9 / 18
花屋の娘
しおりを挟む
まるで舞台の主人公ね。
ただの平民である私がお貴族様のそれも高位貴族である侯爵家のお世継ぎ様に見初められるなんて。
平民の中でも割と裕福な家で育った私はそれなりに容姿も良く町でも結構人気があった。
家は花屋をしていたけれど貴族様のお屋敷との取引もあり、生活には困るどころかむしろ周りの子よりも余裕があった。
客商売ということもあり、いつも小綺麗にするように言われ、お貴族様との商売にはある程度の教養も必要であると言うことで少し無理して王都の学校にも通わされた。
町の皆には王都の学校に行けるなんてと、とても羨ましがられた。
でも正直、無理して通った王都の学校はつまらなかった。
裕福な商家や貴族様の通う学校には、それなりに可愛い子も頭の良い子もお金持ちの子も色々いて、私はあまり目立った存在ではなかった。
それに、貴族の女の子はいじわるな子が多い。
最初は仲良くしてくれた子が学年が上がれば上がる程声を出して笑わなくなったり、一緒に遊ばなくなり、マナーがどうの性別がどうのとうるさくなる事が増えた。
平民と知るとあからさまに侮蔑の表情を浮かべる子も常に存在した。
学校でそれまで感じたことのない身分というものを実感して嫌な気持ちになった。
取引先の貴族の奥様はいつも優しいのに両親がやたらペコペコしている理由もなんとなくわかるようになった。
貴族と平民には壁があるらしい。
知っていたつもりだけれど、クラスにいる子達は私よりもずっとお金持ちで身分も高く、私の立場はとても弱いものであった。
学校に通っている同じ平民も、皆私よりずっとお金持ちだった。
そして、どんなに私の方が可愛いくても、貴族というだけで、皆そちらを優先して当然という態度も心の中では納得出来なかった。
貴族と平民の差について知るにつれ、今まで他よりも高いと思っていた私の価値が急に低くなってしまったようだ。
私は学校にいる貴族に嫌われないように、そして、少しでも自分の価値を上げる為にも純粋な良い子を演じた。
思い描いていた素敵な貴族の男性との出会いは無かったが、学校に来ているのが次男や三男などと、家を継ぐ事のない者が多く、将来爵位や財産を継げるような者はほぼ居ないと聞き、興味も失った。
みんな学年が上がるに連れ自分の今後に必死で、平民の花屋の娘を相手にしてくれるような人はいなかった。
貴族の女の子達はお茶会だ夜会だと私にはわからない話で盛り上がっていて、そんな女の子達に平民の商家の子が自分の家の商品を紹介していた。
私には全く関係のない話でとてもつまらなかった。
両親には我が家も出来る限り売り込めと言われていたが、たかが花なんかを売り込むなんて無理だと思ったのでしなかった。
もちろん学校ではそんな卑屈な気持ちは顔には出さず表面上ニコニコと笑って過ごしていた。
お金持ちの商家や貴族の男子生徒から愛人やその場限りの相手のお誘いはあったが、多少のお金で全く魅力のない人の相手をするのはゴメンだ。
せめて容姿が良ければ考えたのだが。
両親にも、貴族様との関わりには注意するように言われていたこともあり、困った時は純粋で意味を理解していないフリをして誤魔化した。
なんとか、当たり障りのない子爵令嬢のグループに入る事ができ、無事卒業出来た時はホッとした。
華やかではあっても私とはべつの世界。話を聞く事はできても決して入れてはくれない世界。それが貴族の世界だった。
学校を卒業して実家の領地に帰るとほっとするのと同時にひどく田舎くさく感じた。
田舎くさいとは思いつつも、戻った私は町ではちょっとした高嶺の花扱いで、女の子達の羨望の眼差しは気持ち良かった。
ただ、そんな私は男の子達からも人気で、ちょっとしたトラブルに巻き込まれることも増えていた。
そんな時、運命的な出会いをしたのだ。
以前にちょっと一緒に遊んだ事のある男に言い寄られ、しつこさにうんざりしていた時だった。
護衛の人を数人連れたあの人に出会った。
