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バルナングス共和国編
水浴び
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数日、西へと進んでいくと
ファイナが急に水浴びがしたいと言い出した。
「……あの、ファイナさん……。
汗臭いのが嫌なのはわかりますが
私たちは気にしませんし、他の旅人と
すれ違ったりもしませんよ?」
バムが呆れた顔で諭すが、
ファイナは首を大きく横に振って
「毎日のお風呂は命の洗濯ですわ。
貴族としての嗜みでもあります。
それに……ゴルダブル様に……」
急にモジモジしだしたファイナに
バムもハッと気づいた顔をして
「あ、あの……もしかして私
臭いですか……?」
小さな声で尋ねてくる。
ファイナとバムの二人に真剣な顔で
見上げられて俺は答えに詰まる。
俺も含めて、三人とも
土と汗の匂いがするとは思うが
別に臭いとは思わない。
中学の時の野球部の部室のが酷く汗臭かった。
しかし……ここで答えを間違うと女子二人を
深く傷つけることになりそうである。
数秒死ぬ気で頭を回した挙句に
「俺はまったく気にならないけど
二人がそんなに言うなら
近くの山で綺麗な川でも探して洗わないか?」
フォローもしつつ、解決策を提示するという
解答をしてみた。
「そうですわね!この際、水でもいいですわ!」
ファイナはニカッと笑い、バムもホッとした顔をする。
俺も心の中で心底安心する、正解だったようだ。
こういう時に女子への答えを間違うと後が怖い。
大学で多数経験済みである。
「まだですのー?」
文句しか言わないファイナを宥めながら
三人で山道に入って、川を探す。
バムがいきなり立ち止まり
山林の木々の先を見つめると
「ありました。行きましょう」
と藪の中へと分け入っていく。
俺は藪の中を歩きたくないというファイナを背負って
それについていく。
五分ほど藪と山林を分け入って進むと
いきなり視界が開けて
悪くない深さと水量の川が見つかった。
ファイナはそれを見た瞬間に
背中から飛び降りて、服を脱ぎ散らかしながら
「みなさん、さすがですわー!」
川へと駆け出していく。
俺はそれを唖然として眺めていると
顔を真っ赤にしたバムが
「ダメです。いけません」
とサッと目の前を両手で塞いできた。
「う、うん……すいません……」
さすがに見せろとは言えないので
俺は少し離れた川の下流で
身体を洗うことにする。
確かに相当に汚れていたようで
石鹸が無いのでタオルでこすっていたら
辺りの水が真っ黒になるくらいだった。
そして俺は衝撃の事実に気づいてしまう。
こ、ここは下流である。
つまり、上流から、身体を洗う女子たちの色んなものが
流れ……いや、キモイな。
さすがにキモ過ぎるわ。何考えてんだ俺。
変な世界に飛ばされて、疲れてるかもしれないけど
そこまで自分を貶めることは無いぞ。
首を横に振りながら川から出て
身体を拭いて、服を着ていると
微かに近くの茂みが揺れた。
なんだ……?
と眺めていると、揺れが収まったので
野生動物が隠れてたんだろうなと思いながら
サッパリとした顔で、ゆっくりとしていると
「キャー!!」
という女子たちの声が上流から響いてきた。
焦りながら走って行くと
薄汚い格好で髭面を生やした五人の
明らかに盗賊たちに囲まれた
全裸のファイナが
怯えるどころか嬉々とした顔で
魔法大会で唱えて失格になった例の禁呪を
唱えていているではないか。
バムは近くで必死に服を着ると
焦った顔で盗賊たちに殴り掛かっていく。
俺もこのままではファイナでは無く
盗賊たちの命に重大な危険が及ぶのが明らかなので
近くに転がっていた太い枝を両手に握りしめて
盗賊たちに後ろから殴り掛かっていく。
必死に枝を振り回して
盗賊たちと乱闘していると
バムがさすがの働きで、次々に彼らを失神させていって
一分も経たないうちに、全て河原にノックダウンさせていた。
ファイナが真っ赤な顔でバムに
「バムさん!わたくし言いましたわよね!?
悪人たちには自ら天罰を下すと!」
詰め寄る。当然、全裸である。
俺は盗賊たちにボコボコに殴られた
全身の鈍い痛みを感じながら
喚いているファイナを眺める。
なんだこれ、すげぇな……なんだこれ……。
役得というものか……そうか……。
とファイナを眺めていると
バムが気付いた顔で、俺にサッと近寄ってきて
後ろを向かせた。
「あの……」
「ダメです」
「そうですよね……」
俺はトボトボと下流の方に歩いて行って
バムがファイナを落ち着けて
服を着せるのを待った。
俺が痛めつけられているので
その近くでキャンプということになった。
盗賊たちはバムが近くの街道まで数人纏めて
二回ほど引きずっていき
縛って置いてきたそうだ。
一応盗賊たちが戻ってきたら困るので
見つかりにくそうな崖に囲まれた場所に
テントを張って、その中で体を休める。
外からはバムが作っている暖かな食事の良い匂いがして
それにまだ機嫌の悪いファイナが
「臭すぎますわ!もっと何とかなりませんこと!?」
と文句をつけているのが聞こえる。
ファイナが急に水浴びがしたいと言い出した。
「……あの、ファイナさん……。
汗臭いのが嫌なのはわかりますが
私たちは気にしませんし、他の旅人と
すれ違ったりもしませんよ?」
バムが呆れた顔で諭すが、
ファイナは首を大きく横に振って
「毎日のお風呂は命の洗濯ですわ。
貴族としての嗜みでもあります。
それに……ゴルダブル様に……」
急にモジモジしだしたファイナに
バムもハッと気づいた顔をして
「あ、あの……もしかして私
臭いですか……?」
小さな声で尋ねてくる。
ファイナとバムの二人に真剣な顔で
見上げられて俺は答えに詰まる。
俺も含めて、三人とも
土と汗の匂いがするとは思うが
別に臭いとは思わない。
中学の時の野球部の部室のが酷く汗臭かった。
しかし……ここで答えを間違うと女子二人を
深く傷つけることになりそうである。
数秒死ぬ気で頭を回した挙句に
「俺はまったく気にならないけど
二人がそんなに言うなら
近くの山で綺麗な川でも探して洗わないか?」
フォローもしつつ、解決策を提示するという
解答をしてみた。
「そうですわね!この際、水でもいいですわ!」
ファイナはニカッと笑い、バムもホッとした顔をする。
俺も心の中で心底安心する、正解だったようだ。
こういう時に女子への答えを間違うと後が怖い。
大学で多数経験済みである。
「まだですのー?」
文句しか言わないファイナを宥めながら
三人で山道に入って、川を探す。
バムがいきなり立ち止まり
山林の木々の先を見つめると
「ありました。行きましょう」
と藪の中へと分け入っていく。
俺は藪の中を歩きたくないというファイナを背負って
それについていく。
五分ほど藪と山林を分け入って進むと
いきなり視界が開けて
悪くない深さと水量の川が見つかった。
ファイナはそれを見た瞬間に
背中から飛び降りて、服を脱ぎ散らかしながら
「みなさん、さすがですわー!」
川へと駆け出していく。
俺はそれを唖然として眺めていると
顔を真っ赤にしたバムが
「ダメです。いけません」
とサッと目の前を両手で塞いできた。
「う、うん……すいません……」
さすがに見せろとは言えないので
俺は少し離れた川の下流で
身体を洗うことにする。
確かに相当に汚れていたようで
石鹸が無いのでタオルでこすっていたら
辺りの水が真っ黒になるくらいだった。
そして俺は衝撃の事実に気づいてしまう。
こ、ここは下流である。
つまり、上流から、身体を洗う女子たちの色んなものが
流れ……いや、キモイな。
さすがにキモ過ぎるわ。何考えてんだ俺。
変な世界に飛ばされて、疲れてるかもしれないけど
そこまで自分を貶めることは無いぞ。
首を横に振りながら川から出て
身体を拭いて、服を着ていると
微かに近くの茂みが揺れた。
なんだ……?
と眺めていると、揺れが収まったので
野生動物が隠れてたんだろうなと思いながら
サッパリとした顔で、ゆっくりとしていると
「キャー!!」
という女子たちの声が上流から響いてきた。
焦りながら走って行くと
薄汚い格好で髭面を生やした五人の
明らかに盗賊たちに囲まれた
全裸のファイナが
怯えるどころか嬉々とした顔で
魔法大会で唱えて失格になった例の禁呪を
唱えていているではないか。
バムは近くで必死に服を着ると
焦った顔で盗賊たちに殴り掛かっていく。
俺もこのままではファイナでは無く
盗賊たちの命に重大な危険が及ぶのが明らかなので
近くに転がっていた太い枝を両手に握りしめて
盗賊たちに後ろから殴り掛かっていく。
必死に枝を振り回して
盗賊たちと乱闘していると
バムがさすがの働きで、次々に彼らを失神させていって
一分も経たないうちに、全て河原にノックダウンさせていた。
ファイナが真っ赤な顔でバムに
「バムさん!わたくし言いましたわよね!?
悪人たちには自ら天罰を下すと!」
詰め寄る。当然、全裸である。
俺は盗賊たちにボコボコに殴られた
全身の鈍い痛みを感じながら
喚いているファイナを眺める。
なんだこれ、すげぇな……なんだこれ……。
役得というものか……そうか……。
とファイナを眺めていると
バムが気付いた顔で、俺にサッと近寄ってきて
後ろを向かせた。
「あの……」
「ダメです」
「そうですよね……」
俺はトボトボと下流の方に歩いて行って
バムがファイナを落ち着けて
服を着せるのを待った。
俺が痛めつけられているので
その近くでキャンプということになった。
盗賊たちはバムが近くの街道まで数人纏めて
二回ほど引きずっていき
縛って置いてきたそうだ。
一応盗賊たちが戻ってきたら困るので
見つかりにくそうな崖に囲まれた場所に
テントを張って、その中で体を休める。
外からはバムが作っている暖かな食事の良い匂いがして
それにまだ機嫌の悪いファイナが
「臭すぎますわ!もっと何とかなりませんこと!?」
と文句をつけているのが聞こえる。
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