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女達のはじまり
25 対処
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簡単にいうとリースたちはあの嫌な受付嬢をぎゃふんと言わせることができなかった。それどころか、彼女にフォローされる日々が続いたのだ。
嫌味な受付嬢の名前はシルビアと言って意外と面倒見のいい性格をしていたらしい。意地悪で嫌味なところは変わらなかったが。
F級の冒険者ができる仕事は限られていて、地下水路の魔物ではないが狂暴な大型犬サイズのドブネズミ退治や、回復薬などに使用される薬草集め、羽魔虫と呼ばれる城壁に群がり城壁を食べる虫退治などだ。
最初、リースたちは薬草集めから始めた。ルルリアナしか薬草について知らず薬草似た薬草もあり素人では大変難しかった。ルルリアナに教わりフィーアも薬草採取は大変上手だった。
リースは里紗の時から植物を育てることが苦手だった。サボテンですら枯らしてしまったのだ。そしてアインスとツヴァイは地味な作業を嫌がり、手を動かすよりも口を動かしている方が多かった。
次に地下水路のドブネズミ退治をすることにした。しかし、ドブネズミを見てドブネズミの存在価値を否定したアインスとツヴァイは狭い地下水路でアインスが火炎魔法を使用したのだ。それもマンホールの蓋が吹き飛び、王都中のマンホールから大きな火の柱が登るほどの威力だった。
王都のドブネズミは全滅し幸い王都の住人に負傷者はいなかったが、王都の住人はしばらくの間煙臭い水を飲む羽目になったのだった。
それを受付嬢は長ったらしい嫌味とともにリースたちを説教し、浄化魔法が得意な冒険者を多数地下水路に派遣し水質を改善してくれたのだった。
ドブネズミ一匹を退治すると千二百エピル稼ぐことができる。千二百エピルとは日本円でもだいたい千二百円くらいだ。退治した証拠にドブネズミのしっぽの先端にある丸い球を取ることになっていた。そして王都には推定三万匹のドブネズミがいると推測されていた。
つまりルルリアナたちは三千六百万エピルを貰ってもいいはずだったのである。
しかしシルビアが言うには迷惑料で報酬はご破算だということだった。
そしてリースたちはドブネズミで日銭を稼いでいた下級の冒険者たちから恨まれることになったのだった。
次に城壁の羽魔虫を退治しようとしたのだったが、シルビアによって止められてしまったのだ。
そのため現在お金を稼ぎはルルリアナとフィーアの薬草採取によって担われていた。
ちなみにルルリアナの目立つ銀髪の髪は、アイスランチャーという大人気スポーツのチームキャップによって隠されている。アイスランチャーというのは地球でのバスケとサッカーを合わせたようなスポーツで、スノクリスタ大陸で大人気のスポーツだ。誰もそのポップなキャップを被っているのが雪の華だとは思わないだろう。
ルルリアナとフィーアの二人は掲示板に張られた依頼書を一枚手にすると、手提げ籠を持って城壁近くの森へと向かうのだった。その森は魔物の出没報告がほとんどと言ってない安全な森で、幼い子供も家計を助けるために冒険者登録をしてお金を稼いでいるくらい安全な森だった。
掲示板に張られた依頼書を見て、自分たちにできる依頼がないとしょんぼりと肩を落とすルルリアナに、シルビアが声を掛けある提案をする。
「王都のギルドは冒険者で溢れているから階級による仕事の制限がとても厳しいの。でも、辺境とか僻地のギルドだったら冒険者が不足しているから階級による制限がとても緩いのよ。だから、王都にこだわらないのなら辺境地か僻地に移動した方がいいわよ。ここにはきっとあなたたちにできる仕事は当分ないと思うから」
「ありがとう」
