子供達と老夫婦

よしだひろ

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子供達と老夫婦

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 その村の子供達は2つのグループに分かれて対立していました。悟君のグループと義男君のグループです。
 クラスで班分けをする時も必ず同じグループ同士で班を作ったり、放課後遊ぶのも同じグループの友達としか遊びませんでした。
 何かにつけて対立するので村の人達も困っていました。
 そんなある日、この村に老夫婦が引っ越して来ました。お爺さんもお婆さんも百歳近いご老人です。
 村の大人達が引っ越しのお手伝いをすると言うので、悟君も一緒に手伝いました。老夫婦はとても喜んでいました。
 次の日悟君は学校でその事を自慢げに話しました。もちろんこれは義男君のグループへのアピールでした。
「良い事をすると気持ちがいいなぁ」
 悟君はみんなに聞こえるように大きな声で言いました。義男君は悔しく思いました。
 別の日、老夫婦が歩いていました。お爺さんが重たそうに荷物を背負っています。義男君がたまたまそこへ通りかかりました。
「お爺さん。その荷物貸して。僕が運ぶよ」
 義男君は重たい荷物を持って老夫婦の家まで一緒に行きました。
「ありがとう。助かったよ」
 次の日義男君は学校でその事を自慢げに話しました。もちろんこれは悟君のグループへのアピールでした。
「良い事をすると気持ちがいいなぁ」
 義男君はみんなに聞こえるように大きな声で言いました。悟君は悔しく思いました。
 その日からそれぞれのグループは良い事をした自慢をするようになりました。
 そんなある日、老夫婦が買い物をして帰る途中の事です。たまたま老夫婦と悟君と義男君が鉢合わせしました。
 悟君と義男君はお婆さんが重たそうに持ってる買い物袋を見て咄嗟に駆け寄ります。
「お婆さん。その袋僕が持つよ」
「いや、僕が持つよ」
 二人は言い争い袋を奪い合いました。もみ合ってるうちに買い物袋が破けて中身がバラバラと放り出されてしまいました。
 それを見たお婆さんは二人を叱るでもなくこう言いました。
「皆んなが仲良くしていれば、もっと楽しく過ごせるのにねぇ」
 悟君と義男君は申し訳ない気持ちになりました。
 後日二人とそのグループのメンバーは校庭に集まりました。
「思えば僕らは何で対立してたんだ?」
 誰も答えられません。
「そうなんだ。僕らは理由もなく対立してたんだよ。これじゃいけない。僕らは仲直りして一緒の友達になろうと思う」
 その日以降悟君グループと義男君グループは仲良くなり、老夫婦だけでなく村中のお手伝いをするようになりました。村は子供達の笑い声が絶えない良い村になりました。
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