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51作戦を考える
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――パサリ…
「…このコメント、詳しすぎるわよね」
高木が印刷された書類を机に置き、示す。
篠田 要がこの業界をさって数か月。
ある日、社長の元に辞表を提出した彼は、白鳥と一緒に住んでいたマンションからも姿を消した。
高木は、要が去る前に訪れた父親という存在が気になった。
かき集めたお金。
姿を消した要は、後輩が探してもどこにもいなかった。
白鳥は、海外から帰ってきて、後輩の報告をじっと聞いていた。
慌てることもなく、そして、動揺することもなく。
「…心当たりがあるのか?」
一度、高木は、白鳥に聞いたことがある。
その問いに、白鳥は何も言わず首を横に振る。
「…わからない。
でも、何か理由があるんだろうね…
…彼は、まじめで真っ直ぐな人だから」
そうなのだ。
だからこそ、社会人としては許されない会社の去り方が気になっていた。
切羽詰まっている。
そう感じ取ることができてしまう。
何もなければ…そう願う毎日だった。
そんなある時、サイトで面白い物を見つけた。
このサイトは、最近開設された物だった。
個人のサイト。
ただ、異様なアクセス数だった。
過去のBLCDの作品を細かく評価をしているそのサイトは、腐女子の間ですでに話題だった。
他のレビューコメントとは違う。
確実に、BLCDの作品に携わったことのある者だけが考えれることができる評価だった。
ゲンタがそれを見て、
「…あいつみたいだな」
同じことを思ったのだ。
そのサイトには、もう一つ特徴があったのだ。
声優そのものを傷つけることは一切書き込まれていない。
それがやけに引っかかった。
なにか手掛かりがあればと、必死に各ページをみた。
…この名前…
それでも、直接的なヒントはなかなか見つからなかった。
ある時、白鳥が高木を訪ねてきた。
「…これ、なに」
タブレット端末に映し出されたのは、地図。
その地図には、ある物が対象になっている現在地のマークがあった。
「…僕の宝物のある場所」
白鳥は、そう言って、頭を下げた。
「…手を貸してくれ」
―!!
いつも、ひょうひょうとしている男が、頭を下げた。
―!!??
「…まさか…」
探しているといえば、要だ。
「行動を見ていたらね、あのサイトが更新されるときには、このマーク。
必ず、ネカフェに行っているんだよ。
…気にならない?」
―…高木は、じっと白鳥を見る。
「…ずっと見てきて、お前は行かないのか?」
その問いに、白鳥は複雑な表情をした。
「…待ってるんだ…」
白鳥は、要がいなくなってBLCDの作品を避けるようになっていた。
巷では、「魔女は、この世界を去るのか」などと噂をされている。
だが、ミハル自身、そんなつもりはない。
ただ、彼が帰ってくるのを待っていた。
一時は、繁華街を重点的にそのマークは示していた。
住んでいる場所も、把握した。
個人で経営しているパン屋。
彼の居場所を把握している。
でも、どう連れ戻せばいいのかわからなかった。
「…このコメント、詳しすぎるわよね」
高木が印刷された書類を机に置き、示す。
篠田 要がこの業界をさって数か月。
ある日、社長の元に辞表を提出した彼は、白鳥と一緒に住んでいたマンションからも姿を消した。
高木は、要が去る前に訪れた父親という存在が気になった。
かき集めたお金。
姿を消した要は、後輩が探してもどこにもいなかった。
白鳥は、海外から帰ってきて、後輩の報告をじっと聞いていた。
慌てることもなく、そして、動揺することもなく。
「…心当たりがあるのか?」
一度、高木は、白鳥に聞いたことがある。
その問いに、白鳥は何も言わず首を横に振る。
「…わからない。
でも、何か理由があるんだろうね…
…彼は、まじめで真っ直ぐな人だから」
そうなのだ。
だからこそ、社会人としては許されない会社の去り方が気になっていた。
切羽詰まっている。
そう感じ取ることができてしまう。
何もなければ…そう願う毎日だった。
そんなある時、サイトで面白い物を見つけた。
このサイトは、最近開設された物だった。
個人のサイト。
ただ、異様なアクセス数だった。
過去のBLCDの作品を細かく評価をしているそのサイトは、腐女子の間ですでに話題だった。
他のレビューコメントとは違う。
確実に、BLCDの作品に携わったことのある者だけが考えれることができる評価だった。
ゲンタがそれを見て、
「…あいつみたいだな」
同じことを思ったのだ。
そのサイトには、もう一つ特徴があったのだ。
声優そのものを傷つけることは一切書き込まれていない。
それがやけに引っかかった。
なにか手掛かりがあればと、必死に各ページをみた。
…この名前…
それでも、直接的なヒントはなかなか見つからなかった。
ある時、白鳥が高木を訪ねてきた。
「…これ、なに」
タブレット端末に映し出されたのは、地図。
その地図には、ある物が対象になっている現在地のマークがあった。
「…僕の宝物のある場所」
白鳥は、そう言って、頭を下げた。
「…手を貸してくれ」
―!!
いつも、ひょうひょうとしている男が、頭を下げた。
―!!??
「…まさか…」
探しているといえば、要だ。
「行動を見ていたらね、あのサイトが更新されるときには、このマーク。
必ず、ネカフェに行っているんだよ。
…気にならない?」
―…高木は、じっと白鳥を見る。
「…ずっと見てきて、お前は行かないのか?」
その問いに、白鳥は複雑な表情をした。
「…待ってるんだ…」
白鳥は、要がいなくなってBLCDの作品を避けるようになっていた。
巷では、「魔女は、この世界を去るのか」などと噂をされている。
だが、ミハル自身、そんなつもりはない。
ただ、彼が帰ってくるのを待っていた。
一時は、繁華街を重点的にそのマークは示していた。
住んでいる場所も、把握した。
個人で経営しているパン屋。
彼の居場所を把握している。
でも、どう連れ戻せばいいのかわからなかった。
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