「…それにあなた指名手配されてるわよ」
シルビアが手で示した先はお尋ね者の手配書が貼られた掲示板だった。そこには「重要人物誘拐犯」という見出しとともにリースの似顔絵が貼られていた。似顔絵はまるで写真の様にリースにそっくりだった。重要人物の名前は伏せられているが、詳細の文章を読めばリースが誘拐した人物は遠回しに王族に近い人物と示されている。
エギザベリア神国はルルリアナが失踪したことを厳重に隠しているため、まさかそんな形で指名手配されるとは思わなかったのだ。
「その重要人物っていつもアイスランチャーのキャップを被ったルルリアナのことでしょ?あの子…ソルティキア公爵家のご令嬢よね?」
シルビアの発言にリースは警戒し、目を細める。
「…どうしてそう思うの?」
「あら、知らないの?ソルティキア公爵家の次男であるカイル様は騎士団に所属している騎士で、王都のギルドとの橋渡し役でもあるのよ?だからホラ、ああやってギルドによく顔を出しているというわけ」
シルビアの視線の先にはルルリアナに似たホワイトサファイアの髪にルルリアナのパールグレイにほんの少しベージュを混ぜたクールベージュ色の瞳を持つ、端正な顔つきの美丈夫がいた。
シルビアの言葉にリースは確かにディランの兄弟だとわかる。そして髪を切ったルルリアナにも何となく似ていた。
カイルはギルドマスターと何やら真剣に話し合いをしている。
「私にはルルリアナに似ているとは思わないけど?」
「嘘ね…。だって、あの子のキャップからはみ出た髪はソルティキア公爵家の血縁を現す珍しい銀髪色だもの。それに三女のベルリアナ様が王立学園を急に休学されたと聞いたわ。…ルルリアナはベルリアナ様なんでしょ?」
リースはシルビアの勘違いをそのままにした方が都合が良いと素早く計算する。まさか、雪の華であるルルリアナが行方不明になっているとは思ってもいないのだろう。そして、エギザベリア神国もリースたちが王都にいるとは思ってもいないみたいだった。
計算なのか偶々なのかアインスがパリスタ、ゲテリア、フェレッチオの大都市の名前を出したのが功を奏したのだろう。きっとエギザベリア神国はその三都市を集中的に捜査しているに違いない。
「もし…これはあくまでも想定の話なんだけど、ルルリアナが本当にベルリアナだったらどうする?大声で誘拐犯がここにいますって叫ぶ?」
「……叫ばないわ」
ツンと顎をあげてシルビアが答える。
「どうして?」
「だって、ベルリアナはとても幸せそうだもの。薬草採取で手がかぶれても、それを嬉しそうに私に話すべルリアナはとても誘拐されたように見えないわ。何か…、そうね、何か理由があるんでしょ?嫌な婚約者から逃げ出したとか?」
「!わかるの?」
「貴族のご令嬢が家を飛び出すなんてたいていそんな理由でしょ?小説にもよく書かれているわ」
リースはじっとシルビアの目を見つめる。シルビアの目はとても嘘をついているような目には見えない。
「その……ありがとう。べルリアナの事、内緒にしてくれて。私たちの失敗もカバーしてくれて感謝してるわ。私、最初あなたの事すごい嫌な奴だと思ってたの」
「別に感謝してくれなくていいわ。だって私は間違いなく嫌な奴だもの」
「それでもありがとう」
「別に気にしないで。でも、王都からは脱出した方がいいと思うわ。それに、ベルリアナ様に雪の華様である姉のルルリアナ様の名前を名乗らせるのはよくないわよ。雪の華様の名前がルルリアナだから、巷にルルリアナって名前は溢れてるけど、それでもソルティキア公爵家を知っている人物だったらルルリアナとベルリアナ様を結びつける人は少なくないと思うし」
「…そうだね。ありがとう。ほかの名前を考えておく」
「私のお勧めは王都の僻地である『始まりの村』よ。何やら魔物が暴れていろいろと困ってるみたい。急募の応援依頼が多数寄せられているの。彼女たちだったら魔物退治は得意そうだものね。王都には彼女たちみたいな大雑把な魔法を使う冒険者は似合わないし、必要ないわ」
シルビアは先ほどからA級以上が受けられる依頼書をよだれを垂らさんばかりに眺めているアインスとツヴァイを見つめる。
アインスは高額な依頼書に、ツヴァイは強そうな魔物の依頼書にはしゃいでいて、私たちならこん魔物瞬殺でがっぽり稼げるのにと盛り上がっている。
「…本当にその通りね。わかった…、始まりの村に戻ってみる」
「えぇ、そうして」
リースはシルビアにもう一度お礼を言い、アインスとツヴァイを連れて来たときよりも足取り軽く王都のギルドを後にする。
受付のカウンターに座ったままのシルビアはリースたちがでた扉がきちんと閉まったのを確認し、首に下げている鍵を使い机の引き出しを開ける。シルビアは大切そうに中から黒い一冊のファイルを取り出したのだった。
ファイルの表紙には「ブラックリスト」と書かれている。
そのファイルをシルビアはめくり、とあるページでめくる手を止める。ページには「はた迷惑な五人組」というパーティー名の欄だった。パーティーメンバーの欄には、リース、アインス、ツヴァイ、ルルリアナ、フィーアと書かれており、ルルリアナの項目には実はソルティキア公爵家ご令嬢と書かれていた。アインスとツヴァイの項目の欄にはへたくそな魔法使いとも。
そのページにシルビアは「対処済」の赤いハンコを押す。
「恨まないでね、リース。王都のギルドではあなたたちは手に余るの。始まりの村でS級の魔物が暴れているのは本当だからいいわよね。それにA級パーティーの「鈍の狼」が派遣されたからあなたたちの命が奪われるなんてことにはならないと思うし…」
シルビアはそういうと、ぱたんとファイルを閉じる。ファイルは再び鍵付きの引き出しにしまわれたのだった。
シルビアはそれ以降リースたちのことをきれいさっぱり忘れたのだった。
再びリースに会うあの日まで。まさか、自分がリース達に恋愛の相談をするとは思わずに。
嫌味な受付嬢の名前はシルビアと言って意外と面倒見のいい性格をしていたらしい。意地悪で嫌味なところは変わらなかったが。
F級の冒険者ができる仕事は限られていて、地下水路の魔物ではないが狂暴な大型犬サイズのドブネズミ退治や、回復薬などに使用される薬草集め、羽魔虫と呼ばれる城壁に群がり城壁を食べる虫退治などだ。
最初、リースたちは薬草集めから始めた。ルルリアナしか薬草について知らず薬草似た薬草もあり素人では大変難しかった。ルルリアナに教わりフィーアも薬草採取は大変上手だった。
リースは里紗の時から植物を育てることが苦手だった。サボテンですら枯らしてしまったのだ。そしてアインスとツヴァイは地味な作業を嫌がり、手を動かすよりも口を動かしている方が多かった。
次に地下水路のドブネズミ退治をすることにした。しかし、ドブネズミを見てドブネズミの存在価値を否定したアインスとツヴァイは狭い地下水路でアインスが火炎魔法を使用したのだ。それもマンホールの蓋が吹き飛び、王都中のマンホールから大きな火の柱が登るほどの威力だった。
王都のドブネズミは全滅し幸い王都の住人に負傷者はいなかったが、王都の住人はしばらくの間煙臭い水を飲む羽目になったのだった。
それを受付嬢は長ったらしい嫌味とともにリースたちを説教し、浄化魔法が得意な冒険者を多数地下水路に派遣し水質を改善してくれたのだった。
ドブネズミ一匹を退治すると千二百エピル稼ぐことができる。千二百エピルとは日本円でもだいたい千二百円くらいだ。退治した証拠にドブネズミのしっぽの先端にある丸い球を取ることになっていた。そして王都には推定三万匹のドブネズミがいると推測されていた。
つまりルルリアナたちは三千六百万エピルを貰ってもいいはずだったのである。
