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こんな日が来るとは、思いませんでした。

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俺は今、とても困っている。
だって、いつも俺を翻弄するミハルさんが、なんていうことだろう。
俺を受け入れるために、自分でワザとその場所を解している。
身体がやっぱり慣れるまでは、きつくて、それをわかっている自分としては、ちょっと複雑だ。
「ミハルさん?あの、今日はやめたら?」
耳や口が赤くってそれに、身体には、珠になりつつある汗。
首には、黒い髪がへばりついている。

「ヤダ。
 今日は、要が僕を感じさせて?」
ミハルさんの綺麗なカッコイイ顔が、苦しさで歪んでいる。
息も荒い。
俺は、それを少しでも緩和させたくて傍に寄り添う。
「ねぇ、要?
 もう、いい加減、「俺がします」って、言ったら?」
―!
こんな色っぽいミハルさんを見て、興奮している自分がいる。
「え、いいの?」
ミハルさんと付き合う前の俺なら、たぶん、戸惑っていただろう。
もしかしたら、逃げ出していたかもしれない。
けど、今は違う。
ミハルさんに気持ちいいことをたくさんしてもらっている俺としては、少しでも彼の願いをききたい。
けれど、俺は…童貞だ。
だから、正直、うまくできるかわからない。
でも、こんな目の前で誘われたら、我慢はできない。
「ミハルさん?
 あの…できるだけ、気持ちよくしますんで!」
そう言って彼とキスをする。
たぶん、すごく勇気をだしてくれたんだと思う。
自分から抱いてとは、言えない。
けれど、どちらかが一歩踏み出さなければ、それは一生、生まれてこない。

いつも彼がしてくれているときのように、俺はミハルさんの身体を優しく開いていく。
俺の指で、身体を震わし、役に囚われていないミハルさんの素の姿。
この綺麗な人が俺の下で、俺の手で乱れる。
「ねぇ、要?
 遠慮しないで?」
俺の分身はもうしっかりと準備が出来ている。
先の方からはゆるゆるとしたものが垂れている。
スキンをつけて彼にしっかりと傷つけないようにしていく。

自分の指を抜いたミハルさんは、俺の様子を見ている。
俺の物をじっと見て
「ねぇ、我慢してない?」
―はうぅぅぅ
俺は、その言葉で理性がキレてしまった。
「いいんですね?」
一瞬、目があったので確かめる。
彼は、ニコリとほほ笑んで
「うん、いい」

―!?
「ちょっと、要??ひゃっあぁぁぁっ!!」
ミハルさんの許しを得た俺が一番にしたのは、彼の孔を自分の舌で舐めることだった。
こんな所まで、完璧なのは、少しずるいような気もする。
だけれ、この人は、自分だけの物だというのは、嬉しい。
指で慣らしているときに、少しずつ柔らかさを帯びながら、色づく場所。
ジュルリジュルリと部屋に響いても構わない。
すべすべの肌を掴んで、分け入って舌で刺激する。
身体が大きく跳ねるのは、感じている証拠。
それに、彼の口からはやめてと言ってこない。
「ま、待って?
 そこは、あぁぁぁ!あ、ン、か、要…」
ハフハフと息をするのがやっとのミハルさん。
ミハルさんのミハルさんも、気持ちがいいって言っている。
何度か、高めればミハルさんは、だらんとベッドで沈んでいる。
「じゃ、きつかったら言ってくださいね」
俺の言葉に、ミハルさんは汗ばんだ表情で頷く。
たまらない。
白く長い首には、柔らかい黒髪が汗でくっ付いている。
背中も、綺麗で、何も跡がない。
ちらりと学生時代の着替えをしているとき、人の背中には意外と黒子や吹き出物があると知っている。
だから、ミハルさんにもそんな物があるのかと思ってたけど、こうやってまじまじとみると、何もない。

背中にキスを落としながら、身体を密着させてゆっくりと進めていく。
「う…」
やはりきついのか、何かを耐える声がして様子を見る。
「ミハルさん、息を吐いて…」
―すっごく、あったかい。
ヌルヌルとしたものをたくさん使うので滑りやすかったが、それを超えると、なんとも言えない快感に包まれる。

