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お迎え(前)
しおりを挟むあの日から1週間。
意外にも楽しい日々を過ごしております。
過去の記憶と共に図太くなり、あの日から私を避ける侍女頭にあえて声を掛けては知らなさそうな事実(私、王族の方々から超溺愛されてたのよーっとか資産は侯爵家以上なのーとか手紙の返事はまだかしらーなど)を伝えては反応を楽しむいう悪趣味な事をしたり、図書館にて好きな本を好きなだけ借りて時間を潰したり(元々趣味は読書なので)、のんびりと過ごしていました。
あの後、すぐに対応を考え環境改善し、私への態度を周知徹底をするなどの対策でもしていたら侍女頭をほんの少しだけ見直していたかもしれませんが、それもありませんでした。
そして当然ですが、他の侍女達の態度は太々しくも全く変わりません。(もちろんお花畑の彼等は通常運転です)
こんな時に臨機応変に上手く立ち回れない彼女は侍女頭などという役職はやはり向いていないのだろうと思います。
食事は伝えたその日だけ気持ち生温かい(?)スープと白パンでしたが、わざわざ伝える労力とその結果にコスパの悪さを感じ、以前と同じ物を頂いております。
まぁ、不本意ながら食べ慣れたこともあって、健康食品だと思えば全く平気ですし、どうせ此処ともあと少しの付き合いなので、良い経験と教訓として享受致します。
服装も今まで通り、アクセサリー等を外し、地味にしています。(これは前世の記憶の影響で豪華絢爛なキラキラを普段使いする事に負担を感じるせいでもあります)
まぁ、こっちの方が見るからに虐げられ感も出ているし、今更訂正もできない侍女頭の葛藤する様子が面白いからって事もありますけどね。(性格の悪さは自覚しております)
そして本日、お父様からの返信を待っていたら、なんと伯爵家から馬車がやってきました。
しかも立派な6頭立ての馬車を後方に4頭立てが前後に数台連なっています。(通常は4頭立迄が主流)
合わせて8台、大きさもさる事ながら従僕や侍女もおり、ついでに別で馬に騎乗した騎士も20人程、馬車の前後に控えて居ます。
いやいや、王都からこれで来たのなら大所帯での移動で大変だっただろうなぁと感心してしまいました。
そんな風に屋敷の端の部屋の窓から覗き見をしつつ、のんびりしている私とは反対にお屋敷は大騒ぎです。
なんと、私も見ていて少し驚きました。
後方に続く馬車の中、伯爵家の紋に混ざって王家の紋が混ざっているのです。(笑)
あら?
そういえば今日は嫡男様は運命の相手と視察(?)で不在だったのではないかしら。
領地の者でも知らない秘密の湖が近くにある綺麗でロマンチックな別邸に向かったと下女っぽい方が教えてくれました。(見下しまくりで嫌味な言い方でしたが、たしか彼女は侍女頭の紹介で入った方ですね)
領地の者さえ知らない湖に行って何を視察するのかしら?
通常なら、お屋敷を管理するはずの家令も一緒に出掛けているし(何故この可笑しさに誰も突っ込まないのか本当に謎)そもそもその家令もまだ若い男性だった覚えがあります。(会う機会がないのであまり記憶にないが)
あれ?
そもそも家令って1人なのかしら?
たしかとても大変なお仕事だった気がするけど。
…大変な…お仕事…だったわよね?
お父様には何人も家令やら侍従やら管財人やらその他もろもろがいた気がするけど、…いや、普通は1人なの?(前世があってもよくわからないわ…)
…あれ?…むしろ嫡男様って仕事何してるの?
現侯爵も現役だし、お屋敷の管理は侍女頭が頑張って(笑)いるし、お屋敷内の財政的な面とか数字関係は(多分)家令がやってるのではないかと思う。
王宮などにも役職は無かったと思うし、やたら視察って言葉は聞くけど(私の知ってる視察と違う)、一体何の仕事をしているのかしら?(素朴な疑問)
それに、通常であればこのような場合、お客様の対応をするのは女主人である私だけれど…
ほら、私って女主人(飾)じゃない?
よく『余計な事はしないでください!』って言われるし。
だれが対応するのかしら?
屋敷の影の権力者(笑)である侍女頭?
それとも、その他の使用人?
すごく不敬に当たるわね。(侯爵家の責任問題)
ふふ…彼女らはそもそも高位貴族に対する基本的なマナーをちゃんと知ってるのかしら?
まぁ、私は呼ばれるまでこの質素な部屋で質素な食事の空食器を横に(片付けてくれない)のんびりしていましょう。
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