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アルファという者は総じてプライドが高い。
それは人の上に立つが故の責任からか、はたまたアルファだとちやほやされてきたかは判別できないが、アルファとは一般的に見下されるのを嫌う。
また上位者の傲慢で、自分の意思に反する行いも同時に腹立たしいものになる。
それはもちろん、恐神 蓮治にも当てはまる。
「 …逃げた。」
と短く言葉にした蓮治だがその胸の内は激しい怒りが渦巻いていた。
今まで蓮治は人に逆らわれるという経験を殆どしたことはない。
オメガでも、ベータでも、たとえ同じアルファであっても
王に近いとされる蓮治には気を使い、皆へりくだっていた。
あれはそんな態度を微塵もとらなかった。
先ほどまで蓮治が目線を交わしていた存在に蓮治は怒りと同時に
動揺と焦りを感じていた。
なぜ効かない。なぜ効かなかった。
上位のアルファは下のものを従わせる威光をもつ。
それだけではなく、目を合わせれば確実に相手を魅了する眼光をも持つ。
蓮治は本棚越しに見た彼に無意識にそれらを全力で発動していた。
相手が強いからではない。逃がせないと本能で感じたからだ。
こいつは俺の特別だ。
そう思ったから囲い込むための網を巡らせるようにαのフェロモンを全力で放出し
蜘蛛の巣を張り巡らせるように彼を取り囲んだ。
そして、動きを止めるために眼光を使いじっと凝視した。
なのに
彼は目を反らし蓮治のそれらを嘲笑うように逃げて行った。
完全な蓮治の敗北。
アルファの、次期王候補とまで言われた蓮治を手のひらで転がしたのである。
こんな屈辱は初めてだった。
ベータのような平凡な容姿のくせに、蓮治の目に写った瞬間に蓮治の何かを捉えた。
動けなくなったのは蓮治で、相手は嫌そうに顔をそらした。
そして、待ってほしいという蓮治の心境など顧みずに去っていった。
まるで関わるつもりなどないといった態度で。
こんなに屈辱的で、コケにされたのは蓮治の人生において初めてだった。
アルファという者は総じてプライドが高い。
それは人の上に立つが故の責任からか、はたまたアルファだとちやほやされてきたかは判別できないが、アルファとは一般的に見下されるのを嫌う。
また上位者の傲慢で、自分の意思に反する行いも同時に腹立たしいものになる。
それはもちろん、恐神 蓮治にも当てはまる。
「 …逃げた。」
と短く言葉にした蓮治だがその胸の内は激しい怒りが渦巻いていた。
今まで蓮治は人に逆らわれるという経験を殆どしたことはない。
オメガでも、ベータでも、たとえ同じアルファであっても
王に近いとされる蓮治には気を使い、皆へりくだっていた。
あれはそんな態度を微塵もとらなかった。
先ほどまで蓮治が目線を交わしていた存在に蓮治は怒りと同時に
動揺と焦りを感じていた。
なぜ効かない。なぜ効かなかった。
上位のアルファは下のものを従わせる威光をもつ。
それだけではなく、目を合わせれば確実に相手を魅了する眼光をも持つ。
蓮治は本棚越しに見た彼に無意識にそれらを全力で発動していた。
相手が強いからではない。逃がせないと本能で感じたからだ。
こいつは俺の特別だ。
そう思ったから囲い込むための網を巡らせるようにαのフェロモンを全力で放出し
蜘蛛の巣を張り巡らせるように彼を取り囲んだ。
そして、動きを止めるために眼光を使いじっと凝視した。
なのに
彼は目を反らし蓮治のそれらを嘲笑うように逃げて行った。
完全な蓮治の敗北。
アルファの、次期王候補とまで言われた蓮治を手のひらで転がしたのである。
こんな屈辱は初めてだった。
ベータのような平凡な容姿のくせに、蓮治の目に写った瞬間に蓮治の何かを捉えた。
動けなくなったのは蓮治で、相手は嫌そうに顔をそらした。
そして、待ってほしいという蓮治の心境など顧みずに去っていった。
まるで関わるつもりなどないといった態度で。
こんなに屈辱的で、コケにされたのは蓮治の人生において初めてだった。
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