15 / 27
一五. 烏騅の子供と高速道路
しおりを挟む
2019年7月1日、日本はもう後戻りのできない政策をスタートさせ始めた。馬専用の高速道路がスタートしたのである。
いきなり、首都高と大阪環状線など、主要な高速道路が部分的に馬専用になると共に、日本全国に馬専用一般道路が張り巡らされたのである。アスファルトを張る必要はない。期間限定の土の道でよかったので、国民の協力を得ることができて、あっという間に張り巡らされた。
馬専用の道路ができ、そこいら中が馬だらけとなった。
ぼくは馬の調教や、自動車から馬にくら替えした教習所の手伝いに忙しい毎日を送っていた。しかし、ぼくにとって最大の関心事は、臨月を迎えた烏騅の出産であった。
7月7日夜、烏騅は産気づき破水した。馬の出産の兆候は乳房の腫れ、乳ヤニ、漏乳で数週間なのか数日レベルで産まれてくるのかを識別することができた。
また、時間レベルでは、水素イオン濃度(pH)やBrix値と呼ばれるショ糖濃度を測定して、出産のタイミングを知ることができた。
何も問題がなければ、馬は分娩が始まって出産までの時間は30分程度だった。
しかし、人間と同じで、逆子であったり足の曲がり方が異常だったりした場合難産となり、人の介在が必要となる。
何もなければ、人が引っ張ったりせずに馬の子宮を傷つけずに自然分娩するのがベストである。
もちろん、仁美も最後まで立会い、仔馬は牝馬(メスの馬)だったので仁美がヒナノと名付けた。ヒナノの体重は45kgで、出産後1時間で立ち上がった。馬の世界では当たり前のことだが、ぼくも仁美も、他の頭図高校のメンバーも自然の驚異を目の当たりにしてしまった。特に名付け親の仁美にとっては、人生の中で最大の衝撃的できごとの1つだと感じられた。
「馬社会って、ホントに可能なことだったのね」
そこにいる全員が、仁美の一言に納得の表情を浮かべていた。
いきなり、首都高と大阪環状線など、主要な高速道路が部分的に馬専用になると共に、日本全国に馬専用一般道路が張り巡らされたのである。アスファルトを張る必要はない。期間限定の土の道でよかったので、国民の協力を得ることができて、あっという間に張り巡らされた。
馬専用の道路ができ、そこいら中が馬だらけとなった。
ぼくは馬の調教や、自動車から馬にくら替えした教習所の手伝いに忙しい毎日を送っていた。しかし、ぼくにとって最大の関心事は、臨月を迎えた烏騅の出産であった。
7月7日夜、烏騅は産気づき破水した。馬の出産の兆候は乳房の腫れ、乳ヤニ、漏乳で数週間なのか数日レベルで産まれてくるのかを識別することができた。
また、時間レベルでは、水素イオン濃度(pH)やBrix値と呼ばれるショ糖濃度を測定して、出産のタイミングを知ることができた。
何も問題がなければ、馬は分娩が始まって出産までの時間は30分程度だった。
しかし、人間と同じで、逆子であったり足の曲がり方が異常だったりした場合難産となり、人の介在が必要となる。
何もなければ、人が引っ張ったりせずに馬の子宮を傷つけずに自然分娩するのがベストである。
もちろん、仁美も最後まで立会い、仔馬は牝馬(メスの馬)だったので仁美がヒナノと名付けた。ヒナノの体重は45kgで、出産後1時間で立ち上がった。馬の世界では当たり前のことだが、ぼくも仁美も、他の頭図高校のメンバーも自然の驚異を目の当たりにしてしまった。特に名付け親の仁美にとっては、人生の中で最大の衝撃的できごとの1つだと感じられた。
「馬社会って、ホントに可能なことだったのね」
そこにいる全員が、仁美の一言に納得の表情を浮かべていた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる