47 / 90
ローレシアン王国編
失言
しおりを挟む
朝飯を貰ってきたミーシャと部屋でゆっくり食べていると
アルデハイトがヌルッと扉を開けて入ってくる。
自然な動きでテーブルの端の椅子に着席し
「おはようございます」と一言告げ
微笑ましく、食べている俺たちを見つめる。
「なんだよ。私たち食べてるんだけど」
食べ辛くなったミーシャがアルデハイトに抗議すると
「いや、家族とはいいものだな、と」
アルデハイトはそう言って立ち上がり、窓の近くで、外の土砂降りを見つめる。
「今のうちですねぇ。雨期で本当によかった」
「そうなのか」
「舞台装置が機能すると思いますよ」
「なんでもいいけど、兄さんを無事に連れて帰ってきてよ」
アルデハイトは立ったままミーシャの方を見て
うやうやしく胸に手を当てて、頭を下げると
「外で天気を読みながら、お待ちしています。ゆっくりでかまいません」
と告げ、部屋から出て行った。
ルクネツア城に今から二人で行くのである。
もちろん目的は巨大竜のライグァークを騙しに、である。
「……わっけわかんないっ」
ミーシャがブーブーと俺にアルデハイトの文句を言う。
「……なんかさ……」
「……?」
「あいつなりに今、凄い礼を尽くしたって感じがしたよ」
何故か伝わったのだ。
とは言え、ちょっとナイーブになっているのかもしれない。
実は俺、内心色々ありすぎてショック受けてたりしてな。
自分で気づかないだけで。
ミーシャは
「そう?私は失礼だなとしか、思わなかったけどね」
扉の方角に毒づくと、パンをかじり始めた。
飯を食べた俺はミーシャにチェックして貰いながら
銀のプレートメイルと彗星剣を装備した。
その上からレインコートを羽織る。
「時間だ。じゃ、行って来るわ」
「うん。無理しちゃだめだよ」
そして意を決して、部屋の外へと出た。
ミーシャは城塞の外まで出てきて、俺を見送ってくれる。
「多分、あとでクラーゴンさんが教えてくれるだろうけど
竜がこっち来たら避難しろよ。要塞もかなり破壊されると思うぞ」
「兄さんが寝てるときに、アルデハイトからみんなと聞いたよ。
避難の仕方もバッチリ。心配しないでっ」
「よかった。じゃあ行ってくる。みんなに宜しくな」
土砂降りの中、手を振るミーシャを背にして
俺はレインコートのフードを目深に被り直し
目の前で翼を伸ばして、悠然と立っている同じくフードを被った
レインコート姿のアルデハイトに歩み寄る。
「さあ、行きましょうか」
アルデハイトはしっかりと俺の手を自分の腕に縄で括りつけると
雨を切り裂きながら急上昇する。
そして南側を見据え、水平に高速で飛び始める。
「まずはマルガ城に行きます。レインメーカーの様子を見るためです」
「任した。俺は今回はお前に言われたとおりにやる」
「助かります」
要塞の南もやはり、どこまでも続く土砂降りの雨である。
「この雨期って、この星全域なの?」
「いえ、まさか。ローレシアン王国近辺だけですよ」
「タカユキ様の居た世界と同じように
緯度や経度でそれぞれに季節や天候は違います」
「ここらって、この世界的にはどの辺りなの」
「北部寄りの中部地帯ですね」
「勉強になるな」
雑談しながらも翼を休めないアルデハイトは微笑むと、前方に指をさす。
「見えてきました。マルガ城です」
ポッカリと空に穴が開くように、その大城の周辺十数キロは晴れている。
堅牢そうな幾重にもなっている城壁の上には
黒を基調とした旗に真っ赤に何か大きく書かれたゴルスバウのものらしき旗が
いくつも揺れている。
アルデハイトは晴れた上空でホバリングしながら
「やはり、レインメーカーが周辺に居ますね。
もっと南側か……国境付近です」
と呟いて、空の果てに浮かんでいる黒雲の切れ間を眺める。
「何で居るんだ?」
「ゴルスバウのデータ収集でしょう。
とはいえ、マシーナリーが浮遊城を自由に操作できるという前提ですが」
「……?」
意味が分からん。
何で機械人マシーナリーがゴルスバウのデータを収集するんだろう。
「ふふ。今のは推測ですが、
レインメーカー周辺にガーディアンが居るのは事実ですからね」
「……???」
ガーディアンって言うと確か、浮遊城を守る防衛装置だったけか。
さらに俺の頭は混乱する。
「材料が揃いすぎているということですよ」
アルデハイトは意味ありげに言い放つと、空中でターンして、東側へと飛び始めた。
「ルクネツア城跡に向かいます」
「いよいよか……」
十分ほどそのまま高速で東に飛び続けると
次第に眼下の光景が真っ黒になっていくのが分かる。
「……なんだこれ……」
