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巣作り編
4 ロルフ、とてもがんばってる
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「ここはいわゆるメインダイニングだ。来客、というかミミナのご家族に対応できるよう、広く間取りを取ってあるんだが、どうだろうか」
「まあ、私の家族のことまで考えてくれたの?」
「ああ。妻の親兄弟を家に招待するのは当然だろう?」
「うふふ、ありがとう。ロルフって優しいのね」
広いダイニングには、ゆうに十人は座れるだろう大きなテーブルが鎮座する。
一族の絆を大切にするオオカミ族にとって、自分の家に親兄弟を招待して大勢で食事をするのは当然の認識だ。だが、ウサギ族はいたって放任主義。本来なら独立した子供が親と交流する機会はまずない。
けれど、ミミナはロルフの心遣いが何より嬉しかった。
「屋敷が広いとミミナ一人では管理が大変そうだな。メイドなり執事なりを雇うか?」
「まあそんな! 勿体ないわ!」
「勿体ない?」
「せっかくの二人の巣なんだもの。他の人の手は借りたくないわ。それにメイドが必要なら、そのぶん私が動けばいいんだし」
「ミミナ、だが大変だろう?」
「大丈夫よ。家事は得意だから。なんならメイド服を着てお掃除してみる?」
「メイド服……!」
────ロルフが廊下を歩いていると、背後でガシャンと何かが割れる音がした。不審に思い振り向くと、砕け散った壺を前に長い耳を震わせる新人メイド、ミミナの姿があった。
「も、申し訳ございません、ご主人様! あの、私、掃除をしていて……」
「ミミナ、お前が屋敷の備品を壊すのはこれで何度目だ? こんなに損害を出しては……どうやら躾が必要なようだな」
胸元が大きく開いたメイド服は、ミミナのために誂えた特注品。ふわふわの尻尾が外に出る点が特徴だ。ロルフhはミミナの後ろに回り、スカートから出た丸い尾をさわさわと触った。
「あっ……そこ、はっ……」
「尻尾を触られたくらいでこんなに震えてどうする? ほら、ちゃんと仕事の続きをするんだ」
「んんっ、は、はい」
ロルフに尾を弄られ震えながらも健気に掃除を続けていたミミナだったが、しばらくするとぴたりとその動きを止めてしまった。
「ミミナ、どうしたんだ?」
「旦那様、私、もう、もう、だめなんです」
もじもじと内腿を摺り合わせながら潤んだ瞳で見上げるミミナの姿に、ロルフはニヤリと笑った。
「まさか躾で感じているんじゃないだろうな?」
「そ、それは……」
「ではミミナ、スカートをめくって股を開け」
「え?」
「躾で感じていないか、俺が確かめてやると言っているんだ。さあ早く」
ロルフの冷たい声にびくりと身体を震わせたミミナは、やがて決心したようにスカートを───
「グッ……!」
「ロルフ? どうしたの?」
ロルフの妄想は、自分の喉につかえる違和感によって中断された。突然激しく咳き込み始めたロルフの背中を、慌てたようにミミナが摩る。
「ロルフ大丈夫? どうしよう、少し横になって休んだほうがいいのかしら」
「い、いや大丈夫だ」
「でも、きっと疲れてるのよ。さっきからずっと様子がおかしいもの。ねえ、無理しないで。少し休みましょう?」
「……そうか、そうだな。確かにミミナの言う通りだ」
ロルフは思った。情けない話だが、自分の妄想とミミナから漂ってくるいい香りに当てられた自分の逸物は既に臨戦態勢だ。
これが暴発するようなことになったら目も当てられない。暴発を防ぐ為にはきちんとした管理と────
「ミミナ、二階の寝室に行こう。特注のベッドを入れたんだ。そこなら横になれる」
「わかったわ。私の肩に掴まって」
「ああ。すまない」
────然るべき場所にきちんと収めなければ。
