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扉の外には、涎を垂らし、奇声をこぼしながら、色に狂った一人の男の姿が。
鮫島だ。
中から聞こえる、痛みに耐える声、くぐもった声。
高い声もあれば、引き出されるような声。
そのどれも、鮫島の狂った心には、刺激的だった。
もしや、男もいいのかもしれない。
念願かなった女は、歳をとりすぎ、色香を失いかけの花だった。
ただ、今、この扉の向こうでは、青臭い歳を脱し、色香を纏い、快感を覚える。
花街では、出る前まで誰とも、肌を合わさないという。
鈴宮が、先に手を出すかもしれないが、鈴宮は、雪柳には、興味はない。
ただ、義務でしていると思えば、鮫島も、心があれることはない。
― 楽しみは後に取っておくもの ―
鈴宮の言葉を思い出す。
身体を開く準備をするからと、部屋から出てきた鈴宮に雪柳の様子を聞く。
「肌は、誰に触れられたことがないようで、私も許してはくれませんでした。
日に焼けることがないのと、薬の影響でしょう。
とても、艶やかな肌艶をしております。
明日、鮫島様が、用意された着物のどれにしようか、迷うぐらいでございます」
雪柳を手に入れると決めてから、鮫島は、周りの者が失態を犯すことは頭に入れていない。
失態など許されることなどできないほど、窮地に追いやり、手を下させる。
これで、今まで数多くの修羅場を乗り越え、チャンスを掴んできた。
自分のために人はあるのだ。
買い揃えた着物を選びに、隣の部屋に向かう。
そこは、全て雪柳の着物、小物など身近な物で埋め尽くされていた。
どれも、趣味の悪い色使い。
どこで、手に入れたかわからないような着物を着ても、素肌が見えるような物まであった。
黒・・・いや、赤い・・・
雪柳に着せる物を手に取り、帯や、紐、襦袢まで選んでいく。
一通り揃え、再び扉に向かうと、中から悲鳴に近い声がする。
― とうとう、本腰を入れたか・・・!
想像しただけで、下着が濡れていくのがわかる。
鼻息を荒くし、扉の前で部屋から零れる声を楽しむ。
しばらくして、扉が開く。
!!!
「鈴宮、わしもっ!!!」
鮫島が、耐えきれず部屋に入ろうとする。
しかし、鈴宮は、じっと見下ろす。
「鮫島様。
今、雪柳様は、玩具を入れて、快感を引き出しております。
・・・折角ですが、少々、一人にさせて、明日には、いい具合に・・・」
魅力的な言葉を言いながらも、鈴宮の目は、温度を纏っていない。
だが、その様子を鮫島は気づかない。
「うほほほ。
鈴宮は、恐ろしいの・・・
もちろん、まだ、射れてなど・・・」
鈴宮は頷き、耳元に囁く。
「次に会う頃には、鮫島様の物が欲しくて。
奥が疼くでしょうね。
ですから、明日迄。
雪柳様を、私が調教します」
見下ろす姿は、その使命感に満ち溢れているように鮫島は見えた。
「そうだなっ!
若いやつを、相手にするんだ。
しっかりと寝て、明日は、朝から精力剤を飲まなければっ!!
わしが、選んだ着物だ。
これを着て、身体を磨いて待っておれ。
初夜を迎える花嫁のようだなっ!
・・・ひひ。
―ぁぁぁあ、たまらんっ!!」
そう言って、浮かれる気分を表すようにドカドカと、自身の部屋へと向かうのだった。
鈴宮は、その様子を見守り、そして部屋へ戻っていく。
その日、その扉は開くことはなく、人のくぐもった声、悲鳴だけが、零れているのだった。
鮫島だ。
中から聞こえる、痛みに耐える声、くぐもった声。
高い声もあれば、引き出されるような声。
そのどれも、鮫島の狂った心には、刺激的だった。
もしや、男もいいのかもしれない。
念願かなった女は、歳をとりすぎ、色香を失いかけの花だった。
ただ、今、この扉の向こうでは、青臭い歳を脱し、色香を纏い、快感を覚える。
花街では、出る前まで誰とも、肌を合わさないという。
鈴宮が、先に手を出すかもしれないが、鈴宮は、雪柳には、興味はない。
ただ、義務でしていると思えば、鮫島も、心があれることはない。
― 楽しみは後に取っておくもの ―
鈴宮の言葉を思い出す。
身体を開く準備をするからと、部屋から出てきた鈴宮に雪柳の様子を聞く。
「肌は、誰に触れられたことがないようで、私も許してはくれませんでした。
日に焼けることがないのと、薬の影響でしょう。
とても、艶やかな肌艶をしております。
明日、鮫島様が、用意された着物のどれにしようか、迷うぐらいでございます」
雪柳を手に入れると決めてから、鮫島は、周りの者が失態を犯すことは頭に入れていない。
失態など許されることなどできないほど、窮地に追いやり、手を下させる。
これで、今まで数多くの修羅場を乗り越え、チャンスを掴んできた。
自分のために人はあるのだ。
買い揃えた着物を選びに、隣の部屋に向かう。
そこは、全て雪柳の着物、小物など身近な物で埋め尽くされていた。
どれも、趣味の悪い色使い。
どこで、手に入れたかわからないような着物を着ても、素肌が見えるような物まであった。
黒・・・いや、赤い・・・
雪柳に着せる物を手に取り、帯や、紐、襦袢まで選んでいく。
一通り揃え、再び扉に向かうと、中から悲鳴に近い声がする。
― とうとう、本腰を入れたか・・・!
想像しただけで、下着が濡れていくのがわかる。
鼻息を荒くし、扉の前で部屋から零れる声を楽しむ。
しばらくして、扉が開く。
!!!
「鈴宮、わしもっ!!!」
鮫島が、耐えきれず部屋に入ろうとする。
しかし、鈴宮は、じっと見下ろす。
「鮫島様。
今、雪柳様は、玩具を入れて、快感を引き出しております。
・・・折角ですが、少々、一人にさせて、明日には、いい具合に・・・」
魅力的な言葉を言いながらも、鈴宮の目は、温度を纏っていない。
だが、その様子を鮫島は気づかない。
「うほほほ。
鈴宮は、恐ろしいの・・・
もちろん、まだ、射れてなど・・・」
鈴宮は頷き、耳元に囁く。
「次に会う頃には、鮫島様の物が欲しくて。
奥が疼くでしょうね。
ですから、明日迄。
雪柳様を、私が調教します」
見下ろす姿は、その使命感に満ち溢れているように鮫島は見えた。
「そうだなっ!
若いやつを、相手にするんだ。
しっかりと寝て、明日は、朝から精力剤を飲まなければっ!!
わしが、選んだ着物だ。
これを着て、身体を磨いて待っておれ。
初夜を迎える花嫁のようだなっ!
・・・ひひ。
―ぁぁぁあ、たまらんっ!!」
そう言って、浮かれる気分を表すようにドカドカと、自身の部屋へと向かうのだった。
鈴宮は、その様子を見守り、そして部屋へ戻っていく。
その日、その扉は開くことはなく、人のくぐもった声、悲鳴だけが、零れているのだった。
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