「要するにライグァークが暴れまわった後ですよ」
森の跡らしき場所が消し炭になっていて、
おそらく町があったであろう切り開かれた平地が真っ黒になっている。
殆ど平らで、消し炭状態である。
「こわいな……」
「怒れる巨大竜は天災と同じですから。
住民や獣たちは来る前に逃れたと思われます」
「少しホッとした」
人死にとかできれば無い方がいい。胸を撫で下ろしていると
ルクネツア城跡らしきものが見えてきた。
うん……やばいわ……やばすぎるだろ。
黒く漕げた穴だらけの広い城壁の中から大きな鼻の長い顔が見える。
確かに超巨大なドラゴンである。トカゲの顔を大きくして赤い鱗まみれにした上に
横にむりやり広げた感じだ。とにかく恐ろしい。
あの顔に目を開けられたら、俺はショック死する気さえする。
禍々しく黒い深紅皮の節々が紫に鈍く光る折り畳まれた
蝙蝠のもののような形状の巨大な羽根は
背後の城壁跡に立てかけてあるが、その状態ですら
片翼五十メートル近くあるんじゃなかろうか。
そのさらに後ろの破壊された城壁跡には、長いとげまみれの真っ赤な尻尾が、
まるで意志をもった蛇のようにようにうねりながら巻き付いている。
ホバリングをしてライグァークの様子を観察しているアルデハイトに
掴まっている俺は
「……でかすぎやしないか?」
と恐る恐る訊ねてみる。
「立ち上がると150メクロンあります。
尻尾を入れた体長は300をこえているはずです」
えーとおよそ百五十メートル。全長は三百メートル以上ってことか。
たしか大体そうだったはず。にしてもでけぇだろ……。
建物や機械ならまだしも、生き物でこれはありえない。
「よく立って歩けるな」
俺の住んでいた地球ではああいう百メートル超えている怪獣は
重力の関係でそもそも立ち上がれないとネットで見たことがある。
たぶんこの世界の重力は地球と同じくらいだろう。
「筋力に加えて、体内で生成する魔力
そして空気中の共鳴粒子を特殊な臓器に常時取り込みながら
支えているようです」
「……なんかすげぇな……」
「なので、エネルギーを放出しすぎると彼らは休息のため寝ます」
「なな、アルデハイト。竜って耳いいの?」
「どうでしょうか」
「いま、衝撃の告白していい?寝てるから、多分いいだろう」
「どうなされました?」
「ガーヴィー殺したの俺なんだよ」
「……!!」
アルデハイトはクールな表情を崩して一瞬愕然とした顔をする。
「はやく、言ってくだされば……」
「いや、何か言いにくくてさ。剣を教えて貰ってた師匠だったんだけど
殺してくれって言われたから、しかたなく……」
「……後で、詳しくお聴きします」
「師匠、十メートルくらいだったんだけど、何であの巨大竜と仲良かったんだろうな」
「彼等の"格"は大きさではないそうですが……」
そういったアルデハイトが広い城跡で眠っている
ライグァークに顔を向けたところで、さらに絶望的な表情をした。
……きいたぞ……貴様が我が友の仇か……流れ人よ……
周囲を震わせるような威厳のある声を放った
ライグァークは大きな顔を城壁跡から上げ
燃えるような二つの真っ赤な眼を大きく見開いて、空中に居る俺たちを
まっすぐに見つめている。
「あれ……きいたとか……あれれ……」
思わず裏返った声が出た。
震えが。全身の震えがとまらないんですがああああああ。
本能的に死を感じたらしい身体がずっと振動しているんだろうか。
頭は……冴えているな。やばすぎるからか……、
周囲の様子がいつもよりクリアに見える。
「ええ……絶望的ですね」
アルデハイトはそう述べながらも頭の中で何かを計算しなおしている。
「……よし、これでいきましょう」
そう言うが否か、アルデハイトは西のマルガ城の方角へと
最高速度で飛んで戻っていく。
背後では、ライグァークがルクネツア城の残った城壁を
ボロボロと壊して、振り払いながら
ピギアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
雲が吹き飛ぶような不快な雄たけびをあげ、立ち上がり翼を大きく広げた。
俺はその様子を驚愕してしまい、再び振り向いたらショック死しそうなので
とにかく前方だけを見ていることにした。
アルデハイトはひたすら飛び続ける。
自らのレインコートと上着を破り上半身裸になり、さらに靴も脱ぎ捨てて
「剣だけ残して、プレートメイルを脱いでください!!あと靴も!!」
と俺に焦った様子で急かしてくる。
いつの間にか二本の見事な角が頭から生えている。
擬装するのもやめたらしい。