この時ミミナがロルフの顔を見ていたら、獲物を狩る肉食獣の本能が剥き出しになったギラギラ光る瞳に、本能で危険を察知していたかもしれない……。
「まあ、私の家族のことまで考えてくれたの?」
「ああ。妻の親兄弟を家に招待するのは当然だろう?」
「うふふ、ありがとう。ロルフって優しいのね」
広いダイニングには、ゆうに十人は座れるだろう大きなテーブルが鎮座する。
一族の絆を大切にするオオカミ族にとって、自分の家に親兄弟を招待して大勢で食事をするのは当然の認識だ。だが、ウサギ族はいたって放任主義。本来なら独立した子供が親と交流する機会はまずない。
けれど、ミミナはロルフの心遣いが何より嬉しかった。
「屋敷が広いとミミナ一人では管理が大変そうだな。メイドなり執事なりを雇うか?」
「まあそんな! 勿体ないわ!」
「勿体ない?」
「せっかくの二人の巣なんだもの。他の人の手は借りたくないわ。それにメイドが必要なら、そのぶん私が動けばいいんだし」
「ミミナ、だが大変だろう?」
「大丈夫よ。家事は得意だから。なんならメイド服を着てお掃除してみる?」
「メイド服……!」
────ロルフが廊下を歩いていると、背後でガシャンと何かが割れる音がした。不審に思い振り向くと、砕け散った壺を前に長い耳を震わせる新人メイド、ミミナの姿があった。
「も、申し訳ございません、ご主人様! あの、私、掃除をしていて……」
「ミミナ、お前が屋敷の備品を壊すのはこれで何度目だ? こんなに損害を出しては……どうやら躾が必要なようだな」
胸元が大きく開いたメイド服は、ミミナのために誂えた特注品。ふわふわの尻尾が外に出る点が特徴だ。ロルフhはミミナの後ろに回り、スカートから出た丸い尾をさわさわと触った。
「あっ……そこ、はっ……」
「尻尾を触られたくらいでこんなに震えてどうする? ほら、ちゃんと仕事の続きをするんだ」
「んんっ、は、はい」
ロルフに尾を弄られ震えながらも健気に掃除を続けていたミミナだったが、しばらくするとぴたりとその動きを止めてしまった。
「ミミナ、どうしたんだ?」
「旦那様、私、もう、もう、だめなんです」
もじもじと内腿を摺り合わせながら潤んだ瞳で見上げるミミナの姿に、ロルフはニヤリと笑った。
「まさか躾で感じているんじゃないだろうな?」
「そ、それは……」
「ではミミナ、スカートをめくって股を開け」
「え?」
「躾で感じていないか、俺が確かめてやると言っているんだ。さあ早く」
ロルフの冷たい声にびくりと身体を震わせたミミナは、やがて決心したようにスカートを───
「グッ……!」
「ロルフ? どうしたの?」
ロルフの妄想は、自分の喉につかえる違和感によって中断された。突然激しく咳き込み始めたロルフの背中を、慌てたようにミミナが摩る。
「ロルフ大丈夫? どうしよう、少し横になって休んだほうがいいのかしら」
「い、いや大丈夫だ」
「でも、きっと疲れてるのよ。さっきからずっと様子がおかしいもの。ねえ、無理しないで。少し休みましょう?」
「……そうか、そうだな。確かにミミナの言う通りだ」
ロルフは思った。情けない話だが、自分の妄想とミミナから漂ってくるいい香りに当てられた自分の逸物は既に臨戦態勢だ。
これが暴発するようなことになったら目も当てられない。暴発を防ぐ為にはきちんとした管理と────
「ミミナ、二階の寝室に行こう。特注のベッドを入れたんだ。そこなら横になれる」
「わかったわ。私の肩に掴まって」
「ああ。すまない」
────然るべき場所にきちんと収めなければ。
この時ミミナがロルフの顔を見ていたら、獲物を狩る肉食獣の本能が剥き出しになったギラギラ光る瞳に、本能で危険を察知していたかもしれない……。
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