学校で見た貴族と比べても明らかに良い服を着て、こんな風に何人も護衛を引き連れている姿はまさに昔に思い描いていた憧れの貴族そのものに見えてとても素敵だった。
そして、彼が貴族の中でも高位に当たる侯爵家のさらに嫡男であるという事実を知り、これは運命であり、神が私に与えたチャンスなのだと思った。
彼の瞳に私への興味を感じ取った時には興奮が抑え切れないほどに嬉しかった。
やはり私は他の子とは違う特別な存在だったのだ。今まで頑張って良い子をしてきたのは無駄では無かった。
その後はまさに物語のような展開だった。
主役は私。
彼は私を運命の相手と言い、私もそうだと思った。
彼が町に来ると噂好きの子達が騒がしいので、すぐにわかる。
急いで綺麗に整えて、彼へと会いに行く。
彼は私に会う度、驚きつつも運命だと喜んでくれた。
平民には手が出ないような物でも彼にとったら安い物らしく、ちょっと寄り添って大袈裟に喜ぶと欲しい物はすぐに買って貰えた。
特別な時にしか行けないようなレストランへと連れて行かれては『こんな店で申し訳ないね。』と言われ、貴族の世界の価値観を知った。
私と彼の事を知った以前付き合ってあげた男の子に絡まれる事が何度かあった。
私の事を誤解されるのではないかという心配をよそに、彼は気にする事もなく当然のように全てを追い払ってくれた。
こんなに素晴らしい相手にはもう巡り会えないだろう。
そう、これは彼の言うように運命の恋であり、真実の愛なのだ。
ただ彼には高位貴族らしく婚約者が存在した。
知った時はショックだったが、よく考えれば真実の愛には障害が付きものだし、これは貴族のお嬢様が居たにもかかわらず私の方が選ばれたという事だ。
貴族令嬢よりも自分が当然の様に優先される状況に自尊心がくすぐられ、まぁ、しょうがないのでこの状況を許容した。
順調に関係を進め恋人となり、早くこの先に進みたいと思っていたある日、デートから帰ると家が両親ごと暴漢によって壊し尽くされていた。
町の警邏隊が来て一通り調べていた様だが、捜査はすぐに打ち切られ、結局犯人が見つかる事もなかった。
平民にしてはそれなりに大きな家が真っ昼間に襲われたのに、何故犯人が見つからないのだろう。
訳のわからない出来事になんとも気持ちの悪い不安感を感じたが、それも一時の事であった。
両親は残念だったけれど私と彼の愛の為にはきっと必要な運命だったのだろう。
なぜなら、両親の死をきっかけに彼からプロポーズを受けたのだ。
すぐに結婚する事は出来ないが、お屋敷にも迎えてくれる事になった。
普通に迎え入れてくれれば良いのにメイドとして働くということで、最初は少し彼に対して不信感を感じた。
誰かに聞きたいがそんな知り合いは身近に居ないので学校時代のグループのリーダーだった子爵令嬢に手紙を送り、念の為にこの侯爵家の事を教えて貰った。
何度か手紙を交換する内にこの侯爵家の地位の高さを改めて認識し、そんな彼に愛される事の幸運を再認識した。
そして、彼と相談した結果、子爵令嬢の彼女も私の補佐として一緒に雇われる事になった。
子爵令嬢が私の補佐。
あの学校で上位の位置にいた彼女が私の補佐に。
貴族の彼女が平民の私の補佐というのが心の底から嗤えた。
屋敷に連れて行かれ屋敷の者に紹介された時、私は彼の愛を少しでも疑った事に申し訳なくなった。
彼は使用人達を集め、みんなの前で
『彼女は私の大切な女性であり、形式上はメイドとなるがこれには深い理由がある。
遠くない未来に、次期侯爵夫人となる女性だ。くれぐれもそこを理解して応対するように!』
と、宣言してくれたのだ。
使用人達の前でそう言ってくれた事により私は一応、形としてはメイドだが、ほぼ貴族のお嬢様のように過ごす事が出来るようになった。
当然、私の部屋は当主夫人の部屋になった。
侯爵夫人となると平民ではわからない事もきっとあるだろう。
子爵令嬢に来てもらったのは正解だった。
学校時代はそんなに好きではなかったが、今では1番の味方だ。