言われたとおりにプレートメイルと靴を眼下に脱ぎ捨てる。
重量を減らして
さらにスピードアップしたアルデハイトはすぐにマルガ城周辺に到達した。
相変わらず周囲は晴れている。
背後からは巨大ドラゴンが猛スピードで追って来ているのが分かる。
俺は怖さで振り向けないが、背後から空気を伝わって振動と
大きな羽音が響くのではっきりと分かる。
マルガ城を盾にする形で、西側の城壁の死角に逃げ込んだ俺たちは
すぐにゴルスバウの兵士たちが近くの城門から大量に逃げだしていくのを見る。
城中もすぐに悲鳴に満ちだした。
「我々に、一発もエネルギー波を吐き出してこなかったので、
まだ身体は回復し切っていないようです」
「そ……そうか」
そこでアルデハイトは俺に小さく耳打ちを始める。
作戦変更の確認である。
「わかった。それでいい。早くやろう」
震えは止まったが、今度は頭が恐怖で固まり始めている。
急いだほうがいい気がする。その瞬間「ズガアアアアアアアアアアアアアア!!」
という反対側の城壁から衝撃音が聞こえる。
俺らを見失ったライグァークが城を殴って破壊し始めたようだ。
「よし、もう良いでしょう。ここまで更地にされてはたまりませんから」
あくまで冷静さを崩さないアルデハイトは羽根を思いっきり伸ばし
マルガ城の南側の曇り空へと、俺と共に一気に上昇していく。
……そこか……地の果てまでも追っていくぞ……
城の東側城壁を破壊していたライグァークは俺たちを見つけると
ピギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
と再び、地上から身の毛もよだつような叫び声をあげて飛び立つ。
……これさ、もう気を失うよね……。
そろそろ精神的におかしくなりそうなんですけど……
と俺は思いながらも、とにかく後ろを見ないようにして
アルデハイトと共にマルガ城南側の黒雲の中へと突っ込んだ。
アルデハイトは息を切らしながら羽根を羽ばたかせ、
さらに急速上昇していく。背後には再び大きな物体が追って来る気配がある。
「ありました!!!レインメーカーです!!」
おお、雨雲の中に"逆さの城"が浮いているではないか。
灰色で一辺二キロはありそうな正方形の上部が、
ただっ広く平坦になっていて、
そこから下に伸びる逆さの城壁に全体が囲まれ、
その中からは数多くの塔が……おお……。
以前見たときと同じように雨雲の下まで長く伸びている。
普段だったらビックリするだろうが、
恐怖心で、心が折れかけている今の俺には感動が薄い。
アルデハイトは逆さの城の平坦で広大な上部に素早く着地すると
「……1、2、3、4、5、よし、来ました」
カウントが終わると、城の城壁の脇から人間ほどの大きさがある蜂の様な形状の
ブゥーンという大きな羽音を響かせたロボットたちが大量に飛んでくる。
数百体は居るようだ。次々に俺たちの周囲を取り囲んでいく。
さらに全長五十メートル程はありそうな、巨大な龍のような長い緑色のロボットも
その後ろからゆったりと飛んでくる。
「ガーディアンです。剣を抜かないでくださいね。攻撃行動に反応します」
そうかこれが……。
……どこだぁ!!!!
城の下の雨雲からライグァークの恐ろしい声が響く。
「タカユキさま……」
アルデハイトが俺の肩を叩き、
俺はさっきマルガ城で教えられた通り、精一杯、空中に叫ぶ。
「我らは"凶"様の配下なり!!ゴルスバウに命じられて貴様をここまで連れてきた!!」
「ガーヴィーを殺したのも、本当は凶様だ!!」
「罠にはまったな馬鹿モノめが!!」
「……そこで高笑いです」
アルデハイトが耳打ちして教える。
「わっ、……わっはっはははははははははははははははは!!!」
必死な俺のやたらよく響く声は、雨雲の中に反響して
すぐにこちらを見つけたライグァークが
真っ赤な頭をさらにレインメーカーの上部端へと乗っけてきた。
手足のツメで逆さまの城壁に取り付いたらしく、少し全体が揺れる。
……それは本当か……
「あとはレインメーカーの、この防衛装置群が貴様を叩きのめすだろう!!!」
アルデハイトが精一杯胸を張り、ライグァークの恐ろしい顔へ向けて
指をさして、威厳のある声で叫ぶ。
俺たちの周囲のロボットたちは一斉にライグァークの方を向き
臨戦態勢に入った。すでにこちらは眼中にないらしい。
……困ったことになった……
ライグァークの巨大な顔は炎を少し吹き上げてため息をついた。
あれ、迷っているのか……。
意外とかわいいかもしれない。と俺はつい思ってしまった。
「なんだ!?来ぬのか!?怖気づいたか!!
