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驚愕の声
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数年間、カフェインを断っている。
なので、チョコレートもお茶も、コーヒーもココアも飲まない。
いや、飲みたいのだが、飲めない。
飲むとすぐに強烈な頭痛に襲われるのだ。
もちろん、何の意味も断っているわけではなくて
カフェインを断って、疲れにくくなり
イライラしないので怒りの沸点がだいぶ下がったし
頭もわりとはっきりするようになった。
ついでに言うと、夜中寝られる。
いいことづくめだが、あくまで自分の場合はです。
効果はそれぞれの体質によりけりだと思う。
前置きが長くなった。
最近、ある日、友達の家で留守番を頼まれることがあり
冷蔵庫の中身を勝手に食っていいと言われたので
なんとなく、あるスティック状のお菓子を中から取り出した。
ホワイトクリームが中に入った棒状の有名な焼き菓子だなと考えていて
カフェインは入っていないと思い込んでいた。
五本ほど中から取り出すと
その瞬間、確かに聞こえたのだ。
「えっ……」
という明らかに驚愕の声が背後からしたのだ。
女性の声だった。振り返っても当然、誰も居ない。
首を傾げて、包みを開け焼き菓子を一口齧ると
中身は、ホワイトクリームではなく
ホワイトチョコレートだった。
久しぶりに食べたので、すっかりそうだったことを忘れていた。
もったいないので、一本食べ切って残りは冷蔵庫に返したが
その後に考えると、
さっきの「えっ……」は
それそんなに食べるんだ……カフェイン入ってるのに……。
という意味で、言われたような気がして
不気味と言うか、不思議だったのを覚えている。
後日談だ。
二人で宅飲みしている時に、田中さん(仮名)にそのことを話すと
「ああ、別人格の声だろうな。誰の頭の中にも
なんかそんなん居るって説があるぜ?」
「……いや、おらんやろ」
何言ってんだとビールを飲みながら返す。
「人って一日に無意識かつ無数に思考してるんだとよ。
そしてその思考って必ずしも、同一の基準でなされているわけでなくて
バラバラの善悪とかなんだってさ」
「……うん」
「そんなバラバラの思考が、毎日無数に繰り返されたら
その矛盾の混沌の中から別の人格が出現しないほうが変だろ」
「……」
何かほんとっぽくなってきた……。
「で、別人格は、本人格と入れ替わる隙を待っているのさ。
本人格のサポートって形で、大事な体を守りながらな」
「なので、別人格の声がカフェインを食べるのを止めて来たと……」
田中さんはニヤリと笑って
「もし、お前の別人格が
無意識に沈んだ忘れられた記憶にまでアクセスできるほど有能なら?
簡単だよなぁ、カフェインが入ってるか入ってないか見分けるなんて」
少し、愕然とした後に自分はため息を吐いて
「って話を今作ったんやな?」
と田中さんを見つめると、何とも言えないニヒルな顔でこちらを見返してきた。
なので、チョコレートもお茶も、コーヒーもココアも飲まない。
いや、飲みたいのだが、飲めない。
飲むとすぐに強烈な頭痛に襲われるのだ。
もちろん、何の意味も断っているわけではなくて
カフェインを断って、疲れにくくなり
イライラしないので怒りの沸点がだいぶ下がったし
頭もわりとはっきりするようになった。
ついでに言うと、夜中寝られる。
いいことづくめだが、あくまで自分の場合はです。
効果はそれぞれの体質によりけりだと思う。
前置きが長くなった。
最近、ある日、友達の家で留守番を頼まれることがあり
冷蔵庫の中身を勝手に食っていいと言われたので
なんとなく、あるスティック状のお菓子を中から取り出した。
ホワイトクリームが中に入った棒状の有名な焼き菓子だなと考えていて
カフェインは入っていないと思い込んでいた。
五本ほど中から取り出すと
その瞬間、確かに聞こえたのだ。
「えっ……」
という明らかに驚愕の声が背後からしたのだ。
女性の声だった。振り返っても当然、誰も居ない。
首を傾げて、包みを開け焼き菓子を一口齧ると
中身は、ホワイトクリームではなく
ホワイトチョコレートだった。
久しぶりに食べたので、すっかりそうだったことを忘れていた。
もったいないので、一本食べ切って残りは冷蔵庫に返したが
その後に考えると、
さっきの「えっ……」は
それそんなに食べるんだ……カフェイン入ってるのに……。
という意味で、言われたような気がして
不気味と言うか、不思議だったのを覚えている。
後日談だ。
二人で宅飲みしている時に、田中さん(仮名)にそのことを話すと
「ああ、別人格の声だろうな。誰の頭の中にも
なんかそんなん居るって説があるぜ?」
「……いや、おらんやろ」
何言ってんだとビールを飲みながら返す。
「人って一日に無意識かつ無数に思考してるんだとよ。
そしてその思考って必ずしも、同一の基準でなされているわけでなくて
バラバラの善悪とかなんだってさ」
「……うん」
「そんなバラバラの思考が、毎日無数に繰り返されたら
その矛盾の混沌の中から別の人格が出現しないほうが変だろ」
「……」
何かほんとっぽくなってきた……。
「で、別人格は、本人格と入れ替わる隙を待っているのさ。
本人格のサポートって形で、大事な体を守りながらな」
「なので、別人格の声がカフェインを食べるのを止めて来たと……」
田中さんはニヤリと笑って
「もし、お前の別人格が
無意識に沈んだ忘れられた記憶にまでアクセスできるほど有能なら?
簡単だよなぁ、カフェインが入ってるか入ってないか見分けるなんて」
少し、愕然とした後に自分はため息を吐いて
「って話を今作ったんやな?」
と田中さんを見つめると、何とも言えないニヒルな顔でこちらを見返してきた。
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