料理に興味が一切ない俺が、味覚が狂った異世界に転移した

弍楊仲 二仙

文字の大きさ
上 下
46 / 133
ミチャンポ王国と漁師連合国の諍い

バムの悩み

しおりを挟む
食べ物を作って戻ってきたバムにピグナの
提案を話すと
「うーん……正直、他国に干渉するのは賛同できませんが……。
 ただ、紛争を解決できて、その結果……料理大会への参加が
 再び可能になるのなら……しかし……」
ピグナはじれったそうに

「バムちゃんって、皮パンと皮ブラだけで外出歩けるのに
 慎重すぎない?」
バムはいきなり真っ赤になって
「ち、ちが……これはうちの村の民族衣装で……」
「ほんとは、そろそろ、ちょっと恥ずかしいんでしょ?
 スカート履いてもいいのよ?ホレホレ」

バムはピグナの背中などを人差し指で突っついて
遊び始めた。バムはその手を振り払うと
「……と、とにかく慎重に事を見極めてくださいっ」
と言うと、耳まで真っ赤にして外へと走って行った。
ああ、バムはあれがずっと普通だったから気づかなかったが
確かに、殆どずっと水着姿みたいなもんだよな……。

やばい!そう思うと、ちょっと興奮してきた!
ピグナがニヤニヤしてきて
「すっごい、羞恥プレイだよねー」
と近づいてきて、我に返る。いかんいかん、悪魔に操られていたようだ……。
一度、咳払いをして
「そんなことはいいから、とにかく食べるぞ」
「はーい。あー面白かった」

その後、自分たちが食べ終わり、起こしたファイナ用に作った
不味い料理を彼女に食べさせつつ
バムが戻るのを待っていると、なんと洋服姿の彼女が
戻って来たではないか。
「あ、あの……似合ってますか?」
俺は無言で縦に何度も首を振る。かわいい。

「いーえ、野生児のバムさんは洋服など似合いません」
「そうだねー。やっぱり密かに芽生えてきた羞恥心に打ち震え続けよう」
女子二人は首を横に振って反対してくる。
「……」
バムが悲し気に俯いて部屋を出ようとしたとき

ガラっと宿泊室の窓が開いて
「ふぃーポリスは苦手だにゃ……」
いきなりペップが戻ってきた。そしてバムを見て
「……違うにゃ……そうじゃないにゃ……」
いきなりその洋服を脱がし始めた。そして再び
皮パン皮ブラのみの姿になったバムを

「服装、よし!」
と右足を上げて、両手で指さした謎のポーズをバムに向けると
「まあ、そんなことはいいんにゃ。拘置所から脱走してきたにゃ」
俺たちに向けていきなり言ってくる。
わざわざ戻ってきたようだ。

さっそくテーブルの上のに残された俺たち用の食べ物を食べて
満腹になったペップにピグナがニヤニヤしながら
先ほどの計画を話すと、嫌そうに首を横に振り
「王はあのゴリマッチョでいいにゃ……」
「ちょっと向上心足らないんじゃないのー?」
「そうですわ!我らの覇道のために王になるのです!」
洋服をはがされたバムはさっきから
俺の後ろに座って、隠れるように食べている。

「それよりも思いついたにゃ!漁師連合国を見にいかにゃいか?」

「危険じゃないのか?」
と俺が言うと、ペップは首を横に振り
「私は人間のふりをするにゃ。それであんたらは人間だから
 楽勝で見てまわれるはずだにゃ」
「ペップさん、わたくしはエルフですのよ?人間ではありません」
ペップは驚いた顔をして、ファイナの金髪を触って
その中に隠された上に尖った耳を見ると

「そうだったにゃ!?ま、まさかバムちゃんも!?」
といきなり俺の後ろに居るバムの、皮パンツの後部をまさぐり始めた。
「ちょ、ちょっとやめてください!」
怒ったバムに背後から羽交い絞めにされて
「ご、ごめんにゃ……あんまりワイルドだから
 実はハイキャッターの尻尾があるかと……」

衝撃を受けた顔のバムは羽交い絞めを力なく解くと
「……いいんです……どうせ、私は洋服の似合わないワイルドな野生児です……」
フラフラと部屋の外へと出ていった。
慌てて俺は追いかける。

宿屋の裏で膝を抱えているバムを見つけたので
「そ、そんなに気にすることはないよ。
 俺はバムの洋服、かわいいと思ったし……」
と声をかけると、バムはいきなり俺に抱きついてきた。
ドキドキしていると
「ゴルダブル様……私、どうしたらいいんでしょうか」

「……バムはどんな格好でもバムだし、大丈夫だよ」
「ゴルダブル様……」
やばい!きたああああああああああああああああ!
こ、これは来ただろ!さすがに今回ばかりはキスくらいは……。
とチラッと出てきた宿屋の裏口を見ると
しっかりと残り三人の女子の顔がのぞいていて
抱き合った俺たちを見つめている。
ファイナはちょっと膨れた怒り顔だ。

「……」
しばらく性欲と戦ったあげくに
「……バム、戻ろう……みんなも心配して来てくれてるよ」
と言うと、バムはニコッと笑って頷いた。
俺は心の中で血の涙を流しながら
平静を装って、裏口から出てきた三人と共に部屋まで
みんなで戻っていく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

日本は異世界で平和に過ごしたいようです。

Koutan
ファンタジー
2020年、日本各地で震度5強の揺れを観測した。 これにより、日本は海外との一切の通信が取れなくなった。 その後、自衛隊機や、民間機の報告により、地球とは全く異なる世界に日本が転移したことが判明する。 そこで日本は資源の枯渇などを回避するために諸外国との交流を図ろうとするが... この作品では自衛隊が主に活躍します。流血要素を含むため、苦手な方は、ブラウザバックをして他の方々の良い作品を見に行くんだ! ちなみにご意見ご感想等でご指摘いただければ修正させていただく思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 "小説家になろう"にも掲載中。 "小説家になろう"に掲載している本文をそのまま掲載しております。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

超文明日本

点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。 そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。 異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

処理中です...