我ら、いつでも"凶"様のために死ぬ覚悟ぞ!!」
アルデハイトは城の上部の端に大きな顔だけ出したライグァークを挑発する。
……機械人は関わると、面倒なのだ……
ライグァークがどんどん戦意を萎ませていっているのが分かる。
よかった。助かるかもしれない。
ここまで流れを読んでいたのならアルデハイトを俺は見直す。
「ならばこれでどうだ!!聞け!!巨竜よ!!」
……なんだ……わしはレインメーカーには手を出さぬぞ……
「"凶"様は貴様とゴルスバウでの決戦を望まれている!!」
「望まれているぞ!!」
俺も合いの手を入れてみる。それに頷いたアルデハイトは
「我等をここから解放すれば
"凶"様と貴様の決戦を実現させてもよい!!」
……本当か。逃げるつもりではないだろうな……
「我が"凶"様と貴様との決戦を実現させるまで
……この大尉がここに残る!!
凶様ほどではないが、彼も流れ人だ!!人質としては十分であろう」
ええええええええええ……いや……まぁ
アルデハイトが俺を選んで連れてきている時点で
そういう展開になるのは何となく分かってはいたけれど……。
身体が異常に強靭な俺は、囮とか捕虜とかそういう役にうってつけではある。
とりあえず黙って頷く。
「貴様も知っての通り、わが国はローレシアンを攻めているわけであるが!
"凶"様も当然、ご参加なされている!!
しかし、腹心である我らがお呼びすれば、必ず貴様との決戦に赴くであろう!!」
「"凶"様はガーヴィーを殺したことを誇らしげにしていたぞ!!
貴様もすぐに血祭りだ!!」
こんな感じだろうか。俺も思いついたので、再び合いの手を入れてみる。
今度は拳も振り上げる。
叫びすぎて、額から血管が浮き出ているアルデハイトが、隣で頷いた。
……
「当然決戦は、ゴルスバウ国内で行われなければならない!
その場所は国都が相応しいであろう!!貴様はそこでよいか!?」
アルデハイトがまくし立てていく。彼も必死である。
機械人がいなければ何でも良い……早く、その"凶"とやらを連れてこい……
おお、ライグァークが"凶"の名を認識したようだ。
こりゃあ、いけるな。と俺は心の中でガッツポーズをする。
その隣でアルデハイトが再び、大きく叫ぶ。
「ここには連れて来られない!!
しかし、貴様との決戦の地である国都にならば、必ず私が今から連れて行くであろう!!
そして連れて行った暁にはここまで戻ってきて、貴様をその場所まで招待しよう!
貴様も知っているであろう!!敬虔なゴルスバウ軍人はウソをつかない!!」
分かった……御託はいいから早くしろ……長くここに居たくない
アルデハイトは俺を見て頷くと、すぐに翼を広げ、雨雲の中へと飛び去っていった。
俺は数百体のロボットと対峙した巨大なドラゴンの頭に見つめられて待つ。
とりあえず立っているのも何なので座る。
アスファルトのよう地面は冷たく硬い。
ライグァークがこちらへとまったく殺気を向けていないので
恐怖心は不思議と消えうせた。
しかし、大掛かりだな。アルデハイトはよく思いついたもんだ。
というか、ライグァークが向かうゴルスバウの人民は大丈夫なのだろうか。
うん……まあそこまで考えてやる必要はないか。
一応、敵だしな。"凶"からはついこないだ殺されかけたし。
他国に攻め込めるほど強い国家なら、自国民くらい何とかするだろう。
アルデハイトが要塞まで戻って、"凶"をゴルスバウの国都まで
連れて行ってから、ここまで戻ってくるとしたら
国都までの距離は知らないが、たぶん全部やって半日くらいだろうか。
とか周囲の雨雲を眺めながら、雨に打たれてボーっと考える。
超巨大ドラゴンからは見つめられているし
緊張しすぎて、もう既にメンタルがおかしい。
すると、いつの間にか背後に何かの気配があることに気付いて振り向いた。
「あら、ライグァークさん。それに流れ人様まで」
その女性の声に振り向くと、俺の後ろに
全身銀色で目鼻口のある部分に穴が開いている
服を着ていない背の高い女性のマネキンのような人型の物体が立っていた。
……われは人を待っているだけだ……この者は人質である……
ライグァークの巨大な顔はうざったそうにそれだけ言うと目を閉じた。
「中にご案内しても良いかしら?どうせ待たれるのでしょう?」
そのマネキンもどきは
ロボットたちに囲まれて目を閉じたライグァークに訪ねる。
……好きにしろ、だが、ここからは出すなよ……
「もちろんですわ。何かお約束があるのは存じておりますわよ」
そのマネキンもどきは、顔の穴から言葉を発し
「さあ、どうぞ。お城の中へ。お茶などいかがですか」
と俺の手をとる。一瞬ためらったが、悪い感じは受けなかったので
俺はされるがままに手をとって、マネキンもどきに引き寄せられて隣に並ぶ。
すると俺たちの足元の床がいきなり円形に区切られ割れ、