美味しいものを愛する人と食べ贅沢な物に囲まれてみんなに傅かれる生活にこの上なく満足感を感じた。
更にもう少し待てば侯爵夫人の座も手に入る。
そう信じて疑わず、私は愛する人との緩慢な日々を謳歌していた。
まさか、それらが突然なんの前触れもなく全て奪われるなんて。
そして今までの幸せには途轍もない代償が伴うだなんて考えてもみなかったのだ。
ただの平民である私がお貴族様のそれも高位貴族である侯爵家のお世継ぎ様に見初められるなんて。
平民の中でも割と裕福な家で育った私はそれなりに容姿も良く町でも結構人気があった。
家は花屋をしていたけれど貴族様のお屋敷との取引もあり、生活には困るどころかむしろ周りの子よりも余裕があった。
客商売ということもあり、いつも小綺麗にするように言われ、お貴族様との商売にはある程度の教養も必要であると言うことで少し無理して王都の学校にも通わされた。
町の皆には王都の学校に行けるなんてと、とても羨ましがられた。
でも正直、無理して通った王都の学校はつまらなかった。
裕福な商家や貴族様の通う学校には、それなりに可愛い子も頭の良い子もお金持ちの子も色々いて、私はあまり目立った存在ではなかった。
それに、貴族の女の子はいじわるな子が多い。
最初は仲良くしてくれた子が学年が上がれば上がる程声を出して笑わなくなったり、一緒に遊ばなくなり、マナーがどうの性別がどうのとうるさくなる事が増えた。
平民と知るとあからさまに侮蔑の表情を浮かべる子も常に存在した。
学校でそれまで感じたことのない身分というものを実感して嫌な気持ちになった。
取引先の貴族の奥様はいつも優しいのに両親がやたらペコペコしている理由もなんとなくわかるようになった。
貴族と平民には壁があるらしい。
知っていたつもりだけれど、クラスにいる子達は私よりもずっとお金持ちで身分も高く、私の立場はとても弱いものであった。
学校に通っている同じ平民も、皆私よりずっとお金持ちだった。
そして、どんなに私の方が可愛いくても、貴族というだけで、皆そちらを優先して当然という態度も心の中では納得出来なかった。
貴族と平民の差について知るにつれ、今まで他よりも高いと思っていた私の価値が急に低くなってしまったようだ。
私は学校にいる貴族に嫌われないように、そして、少しでも自分の価値を上げる為にも純粋な良い子を演じた。
思い描いていた素敵な貴族の男性との出会いは無かったが、学校に来ているのが次男や三男などと、家を継ぐ事のない者が多く、将来爵位や財産を継げるような者はほぼ居ないと聞き、興味も失った。
みんな学年が上がるに連れ自分の今後に必死で、平民の花屋の娘を相手にしてくれるような人はいなかった。
貴族の女の子達はお茶会だ夜会だと私にはわからない話で盛り上がっていて、そんな女の子達に平民の商家の子が自分の家の商品を紹介していた。
私には全く関係のない話でとてもつまらなかった。
両親には我が家も出来る限り売り込めと言われていたが、たかが花なんかを売り込むなんて無理だと思ったのでしなかった。
もちろん学校ではそんな卑屈な気持ちは顔には出さず表面上ニコニコと笑って過ごしていた。
お金持ちの商家や貴族の男子生徒から愛人やその場限りの相手のお誘いはあったが、多少のお金で全く魅力のない人の相手をするのはゴメンだ。
せめて容姿が良ければ考えたのだが。
両親にも、貴族様との関わりには注意するように言われていたこともあり、困った時は純粋で意味を理解していないフリをして誤魔化した。
なんとか、当たり障りのない子爵令嬢のグループに入る事ができ、無事卒業出来た時はホッとした。
華やかではあっても私とはべつの世界。話を聞く事はできても決して入れてはくれない世界。それが貴族の世界だった。
学校を卒業して実家の領地に帰るとほっとするのと同時にひどく田舎くさく感じた。
田舎くさいとは思いつつも、戻った私は町ではちょっとした高嶺の花扱いで、女の子達の羨望の眼差しは気持ち良かった。
ただ、そんな私は男の子達からも人気で、ちょっとしたトラブルに巻き込まれることも増えていた。