しかしシルビアが言うには迷惑料で報酬はご破算だということだった。
そしてリースたちはドブネズミで日銭を稼いでいた下級の冒険者たちから恨まれることになったのだった。
次に城壁の羽魔虫を退治しようとしたのだったが、シルビアによって止められてしまったのだ。
そのため現在お金を稼ぎはルルリアナとフィーアの薬草採取によって担われていた。
ちなみにルルリアナの目立つ銀髪の髪は、アイスランチャーという大人気スポーツのチームキャップによって隠されている。アイスランチャーというのは地球でのバスケとサッカーを合わせたようなスポーツで、スノクリスタ大陸で大人気のスポーツだ。誰もそのポップなキャップを被っているのが雪の華だとは思わないだろう。
ルルリアナとフィーアの二人は掲示板に張られた依頼書を一枚手にすると、手提げ籠を持って城壁近くの森へと向かうのだった。その森は魔物の出没報告がほとんどと言ってない安全な森で、幼い子供も家計を助けるために冒険者登録をしてお金を稼いでいるくらい安全な森だった。
掲示板に張られた依頼書を見て、自分たちにできる依頼がないとしょんぼりと肩を落とすルルリアナに、シルビアが声を掛けある提案をする。
「王都のギルドは冒険者で溢れているから階級による仕事の制限がとても厳しいの。でも、辺境とか僻地のギルドだったら冒険者が不足しているから階級による制限がとても緩いのよ。だから、王都にこだわらないのなら辺境地か僻地に移動した方がいいわよ。ここにはきっとあなたたちにできる仕事は当分ないと思うから」
「ありがとう」
「…それにあなた指名手配されてるわよ」
シルビアが手で示した先はお尋ね者の手配書が貼られた掲示板だった。そこには「重要人物誘拐犯」という見出しとともにリースの似顔絵が貼られていた。似顔絵はまるで写真の様にリースにそっくりだった。重要人物の名前は伏せられているが、詳細の文章を読めばリースが誘拐した人物は遠回しに王族に近い人物と示されている。
エギザベリア神国はルルリアナが失踪したことを厳重に隠しているため、まさかそんな形で指名手配されるとは思わなかったのだ。
「その重要人物っていつもアイスランチャーのキャップを被ったルルリアナのことでしょ?あの子…ソルティキア公爵家のご令嬢よね?」
シルビアの発言にリースは警戒し、目を細める。
「…どうしてそう思うの?」
「あら、知らないの?ソルティキア公爵家の次男であるカイル様は騎士団に所属している騎士で、王都のギルドとの橋渡し役でもあるのよ?だからホラ、ああやってギルドによく顔を出しているというわけ」
シルビアの視線の先にはルルリアナに似たホワイトサファイアの髪にルルリアナのパールグレイにほんの少しベージュを混ぜたクールベージュ色の瞳を持つ、端正な顔つきの美丈夫がいた。
シルビアの言葉にリースは確かにディランの兄弟だとわかる。そして髪を切ったルルリアナにも何となく似ていた。
カイルはギルドマスターと何やら真剣に話し合いをしている。
「私にはルルリアナに似ているとは思わないけど?」
「嘘ね…。だって、あの子のキャップからはみ出た髪はソルティキア公爵家の血縁を現す珍しい銀髪色だもの。それに三女のベルリアナ様が王立学園を急に休学されたと聞いたわ。…ルルリアナはベルリアナ様なんでしょ?」
リースはシルビアの勘違いをそのままにした方が都合が良いと素早く計算する。まさか、雪の華であるルルリアナが行方不明になっているとは思ってもいないのだろう。そして、エギザベリア神国もリースたちが王都にいるとは思ってもいないみたいだった。
計算なのか偶々なのかアインスがパリスタ、ゲテリア、フェレッチオの大都市の名前を出したのが功を奏したのだろう。きっとエギザベリア神国はその三都市を集中的に捜査しているに違いない。
「もし…これはあくまでも想定の話なんだけど、ルルリアナが本当にベルリアナだったらどうする?大声で誘拐犯がここにいますって叫ぶ?」
「……叫ばないわ」
ツンと顎をあげてシルビアが答える。
「どうして?」
「だって、ベルリアナはとても幸せそうだもの。薬草採取で手がかぶれても、それを嬉しそうに私に話すべルリアナはとても誘拐されたように見えないわ。何か…、そうね、何か理由があるんでしょ?嫌な婚約者から逃げ出したとか?」
「!わかるの?」
「貴族のご令嬢が家を飛び出すなんてたいていそんな理由でしょ?小説にもよく書かれているわ」
リースはじっとシルビアの目を見つめる。シルビアの目はとても嘘をついているような目には見えない。
「その……ありがとう。べルリアナの事、内緒にしてくれて。私たちの失敗もカバーしてくれて感謝してるわ。私、最初あなたの事すごい嫌な奴だと思ってたの」
「別に感謝してくれなくていいわ。だって私は間違いなく嫌な奴だもの」
「それでもありがとう」
「別に気にしないで。でも、王都からは脱出した方がいいと思うわ。それに、ベルリアナ様に雪の華様である姉のルルリアナ様の名前を名乗らせるのはよくないわよ。雪の華様の名前がルルリアナだから、巷にルルリアナって名前は溢れてるけど、それでもソルティキア公爵家を知っている人物だったらルルリアナとベルリアナ様を結びつける人は少なくないと思うし」
「…そうだね。ありがとう。ほかの名前を考えておく」
「私のお勧めは王都の僻地である『始まりの村』よ。何やら魔物が暴れていろいろと困ってるみたい。急募の応援依頼が多数寄せられているの。彼女たちだったら魔物退治は得意そうだものね。王都には彼女たちみたいな大雑把な魔法を使う冒険者は似合わないし、必要ないわ」
シルビアは先ほどからA級以上が受けられる依頼書をよだれを垂らさんばかりに眺めているアインスとツヴァイを見つめる。
アインスは高額な依頼書に、ツヴァイは強そうな魔物の依頼書にはしゃいでいて、私たちならこん魔物瞬殺でがっぽり稼げるのにと盛り上がっている。
「…本当にその通りね。わかった…、始まりの村に戻ってみる」
「えぇ、そうして」
リースはシルビアにもう一度お礼を言い、アインスとツヴァイを連れて来たときよりも足取り軽く王都のギルドを後にする。
受付のカウンターに座ったままのシルビアはリースたちがでた扉がきちんと閉まったのを確認し、首に下げている鍵を使い机の引き出しを開ける。シルビアは大切そうに中から黒い一冊のファイルを取り出したのだった。
ファイルの表紙には「ブラックリスト」と書かれている。
そのファイルをシルビアはめくり、とあるページでめくる手を止める。ページには「はた迷惑な五人組」というパーティー名の欄だった。パーティーメンバーの欄には、リース、アインス、ツヴァイ、ルルリアナ、フィーアと書かれており、ルルリアナの項目には実はソルティキア公爵家ご令嬢と書かれていた。アインスとツヴァイの項目の欄にはへたくそな魔法使いとも。
そのページにシルビアは「対処済」の赤いハンコを押す。
「恨まないでね、リース。王都のギルドではあなたたちは手に余るの。始まりの村でS級の魔物が暴れているのは本当だからいいわよね。それにA級パーティーの「鈍の狼」が派遣されたからあなたたちの命が奪われるなんてことにはならないと思うし…」
シルビアはそういうと、ぱたんとファイルを閉じる。ファイルは再び鍵付きの引き出しにしまわれたのだった。
シルビアはそれ以降リースたちのことをきれいさっぱり忘れたのだった。
再びリースに会うあの日まで。まさか、自分がリース達に恋愛の相談をするとは思わずに。
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