相変わらず、唸るような声をするミハルさん。
「…どう?痛い?やめる?」
―やめないけどね。
ミハルさんも、首を振ってやめないことを示す。
俺は、ミチミチと開くその中をゆっくり楽しんだ。
しばらく動かずにいる間。
ミハルさんをちょっとイジメてみた。
「ねぇ、ミハルさん?
 今、何が入ってるの?」
少し余裕の出てきたミハルさんは、俺の言葉に、恥ずかしそうに答える。
「じゃぁ、気持ちいい?」
―?
って顔をしている彼、ぞわぞわと感じ始めていることに俺は気づいた。
「ミハルさんがいつもしてくれているみたいに、俺、頑張ります!」
そう言って、俺は、ミハルさんの身体をたくさん味わった。
胸を触ってもあまり感じないミハルさん。
でも、今の状態では違うことに気付いたのは、偶然。
「あっあっや、ヤダ。何?
 か、要、ちょっと身体を起こして?!
 胸が当たると、ぞくぞくってする!」
これを聞いたら攻めるでしょう。
指でゆるゆると撫でると、融ける様な顔になっていくミハルさん。
「やぁ…」
「ク…ミハルさん、締まる…!!」
ゆっくりとした動きをしていた俺も、徐々に余裕がなくなってきた。
これでも、初体験の真っ最中。
彼に喜んでもらうのに、頑張ったけど、気持ちが良いことも、事実。
「ハァハァハァ、ごめん、気持ちが良すぎて‥」
「要、やっハゲシイ‥!」
がくがくと揺さぶってた自覚はある。
―あ、めっちゃ気持ちいい!
って思ったら、思いっきり彼の中で薄い膜越しに興奮のしずくを出していた。

お互い、はぁはぁと荒い息。
「…要、どこかで練習したの?」
―?!
「するわけないでしょ?
 ミハルさんがいつもしてくれてることじゃん!」
振り向いた彼は、そんなはずはないという表情をしている。
「で、俺。もう、準備いいですよ」
そう言って、準備を済ませた俺はミハルさんの中にまた入っていった。
「へぇ?いや、あぁぁっ!
 ちょっと、待って!?」
入っていく瞬間は、まだ少し違和感があるみたいで、身体を強張らせる。
少しでも緊張を解してほしくていつもされているようにキスをする。
ミハルさんも、それに反応して、俺を締め付けて。
―嬉しい、嬉しい…
ちらりと目があうと、余裕のない彼。
いつも、こうやって俺を見ているの?
「やぁぁ…要…そんな、そんな風にしちゃっ!!」
あまりにも、喘ぐから、
「そんなに声を出すと、明日、仕事になりませんよ?」
―!!
口を手で抑えて、必死で喉を使わずにするとか…
ダメ…
手を取り、俺は、指を彼の口の中に入れてみた。
「やぁ…ろこれ、ぉんなころ…」
ぎゅっと締め付けるあたり、普段、使う口の中は、たぶん人より敏感なのかもしれない。
だから、感じやすい。
彼の舌が俺の指を見ながら、濡れた目で見つめる。
ぞくぞくと感じてくるこの優越感。
―!?
「あっ、そこ、触らない…」
彼の感じている証拠のミハルさん。
それを追い立てれば、慌てたように、身体をビクつかせて大きな快感の波で身体を震わす。
「はっ!アッ、アッ!…!!」
ミハルさん、なんて色っぽい…
片手を股間に、そして片手は何かに耐えるためにシーツを掴んでいる。
首には濡れた髪が付いていて、呼吸が荒い。
ミハルさんのミハルさんは、先の方がもう赤くって…
限界が近いのがわかる。
初めてだから、うまくできない。
だけど、出来ることはする。
彼の物を手でしごく。
「アッ…い、いくっ!」
彼の身体に大きく線を描くように跳んだもの。
それを見ると、またたまらなくなる。
「ちょっと、か、要!?
 今、イったばかりだから!?!」
うわぁぁぁんって言いながら、俺の膝に手を置くとか。
俺を煽っているとしか思えない。

結局、初めてなのに俺は好き放題させてもらっていた。
「…もう、少しは手加減をしてほしいんだけど‥」
そして、練習をしている時、なぜか赤面しているミハルさんを見ることが多くなっていた。
台本で顔を隠しても、耳は隠れていませんよ、ミハルさん。
「読んでいて…思い出すんだよ…要のせいだからね」
―!
今、ミハルさんは、俺の押してはならぬ場所を押してしまった。
覚悟してね、ミハルさん。

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