫です、と叫び追い越した。
結界石を2つ無視して進み、暗くなり出してやっと止まった。
「この調子なら、マーファに結構早く着かん?」
「そうやな、でもよかやん。ねえ、ルージュ、近くに誰かおる?」
『いないわ』
「なら、馬車入れて、ルーム入ろうかね」
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