30 / 33
時計
しおりを挟む
自室の窓枠の上に、壁掛け時計をかけている。
デザインは昔ながらの縦長木製のもので
時計のパネルの下には
振り子部屋がついていて、透明なアクリルの窓の中
鈍い金色の振り子が揺れ続けているのが見える。
飼っている猫が、窓枠を辿って
その壁掛け時計を、突っついて遊ぶことがよくあった。
当然、時計は斜めになったりする。
すると、当然一緒に斜めになった振り子の小さな音が変な調子になり
チクタクチクタクではなく、コツン、コツンコツコツ、コツン、コツンコツコツなどと
変拍子を刻みだし、寝る前に全ての音と電気を消した時
その微かな音に、自分がようやく気付き、時計の位置を垂直に直す。
などということがよくあった。
ある夜、消灯して寝ようとすると
コーン、コツコツコツコツ、チクタクチクタク
コーン、コツコツコツコツ、チクタクチクタク
異様な変拍子に驚いて電気を点けると
時計が逆さまになっていた。
逆さまに壁に張り付いていたと言えばいいか。
そして逆さなので揺れないはずの、振り子も逆さに揺れていた。
一瞬、たじろいだが
腹に力を入れて起き上がり、窓枠の上に手を伸ばし
時計を元の位置に戻して、そして再び電気を消して寝た。
時折、変なことがこの部屋では起こるので
一々、気にしてはいられないのだ。
翌朝、ガシャーン!!
という音と起きると、うちの猫が
パッとこちらを見て、部屋から逃げて行った。
よく部屋を見回すと、時計が壁から落ちて
窓の下で壊れていた。
いや、正確には振り子を囲う透明なアクリル窓が割れていて
振り子が飛び出していた。
まるで、何かの生き物が舌を出して死んでいるように。
自分は特に何も考えずに
割れたアクリル窓を全て取り除いて、ごみ袋に入れ
元の位置に時計を戻した。
それ以来、おかしなことも起こらずに
猫が時計を狙うこともなくなった。
デザインは昔ながらの縦長木製のもので
時計のパネルの下には
振り子部屋がついていて、透明なアクリルの窓の中
鈍い金色の振り子が揺れ続けているのが見える。
飼っている猫が、窓枠を辿って
その壁掛け時計を、突っついて遊ぶことがよくあった。
当然、時計は斜めになったりする。
すると、当然一緒に斜めになった振り子の小さな音が変な調子になり
チクタクチクタクではなく、コツン、コツンコツコツ、コツン、コツンコツコツなどと
変拍子を刻みだし、寝る前に全ての音と電気を消した時
その微かな音に、自分がようやく気付き、時計の位置を垂直に直す。
などということがよくあった。
ある夜、消灯して寝ようとすると
コーン、コツコツコツコツ、チクタクチクタク
コーン、コツコツコツコツ、チクタクチクタク
異様な変拍子に驚いて電気を点けると
時計が逆さまになっていた。
逆さまに壁に張り付いていたと言えばいいか。
そして逆さなので揺れないはずの、振り子も逆さに揺れていた。
一瞬、たじろいだが
腹に力を入れて起き上がり、窓枠の上に手を伸ばし
時計を元の位置に戻して、そして再び電気を消して寝た。
時折、変なことがこの部屋では起こるので
一々、気にしてはいられないのだ。
翌朝、ガシャーン!!
という音と起きると、うちの猫が
パッとこちらを見て、部屋から逃げて行った。
よく部屋を見回すと、時計が壁から落ちて
窓の下で壊れていた。
いや、正確には振り子を囲う透明なアクリル窓が割れていて
振り子が飛び出していた。
まるで、何かの生き物が舌を出して死んでいるように。
自分は特に何も考えずに
割れたアクリル窓を全て取り除いて、ごみ袋に入れ
元の位置に時計を戻した。
それ以来、おかしなことも起こらずに
猫が時計を狙うこともなくなった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
(ほぼ)1分で読める怖い話
涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話!
【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】
1分で読めないのもあるけどね
主人公はそれぞれ別という設定です
フィクションの話やノンフィクションの話も…。
サクサク読めて楽しい!(矛盾してる)
⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません
⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
心霊捜査官の事件簿 依頼者と怪異たちの狂騒曲
幽刻ネオン
ホラー
心理心霊課、通称【サイキック・ファンタズマ】。
様々な心霊絡みの事件や出来事を解決してくれる特殊公務員。
主人公、黄昏リリカは、今日も依頼者の【怪談・怪異譚】を代償に捜査に明け暮れていた。
サポートしてくれる、ヴァンパイアロードの男、リベリオン・ファントム。
彼女のライバルでビジネス仲間である【影の心霊捜査官】と呼ばれる青年、白夜亨(ビャクヤ・リョウ)。
現在は、三人で仕事を引き受けている。
果たして依頼者たちの問題を無事に解決することができるのか?
「聞かせてほしいの、あなたの【怪談】を」
最終死発電車
真霜ナオ
ホラー
バイト帰りの大学生・清瀬蒼真は、いつものように終電へと乗り込む。
直後、車体に大きな衝撃が走り、車内の様子は一変していた。
外に出ようとした乗客の一人は身体が溶け出し、おぞましい化け物まで現れる。
生き残るためには、先頭車両を目指すしかないと知る。
「第6回ホラー・ミステリー小説大賞」奨励賞をいただきました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる