11 / 45
11
しおりを挟む
―!?
「ご、ごめん!
…嬉しくてさ…。
でも、言われてみて、俺も気が付いたことがある。
思い出さないって言うのはたぶん無理。
時期が来たら、たぶん考えるだろうし、親も、カリカリするだろうし。
友達は…まぁ、ずっと死ぬまで一緒ってこともないし。
大学入るまでに、ダブっている奴だって他の理由で入る奴だっていると思うからさ。
そう考えたら、少し気分も変わったかな…
俺、篤紀の傍にいてもいいかな?」
顔の涙を篤紀の手で拭われる。
「はぁ‥‥
キスできないのって、辛い…」
―!!
篤紀の言葉に、俺はただ、口をパクパクとしてしまう。
「そんなこと、言われても…」
一応、口元を手で抑えて守る仕草をする俺を、見て笑う。
「はは、必死だ」
頷いて反論させてもらう。
「だって、また会えなくなるのも嫌だし、俺が追いかけるのに一年もかかるんだから…
嫌に決まってるだろう?」
俺の言葉に、急に篤紀が真っ赤になる。
「ねぇ…自分で言ってて恥ずかしくない?」
―?
長いため息をつかれて
「天然…」
と篤紀に言われた。
―!!
「どこが?」
と聞くけど、恥ずかしいからと教えてくれない。
納得はできないが、迷惑そうではないから許してくれるのかもしれない。
「ノートの連絡先とか、俺さぁ。
この前の図書館の時に初めて見たんだ。
だけど、篤紀には彼女がいると思ってたし‥それに…」
だんだんと小声になってしまうが、仕方がない。
だって、今は、俺も自分で言っていることを解釈して言葉に詰まる。
「-!ほら、無自覚でそんなことを言ってるんだよ?
はぁ…これから大変かも…」
抱き寄せられすっぽりと俺は篤紀の胸に抱かれてしまっている。
彼の学校の制服の胸章がすぐ目の前にある。
金色の糸で丁寧な仕事で作られた刺繍の胸章。
電車の中では、朝日でそれが光って見える。
これを見ると、あの時のドキドキがよみがえってくるようだ。
篤紀と俺はお互いに連絡先を交換した。
でも、それは形だけの交換。
用事がなければこの図書館で会うことを約束した。
篤紀の学校は、生徒の自主性を重んじる場所だ。
だから、一人で暮らしたり門限とかもあるのだろう。
詳しくはわからない。
でも、無理をしないということだけは、お互いの決め事としていた。
「ご、ごめん!
…嬉しくてさ…。
でも、言われてみて、俺も気が付いたことがある。
思い出さないって言うのはたぶん無理。
時期が来たら、たぶん考えるだろうし、親も、カリカリするだろうし。
友達は…まぁ、ずっと死ぬまで一緒ってこともないし。
大学入るまでに、ダブっている奴だって他の理由で入る奴だっていると思うからさ。
そう考えたら、少し気分も変わったかな…
俺、篤紀の傍にいてもいいかな?」
顔の涙を篤紀の手で拭われる。
「はぁ‥‥
キスできないのって、辛い…」
―!!
篤紀の言葉に、俺はただ、口をパクパクとしてしまう。
「そんなこと、言われても…」
一応、口元を手で抑えて守る仕草をする俺を、見て笑う。
「はは、必死だ」
頷いて反論させてもらう。
「だって、また会えなくなるのも嫌だし、俺が追いかけるのに一年もかかるんだから…
嫌に決まってるだろう?」
俺の言葉に、急に篤紀が真っ赤になる。
「ねぇ…自分で言ってて恥ずかしくない?」
―?
長いため息をつかれて
「天然…」
と篤紀に言われた。
―!!
「どこが?」
と聞くけど、恥ずかしいからと教えてくれない。
納得はできないが、迷惑そうではないから許してくれるのかもしれない。
「ノートの連絡先とか、俺さぁ。
この前の図書館の時に初めて見たんだ。
だけど、篤紀には彼女がいると思ってたし‥それに…」
だんだんと小声になってしまうが、仕方がない。
だって、今は、俺も自分で言っていることを解釈して言葉に詰まる。
「-!ほら、無自覚でそんなことを言ってるんだよ?
はぁ…これから大変かも…」
抱き寄せられすっぽりと俺は篤紀の胸に抱かれてしまっている。
彼の学校の制服の胸章がすぐ目の前にある。
金色の糸で丁寧な仕事で作られた刺繍の胸章。
電車の中では、朝日でそれが光って見える。
これを見ると、あの時のドキドキがよみがえってくるようだ。
篤紀と俺はお互いに連絡先を交換した。
でも、それは形だけの交換。
用事がなければこの図書館で会うことを約束した。
篤紀の学校は、生徒の自主性を重んじる場所だ。
だから、一人で暮らしたり門限とかもあるのだろう。
詳しくはわからない。
でも、無理をしないということだけは、お互いの決め事としていた。
0
お気に入りに追加
75
あなたにおすすめの小説
桜吹雪と泡沫の君
叶けい
BL
4月から新社会人として働き始めた名木透人は、高校時代から付き合っている年上の高校教師、宮城慶一と同棲して5年目。すっかりお互いが空気の様な存在で、恋人同士としてのときめきはなくなっていた。
慣れない会社勤めでてんてこ舞いになっている透人に、会社の先輩・渡辺裕斗が合コン参加を持ちかける。断り切れず合コンに出席した透人。そこで知り合った、桜色の髪の青年・桃瀬朔也と運命的な恋に落ちる。
だが朔也は、心臓に重い病気を抱えていた。
明日、君は僕を愛さない
山田太郎
BL
昨日自分を振ったはずの男が帰ってきた。ちょうど一年分の記憶を失って。
山野純平と高遠英介は大学時代からのパートナーだが、大学卒業とともに二人の関係はぎこちなくすれ違っていくばかりだった。そんなある日、高遠に新しい恋人がいることを聞かされてーー。
最愛の幼馴染みに大事な××を奪われました。
月夜野繭
BL
昔から片想いをしていた幼馴染みと、初めてセックスした。ずっと抑えてきた欲望に負けて夢中で抱いた。そして翌朝、彼は部屋からいなくなっていた。俺たちはもう、幼馴染みどころか親友ですらなくなってしまったのだ。
――そう覚悟していたのに、なぜあいつのほうから連絡が来るんだ? しかも、一緒に出かけたい場所があるって!?
DK×DKのこじらせ両片想いラブ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
※R18シーンには★印を付けています。
※他サイトにも掲載しています。
※2022年8月、改稿してタイトルを変更しました(旧題:俺の純情を返せ ~初恋の幼馴染みが小悪魔だった件~)。
九年セフレ
三雲久遠
BL
在宅でウェブデザインの仕事をしているゲイの緒方は、大学のサークル仲間だった新堂と、もう九年セフレの関係を続けていた。
元々ノンケの新堂。男同士で、いつかは必ず終わりがくる。
分かっているから、別れの言葉は言わないでほしい。
また来ると、その一言を最後にしてくれたらいい。
そしてついに、新堂が結婚すると言い出す。
(ムーンライトノベルズにて完結済み。
こちらで再掲載に当たり改稿しております。
13話から途中の展開を変えています。)
この恋は運命
大波小波
BL
飛鳥 響也(あすか きょうや)は、大富豪の御曹司だ。
申し分のない家柄と財力に加え、頭脳明晰、華やかなルックスと、非の打ち所がない。
第二性はアルファということも手伝って、彼は30歳になるまで恋人に不自由したことがなかった。
しかし、あまたの令嬢と関係を持っても、世継ぎには恵まれない。
合理的な響也は、一年たっても相手が懐妊しなければ、婚約は破棄するのだ。
そんな非情な彼は、社交界で『青髭公』とささやかれていた。
海外の昔話にある、娶る妻を次々に殺害する『青髭公』になぞらえているのだ。
ある日、新しいパートナーを探そうと、響也はマッチング・パーティーを開く。
そこへ天使が舞い降りるように現れたのは、早乙女 麻衣(さおとめ まい)と名乗る18歳の少年だ。
麻衣は父に連れられて、経営難の早乙女家を救うべく、資産家とお近づきになろうとパーティーに参加していた。
響也は麻衣に、一目で惹かれてしまう。
明るく素直な性格も気に入り、プライベートルームに彼を誘ってみた。
第二性がオメガならば、男性でも出産が可能だ。
しかし麻衣は、恋愛経験のないウブな少年だった。
そして、その初めてを捧げる代わりに、響也と正式に婚約したいと望む。
彼は、早乙女家のもとで働く人々を救いたい一心なのだ。
そんな麻衣の熱意に打たれ、響也は自分の屋敷へ彼を婚約者として迎えることに決めた。
喜び勇んで響也の屋敷へと入った麻衣だったが、厳しい現実が待っていた。
一つ屋根の下に住んでいながら、響也に会うことすらままならないのだ。
ワーカホリックの響也は、これまで婚約した令嬢たちとは、妊娠しやすいタイミングでしか会わないような男だった。
子どもを授からなかったら、別れる運命にある響也と麻衣に、波乱万丈な一年間の幕が上がる。
二人の間に果たして、赤ちゃんはやって来るのか……。
灰かぶり君
渡里あずま
BL
谷出灰(たに いずりは)十六歳。平凡だが、職業(ケータイ小説家)はちょっと非凡(本人談)。
お嬢様学校でのガールズライフを書いていた彼だったがある日、担当から「次は王道学園物(BL)ね♪」と無茶振りされてしまう。
「出灰君は安心して、王道君を主人公にした王道学園物を書いてちょうだい!」
「……禿げる」
テンション低め(脳内ではお喋り)な主人公の運命はいかに?
※重複投稿作品※
初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる