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指輪のうつすもの(嫁ポジ)
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◆藤咲 宝典の場合。
海外をまわっていたあの藤咲 宝典の指に、指輪がある。
そんな情報が社内を駆け巡った。
長期の休みが明けて出社した宝典の周りには、指輪を一目見ようと集まる女子社員。
「あの、どうしてこんなに集まっているのかわからないんですが…」
当の宝典は、自分が注目されているとも知らず、我関せず。
もともと、社員とあまり私的な話などしない宝典。
当然、誰もが、その指輪の意味を知りたかった。
いくら早くから社会に出ているからと、世の中ではまだ20代前半。
指輪についていろんな噂が流れ始めた。
蒔と宝典を知っている唯一の事情通の上司が、ポロっと口にする。
「彼も、やっと思いを通わせたみたいでね。嬉しいね」
彼には長期に渡り想いを募らせていた人がいたようだ。
この噂は一瞬で広まる。
落胆するもの、陰でこっそり思い続けるもの。それでも、諦めないもの。
どんな気持ちを抱えても、休憩時間や、ふとしたときに彼が指輪を見て、表情を和らぐ光景をみたら、それ以上、何もすることはできなかったのであった。
◆桐嶋 蒔の場合。
「桐嶋くん、休みの時に、彼氏と一緒にわざわざお土産を持ってきてくれてありがとうね」
そう言うのは、一緒に組んでいる仲間。
・・・・
「ふふふ、その、ゆ・び・わ。いいわね~。若いって」
そういえば、何も躊躇わず指輪をつけてきた自分に驚く。
指輪をじっと見る蒔をみんな、優しく見守る。
表情や感情をあまり表に出さない蒔が、少しずつ出すようになってきている効果は、指輪の彼だろう。
クスリと笑う蒔を
「呆けてないで仕事よ。仕事!」
そう言って日常に戻す仲間。
今の自分は幸せである。恵まれるってこういうことなんだろうな。
穏やかに微笑みを浮かべる蒔をその指輪はうつすのだった。
海外をまわっていたあの藤咲 宝典の指に、指輪がある。
そんな情報が社内を駆け巡った。
長期の休みが明けて出社した宝典の周りには、指輪を一目見ようと集まる女子社員。
「あの、どうしてこんなに集まっているのかわからないんですが…」
当の宝典は、自分が注目されているとも知らず、我関せず。
もともと、社員とあまり私的な話などしない宝典。
当然、誰もが、その指輪の意味を知りたかった。
いくら早くから社会に出ているからと、世の中ではまだ20代前半。
指輪についていろんな噂が流れ始めた。
蒔と宝典を知っている唯一の事情通の上司が、ポロっと口にする。
「彼も、やっと思いを通わせたみたいでね。嬉しいね」
彼には長期に渡り想いを募らせていた人がいたようだ。
この噂は一瞬で広まる。
落胆するもの、陰でこっそり思い続けるもの。それでも、諦めないもの。
どんな気持ちを抱えても、休憩時間や、ふとしたときに彼が指輪を見て、表情を和らぐ光景をみたら、それ以上、何もすることはできなかったのであった。
◆桐嶋 蒔の場合。
「桐嶋くん、休みの時に、彼氏と一緒にわざわざお土産を持ってきてくれてありがとうね」
そう言うのは、一緒に組んでいる仲間。
・・・・
「ふふふ、その、ゆ・び・わ。いいわね~。若いって」
そういえば、何も躊躇わず指輪をつけてきた自分に驚く。
指輪をじっと見る蒔をみんな、優しく見守る。
表情や感情をあまり表に出さない蒔が、少しずつ出すようになってきている効果は、指輪の彼だろう。
クスリと笑う蒔を
「呆けてないで仕事よ。仕事!」
そう言って日常に戻す仲間。
今の自分は幸せである。恵まれるってこういうことなんだろうな。
穏やかに微笑みを浮かべる蒔をその指輪はうつすのだった。
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