そんな時、運命的な出会いをしたのだ。
以前にちょっと一緒に遊んだ事のある男に言い寄られ、しつこさにうんざりしていた時だった。
護衛の人を数人連れたあの人に出会った。
学校で見た貴族と比べても明らかに良い服を着て、こんな風に何人も護衛を引き連れている姿はまさに昔に思い描いていた憧れの貴族そのものに見えてとても素敵だった。
そして、彼が貴族の中でも高位に当たる侯爵家のさらに嫡男であるという事実を知り、これは運命であり、神が私に与えたチャンスなのだと思った。
彼の瞳に私への興味を感じ取った時には興奮が抑え切れないほどに嬉しかった。
やはり私は他の子とは違う特別な存在だったのだ。今まで頑張って良い子をしてきたのは無駄では無かった。
その後はまさに物語のような展開だった。
主役は私。
彼は私を運命の相手と言い、私もそうだと思った。
彼が町に来ると噂好きの子達が騒がしいので、すぐにわかる。
急いで綺麗に整えて、彼へと会いに行く。
彼は私に会う度、驚きつつも運命だと喜んでくれた。
平民には手が出ないような物でも彼にとったら安い物らしく、ちょっと寄り添って大袈裟に喜ぶと欲しい物はすぐに買って貰えた。
特別な時にしか行けないようなレストランへと連れて行かれては『こんな店で申し訳ないね。』と言われ、貴族の世界の価値観を知った。
私と彼の事を知った以前付き合ってあげた男の子に絡まれる事が何度かあった。
私の事を誤解されるのではないかという心配をよそに、彼は気にする事もなく当然のように全てを追い払ってくれた。
こんなに素晴らしい相手にはもう巡り会えないだろう。
そう、これは彼の言うように運命の恋であり、真実の愛なのだ。
ただ彼には高位貴族らしく婚約者が存在した。
知った時はショックだったが、よく考えれば真実の愛には障害が付きものだし、これは貴族のお嬢様が居たにもかかわらず私の方が選ばれたという事だ。
貴族令嬢よりも自分が当然の様に優先される状況に自尊心がくすぐられ、まぁ、しょうがないのでこの状況を許容した。
順調に関係を進め恋人となり、早くこの先に進みたいと思っていたある日、デートから帰ると家が両親ごと暴漢によって壊し尽くされていた。
町の警邏隊が来て一通り調べていた様だが、捜査はすぐに打ち切られ、結局犯人が見つかる事もなかった。
平民にしてはそれなりに大きな家が真っ昼間に襲われたのに、何故犯人が見つからないのだろう。
訳のわからない出来事になんとも気持ちの悪い不安感を感じたが、それも一時の事であった。
両親は残念だったけれど私と彼の愛の為にはきっと必要な運命だったのだろう。
なぜなら、両親の死をきっかけに彼からプロポーズを受けたのだ。
すぐに結婚する事は出来ないが、お屋敷にも迎えてくれる事になった。
普通に迎え入れてくれれば良いのにメイドとして働くということで、最初は少し彼に対して不信感を感じた。
誰かに聞きたいがそんな知り合いは身近に居ないので学校時代のグループのリーダーだった子爵令嬢に手紙を送り、念の為にこの侯爵家の事を教えて貰った。
何度か手紙を交換する内にこの侯爵家の地位の高さを改めて認識し、そんな彼に愛される事の幸運を再認識した。
そして、彼と相談した結果、子爵令嬢の彼女も私の補佐として一緒に雇われる事になった。
子爵令嬢が私の補佐。
あの学校で上位の位置にいた彼女が私の補佐に。
貴族の彼女が平民の私の補佐というのが心の底から嗤えた。
屋敷に連れて行かれ屋敷の者に紹介された時、私は彼の愛を少しでも疑った事に申し訳なくなった。
彼は使用人達を集め、みんなの前で
『彼女は私の大切な女性であり、形式上はメイドとなるがこれには深い理由がある。
遠くない未来に、次期侯爵夫人となる女性だ。くれぐれもそこを理解して応対するように!』
と、宣言してくれたのだ。
使用人達の前でそう言ってくれた事により私は一応、形としてはメイドだが、ほぼ貴族のお嬢様のように過ごす事が出来るようになった。
