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ワールドイートタワーへ
お供え物と気持ち
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光の玉が頭上を大量に飛んでいる中
飯を食べているが
もはや気が気ではない。
「お、襲ってはきませんの?」
「うん。ないない。実体はもってないから」
「とりあえず食べてしまおう」
ファイナと俺はすばやく食事をかき込んで
そして片づけを始めた。
ピグナはのん気に
「あー綺麗だなーいいなー」
などと見上げながら、ゆっくり食事している。
「な、なあ、霊魂が飛んでいるということは……」
シートに再び座ってピグナに尋ねると
「沢山死んだのかもね。ただ人かどうかは分からないよ。
中身は動物や虫や、草木や花かもしれない」
「そ、そうか」
「お花の幽霊なんてありますの?」
「レアだけどあるね。意志を持った草木の
主体が花だったら、枯れた後に
その花が霊魂になるよ」
「なんか、物悲しいですわね」
「そうかな?死んじゃえばみんな一緒って
あたしにとってはロマンティックだけどね」
死生観の話をしている二人を眺めていると
大木の幾つも開いたウロの中へと
光の玉が少しずつ吸い込まれていく。
「入っていってるな」
「そうだね。ペップちゃん起きたら尋ねてみよう」
ピグナがようやく食べ終わり片付けだすと
テントの中からペップがフラフラと出てくる。
「……酷い目にあったにゃ……」
「あ、ペップちゃん、木の穴の中どうだったの?」
「……なんか飲み物を」
ペップに水を渡すと、一気に飲み干して
「……旨いにゃ」
まだ光の玉がさ迷っている頭上を
ペップは見上げて
「真っ白な手に掴まれて、とても深いところへと
延々と引き込まれてたにゃ……」
「それでそれで?」
ピグナが食いつくと
「……そこで激しいエッチの波動を感じたにゃ……」
「……その後は無意識で全力を出して脱出したと……?」
ペップは無言で頷く。
ピグナは残念そうに肩を落として
「あまり、目ぼしい情報はないっぽいね」
「すまんにゃ」
「いや、いいのですわ。お気になさらずに
どうぞ、食べてください」
ファイナがペップ用に残していた食事を
勧める。皆で光の玉を見上げる。
食べているペップも交えて四人で話し合って
もう一度ウロの中へと入ることにした。
今度はファイナが魔界からツタの植物を召喚して
それをペップに巻き付けて
ウロの中へと単独で潜ってもらうことにする。
「問題は何か起こったときの対処法だよね……。
危機が分かったら、引っ張り出すのは
簡単だけど……」
「そうですわね。わたくしとピグナさんが
脱いで、ゴルダブル様に思いっきりキスをして
押し倒したら良いだけですわ!」
「エッチなのはいけにゃいけど、今は助かるにゃ……」
俺は黙って、何か起こればいいけど
何か起こったらペップが危ないよな……。
いや、しかし何か起これば、俺は得をする。
いやしかしペップが危険にさらされるのは……。
あああああああああああああああどうしたらいいんだああああ……。
堂々巡りで一人で平静を装いながらも悶絶していた。
そんな俺を置いて話は進んでいき
最終的には、ペップにトレーナーパイセンを一体
召喚してもらって、抱き着かせて
何かあったら、こちらへと移動してもらうことにした。
「そんなことできるにゃ?」
「うん。ペップちゃん以外の誰かが契約して
あとはトレーナーパイセンに
手伝ってもらったら、好きなだけ
トレーニングさせてやるって誓うだけだね」
「……?どういうことですの?」
「トレーナーパイセンの幸せは召喚した人にトレーニング
させることだから、好きなだけって
誓えば、代わりに何でもやってくれると思うよ。
それでね、彼らは一度召喚して、契約すると
その契約が終了するまで
冥界とこっちを自由に行き来できるから
それを利用しようと思って」
「自由に移動できるのですの?」
「無害だからこそ、やれる技だよね。
世界間の移動に殆どエネルギーを使わないからね」
「つまり、連絡役として、いいように使うってことだにゃ」
「そういうこと。で、トレーニングさせられる役は……」
三人が、まだ悩んで一人悶絶している俺を
一斉に見てくる。
三十分後。
「そうね。私が好きにあんたをトレーニングしていいんね?」
「うん……」
俺はファイナによって召喚された
一体の背の低いトレーナーパイセンと無茶な契約していた。
「代わりに私に抱き着いて、あのウロの中に一緒に潜るにゃ」
「わかったばい。何かあったら、このお兄ちゃんのところへ
移動して教えるばい」
「頼みますわ」
「悪いね。じゃあ、ペップちゃんお願い」
大木の根元近くの地面に描かれた
発光している魔法陣の中心部からから
伸びている太い赤黒いツタを体中に
巻き付けたペップの背中にトレーナーパイセンが掴まる。
ペップは次の瞬間には大木にスルスルと登り始め
まだ光の玉が吸い込まれて行っている
一番下のウロの中へと迷わずに入っていった。
魔法陣の中心部から伸びている赤黒いツタは
伸び続けていく。
俺たちはしばらく固唾を飲んで見守っていたが
三十分くらいして、何も起こらないので
飽き始めて、さらに三十分してシートを敷いて
ダラダラしだして、その一時間後には
テントに入って、ファイナとピグナは仮眠をとっていた。
俺は眠くないので、ボケッと
ウロに光の玉を吸い込んでいく大木を見上げる。
さらに二時間ほど何も起こらなかった。
魔法陣から伸びているツタは延々と伸びていく。
相変わらず小雨が木々の葉を打つ音が聞こえていて
眠くなっていき、俺もそろそろ仮眠をとるかと
寝袋の用意をしようとすると、いきなり横に
バムが立っていた。
「おお、なんかあった?」
もうバムがいきなり現れるのも慣れたものである。
「……あまり、良い判断ではないと思います」
困った顔でバムは言ってくる。
「詳しく聞かせてもらえる?」
「ウロの中へと入るのは、よくありません。
この大木は違う目的のためにあります」
バムはそれだけ言うと、フッと消えた。
「……」
俺はすぐにテントの中で寝ている二人を
起こして、今バムから警告されたことを説明した。
「……今すぐ、ペップちゃんを戻さないと」
「そうですわね……」
二人はまったく躊躇なく脱ぎ始めて
俺をシートの上に押し倒した。
押し倒されて目を瞑った。
柔らかい……そしてあったかい。
さらに頬にキスの嵐である。
いやー役得である。
完全に役得だ……。あとはペップが
なかなか戻ってこなければ……。
とファイナたちの顔を見ようと
両目を開けると、知らないモヒカンで
マッチョな浅黒いおっさんが、俺の身体の上を
裸で這いまわっていて
吐きそうになる。
ふ、二人は……慌てて辺りを見回すと
両手を組んで不機嫌そうな
バムが俺を見下ろしていた。
「まっ、待て!何かしただろ!」
バムを見て、慌てて叫ぶと
彼女は両手を広げて、大きなため息を吐いて
フッと消えた。
「なんですの?どうしたんですの?」
明らかにファイナの口調で
青髭の凄い方のマッチョなおっさんが言ってくる。
「ま、待て……待ってくれ……」
「待てないよぉ。ゴルダブル、私……もう」
今度はピグナの口調で骨太の顔のおっさんが
ドブ声ボイスで俺の首筋に酒臭い吐息をかけてくる。
その瞬間に脳が限界に達して
そしてすぐに気絶した。
気付くと、近くでファイナとピグナが
正座させられて、顔を真っ赤にしたペップに怒られていた。
ペップは怪我も衣服の乱れもなく
無事だったようだ。
「ダメだにゃ!何を考えているにゃ!
余計なエネルギーを使う余裕はないにゃ!
いくら私を助けるためだとしても
二人とも本気になりすぎだにゃ!」
ファイナとピグナをよくみると
今度は身体にモザイクのような霧がかかっていて
良く見えない。
「……」
ちょっと考えて、これもバムのせいだなと
いうのは分かる。たぶん二人は
何も着てないのだろう。
それを俺によっぽど見せたくないのか……。
俺が起き上がると、ペップがこちらを見て
「大丈夫だったかにゃ?」
「う、うん……」
近寄ろうとするとファイナがサッと
ペップの後ろに隠れて
ピグナが真っ赤な顔をして、
立ち上がってこちらを上目づかいで見てきた。
あ、そうか……モザイクで見えないから
無神経だったなと後ろを向いて
「あの、何か着てくれないかな」
と言うと、二人はササっとテントへと走って行った。
ペップに
「なあ、ちょっと話したいことがあるんだけど」
バムのことを話そうとすると
後ろから背中を叩かれて
「トレーニングせんね」
小柄なトレーナーパイセンが促してきた。
五分後。
体を横たえても腹筋しながら俺は
ペップにバムのことを話すことになる。
「バムが……ペップが……ふっふ……まだウロ……の
中に……ふっ……入ってた……ふっふ……時……にふっ……」
「うんうん。ゆっくり説明してくれにゃ」
バムは隣で一緒に軽々と三倍速で腹筋しながら
俺の話を聞いている。
「ふっふ……あの……大木は……違う……ふっふ……
目的で……ふっ……あると……」
「あんた、ちょっとトレーニング中断してよかたい。
ただ、話し終えたら腹筋五百回せんね」
トレーナーパイセンが中断を認めてくれた。
その場に寝転がって、しばらく息を整えてから
バムが来て、あの大木は違う目的のためにあると警告してきたのと
二人に押し倒されたが
二人がモヒカンマッチョなおっさんに見えていて
途中で気絶したというのと、先ほど
二人の身体にモザイク状の霧がかかっていて
まったく見えなかった、たぶんバムのせいだと
ペップに話をすると
「ふむ、つまりバムちゃんはエッチを憎むものなのかにゃ?」
「……いや、そうじゃなくて俺に二人の裸を
意地でも見せたくなかったんだと思う」
「……ふむふむ。つまりバムちゃんはゴルダブルが
好きなんだにゃ?でもエッチは避けていると……」
ペップは腕を組んで考え込んで
「バムちゃんをエッチ撲滅団の守護神に任命するにゃ!」
ビシッと天を指さして宣言した。
「……あの、余計な事説明しすぎた俺も悪いけど
どっちかというと、今の話の主な部分は
あの大木が違う目的のためにあると
バムが言ったことなんだけど……」
「それは些末なことだにゃ。バムちゃんが
エッチを憎んでいる。そこが大事だにゃ」
「う、うん……」
埒が明かないので、ファイナとピグナが
出てくるのをトレーナーパイセンに
正しいフォームを指導されながら
腹筋をしつつ待つ。
服を着て、恥ずかし気に出てきた二人に
バムが言ったこと、起こしたことを
全て説明すると、しばらく唖然とした後で
「そ、そうか、あたしたちは気持ち良かったけど」
「……大変でしたわね……」
どう気持ち良かったのか説明が聞きたいが
ペップが目を光らせているので聞かないことにして
「他の目的ってなんだと思う?」
そう尋ねて大木を見上げると、
二人も見上げて
「霊魂と大木がヒントだよね……」
「さっぱり、分かりませんわ」
近寄ってきたペップが少し考えてから
「霊魂、それの集まる大木、そして今までの
お題は全て、食事関係だったにゃ、つまり……」
「死者へのお供え物じゃにゃいのか?」
サラッと言ってきた。
残りの三人でペップを取り囲んで
「それだ!」「それですわ!」「それだね!」
「適当に言っただけにゃよ?」
俺たちはその場にシート敷いて
そして何を作ったらいいのか、即座に話し合いを始めた。
ちなみに俺は腹筋をしながらである。
「お墓とかへのお供え物って気持ちが
大事だと思いますの」
「そうだにゃ。おいしさよりも
どっちかと言うと、色鮮やかだったり
故人が好きなものを考えてお供えするにゃ」
「あたしにはよくわかんないけど
つまり、色鮮やかでこの上に飛んでる
霊魂たちが好きなものを作ればいいんだね?」
「そのためにはリサーチが必要だにゃ」
「どうするんですの?」
「直接尋ねるにゃ」
ペップはジッとピグナを見つめる。
「……はいはい。分かったよ。
できるか分かんないけど調べてみる」
俺はずっとトレーナーパイセンに見守られて
腹筋をしているのて話に全く加われないが
心の中て同意しておいた。
ピグナが大木の幹の周囲を漂う
多数の光の玉を眺めて
「うー……人間、人間、虎かな。
植物……虫、虫、虫、犬……」
しばらくブツブツと呟いてから
「あのさ……食べたいものを一まとめにするのは
たぶん無理だよ」
「色んな死者がいるにゃ?」
「うん。人間だけじゃないからね」
「どうしますか?」
三人は腹筋を続けている俺を見てくる。
「よかたい。五百ばい。次は背筋千五百たい。
あんたの筋力が回復したころに、また来るばい」
トレーナーパイセンは消えた。
俺はその場に寝転んで、しばらく深呼吸し続けて
「い、一応聞いてたけど、もう
これは自分たちの気持ちを料理で表すしかないんじゃないか?」
三人は黙って頷いた。
味よりも色鮮やかで、見ていて
救われるような気持ちになる料理を作ろうと
ペップが言い出して
その曖昧な目標へ向かって
とりあえず、作っていくことにする。
「一応、食べられるものがいいよね?
色だけの料理なら、毒物使えば
結構鮮やかにできるんだけど……」
ピグナが、色とりどりの十本ほどの小瓶を荷物から取り出して言う。
「いつの間に、そんなに集めたんだよ……」
「後々必要かなと思って」
さすが悪魔である。
「しまってくれ……それなりの味で
見た目もいい料理を作ろう」
その後、赤、黄色、緑などの色とりどりの甘い団子や
色味をつけた酒を俺たちは協力して造り上げる。
団子も酒も、一応ファイナ監修で
不味い方の味覚バージョンも作った。
気持ちが大事ということで、考えられる気遣いは
全て入れ込んだのだ。
それらの料理を大木の根元へと
ペップが闘気で近くの木々の枝を切って
組み立てた即席の祭壇へと祭る。
そしてエルフ式の、死者への弔いの言葉を
皆で一斉に読み上げたり
ハイキャッター式の
先祖である猫への敬意を示す
四つん這いでの墓参り
さらに俺の知っている手を合わせて
頭を下げる日本式のやり方から
仕舞いには悪魔の死者を憐れむ
派手な踊りまで、全てやりつくして
お供え物に弔いを捧げるが、
何も起こらなかった。
料理作成からだとすでに半日かかっている。
虚脱感で全員で座り込む。
「気持ちはつくしたよにゃ?」
「そうだね……これ以上はもう無理でしょ……」
「疲れましたわ……」
「あ、あれ……?」
俺が指さす先、
漂う無数の光の玉が一気に大木の幾つものウロの中へと
入り込み始めていく。
皆で黙って見上げていると
一番下のウロの中から、ペップを連れ去ったのと
同じものらしき、真っ白に発光する光の腕が
お供え物まで伸びてきて、そして巨大な手のひらで一気にすべて
かっさらってウロの中へと持ち去っていった。
しばらく唖然と見つめた後に
「も、もしかして成功したのかな?」
「わからないな……」
「休憩しにゃいか?」
「そうですわね、わたくしたちのご飯も作りましょう」
皆で食事を作り、それをほぼ無言で食べて
それでも何も起こらないので
しばらく休憩ということになった。
ファイナとペップはテントの中で寝始めて
俺は塗れない場所に敷かれたシートの上で
座って大木を見上げる。
隣にピグナが座ってきて
「あのさ……」
何かを言いたそうな顔をする。
「この身体、実はゴルダブルのために作ったんだよね。
でも男に見えてたり、
モザイクがかかって見られなかったんでしょ?」
「いや、もういい」
ファイナとセットなら興味はあるが
ピグナ単独だとただの悪魔である。
女子としては見れない。
「……もうよくない。ちゃんと見てよ」
「いや、いいって……」
脱ごうとするピグナを必死に止めていると
いきなり辺りに地鳴りがし始めた。
飯を食べているが
もはや気が気ではない。
「お、襲ってはきませんの?」
「うん。ないない。実体はもってないから」
「とりあえず食べてしまおう」
ファイナと俺はすばやく食事をかき込んで
そして片づけを始めた。
ピグナはのん気に
「あー綺麗だなーいいなー」
などと見上げながら、ゆっくり食事している。
「な、なあ、霊魂が飛んでいるということは……」
シートに再び座ってピグナに尋ねると
「沢山死んだのかもね。ただ人かどうかは分からないよ。
中身は動物や虫や、草木や花かもしれない」
「そ、そうか」
「お花の幽霊なんてありますの?」
「レアだけどあるね。意志を持った草木の
主体が花だったら、枯れた後に
その花が霊魂になるよ」
「なんか、物悲しいですわね」
「そうかな?死んじゃえばみんな一緒って
あたしにとってはロマンティックだけどね」
死生観の話をしている二人を眺めていると
大木の幾つも開いたウロの中へと
光の玉が少しずつ吸い込まれていく。
「入っていってるな」
「そうだね。ペップちゃん起きたら尋ねてみよう」
ピグナがようやく食べ終わり片付けだすと
テントの中からペップがフラフラと出てくる。
「……酷い目にあったにゃ……」
「あ、ペップちゃん、木の穴の中どうだったの?」
「……なんか飲み物を」
ペップに水を渡すと、一気に飲み干して
「……旨いにゃ」
まだ光の玉がさ迷っている頭上を
ペップは見上げて
「真っ白な手に掴まれて、とても深いところへと
延々と引き込まれてたにゃ……」
「それでそれで?」
ピグナが食いつくと
「……そこで激しいエッチの波動を感じたにゃ……」
「……その後は無意識で全力を出して脱出したと……?」
ペップは無言で頷く。
ピグナは残念そうに肩を落として
「あまり、目ぼしい情報はないっぽいね」
「すまんにゃ」
「いや、いいのですわ。お気になさらずに
どうぞ、食べてください」
ファイナがペップ用に残していた食事を
勧める。皆で光の玉を見上げる。
食べているペップも交えて四人で話し合って
もう一度ウロの中へと入ることにした。
今度はファイナが魔界からツタの植物を召喚して
それをペップに巻き付けて
ウロの中へと単独で潜ってもらうことにする。
「問題は何か起こったときの対処法だよね……。
危機が分かったら、引っ張り出すのは
簡単だけど……」
「そうですわね。わたくしとピグナさんが
脱いで、ゴルダブル様に思いっきりキスをして
押し倒したら良いだけですわ!」
「エッチなのはいけにゃいけど、今は助かるにゃ……」
俺は黙って、何か起こればいいけど
何か起こったらペップが危ないよな……。
いや、しかし何か起これば、俺は得をする。
いやしかしペップが危険にさらされるのは……。
あああああああああああああああどうしたらいいんだああああ……。
堂々巡りで一人で平静を装いながらも悶絶していた。
そんな俺を置いて話は進んでいき
最終的には、ペップにトレーナーパイセンを一体
召喚してもらって、抱き着かせて
何かあったら、こちらへと移動してもらうことにした。
「そんなことできるにゃ?」
「うん。ペップちゃん以外の誰かが契約して
あとはトレーナーパイセンに
手伝ってもらったら、好きなだけ
トレーニングさせてやるって誓うだけだね」
「……?どういうことですの?」
「トレーナーパイセンの幸せは召喚した人にトレーニング
させることだから、好きなだけって
誓えば、代わりに何でもやってくれると思うよ。
それでね、彼らは一度召喚して、契約すると
その契約が終了するまで
冥界とこっちを自由に行き来できるから
それを利用しようと思って」
「自由に移動できるのですの?」
「無害だからこそ、やれる技だよね。
世界間の移動に殆どエネルギーを使わないからね」
「つまり、連絡役として、いいように使うってことだにゃ」
「そういうこと。で、トレーニングさせられる役は……」
三人が、まだ悩んで一人悶絶している俺を
一斉に見てくる。
三十分後。
「そうね。私が好きにあんたをトレーニングしていいんね?」
「うん……」
俺はファイナによって召喚された
一体の背の低いトレーナーパイセンと無茶な契約していた。
「代わりに私に抱き着いて、あのウロの中に一緒に潜るにゃ」
「わかったばい。何かあったら、このお兄ちゃんのところへ
移動して教えるばい」
「頼みますわ」
「悪いね。じゃあ、ペップちゃんお願い」
大木の根元近くの地面に描かれた
発光している魔法陣の中心部からから
伸びている太い赤黒いツタを体中に
巻き付けたペップの背中にトレーナーパイセンが掴まる。
ペップは次の瞬間には大木にスルスルと登り始め
まだ光の玉が吸い込まれて行っている
一番下のウロの中へと迷わずに入っていった。
魔法陣の中心部から伸びている赤黒いツタは
伸び続けていく。
俺たちはしばらく固唾を飲んで見守っていたが
三十分くらいして、何も起こらないので
飽き始めて、さらに三十分してシートを敷いて
ダラダラしだして、その一時間後には
テントに入って、ファイナとピグナは仮眠をとっていた。
俺は眠くないので、ボケッと
ウロに光の玉を吸い込んでいく大木を見上げる。
さらに二時間ほど何も起こらなかった。
魔法陣から伸びているツタは延々と伸びていく。
相変わらず小雨が木々の葉を打つ音が聞こえていて
眠くなっていき、俺もそろそろ仮眠をとるかと
寝袋の用意をしようとすると、いきなり横に
バムが立っていた。
「おお、なんかあった?」
もうバムがいきなり現れるのも慣れたものである。
「……あまり、良い判断ではないと思います」
困った顔でバムは言ってくる。
「詳しく聞かせてもらえる?」
「ウロの中へと入るのは、よくありません。
この大木は違う目的のためにあります」
バムはそれだけ言うと、フッと消えた。
「……」
俺はすぐにテントの中で寝ている二人を
起こして、今バムから警告されたことを説明した。
「……今すぐ、ペップちゃんを戻さないと」
「そうですわね……」
二人はまったく躊躇なく脱ぎ始めて
俺をシートの上に押し倒した。
押し倒されて目を瞑った。
柔らかい……そしてあったかい。
さらに頬にキスの嵐である。
いやー役得である。
完全に役得だ……。あとはペップが
なかなか戻ってこなければ……。
とファイナたちの顔を見ようと
両目を開けると、知らないモヒカンで
マッチョな浅黒いおっさんが、俺の身体の上を
裸で這いまわっていて
吐きそうになる。
ふ、二人は……慌てて辺りを見回すと
両手を組んで不機嫌そうな
バムが俺を見下ろしていた。
「まっ、待て!何かしただろ!」
バムを見て、慌てて叫ぶと
彼女は両手を広げて、大きなため息を吐いて
フッと消えた。
「なんですの?どうしたんですの?」
明らかにファイナの口調で
青髭の凄い方のマッチョなおっさんが言ってくる。
「ま、待て……待ってくれ……」
「待てないよぉ。ゴルダブル、私……もう」
今度はピグナの口調で骨太の顔のおっさんが
ドブ声ボイスで俺の首筋に酒臭い吐息をかけてくる。
その瞬間に脳が限界に達して
そしてすぐに気絶した。
気付くと、近くでファイナとピグナが
正座させられて、顔を真っ赤にしたペップに怒られていた。
ペップは怪我も衣服の乱れもなく
無事だったようだ。
「ダメだにゃ!何を考えているにゃ!
余計なエネルギーを使う余裕はないにゃ!
いくら私を助けるためだとしても
二人とも本気になりすぎだにゃ!」
ファイナとピグナをよくみると
今度は身体にモザイクのような霧がかかっていて
良く見えない。
「……」
ちょっと考えて、これもバムのせいだなと
いうのは分かる。たぶん二人は
何も着てないのだろう。
それを俺によっぽど見せたくないのか……。
俺が起き上がると、ペップがこちらを見て
「大丈夫だったかにゃ?」
「う、うん……」
近寄ろうとするとファイナがサッと
ペップの後ろに隠れて
ピグナが真っ赤な顔をして、
立ち上がってこちらを上目づかいで見てきた。
あ、そうか……モザイクで見えないから
無神経だったなと後ろを向いて
「あの、何か着てくれないかな」
と言うと、二人はササっとテントへと走って行った。
ペップに
「なあ、ちょっと話したいことがあるんだけど」
バムのことを話そうとすると
後ろから背中を叩かれて
「トレーニングせんね」
小柄なトレーナーパイセンが促してきた。
五分後。
体を横たえても腹筋しながら俺は
ペップにバムのことを話すことになる。
「バムが……ペップが……ふっふ……まだウロ……の
中に……ふっ……入ってた……ふっふ……時……にふっ……」
「うんうん。ゆっくり説明してくれにゃ」
バムは隣で一緒に軽々と三倍速で腹筋しながら
俺の話を聞いている。
「ふっふ……あの……大木は……違う……ふっふ……
目的で……ふっ……あると……」
「あんた、ちょっとトレーニング中断してよかたい。
ただ、話し終えたら腹筋五百回せんね」
トレーナーパイセンが中断を認めてくれた。
その場に寝転がって、しばらく息を整えてから
バムが来て、あの大木は違う目的のためにあると警告してきたのと
二人に押し倒されたが
二人がモヒカンマッチョなおっさんに見えていて
途中で気絶したというのと、先ほど
二人の身体にモザイク状の霧がかかっていて
まったく見えなかった、たぶんバムのせいだと
ペップに話をすると
「ふむ、つまりバムちゃんはエッチを憎むものなのかにゃ?」
「……いや、そうじゃなくて俺に二人の裸を
意地でも見せたくなかったんだと思う」
「……ふむふむ。つまりバムちゃんはゴルダブルが
好きなんだにゃ?でもエッチは避けていると……」
ペップは腕を組んで考え込んで
「バムちゃんをエッチ撲滅団の守護神に任命するにゃ!」
ビシッと天を指さして宣言した。
「……あの、余計な事説明しすぎた俺も悪いけど
どっちかというと、今の話の主な部分は
あの大木が違う目的のためにあると
バムが言ったことなんだけど……」
「それは些末なことだにゃ。バムちゃんが
エッチを憎んでいる。そこが大事だにゃ」
「う、うん……」
埒が明かないので、ファイナとピグナが
出てくるのをトレーナーパイセンに
正しいフォームを指導されながら
腹筋をしつつ待つ。
服を着て、恥ずかし気に出てきた二人に
バムが言ったこと、起こしたことを
全て説明すると、しばらく唖然とした後で
「そ、そうか、あたしたちは気持ち良かったけど」
「……大変でしたわね……」
どう気持ち良かったのか説明が聞きたいが
ペップが目を光らせているので聞かないことにして
「他の目的ってなんだと思う?」
そう尋ねて大木を見上げると、
二人も見上げて
「霊魂と大木がヒントだよね……」
「さっぱり、分かりませんわ」
近寄ってきたペップが少し考えてから
「霊魂、それの集まる大木、そして今までの
お題は全て、食事関係だったにゃ、つまり……」
「死者へのお供え物じゃにゃいのか?」
サラッと言ってきた。
残りの三人でペップを取り囲んで
「それだ!」「それですわ!」「それだね!」
「適当に言っただけにゃよ?」
俺たちはその場にシート敷いて
そして何を作ったらいいのか、即座に話し合いを始めた。
ちなみに俺は腹筋をしながらである。
「お墓とかへのお供え物って気持ちが
大事だと思いますの」
「そうだにゃ。おいしさよりも
どっちかと言うと、色鮮やかだったり
故人が好きなものを考えてお供えするにゃ」
「あたしにはよくわかんないけど
つまり、色鮮やかでこの上に飛んでる
霊魂たちが好きなものを作ればいいんだね?」
「そのためにはリサーチが必要だにゃ」
「どうするんですの?」
「直接尋ねるにゃ」
ペップはジッとピグナを見つめる。
「……はいはい。分かったよ。
できるか分かんないけど調べてみる」
俺はずっとトレーナーパイセンに見守られて
腹筋をしているのて話に全く加われないが
心の中て同意しておいた。
ピグナが大木の幹の周囲を漂う
多数の光の玉を眺めて
「うー……人間、人間、虎かな。
植物……虫、虫、虫、犬……」
しばらくブツブツと呟いてから
「あのさ……食べたいものを一まとめにするのは
たぶん無理だよ」
「色んな死者がいるにゃ?」
「うん。人間だけじゃないからね」
「どうしますか?」
三人は腹筋を続けている俺を見てくる。
「よかたい。五百ばい。次は背筋千五百たい。
あんたの筋力が回復したころに、また来るばい」
トレーナーパイセンは消えた。
俺はその場に寝転んで、しばらく深呼吸し続けて
「い、一応聞いてたけど、もう
これは自分たちの気持ちを料理で表すしかないんじゃないか?」
三人は黙って頷いた。
味よりも色鮮やかで、見ていて
救われるような気持ちになる料理を作ろうと
ペップが言い出して
その曖昧な目標へ向かって
とりあえず、作っていくことにする。
「一応、食べられるものがいいよね?
色だけの料理なら、毒物使えば
結構鮮やかにできるんだけど……」
ピグナが、色とりどりの十本ほどの小瓶を荷物から取り出して言う。
「いつの間に、そんなに集めたんだよ……」
「後々必要かなと思って」
さすが悪魔である。
「しまってくれ……それなりの味で
見た目もいい料理を作ろう」
その後、赤、黄色、緑などの色とりどりの甘い団子や
色味をつけた酒を俺たちは協力して造り上げる。
団子も酒も、一応ファイナ監修で
不味い方の味覚バージョンも作った。
気持ちが大事ということで、考えられる気遣いは
全て入れ込んだのだ。
それらの料理を大木の根元へと
ペップが闘気で近くの木々の枝を切って
組み立てた即席の祭壇へと祭る。
そしてエルフ式の、死者への弔いの言葉を
皆で一斉に読み上げたり
ハイキャッター式の
先祖である猫への敬意を示す
四つん這いでの墓参り
さらに俺の知っている手を合わせて
頭を下げる日本式のやり方から
仕舞いには悪魔の死者を憐れむ
派手な踊りまで、全てやりつくして
お供え物に弔いを捧げるが、
何も起こらなかった。
料理作成からだとすでに半日かかっている。
虚脱感で全員で座り込む。
「気持ちはつくしたよにゃ?」
「そうだね……これ以上はもう無理でしょ……」
「疲れましたわ……」
「あ、あれ……?」
俺が指さす先、
漂う無数の光の玉が一気に大木の幾つものウロの中へと
入り込み始めていく。
皆で黙って見上げていると
一番下のウロの中から、ペップを連れ去ったのと
同じものらしき、真っ白に発光する光の腕が
お供え物まで伸びてきて、そして巨大な手のひらで一気にすべて
かっさらってウロの中へと持ち去っていった。
しばらく唖然と見つめた後に
「も、もしかして成功したのかな?」
「わからないな……」
「休憩しにゃいか?」
「そうですわね、わたくしたちのご飯も作りましょう」
皆で食事を作り、それをほぼ無言で食べて
それでも何も起こらないので
しばらく休憩ということになった。
ファイナとペップはテントの中で寝始めて
俺は塗れない場所に敷かれたシートの上で
座って大木を見上げる。
隣にピグナが座ってきて
「あのさ……」
何かを言いたそうな顔をする。
「この身体、実はゴルダブルのために作ったんだよね。
でも男に見えてたり、
モザイクがかかって見られなかったんでしょ?」
「いや、もういい」
ファイナとセットなら興味はあるが
ピグナ単独だとただの悪魔である。
女子としては見れない。
「……もうよくない。ちゃんと見てよ」
「いや、いいって……」
脱ごうとするピグナを必死に止めていると
いきなり辺りに地鳴りがし始めた。
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