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ワールド料理カップへ向けて、帝国へ
再出発
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呆然としながら寝室に戻って
用意されていたパジャマに着替えて寝た。
シュールな映画とか漫画のような
取り留めのないイメージが
次から次へと出てくる夢を
俺は夢の中で見ていた。
ピグナから揺さぶられて
起こされる。
「ゴールダブルッ行くよー。
旅券が朝一で発行されるんだー」
「……おはよう。髪型変えた?」
おさげになっている。
ピグナは恥ずかしそうに
「いいでしょ?心機一転ね」
起きると寝室のテーブルに朝食が
並べられていた。
「夜中にあたしが、竜の子供に
昨日作った分の残りを届けといたよ。
これ、残りを温めたぶんね」
「ああ、ありがとな」
「じゃあ、準備できたら屋敷の玄関に
来てよ。待ってるから!」
張り切ったピグナは出ていった。
しかし昨日のバムの身体の感触は
まだよく覚えている。
……いやいや、ダメだな。
しばらく忘れよう。きっと囚われたらダメだ。
朝食を静かに食べて、出かける準備をする。
玄関へと出ると、既に全員が準備していた。
ペップがドサッと荷物を俺に預けてくる。
「バムちゃんの背負ってた分
私とはんぶんこだにゃ!」
頷いて背負う。調理器具などが詰まっていて重い。
「泊るはずだった宿も
あたしがチェックアウトしてきたから。
旅券受け取ったら、すぐにこの街でるよ。
マクネルファーもいいね?」
「よいぞい。お母さまへの別れは済ませてきた」
「見送りはこないのかにゃ?」
「……ふ。旅が終わったらまた戻ると
言っておいた。それまでは元気でいてくれると
約束してくれたわ」
マクネルファーは二枚目な表情で言う。
「じいさん、キャラ違うにゃ。
再修正を要求するにゃ」
「ふふ、この街から離れたら、元に戻るわ」
雑談をしながら、俺たちは屋敷を出ていく。
メイドや執事たちが
数人見送りに来てくれた。
そのまま門から出て、ピグナとマクネルファーの案内で
リングルハムの役所へと向かっていく。
役所へとたどり着いて、マクネルファーが名乗ると
慌てて役人たちは、旅券を六枚持ってきてくれた。
旅券を受け取って、街を出る道中で
「そっか、バムの分もあるんだな……」
と呟くと、ピグナがニッコリした顔で
「もう忘れなよ!これからあたしが
がんばるからさ!」
その後ろからペップが邪気の無い顔で
「ピグナ、ゴルダブルのために頑張るって
張り切ってたにゃ!」
ピグナは真っ赤になって顔を伏せた。
「青春じゃのう……」
マクネルファーが残った髪を触りながら
しみじみと言う。
ずっと黙って居たファイナが
「バムさんが居ないのは、なんだか
寂しいですわ……」
言うと全員が俯いて、黙り込んだ。
俺もバムの顔がずっとチラついていた。
リングルハム郊外の森へと戻り
竜の親子が待っている場所まで歩いていくと
「おや、たった二日でご帰還かね?」
親竜が首を伸ばして不思議そうに尋ねてくる。
虹の子竜の方は、伏せて気持ちよさそうに寝ている。
「うん、色々あってね!
