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巣作り編
5 ロルフ、すごくがんばってる
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巣作りに於いて最も重要な点はなにか。
それは夫婦の愛を確かめ合い、子を成す大切な場所、つまりは夫婦の寝室を快適に整えることではないか。
その結論に至ったロルフは、新居の中でも特に寝室の改装に心血を注いだ。
落ち着いたグリーンを基調にした壁紙に、ミミナが好んで着ているワンピースに似た小花柄のカーテン。床に敷いた毛足の長いラグは落ち着いた芥子色に決めた。
そして一際目を引くのが、幅三メートルはあろうかという巨大なベッドだ。
ウサギ族が好むという草を使用した柔らかなマットレスは勿論、枕やシーツの肌触りまでこだわり抜いた特注品だ。
(……用意した巣が気に入らなければその場で回れ右して帰ると聞いたのは、あれは何族の話だったか? それとも気に入らない巣は後ろ足で蹴って壊すんだったか? ミミナに限ってそんなことはしないと思うが……)
ロルフは内心戦々恐々としながらも、優雅に寝室の扉を開けた。
「ミミナ、ここが寝室だ。どうだろう、気に入ってもらえるといいんだが」
「ロルフ、もういいから早く来て」
「は?」
「ここに座って」
「あ、ああ」
扉を開けた途端、ミミナはロルフの手を掴むと強引に引っ張るようにしてベッドに座らせた。そして自分はその隣に座り、手を伸ばしてロルフの額に触れた。
「熱はないみたいだけど……お願いだから無理はしないでね」
「ミミナ、大丈夫だ。それより部屋を見てほしいんだが……」
ミミナはロルフの唇を指で塞ぐよう押さえながら、ゆっくり首を振る。
「ねえ、私たち夫婦になるのよ? だから私の前ではもう無理して大丈夫なフリをしないでほしいの」
「ミミナ、だが……」
「私ね、さっき雑貨屋さんでロルフが『手伝ってくれるなら俺も助かる』って言ってくれた時、すごく嬉しかったの。こんなウサギ族の私でもロルフの力になれるんだ、って」
「ミミナ、それは」
「本当はね、ずっと気が付いてたの。今日のロルフは会った時からずっとソワソワしてるし、しょっちゅう上の空になるし。……本当は体調が悪いんじゃない? それなのに無理してるんじゃないの?」
ひたと視線を合わせて話すミミナの指は、無意識なのか先ほどからずっとロルフの唇をなぞっている。上唇を左から右に移動した指が今度は下唇を辿り、僅かに覗く鋭い牙を擽るように撫でる。
正直なところ、ロルフはミミナの話より、自分の口元でチラチラと動く指の方が気になって仕方なかった。
元々オオカミ族、いやイヌ科に属する獣人は口元を触られるのを極端に苦手とする。
大昔、まだ四足歩行の獣だった時の本能の名残なのか、口に触れるものに噛みつきたくなる習性があるのだ。
ゆえに、オオカミ族が口元を触るのを許すのは親しい相手のみ。
夫婦の間で行えば一種の愛情を確かめる行為になり、ベッドの上で相手の口を触れば────つまり「私を食べて」という意味になる。
「ロルフ聞いてるの? ねえ、お願い。これ以上無理しないで。私に出来ることがあったら、何でも言ってね」
小首を傾げて微笑みながら唇の形を確認するようになぞるミミナに、その時ロルフは自分の理性が焼き切れる音が聞こえた気がした。
「……本当に何でもいいのか?」
「え? ええ、もちろ……んっ」
唐突にミミナの手首を捕まえたロルフは、舌を出すとねっとりと細い指先を舐めた。
そのまま手首を引き寄せミミナを抱き締めると、細い顎を掴んで上を向かせその唇を奪った。
小さな口中を貪るように長い舌で舐めながら、ロルフの左手はがっしりと腰を掴み、右手は開いたワンピースの胸元から内側へ侵入する。
やがてロルフの指が胸の頂にある小さな果実を見つけると、ミミナの身体がびくんと跳ねた。
「んっ、ん……んっ……ふ、んっ、んーーーーっ」
犯されるように激しく蹂躙されるミミナの口からはフーフーと荒い息が漏れる。
執拗に胸を揉みしだくロルフの手の中で、柔らかかった果実はコリコリと固く膨らんでいった。
「ミミナ、もうこんなに尖らせて……そんなに気持ちいいか?」
「あ……っ、きもち、いい、けど……っ、待って、ロルフ体調が……ふぐっ、ん、んっ」