そのまま床下へと下降していった。
アルデハイトがヌルッと扉を開けて入ってくる。
自然な動きでテーブルの端の椅子に着席し
「おはようございます」と一言告げ
微笑ましく、食べている俺たちを見つめる。
「なんだよ。私たち食べてるんだけど」
食べ辛くなったミーシャがアルデハイトに抗議すると
「いや、家族とはいいものだな、と」
アルデハイトはそう言って立ち上がり、窓の近くで、外の土砂降りを見つめる。
「今のうちですねぇ。雨期で本当によかった」
「そうなのか」
「舞台装置が機能すると思いますよ」
「なんでもいいけど、兄さんを無事に連れて帰ってきてよ」
アルデハイトは立ったままミーシャの方を見て
うやうやしく胸に手を当てて、頭を下げると
「外で天気を読みながら、お待ちしています。ゆっくりでかまいません」
と告げ、部屋から出て行った。
ルクネツア城に今から二人で行くのである。
もちろん目的は巨大竜のライグァークを騙しに、である。
「……わっけわかんないっ」
ミーシャがブーブーと俺にアルデハイトの文句を言う。
「……なんかさ……」
「……?」
「あいつなりに今、凄い礼を尽くしたって感じがしたよ」
何故か伝わったのだ。
とは言え、ちょっとナイーブになっているのかもしれない。
実は俺、内心色々ありすぎてショック受けてたりしてな。
自分で気づかないだけで。
ミーシャは
「そう?私は失礼だなとしか、思わなかったけどね」
扉の方角に毒づくと、パンをかじり始めた。
飯を食べた俺はミーシャにチェックして貰いながら
銀のプレートメイルと彗星剣を装備した。
その上からレインコートを羽織る。
「時間だ。じゃ、行って来るわ」
「うん。無理しちゃだめだよ」
そして意を決して、部屋の外へと出た。
ミーシャは城塞の外まで出てきて、俺を見送ってくれる。
「多分、あとでクラーゴンさんが教えてくれるだろうけど
竜がこっち来たら避難しろよ。要塞もかなり破壊されると思うぞ」
「兄さんが寝てるときに、アルデハイトからみんなと聞いたよ。
避難の仕方もバッチリ。心配しないでっ」
「よかった。じゃあ行ってくる。みんなに宜しくな」
土砂降りの中、手を振るミーシャを背にして
俺はレインコートのフードを目深に被り直し
目の前で翼を伸ばして、悠然と立っている同じくフードを被った
レインコート姿のアルデハイトに歩み寄る。
「さあ、行きましょうか」
アルデハイトはしっかりと俺の手を自分の腕に縄で括りつけると
雨を切り裂きながら急上昇する。
そして南側を見据え、水平に高速で飛び始める。
「まずはマルガ城に行きます。レインメーカーの様子を見るためです」
「任した。俺は今回はお前に言われたとおりにやる」
「助かります」
要塞の南もやはり、どこまでも続く土砂降りの雨である。
「この雨期って、この星全域なの?」
「いえ、まさか。ローレシアン王国近辺だけですよ」
「タカユキ様の居た世界と同じように
緯度や経度でそれぞれに季節や天候は違います」
「ここらって、この世界的にはどの辺りなの」
「北部寄りの中部地帯ですね」
「勉強になるな」
雑談しながらも翼を休めないアルデハイトは微笑むと、前方に指をさす。
「見えてきました。マルガ城です」
ポッカリと空に穴が開くように、その大城の周辺十数キロは晴れている。
堅牢そうな幾重にもなっている城壁の上には
黒を基調とした旗に真っ赤に何か大きく書かれたゴルスバウのものらしき旗が
いくつも揺れている。
アルデハイトは晴れた上空でホバリングしながら
「やはり、レインメーカーが周辺に居ますね。
もっと南側か……国境付近です」
と呟いて、空の果てに浮かんでいる黒雲の切れ間を眺める。
「何で居るんだ?」
「ゴルスバウのデータ収集でしょう。
とはいえ、マシーナリーが浮遊城を自由に操作できるという前提ですが」
「……?」
意味が分からん。
何で機械人マシーナリーがゴルスバウのデータを収集するんだろう。
「ふふ。今のは推測ですが、
レインメーカー周辺にガーディアンが居るのは事実ですからね」
「……???」
ガーディアンって言うと確か、浮遊城を守る防衛装置だったけか。
さらに俺の頭は混乱する。
「材料が揃いすぎているということですよ」
アルデハイトは意味ありげに言い放つと、空中でターンして、東側へと飛び始めた。
「ルクネツア城跡に向かいます」
「いよいよか……」
十分ほどそのまま高速で東に飛び続けると
次第に眼下の光景が真っ黒になっていくのが分かる。
「……なんだこれ……」
「要するにライグァークが暴れまわった後ですよ」
森の跡らしき場所が消し炭になっていて、
おそらく町があったであろう切り開かれた平地が真っ黒になっている。
殆ど平らで、消し炭状態である。
「こわいな……」
「怒れる巨大竜は天災と同じですから。
住民や獣たちは来る前に逃れたと思われます」
「少しホッとした」
人死にとかできれば無い方がいい。胸を撫で下ろしていると
ルクネツア城跡らしきものが見えてきた。
うん……やばいわ……やばすぎるだろ。
黒く漕げた穴だらけの広い城壁の中から大きな鼻の長い顔が見える。
確かに超巨大なドラゴンである。トカゲの顔を大きくして赤い鱗まみれにした上に
横にむりやり広げた感じだ。とにかく恐ろしい。
あの顔に目を開けられたら、俺はショック死する気さえする。
禍々しく黒い深紅皮の節々が紫に鈍く光る折り畳まれた
蝙蝠のもののような形状の巨大な羽根は
背後の城壁跡に立てかけてあるが、その状態ですら
片翼五十メートル近くあるんじゃなかろうか。
そのさらに後ろの破壊された城壁跡には、長いとげまみれの真っ赤な尻尾が、
まるで意志をもった蛇のようにようにうねりながら巻き付いている。
ホバリングをしてライグァークの様子を観察しているアルデハイトに
掴まっている俺は
「……でかすぎやしないか?」
と恐る恐る訊ねてみる。
「立ち上がると150メクロンあります。
尻尾を入れた体長は300をこえているはずです」
えーとおよそ百五十メートル。全長は三百メートル以上ってことか。
たしか大体そうだったはず。にしてもでけぇだろ……。
建物や機械ならまだしも、生き物でこれはありえない。
「よく立って歩けるな」
俺の住んでいた地球ではああいう百メートル超えている怪獣は
重力の関係でそもそも立ち上がれないとネットで見たことがある。
たぶんこの世界の重力は地球と同じくらいだろう。
「筋力に加えて、体内で生成する魔力
そして空気中の共鳴粒子を特殊な臓器に常時取り込みながら
支えているようです」
「……なんかすげぇな……」
「なので、エネルギーを放出しすぎると彼らは休息のため寝ます」
「なな、アルデハイト。竜って耳いいの?」
「どうでしょうか」
「いま、衝撃の告白していい?寝てるから、多分いいだろう」
「どうなされました?」
「ガーヴィー殺したの俺なんだよ」
「……!!」
アルデハイトはクールな表情を崩して一瞬愕然とした顔をする。
「はやく、言ってくだされば……」
「いや、何か言いにくくてさ。剣を教えて貰ってた師匠だったんだけど
殺してくれって言われたから、しかたなく……」
「……後で、詳しくお聴きします」
「師匠、十メートルくらいだったんだけど、何であの巨大竜と仲良かったんだろうな」
「彼等の"格"は大きさではないそうですが……」
そういったアルデハイトが広い城跡で眠っている
ライグァークに顔を向けたところで、さらに絶望的な表情をした。
……きいたぞ……貴様が我が友の仇か……流れ人よ……
周囲を震わせるような威厳のある声を放った
ライグァークは大きな顔を城壁跡から上げ
燃えるような二つの真っ赤な眼を大きく見開いて、空中に居る俺たちを
まっすぐに見つめている。
「あれ……きいたとか……あれれ……」
思わず裏返った声が出た。
震えが。全身の震えがとまらないんですがああああああ。
本能的に死を感じたらしい身体がずっと振動しているんだろうか。
頭は……冴えているな。やばすぎるからか……、
周囲の様子がいつもよりクリアに見える。
「ええ……絶望的ですね」
アルデハイトはそう述べながらも頭の中で何かを計算しなおしている。
「……よし、これでいきましょう」
そう言うが否か、アルデハイトは西のマルガ城の方角へと
最高速度で飛んで戻っていく。
背後では、ライグァークがルクネツア城の残った城壁を
ボロボロと壊して、振り払いながら
ピギアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
雲が吹き飛ぶような不快な雄たけびをあげ、立ち上がり翼を大きく広げた。
俺はその様子を驚愕してしまい、再び振り向いたらショック死しそうなので
とにかく前方だけを見ていることにした。
アルデハイトはひたすら飛び続ける。
自らのレインコートと上着を破り上半身裸になり、さらに靴も脱ぎ捨てて
「剣だけ残して、プレートメイルを脱いでください!!あと靴も!!」
と俺に焦った様子で急かしてくる。
いつの間にか二本の見事な角が頭から生えている。
擬装するのもやめたらしい。
言われたとおりにプレートメイルと靴を眼下に脱ぎ捨てる。
重量を減らして
さらにスピードアップしたアルデハイトはすぐにマルガ城周辺に到達した。
相変わらず周囲は晴れている。
背後からは巨大ドラゴンが猛スピードで追って来ているのが分かる。
俺は怖さで振り向けないが、背後から空気を伝わって振動と
大きな羽音が響くのではっきりと分かる。
マルガ城を盾にする形で、西側の城壁の死角に逃げ込んだ俺たちは
すぐにゴルスバウの兵士たちが近くの城門から大量に逃げだしていくのを見る。
城中もすぐに悲鳴に満ちだした。
「我々に、一発もエネルギー波を吐き出してこなかったので、