旅券も用意したから、ボースウェル帝国へ
連れて行ってくれない?」
ピグナが腰に手を当てながら言うと
「彼女はどうしたのだ?」
親竜はバムを大きな目で探しながら言う。
ピグナが事情を説明すると
親竜は顔を顰めた。
「つまり、あの味を出していた者が居なくなったと……」
子竜に食べさせる料理について言っているらしい。
ピグナが冷静な顔で
「いや、それは問題ないよ。あたしやゴルダブルでも
同じ味を出すことはできる」
「……ふむ。ならばボースウェル帝国へと
連れて行った後に、まずは専属コックとしての
再試験を受けて貰えないかな?」
「いいよ。とにかく連れてってよ」
ピグナがすぐに了承して
俺たちは親竜の背中へと乗り込んだ。
いよいよ、この大陸を出る時が来たようだ。
用意されていたパジャマに着替えて寝た。
シュールな映画とか漫画のような
取り留めのないイメージが
次から次へと出てくる夢を
俺は夢の中で見ていた。
ピグナから揺さぶられて
起こされる。
「ゴールダブルッ行くよー。
旅券が朝一で発行されるんだー」
「……おはよう。髪型変えた?」
おさげになっている。
ピグナは恥ずかしそうに
「いいでしょ?心機一転ね」
起きると寝室のテーブルに朝食が
並べられていた。
「夜中にあたしが、竜の子供に
昨日作った分の残りを届けといたよ。
これ、残りを温めたぶんね」
「ああ、ありがとな」
「じゃあ、準備できたら屋敷の玄関に
来てよ。待ってるから!」
張り切ったピグナは出ていった。
しかし昨日のバムの身体の感触は
まだよく覚えている。
……いやいや、ダメだな。
しばらく忘れよう。きっと囚われたらダメだ。
朝食を静かに食べて、出かける準備をする。
玄関へと出ると、既に全員が準備していた。
ペップがドサッと荷物を俺に預けてくる。
「バムちゃんの背負ってた分
私とはんぶんこだにゃ!」
頷いて背負う。調理器具などが詰まっていて重い。
「泊るはずだった宿も
あたしがチェックアウトしてきたから。
旅券受け取ったら、すぐにこの街でるよ。
マクネルファーもいいね?」
「よいぞい。お母さまへの別れは済ませてきた」
「見送りはこないのかにゃ?」
「……ふ。旅が終わったらまた戻ると
言っておいた。それまでは元気でいてくれると
約束してくれたわ」
マクネルファーは二枚目な表情で言う。
「じいさん、キャラ違うにゃ。
再修正を要求するにゃ」
「ふふ、この街から離れたら、元に戻るわ」
雑談をしながら、俺たちは屋敷を出ていく。
メイドや執事たちが
数人見送りに来てくれた。
そのまま門から出て、ピグナとマクネルファーの案内で
リングルハムの役所へと向かっていく。
役所へとたどり着いて、マクネルファーが名乗ると
慌てて役人たちは、旅券を六枚持ってきてくれた。
旅券を受け取って、街を出る道中で
「そっか、バムの分もあるんだな……」
と呟くと、ピグナがニッコリした顔で
「もう忘れなよ!これからあたしが
がんばるからさ!」
その後ろからペップが邪気の無い顔で
「ピグナ、ゴルダブルのために頑張るって
張り切ってたにゃ!」
ピグナは真っ赤になって顔を伏せた。
「青春じゃのう……」
マクネルファーが残った髪を触りながら
しみじみと言う。
ずっと黙って居たファイナが
「バムさんが居ないのは、なんだか
寂しいですわ……」
言うと全員が俯いて、黙り込んだ。
俺もバムの顔がずっとチラついていた。
リングルハム郊外の森へと戻り
竜の親子が待っている場所まで歩いていくと
「おや、たった二日でご帰還かね?」
親竜が首を伸ばして不思議そうに尋ねてくる。
虹の子竜の方は、伏せて気持ちよさそうに寝ている。
「うん、色々あってね!
旅券も用意したから、ボースウェル帝国へ
連れて行ってくれない?」
ピグナが腰に手を当てながら言うと
「彼女はどうしたのだ?」
親竜はバムを大きな目で探しながら言う。
ピグナが事情を説明すると
親竜は顔を顰めた。
「つまり、あの味を出していた者が居なくなったと……」
子竜に食べさせる料理について言っているらしい。
ピグナが冷静な顔で
「いや、それは問題ないよ。あたしやゴルダブルでも
同じ味を出すことはできる」
「……ふむ。ならばボースウェル帝国へと
連れて行った後に、まずは専属コックとしての
再試験を受けて貰えないかな?」
「いいよ。とにかく連れてってよ」
ピグナがすぐに了承して
俺たちは親竜の背中へと乗り込んだ。
いよいよ、この大陸を出る時が来たようだ。
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