もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

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生活環境①

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『ああ、いい匂いなのですッ』
『たまらないわッ』
 ビアンカとルージュが興奮している。ダイニングキッチンとルームとの境目で、落ち着きなく、じたばたしている。
 ちょっとまちいって。
 ホットプレートで肉を焼き、グリルでホイル焼き、フライパンでウインナー。
 焼き上がったお肉とウインナーに大根なめ茸をのせる。
 2人用に準備した木製の大皿に、山盛りだ。
「どうぞ」
『がふっがふっ』
『あつい、でもこの上に乗っているの、冷たいけど美味しいわっ』
 勢いよく食べ始める2人。
 大根なめ茸は焼き肉の禁断アイテムだからね。
 第二弾もホットプレートに乗せられる。いい音。
 グリルのホイル焼きもいい感じ。エビとイカとえのき焼き、鱈としめじ焼き。うん、いい匂い。お皿にのせる。
「さ、魚だよん」
 次のお皿に並べて、2人の前に。
『お肉と違うけど、美味しいのです』
『エビだわ、うーん、美味しい』
 好評だ。良かった。
 せっせとリレーのように、焼いて、並べて、2人の前に出して、皿を引く。
 チョリソーのウインナーも大丈夫だ。吸い込まれるようになくなる。
 しかし、お肉がなくなるスピードが早い。間に合わない。
「優衣、お肉足らんけん、買ってきてん」
「はーい」
 私は小銭入れを持ち、ディレックスへ。
 かご一杯にお肉に魚に野菜と入れる。
 両手にビニール袋を下げて出る。
 うわあ、換気間に合ってない。
「優衣、早く早く」
「はいはい」
 私はビニール袋からお肉を出す。
「優衣、ホットプレートお願い」
「分かった」
 母は魚介類と野菜を持ち、キッチンの前に立つ。フライパンで野菜や魚介類を焼くようだ。晃太もフライパンでウインナーを焼き、ハムは軽く表面を焼いて皿に並べている。私はキッチンペーパーでホットプレートを簡単に拭き上げ、新しいお肉を並べる。次々に焼いて皿に並べて、父が運ぶ。大根なめ茸たっぷりのせる。
 食べる食べる食べる。
 焼き肉達は、ビアンカ、ルージュの前に並べられると、吸い込まれるようになくなる。
『このぴりっとしたの、美味しいわ。もうないのですか?』
『私はエビが食べたいわ』
 はいはい。
 必死に焼く、お肉を焼く。
『足りないのです』
『足りないわ』
 ちょっと待って。間に合わない。今、お肉のせたばっかりだから。こりゃ間に合わない。仕方ない。この際や。
「ホットプレート、買ってくるけん、お父さんこの肉よろしく」
「ん」
 お肉くらい、父でも焼ける。
 小銭入れを持ち、私は三度目のディレックスへ。
 本日三度目のディレックス。
 入れる入れる、野菜、魚、お肉、ウインナーをかごに入れる。ホットプレート、あったあった。
 さて、帰ろう。
 1:01
 あ、まずい。
 私は慌ててカートを押して、レジに走る。
 支払って。
「出ます」
 あ、魔力がない。枯渇や。
 ビニール袋を下げて、私は倒れ伏す。
「優衣、大丈夫ね?」
 父が菜箸片手に聞いてくる。
「お、お肉、焼いて…………」
 私は気絶した。

「う、ううぅぅ」
 私は起き上がる。
 焼き肉の為に、魔力枯渇したよ。
 お腹一杯食べさせようって思ったけどさ、あんなに食べるの? 確かにさ、大きさ的には食べるだろうって思っていたけど、何キロ食べたのよ。いくら食べたのよ。多分20万くらいいったよ。いや、お金の問題じゃないだろうけどさ。食べ過ぎじゃない?
 あ、禁断アイテムの大根なめ茸のせいか? まさかね?
 だけど、まさか、魔力枯渇するまで、通うなんてさ。
 ぶつくさ思っていたけど、一瞬でそんかぶつくさな思いがぶっ飛んでいく。
 それぞれの母親のお乳に吸い付いている、5匹の仔達の姿が目に入ったからだ。一心不乱に吸い付いている。ビアンカもルージュも優しい眼差しで仔達の毛繕いをしている。
 ああ、お乳が出たんやね。
 なら、よかか、魔力枯渇したくらい。
 やっぱりペット用のミルクなんかより、絶対に母乳がいいはず。良かった、良かった。
『お乳が出たのです。ありがとうなのです』
『本当に感謝するわ』
「よかよ」
 私はスマホに手を伸ばす。
 祝、お乳記念に、動画撮影を。
「姉ちゃん、起きたね? 肉、食べる?」
 晃太が声をかけてきた。
「あ、そうやね。晃太、食べ終わった? これ代わって」
「よかよ」
 スマホを晃太でバトンタッチ。
 私はダイニングキッチンに。
「大丈夫ね?」
 母が皿を洗いながら聞いてくる。
「大丈夫よ。魔力回復したしね。ああ、お腹減った」
 手を拭いた母が焼いたお肉や野菜、ウインナー、エビ、イカが並んだ皿を出す。大根なめ茸もあり。
 久しぶりに缶チューハイを開ける。
 グビッ。うん、旨い。
 大根なめ茸をたっぷりのせて、カルビを一口。
 うん、美味しい。
 ウインナーを一口、こちらも大根なめ茸のせて、パリッ、うーん、いくらでも入りそうやあ。
 ビアンカとルージュがたくさん食べるわけやな、お肉が大根なめ茸のおかげでさっぱりして食べれる。
 グビッ。
 いくらでも入りそうや。
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