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夕方の図書館は、通勤、通学で立ち寄る人たちが多く、あまりゆっくりと過ごす人はいない。
だから、読書スペースは空いていた。
新聞のコーナーには、年配の人が多い。
趣味のコーナーは、眼鏡をずらして真剣に本を探している人がいる。
キッズコーナーは、あまり人はいない。

本を好んで読むことはしなかったが、病院での生活や家での過ごし方で、取り入れるようになった。

読書スペースは、道路から面した場所にある。
夕方から夜にかけて陽の落ちる時間は、図書館の周りも忙しない。
ヘルメットを被った帰宅中の高校生の姿が見える。
その様子を、ボウッと眺めていた。
留年しても声をかけてくれる元同級生たち。
でも、それは、一時的な物だった。
勉強の話もできない元同級生で、後輩の俺は、付き合いにくいのだろう。
別に、遠慮などいらない。
けれど、それは無理な話で、疎遠になっていった。
期待していたわけでもないのに、それに気づいた時、やっぱり傷ついた。

それ以来、学校に行っても、現同級生とも隔たりなく交友はする。
けれど、深く付き合うことはできずにいた。

視線を自分の荷物に向ければ、開口部から見える一冊のノート。
手に取って、ページをめくる。
彼の名前と連絡先。
綺麗な字は、その性格を表しているようで、指でなぞる。

友達にもなることができなかった。
名前を呼ぶこともできなかった。
胸に広がる苦味の感情。
なぞっていた手を握りしめる。

朝に見かけた光景が浮かぶ。
たった一瞬。
彼を見つけた一瞬の歓び。
それと同時に味わう落胆。
想い出しただけでも痛む胸に、手を当てる。
―何を期待していた?
 楽しそうにしていてよかったじゃん。

無理矢理、自分に言い聞かせる。
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