まだ身体は回復し切っていないようです」
「そ……そうか」
そこでアルデハイトは俺に小さく耳打ちを始める。
作戦変更の確認である。
「わかった。それでいい。早くやろう」
震えは止まったが、今度は頭が恐怖で固まり始めている。
急いだほうがいい気がする。その瞬間「ズガアアアアアアアアアアアアアア!!」
という反対側の城壁から衝撃音が聞こえる。
俺らを見失ったライグァークが城を殴って破壊し始めたようだ。
「よし、もう良いでしょう。ここまで更地にされてはたまりませんから」
あくまで冷静さを崩さないアルデハイトは羽根を思いっきり伸ばし
マルガ城の南側の曇り空へと、俺と共に一気に上昇していく。
……そこか……地の果てまでも追っていくぞ……
城の東側城壁を破壊していたライグァークは俺たちを見つけると
ピギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
と再び、地上から身の毛もよだつような叫び声をあげて飛び立つ。
……これさ、もう気を失うよね……。
そろそろ精神的におかしくなりそうなんですけど……
と俺は思いながらも、とにかく後ろを見ないようにして
アルデハイトと共にマルガ城南側の黒雲の中へと突っ込んだ。
アルデハイトは息を切らしながら羽根を羽ばたかせ、
さらに急速上昇していく。背後には再び大きな物体が追って来る気配がある。
「ありました!!!レインメーカーです!!」
おお、雨雲の中に"逆さの城"が浮いているではないか。
灰色で一辺二キロはありそうな正方形の上部が、
ただっ広く平坦になっていて、
そこから下に伸びる逆さの城壁に全体が囲まれ、
その中からは数多くの塔が……おお……。
以前見たときと同じように雨雲の下まで長く伸びている。
普段だったらビックリするだろうが、
恐怖心で、心が折れかけている今の俺には感動が薄い。
アルデハイトは逆さの城の平坦で広大な上部に素早く着地すると
「……1、2、3、4、5、よし、来ました」
カウントが終わると、城の城壁の脇から人間ほどの大きさがある蜂の様な形状の
ブゥーンという大きな羽音を響かせたロボットたちが大量に飛んでくる。
数百体は居るようだ。次々に俺たちの周囲を取り囲んでいく。
さらに全長五十メートル程はありそうな、巨大な龍のような長い緑色のロボットも
その後ろからゆったりと飛んでくる。
「ガーディアンです。剣を抜かないでくださいね。攻撃行動に反応します」
そうかこれが……。
……どこだぁ!!!!
城の下の雨雲からライグァークの恐ろしい声が響く。
「タカユキさま……」
アルデハイトが俺の肩を叩き、
俺はさっきマルガ城で教えられた通り、精一杯、空中に叫ぶ。
「我らは"凶"様の配下なり!!ゴルスバウに命じられて貴様をここまで連れてきた!!」
「ガーヴィーを殺したのも、本当は凶様だ!!」
「罠にはまったな馬鹿モノめが!!」
「……そこで高笑いです」
アルデハイトが耳打ちして教える。
「わっ、……わっはっはははははははははははははははは!!!」
必死な俺のやたらよく響く声は、雨雲の中に反響して
すぐにこちらを見つけたライグァークが
真っ赤な頭をさらにレインメーカーの上部端へと乗っけてきた。
手足のツメで逆さまの城壁に取り付いたらしく、少し全体が揺れる。
……それは本当か……
「あとはレインメーカーの、この防衛装置群が貴様を叩きのめすだろう!!!」
アルデハイトが精一杯胸を張り、ライグァークの恐ろしい顔へ向けて
指をさして、威厳のある声で叫ぶ。
俺たちの周囲のロボットたちは一斉にライグァークの方を向き
臨戦態勢に入った。すでにこちらは眼中にないらしい。
……困ったことになった……
ライグァークの巨大な顔は炎を少し吹き上げてため息をついた。
あれ、迷っているのか……。
意外とかわいいかもしれない。と俺はつい思ってしまった。
「なんだ!?来ぬのか!?怖気づいたか!!
我ら、いつでも"凶"様のために死ぬ覚悟ぞ!!」
アルデハイトは城の上部の端に大きな顔だけ出したライグァークを挑発する。
……機械人は関わると、面倒なのだ……
ライグァークがどんどん戦意を萎ませていっているのが分かる。
よかった。助かるかもしれない。
ここまで流れを読んでいたのならアルデハイトを俺は見直す。
「ならばこれでどうだ!!聞け!!巨竜よ!!」
……なんだ……わしはレインメーカーには手を出さぬぞ……
「"凶"様は貴様とゴルスバウでの決戦を望まれている!!」
「望まれているぞ!!」
俺も合いの手を入れてみる。それに頷いたアルデハイトは
「我等をここから解放すれば
"凶"様と貴様の決戦を実現させてもよい!!」
……本当か。逃げるつもりではないだろうな……
「我が"凶"様と貴様との決戦を実現させるまで
……この大尉がここに残る!!
凶様ほどではないが、彼も流れ人だ!!人質としては十分であろう」
ええええええええええ……いや……まぁ
アルデハイトが俺を選んで連れてきている時点で
そういう展開になるのは何となく分かってはいたけれど……。
身体が異常に強靭な俺は、囮とか捕虜とかそういう役にうってつけではある。
とりあえず黙って頷く。
「貴様も知っての通り、わが国はローレシアンを攻めているわけであるが!
"凶"様も当然、ご参加なされている!!
しかし、腹心である我らがお呼びすれば、必ず貴様との決戦に赴くであろう!!」
「"凶"様はガーヴィーを殺したことを誇らしげにしていたぞ!!
貴様もすぐに血祭りだ!!」
こんな感じだろうか。俺も思いついたので、再び合いの手を入れてみる。
今度は拳も振り上げる。
叫びすぎて、額から血管が浮き出ているアルデハイトが、隣で頷いた。
……
「当然決戦は、ゴルスバウ国内で行われなければならない!
その場所は国都が相応しいであろう!!貴様はそこでよいか!?」
アルデハイトがまくし立てていく。彼も必死である。
機械人がいなければ何でも良い……早く、その"凶"とやらを連れてこい……
おお、ライグァークが"凶"の名を認識したようだ。
こりゃあ、いけるな。と俺は心の中でガッツポーズをする。
その隣でアルデハイトが再び、大きく叫ぶ。
「ここには連れて来られない!!
しかし、貴様との決戦の地である国都にならば、必ず私が今から連れて行くであろう!!
そして連れて行った暁にはここまで戻ってきて、貴様をその場所まで招待しよう!
貴様も知っているであろう!!敬虔なゴルスバウ軍人はウソをつかない!!」
分かった……御託はいいから早くしろ……長くここに居たくない
アルデハイトは俺を見て頷くと、すぐに翼を広げ、雨雲の中へと飛び去っていった。
俺は数百体のロボットと対峙した巨大なドラゴンの頭に見つめられて待つ。
とりあえず立っているのも何なので座る。
アスファルトのよう地面は冷たく硬い。
ライグァークがこちらへとまったく殺気を向けていないので
恐怖心は不思議と消えうせた。
しかし、大掛かりだな。アルデハイトはよく思いついたもんだ。
というか、ライグァークが向かうゴルスバウの人民は大丈夫なのだろうか。
うん……まあそこまで考えてやる必要はないか。
一応、敵だしな。"凶"からはついこないだ殺されかけたし。
他国に攻め込めるほど強い国家なら、自国民くらい何とかするだろう。
アルデハイトが要塞まで戻って、"凶"をゴルスバウの国都まで
連れて行ってから、ここまで戻ってくるとしたら
国都までの距離は知らないが、たぶん全部やって半日くらいだろうか。
とか周囲の雨雲を眺めながら、雨に打たれてボーっと考える。
超巨大ドラゴンからは見つめられているし
緊張しすぎて、もう既にメンタルがおかしい。
すると、いつの間にか背後に何かの気配があることに気付いて振り向いた。
「あら、ライグァークさん。それに流れ人様まで」
その女性の声に振り向くと、俺の後ろに
全身銀色で目鼻口のある部分に穴が開いている
服を着ていない背の高い女性のマネキンのような人型の物体が立っていた。
……われは人を待っているだけだ……この者は人質である……
ライグァークの巨大な顔はうざったそうにそれだけ言うと目を閉じた。
「中にご案内しても良いかしら?どうせ待たれるのでしょう?」
そのマネキンもどきは
ロボットたちに囲まれて目を閉じたライグァークに訪ねる。
……好きにしろ、だが、ここからは出すなよ……
「もちろんですわ。何かお約束があるのは存じておりますわよ」
そのマネキンもどきは、顔の穴から言葉を発し
「さあ、どうぞ。お城の中へ。お茶などいかがですか」
と俺の手をとる。一瞬ためらったが、悪い感じは受けなかったので
俺はされるがままに手をとって、マネキンもどきに引き寄せられて隣に並ぶ。
すると俺たちの足元の床がいきなり円形に区切られ割れ、
そのまま床下へと下降していった。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?
N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、
生まれる世界が間違っていたって⁇
自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈
嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!!
そう意気込んで転生したものの、気がついたら………
大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い!
そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!!
ーーーーーーーーーーーーーー
※誤字・脱字多いかもしれません💦
(教えて頂けたらめっちゃ助かります…)
※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる