いや、あんたらアホでしょ

青太郎

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結婚生活

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彼に返事をした後はトントン拍子に話が進み、特に障害もなく卒業後は結婚へと至った。

彼の愛しの彼女は一応屋敷のメイドとして採用し、なるべく身近で過ごせるようにと手配をした。

私は両親達や周囲に気が付かれないように人目のある場所では彼に恋をした振りをした。

義両親とも良好な関係を築き、女主人としての役割を果たしその裏では着々と離縁後の準備を進めていた。


…ここまでは順調だったのだ。

始めは彼からも彼女からも感謝され、何も問題ないかのように見えた


しかし、公の場で私が彼の隣に立つ事や2人の仲を円満に見せるために高価な物を贈りあったりする事に彼女が段々と苛立ちを見せるようになって来たのだ。


「どうして腕を組んで見つめ合っているの?」

いや、エスコートしてもらってるだけなんだけど…

「どうして宝石やドレスを贈られているの?」

一応、祝い事には何かプレゼントを贈るのがマナーなので…

「どうして2人きりで食事をするの?」

夫婦としての体面で…それに家人がいるので2人きりではないのだけど…

「どうしてこんなに帰りが遅いの?」

夜会なので…

「どうして2人でいる事が多いの?」

対外的には夫婦だし…

彼女は事あるごとに苛立ちをあらわにするようになっていった。


私は、このままではまずいと思い、仕方なく避暑地や別荘等に2人で行けるように時間を調整したり、彼の名前を使って事あるごとに贈り物を手配した。

私が手配している事などつゆ知らず、彼女は贈り物が届く度に私に対して自慢げにそれらを見せびらかすようになった。


私のそんな努力の一方で、夫は彼女に対して疲れを感じ始めたようだった。

今まではちょこちょこと彼女の顔を見に行っていたのにその回数が減り、出かける回数も減り、自らは贈り物さえしなくなった…

そんな彼に彼女はますます焦りと苛立ちが酷くなり、遂には私へと憎悪の視線を向けるようになったのだ。

…そして、彼女は周囲に私についての悪評を流すようになった。

それだけでも頭の痛い問題だったのだが、さらに大きな問題が起こった。


たまに会ってもヒステリック気味な彼女に嫌気がさしたのか…ある日、夫が恐ろしい事を言い出したのだ…。

「…君といると落ち着くよ。結局、夫婦とはこうしてなっていくモノなのかもね…」

ニコニコとした笑顔で言われ、最初は意味がわからなかった。

しかし、よくよく聞けば要するにこのまま私と本当の夫婦になろうという事だった。

いやいや、冗談ではない。


…このままでは不味いと感じた私はやり方を変える事にした。


2人に本来の目的を思い出して貰う為に私は再び奮闘する事になったのだ。


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