「すごくいい匂いだ……堪らない」
「あああああああんっ」
それは夫婦の愛を確かめ合い、子を成す大切な場所、つまりは夫婦の寝室を快適に整えることではないか。
その結論に至ったロルフは、新居の中でも特に寝室の改装に心血を注いだ。
落ち着いたグリーンを基調にした壁紙に、ミミナが好んで着ているワンピースに似た小花柄のカーテン。床に敷いた毛足の長いラグは落ち着いた芥子色に決めた。
そして一際目を引くのが、幅三メートルはあろうかという巨大なベッドだ。
ウサギ族が好むという草を使用した柔らかなマットレスは勿論、枕やシーツの肌触りまでこだわり抜いた特注品だ。
(……用意した巣が気に入らなければその場で回れ右して帰ると聞いたのは、あれは何族の話だったか? それとも気に入らない巣は後ろ足で蹴って壊すんだったか? ミミナに限ってそんなことはしないと思うが……)
ロルフは内心戦々恐々としながらも、優雅に寝室の扉を開けた。
「ミミナ、ここが寝室だ。どうだろう、気に入ってもらえるといいんだが」
「ロルフ、もういいから早く来て」
「は?」
「ここに座って」
「あ、ああ」
扉を開けた途端、ミミナはロルフの手を掴むと強引に引っ張るようにしてベッドに座らせた。そして自分はその隣に座り、手を伸ばしてロルフの額に触れた。
「熱はないみたいだけど……お願いだから無理はしないでね」
「ミミナ、大丈夫だ。それより部屋を見てほしいんだが……」
ミミナはロルフの唇を指で塞ぐよう押さえながら、ゆっくり首を振る。
「ねえ、私たち夫婦になるのよ? だから私の前ではもう無理して大丈夫なフリをしないでほしいの」
「ミミナ、だが……」
「私ね、さっき雑貨屋さんでロルフが『手伝ってくれるなら俺も助かる』って言ってくれた時、すごく嬉しかったの。こんなウサギ族の私でもロルフの力になれるんだ、って」
「ミミナ、それは」
「本当はね、ずっと気が付いてたの。今日のロルフは会った時からずっとソワソワしてるし、しょっちゅう上の空になるし。……本当は体調が悪いんじゃない? それなのに無理してるんじゃないの?」
ひたと視線を合わせて話すミミナの指は、無意識なのか先ほどからずっとロルフの唇をなぞっている。上唇を左から右に移動した指が今度は下唇を辿り、僅かに覗く鋭い牙を擽るように撫でる。
正直なところ、ロルフはミミナの話より、自分の口元でチラチラと動く指の方が気になって仕方なかった。
元々オオカミ族、いやイヌ科に属する獣人は口元を触られるのを極端に苦手とする。
大昔、まだ四足歩行の獣だった時の本能の名残なのか、口に触れるものに噛みつきたくなる習性があるのだ。
ゆえに、オオカミ族が口元を触るのを許すのは親しい相手のみ。
夫婦の間で行えば一種の愛情を確かめる行為になり、ベッドの上で相手の口を触れば────つまり「私を食べて」という意味になる。
「ロルフ聞いてるの? ねえ、お願い。これ以上無理しないで。私に出来ることがあったら、何でも言ってね」
小首を傾げて微笑みながら唇の形を確認するようになぞるミミナに、その時ロルフは自分の理性が焼き切れる音が聞こえた気がした。
「……本当に何でもいいのか?」
「え? ええ、もちろ……んっ」
唐突にミミナの手首を捕まえたロルフは、舌を出すとねっとりと細い指先を舐めた。
そのまま手首を引き寄せミミナを抱き締めると、細い顎を掴んで上を向かせその唇を奪った。
小さな口中を貪るように長い舌で舐めながら、ロルフの左手はがっしりと腰を掴み、右手は開いたワンピースの胸元から内側へ侵入する。
やがてロルフの指が胸の頂にある小さな果実を見つけると、ミミナの身体がびくんと跳ねた。
「んっ、ん……んっ……ふ、んっ、んーーーーっ」
犯されるように激しく蹂躙されるミミナの口からはフーフーと荒い息が漏れる。
執拗に胸を揉みしだくロルフの手の中で、柔らかかった果実はコリコリと固く膨らんでいった。
「ミミナ、もうこんなに尖らせて……そんなに気持ちいいか?」
「あ……っ、きもち、いい、けど……っ、待って、ロルフ体調が……ふぐっ、ん、んっ」
「すごくいい匂いだ……堪らない」
「あああああああんっ」
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