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「ハハ…
二人とも、ありがとうございます。
うまくいけば合格なんですが、これは、結果が出ないと返事はできません。
あと、今の会社から離れることは、一度も考えたことはありません。
でも、もし、俺と同じような境遇の人が働ける環境を少しでも増やせるのなら、受けてみようと思います。
…これが、俺の返事です」
嬉しい。
それ以上に、一人じゃないんだって心強く感じる。
彼の父親も、理解をしてくれているようで、本当にありがたかった。
体調の方も順調で、メンタルが思った以上に影響していることに気付いたのは、医師からの一言だった。
「なにか、変化があったのかな?今までとは、違ってすぐにでも受けることは可能だよ。
…どうしますか?」
説明などを受けて投薬の予約をして帰宅をすると、珍しく篤紀が先に帰っていた。
「…どうだった?」
俺の結果が気になっていたようで、その心配そうな顔を見て、思わず笑ってしまった。
「ふふふ、ありがとう。
でも、そんなに心配したら、当日とかもっと大変だぞ?
胃に穴があくんじゃないの?」
ちょっと大げさだけど、冗談を言えるだけ気持ちに余裕があると思ってもらいたかった。
病院での説明を、篤紀にも話して、理解してもらう。
これも、俺にとっては、すごく嬉しいことだ。
検査の一つ一つの工程を話す中で、篤紀の反応が、面白かったのだ。
「え?血液をそんなに採るの?」
「…何回、注射をしたらいいんだ…」
「この時に、顔を拭いたりとかできるのかな?」
彼の表情一つ一つが、俺の宝物だ。
俺が、顔を緩ませて彼を見ていることに、篤紀はやっときづいたみたいだ。
「…ごめん、隼人はこれを、全部受けるんだもんな…強いな…」
そんなことはないと、
「違うよ、こうやって楽しい話をするだろ?
それを、想い出すんだよ。
血をとってるとき、こんなことを言ってたな。とか。
注射をするたびに、数を数えたり。
でも、それは辛いことじゃなくなるんだから、篤紀のおかげ…かな?」
その言葉を聞いて、篤紀がフルフルと震えている。
「?どうした?-!?!?うわって、ちょっと、ちょっと!!」
ガタンと椅子から立ち上がった篤紀は、俺を抱えて、また椅子に座る。
二人とも、ありがとうございます。
うまくいけば合格なんですが、これは、結果が出ないと返事はできません。
あと、今の会社から離れることは、一度も考えたことはありません。
でも、もし、俺と同じような境遇の人が働ける環境を少しでも増やせるのなら、受けてみようと思います。
…これが、俺の返事です」
嬉しい。
それ以上に、一人じゃないんだって心強く感じる。
彼の父親も、理解をしてくれているようで、本当にありがたかった。
体調の方も順調で、メンタルが思った以上に影響していることに気付いたのは、医師からの一言だった。
「なにか、変化があったのかな?今までとは、違ってすぐにでも受けることは可能だよ。
…どうしますか?」
説明などを受けて投薬の予約をして帰宅をすると、珍しく篤紀が先に帰っていた。
「…どうだった?」
俺の結果が気になっていたようで、その心配そうな顔を見て、思わず笑ってしまった。
「ふふふ、ありがとう。
でも、そんなに心配したら、当日とかもっと大変だぞ?
胃に穴があくんじゃないの?」
ちょっと大げさだけど、冗談を言えるだけ気持ちに余裕があると思ってもらいたかった。
病院での説明を、篤紀にも話して、理解してもらう。
これも、俺にとっては、すごく嬉しいことだ。
検査の一つ一つの工程を話す中で、篤紀の反応が、面白かったのだ。
「え?血液をそんなに採るの?」
「…何回、注射をしたらいいんだ…」
「この時に、顔を拭いたりとかできるのかな?」
彼の表情一つ一つが、俺の宝物だ。
俺が、顔を緩ませて彼を見ていることに、篤紀はやっときづいたみたいだ。
「…ごめん、隼人はこれを、全部受けるんだもんな…強いな…」
そんなことはないと、
「違うよ、こうやって楽しい話をするだろ?
それを、想い出すんだよ。
血をとってるとき、こんなことを言ってたな。とか。
注射をするたびに、数を数えたり。
でも、それは辛いことじゃなくなるんだから、篤紀のおかげ…かな?」
その言葉を聞いて、篤紀がフルフルと震えている。
「?どうした?-!?!?うわって、ちょっと、ちょっと!!」
ガタンと椅子から立ち上がった篤紀は、俺を抱えて、また椅子に座る。
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