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ミチャンポ王国と漁師連合国の諍い

ミチャンポ王国到着

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寝袋の中で目覚めて、モソモソと
テントの外へと出る。
四人の女子たちが焚火の跡を囲んで
座って話をしていた。

「ゴルダブル様、ペップもついてくることになりました」
気付いたバムが言ってくる。ピグナも
「あたしが説得したんだよ。ハイキャッターの仲間も
 一人くらい欲しいでしょ?」
「このネコミミはチャーミングですわねぇ。
 ヘアバンドにしたら売れるかも」
「こら!さわらにゃいで!」
どうやら女子たちの間で話がついていたらしい。

しかし、人間にエルフに悪魔に猫人か……。
大丈夫だろうか……この旅。
若干不安を覚えながらも、
まあ、有能なバムがどうにかしてくれるだろうと
俺は頼ることにした。

俺も朝食を食べて、五人で南西へと歩いていくと
山に沿って造られたような長大な長城が見えてくる。
「あれが我が国だにゃ。中でみんな生活してるにゃ」
指して、自慢げなペップの横でピグナが
「人口十万五百八人の小国だね」
「にゃ、にゃんと失礼にゃ!大国だにゃ!」

ピグナはニヤニヤしながら
「基本的には引きこもって外の世界から隔絶された国だよ」
「と、とにかく煽らないで……」
バムが慌てて間に入り、ファイナが
「ハイキャッターさんたちを見にいきますわよー!」
さっそく山道を走り出して、俺たちもついていく。

山道を登り、長城の門へとたどり着くと
三白眼でネコミミの生えた男の衛兵が近づいてきて
「ペップじゃないか。なんで人間やエルフと一緒に居るんだ?」
ペップは自慢げに
「雇われたにゃ!この人たちと私は冒険するにゃ!」
衛兵は俺たちを見回すと
「ハイキャッター訛りで喋って馬鹿にされないか?」

「ミードル、何を言ってるにゃ。ハイキャッターの誇りを持つにゃ」
ピグナがめんどくさそうに進み出てきて
「分かったから、中に入れてねー?」
「通行証はもっているか?身分がはっきりしていないと入れられないんだ」
ピグナはニヤリと笑い
懐から数枚の厚紙を出してきた。
ミードルと呼ばれた衛兵は渡されたそれらを眺めて

「うん。本物だな。通って良し。
 くれぐれもミチャンポ内では平穏に頼みます」
頭を下げてきた。
俺たちは開けられた門を通っていく。

中は、山々に沿って造られた広大な街だった。
畑や建物が切り開かれた山々の斜面に沿って延々と建てられていて
ネコミミと尻尾の生えた人たちが行きかっている。
「よく、こんな地形に街を造ろうと思い立ちましたね……」
「ハイキャッターは発想が柔軟だにゃ」

街の上下差の激しい大通りを進みながら
「ところで通行証なんてどこで発行して貰ったんだ?」
ピグナに尋ねると
「ああ、いま魔法で造ったんだよ。
 無いと面倒でしょ?」
「……」
さすが悪魔としか言えない。

その後、俺たちは宿を探して泊まることにした。
二部屋取ったうちの片方の部屋に五人で集まり
今後どうするか作戦会議をはじめる。
「そもそも、何しに来たんだにゃ?」
不思議そうに尋ねるペップに、ピグナが

「この国を乗っ取ろうと思って」
ニヤニヤしながら言ってしまう。ペップは首を傾げて
「どうやって乗っ取るんだにゃ?」
「漁師連合国と定期的に紛争してるでしょ?
 それに乗じて何とかならないかなと」

「うーむ。難しいとおもうにゃよ?この国の王様は強いにゃ。
 ムキムキマッチョで戦いでもいつも先頭で突っ込むにゃ」
「いや、というかペップはこの話が気にならないのか?」
「冗談で言ってるんだにゃ?」
バムが慌てて
「も、もちろんそうですよ」
「違いますわ!私たちは覇道を……むがんぐ……」
ファイナの口をバムと二人で塞ぐ。

「まあ、とにかくミチャンポ王国を色々と探索してみない?
 面白い話がきけるかもよー?」
ピグナがニヤニヤと言ってきて
俺とバムは不安げに頷く。
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