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求愛編
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見上げるような大きな身体にはしなやかな筋肉が覆い、開いた濃紺のシャツから見える胸元には縦横無尽に傷が走る。
眉間に深い皺を寄せたオオカミ族の若者ロルフは、艶やかな黒い尾を揺らしながらミミナの前へやって来ると、その歩みを止めた。
「……お前もわざわざ俺に会いに来たのか? そんな細い貧相な身体で?」
「……は、はい」
からからに渇いた喉から絞り出した声が酷く擦れていたことに気がついたミミナは、誤魔化すようにこくりと唾を呑みこむ。
そんなミミナの長い耳が小刻みに震える様子を鋭い眼差しで観察していたロルフは、彼女の顎を掴み強引に上を向かせた。
「ここに来たのは自分の意志だな?」
「は、はい」
「これから俺がする事に一切文句は言わないな?」
「……はい」
「いいだろう。では後ろを向いてスカートを捲れ」
「え?」
「聞こえただろう? 後ろを向いてケツを出せと言ってるんだ」
「え? あっ、やっ……!」
突然ミミナを壁に押し付けたロルフは、乱暴にスカートを捲り下着をずらした。そしていつの間に取り出したのか、既に猛々しくそそり立った太い切っ先を蜜口に押し当てた。
「いやっ、ま、待ってお願い!」
「文句は言わない約束だ」
ぬぷり、と傘を張った太い杭が入り口から侵入する。次の瞬間、灼熱の杭が一気にミミナの奥まで穿たれた。
「あ、あああぁぁぁぁんっ」
ここは様々な種族の獣人たちが共存する国、ファルルッカ。
かつては身体中が深い毛で覆われ獣の特徴を色濃く残していた獣人たちも、長い年月を経て血が薄れた結果か、今や外見はさほど人間と変わらない。
違うのは種族の特徴を表す耳と尾と、あとは例えばイヌ族は嗅覚が優れているだとか、ヒョウ族は俊足だとか、そういった本能として残る特性のみである。
そんな獣人の国に生まれたミミナは、ウサギ族の女の子だ。
背中までくるくると伸びる蜂蜜色の髪からは同じ色の耳がすんなり伸び、服の下には同じく蜂蜜色の丸くぽわぽわした尾が隠れる。
一見ごく普通のウサギ族の女の子に見えるミミナだが、実は彼女は一族の中ではかなりの変わり者とされていた。
何故ならミミナは貞操観念の強いお堅い女の子だったからだ。
──そう、ウサギ族なのにも関わらず。
ウサギ族。
彼等は男性も女性も恋愛や交尾を自由に楽しむ風潮が強く、獣人の中でもかなり貞操観念が緩いと言われている。
互いの了解さえあれば自由に体の関係を結び、同時に複数のパートナーがいることも珍しくない。
だがミミナはそんなウサギ族の貞操観が、どうしても受け入れられなかった。
彼女は幼い頃から一人の相手とだけ付き合ったり、お互いをよく理解した上で身体を結ぶ、そんなごく普通の恋愛や結婚に憧れていたのだ。
眉間に深い皺を寄せたオオカミ族の若者ロルフは、艶やかな黒い尾を揺らしながらミミナの前へやって来ると、その歩みを止めた。
「……お前もわざわざ俺に会いに来たのか? そんな細い貧相な身体で?」
「……は、はい」
からからに渇いた喉から絞り出した声が酷く擦れていたことに気がついたミミナは、誤魔化すようにこくりと唾を呑みこむ。
そんなミミナの長い耳が小刻みに震える様子を鋭い眼差しで観察していたロルフは、彼女の顎を掴み強引に上を向かせた。
「ここに来たのは自分の意志だな?」
「は、はい」
「これから俺がする事に一切文句は言わないな?」
「……はい」
「いいだろう。では後ろを向いてスカートを捲れ」
「え?」
「聞こえただろう? 後ろを向いてケツを出せと言ってるんだ」
「え? あっ、やっ……!」
突然ミミナを壁に押し付けたロルフは、乱暴にスカートを捲り下着をずらした。そしていつの間に取り出したのか、既に猛々しくそそり立った太い切っ先を蜜口に押し当てた。
「いやっ、ま、待ってお願い!」
「文句は言わない約束だ」
ぬぷり、と傘を張った太い杭が入り口から侵入する。次の瞬間、灼熱の杭が一気にミミナの奥まで穿たれた。
「あ、あああぁぁぁぁんっ」
ここは様々な種族の獣人たちが共存する国、ファルルッカ。
かつては身体中が深い毛で覆われ獣の特徴を色濃く残していた獣人たちも、長い年月を経て血が薄れた結果か、今や外見はさほど人間と変わらない。
違うのは種族の特徴を表す耳と尾と、あとは例えばイヌ族は嗅覚が優れているだとか、ヒョウ族は俊足だとか、そういった本能として残る特性のみである。
そんな獣人の国に生まれたミミナは、ウサギ族の女の子だ。
背中までくるくると伸びる蜂蜜色の髪からは同じ色の耳がすんなり伸び、服の下には同じく蜂蜜色の丸くぽわぽわした尾が隠れる。
一見ごく普通のウサギ族の女の子に見えるミミナだが、実は彼女は一族の中ではかなりの変わり者とされていた。
何故ならミミナは貞操観念の強いお堅い女の子だったからだ。
──そう、ウサギ族なのにも関わらず。
ウサギ族。
彼等は男性も女性も恋愛や交尾を自由に楽しむ風潮が強く、獣人の中でもかなり貞操観念が緩いと言われている。
互いの了解さえあれば自由に体の関係を結び、同時に複数のパートナーがいることも珍しくない。
だがミミナはそんなウサギ族の貞操観が、どうしても受け入れられなかった。
彼女は幼い頃から一人の相手とだけ付き合ったり、お互いをよく理解した上で身体を結ぶ、そんなごく普通の恋愛や結婚に憧れていたのだ。
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