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―!?
「ご、ごめん!
 …嬉しくてさ…。
 でも、言われてみて、俺も気が付いたことがある。
 思い出さないって言うのはたぶん無理。
 時期が来たら、たぶん考えるだろうし、親も、カリカリするだろうし。
 友達は…まぁ、ずっと死ぬまで一緒ってこともないし。
 大学入るまでに、ダブっている奴だって他の理由で入る奴だっていると思うからさ。
 そう考えたら、少し気分も変わったかな…

 俺、篤紀の傍にいてもいいかな?」
顔の涙を篤紀の手で拭われる。
「はぁ‥‥
 キスできないのって、辛い…」
―!!
篤紀の言葉に、俺はただ、口をパクパクとしてしまう。
「そんなこと、言われても…」
一応、口元を手で抑えて守る仕草をする俺を、見て笑う。
「はは、必死だ」
頷いて反論させてもらう。
「だって、また会えなくなるのも嫌だし、俺が追いかけるのに一年もかかるんだから…
 嫌に決まってるだろう?」
俺の言葉に、急に篤紀が真っ赤になる。
「ねぇ…自分で言ってて恥ずかしくない?」
―?
長いため息をつかれて
「天然…」
と篤紀に言われた。
―!!
「どこが?」
と聞くけど、恥ずかしいからと教えてくれない。
納得はできないが、迷惑そうではないから許してくれるのかもしれない。
「ノートの連絡先とか、俺さぁ。
 この前の図書館の時に初めて見たんだ。
 だけど、篤紀には彼女がいると思ってたし‥それに…」
だんだんと小声になってしまうが、仕方がない。
だって、今は、俺も自分で言っていることを解釈して言葉に詰まる。
「-!ほら、無自覚でそんなことを言ってるんだよ?
 はぁ…これから大変かも…」
抱き寄せられすっぽりと俺は篤紀の胸に抱かれてしまっている。
彼の学校の制服の胸章がすぐ目の前にある。
金色の糸で丁寧な仕事で作られた刺繍の胸章。
電車の中では、朝日でそれが光って見える。
これを見ると、あの時のドキドキがよみがえってくるようだ。

篤紀と俺はお互いに連絡先を交換した。
でも、それは形だけの交換。
用事がなければこの図書館で会うことを約束した。
篤紀の学校は、生徒の自主性を重んじる場所だ。
だから、一人で暮らしたり門限とかもあるのだろう。
詳しくはわからない。
でも、無理をしないということだけは、お互いの決め事としていた。
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