当然、私の部屋は当主夫人の部屋になった。
侯爵夫人となると平民ではわからない事もきっとあるだろう。
子爵令嬢に来てもらったのは正解だった。
学校時代はそんなに好きではなかったが、今では1番の味方だ。
美味しいものを愛する人と食べ贅沢な物に囲まれてみんなに傅かれる生活にこの上なく満足感を感じた。
更にもう少し待てば侯爵夫人の座も手に入る。
そう信じて疑わず、私は愛する人との緩慢な日々を謳歌していた。
まさか、それらが突然なんの前触れもなく全て奪われるなんて。
そして今までの幸せには途轍もない代償が伴うだなんて考えてもみなかったのだ。
289
お気に入りに追加
6,981
あなたにおすすめの小説
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
けじめをつけさせられた男
杜野秋人
恋愛
「あの女は公爵家の嫁として相応しくありません!よって婚約を破棄し、新たに彼女の妹と婚約を結び直します!」
自信満々で、男は父にそう告げた。
「そうか、分かった」
父はそれだけを息子に告げた。
息子は気付かなかった。
それが取り返しのつかない過ちだったことに⸺。
◆例によって設定作ってないので固有名詞はほぼありません。思いつきでサラッと書きました。
テンプレ婚約破棄の末路なので頭カラッポで読めます。
◆しかしこれ、女性向けなのか?ていうか恋愛ジャンルなのか?
アルファポリスにもヒューマンドラマジャンルが欲しい……(笑)。
あ、久々にランクインした恋愛ランキングは113位止まりのようです。HOTランキング入りならず。残念!
◆読むにあたって覚えることはひとつだけ。
白金貨=約100万円、これだけです。
◆全5話、およそ8000字の短編ですのでお気軽にどうぞ。たくさん読んでもらえると有り難いです。
ていうかいつもほとんど読まれないし感想もほぼもらえないし、反応もらえないのはちょっと悲しいです(T∀T)
◆アルファポリスで先行公開。小説家になろうでも公開します。
◆同一作者の連載中作品
『落第冒険者“薬草殺し”は人の縁で成り上がる』
『熊男爵の押しかけ幼妻〜今日も姫様がグイグイ来る〜』
もよろしくお願いします。特にリンクしませんが同一世界観の物語です。
◆(24/10/22)今更ながら後日談追加しました(爆)。名前だけしか出てこなかった、婚約破棄された側の侯爵家令嬢ヒルデガルトの視点による後日談です。
後日談はひとまず、アルファポリス限定公開とします。
欲しいのならば、全部あげましょう
杜野秋人
ファンタジー
「お姉様!わたしに頂戴!」
今日も妹はわたくしの私物を強請って持ち去ります。
「この空色のドレス素敵!ねえわたしに頂戴!」
それは今月末のわたくしの誕生日パーティーのためにお祖父様が仕立てて下さったドレスなのだけど?
「いいじゃないか、妹のお願いくらい聞いてあげなさい」
とお父様。
「誕生日のドレスくらいなんですか。また仕立てればいいでしょう?」
とお義母様。
「ワガママを言って、『妹を虐めている』と噂になって困るのはお嬢様ですよ?」
と専属侍女。
この邸にはわたくしの味方などひとりもおりません。
挙げ句の果てに。
「お姉様!貴女の素敵な婚約者さまが欲しいの!頂戴!」
妹はそう言って、わたくしの婚約者までも奪いさりました。
そうですか。
欲しいのならば、あげましょう。
ですがもう、こちらも遠慮しませんよ?
◆例によって設定ほぼ無しなので固有名詞はほとんど出ません。
「欲しがる」妹に「あげる」だけの単純な話。
恋愛要素がないのでジャンルはファンタジーで。
一発ネタですが後悔はありません。
テンプレ詰め合わせですがよろしければ。
◆全4話+補足。この話は小説家になろうでも公開します。あちらは短編で一気読みできます。
カクヨムでも公開しました。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
だってそういうことでしょう?
杜野秋人
恋愛
「そなたがこれほど性根の卑しい女だとは思わなかった!今日この場をもってそなたとの婚約を破棄する!」
夜会の会場に現れた婚約者様の言葉に驚き固まるわたくし。
しかも彼の隣には妹が。
「私はそなたとの婚約を破棄し、新たに彼女と婚約を結ぶ!」
まあ!では、そういうことなのですね!
◆思いつきでサラッと書きました。
一発ネタです。
後悔はしていません。
◆小説家になろう、カクヨムでも公開しています。あちらは短編で一気読みできます。
彼だけが、気付いてしまった
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約なぞ破棄してくれるっ!」
学院の卒業記念パーティーで、またしても繰り返される王子による婚約者への婚約破棄。だが今回は何やら様相が違った。
王子が傍らに抱き寄せた男爵家令嬢を虐めたと婚約者をなじり、婚約者は身に覚えがないと真っ向から否定する。物証を持ち出しても、証人を立てても彼女は頑なに認めようとしない。
あまりのことに王子の側近候補として取り巻く男子たちも糾弾に加わる。
その中に、彼は、いた。
「大勢でひとりを取り囲んで責め立てるなど、将来の王子妃としてあるまじき……………ん?」
そう。彼は、彼だけが気付いてしまった。
そして彼が気付いたことで、その場の全てがひっくり返っていくことを、王子たちは気付いていなかった⸺!
◆最近こればっかですが設定なしの即興作品です。
思いついたので書いちゃいました。
◆全5話、約12000字です。第1話だけすこし短め(約2000字)です。
◆恋愛ジャンルで投稿しますが恋愛要素はやや薄め、ほぼ最後の方だけです。
もし違和感あればご指摘下さい。ジャンル変更など対応致します。
◆この作品は小説家になろうでも同時公開します。
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
【完結】王家の血統〜下位貴族と侮るなかれ〜
杜野秋人
恋愛
「貧乏子爵家出身の貴様ごときが私の婚約者などと、もう我慢ならんっ!貴様との婚約なぞ、今この場で破棄してくれるわ!」
王宮主催の晩餐会の会場で、エスコートもなさらずわたくしを放置していた婚約者様。ようやく姿を見せたと思ったら指を突き付けて声高にそう宣言されました。
ああ、殿下。
やはりわたくしとの婚約の意味を理解されておられなかったのですね。
まあ、構いませんわ。わたくしも愛のない結婚など望んでもおりませんし。
けれど、しでかしたことの責任はきっちりと取って頂きますよ?後悔なさっても知りませんからね?
王子は婚約者が嫌いだった。借金を抱えた貧乏子爵家の娘で、特に美貌を誇るわけでもない。王家の遠縁なのは知っているがそれだけだ。
そんな女など、嫡出たる自分には相応しくない。もっと美しく、地位の高い⸺そう、他国の姫などが我が妻として相応しい。
そうして王子は婚約者に対して婚約破棄を言い渡す。
彼女がなぜ、自分の婚約者と決められたのか気付かないままに。
そう、彼は知らなかったのだ。
そして王命で集められた謁見の間にて、王子は自分が何をしでかしたのか、思い知ることになる⸺!
◆政略結婚の目的のひとつは縁繋ぎ。累代で婚姻を重ねていけば、長い歴史のある国ならこういう事もありうるよね、って話です。
全5話、完結しました。約2万字ほどの短めの物語です。
◆異世界恋愛ですが異世界要素がちょっと薄いです。一応、魔力があって魔術が存在するいつもの世界(のつもり)です。
◆設定は深く考えていませんが、家系図はきっちり組みました。ただし若干ややこしいので、やる気のある方は読みながら自分で家系図を書いてみると分かりやすいかも知れません。
大変申し訳ないですが、スッキリしたものが書けなかったので家系図の添付はありません。ご了承下さい。
◆この作品は例によって小説家になろうでも公開します。あちらも全5話です。
◆1/16、恋愛ランキング、HOTランキング入り確認しました!お読み頂きありがとうございます!
1/17、人気ランキング入り確認!読んで下さる皆様のおかげです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる