放課後高速騎兵隊クラブ

一七. 運送業

鉄道網はある程度敷設されたが、狭い日本といえども車無しで物資を日本国中隅々まで運搬することは簡単なことではない。しかも、馬のスピードは、車と比べると著しく劣る。いい馬を揃えて乗り継いだとしても、せいぜい時速５０kmくらいしか期待できない。東名・名神高速道路を５００kmとすると、東阪移動は単純計算で１０時間以上かかってしまうことになる。ただ、馬は悪路でも走りかつ狭いスペースでも繋留できる。要は数に任せて細かく配送する仕組みさえ作れば車社会に対抗できるだけの能力は備えていた。
　バスやタクシーや自家用車を馬で代用することは案外考えやすいが、運送業のトラックについては簡単にはいかない。スピードを必要とする案件は、やはりレール＆ホースあるいは、エア＆ホースに頼らざるを得ない。急がない案件は、荷馬車で乗り切れるのではあるが。運送業者は、とにかく馬社会法案が真実味を帯び始めた２０１７年あたりから、いい馬を抑え始めており、２０１９年には、馬による配送システムをほぼ構築完了していた。　郵便配達も馬で行われるようになっており、２０１７年から民間の運送会社と馬の争奪戦を繰り広げていた。
　もちろん、最新式の装備を備えた救急馬車、ＪＲＡから借り受けたサラブレッド保安官なども２０１９年夏には、ほぼ準備が整っていた。
　あと、ゴミ収集馬車、霊柩馬車なども活躍していた。
ただ、馬だけで代用できない消防車や高層ビル向けの梯車やクレーン車など一部の特殊車両は走行を認められた。