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プロローグ

番外編2 スタンプ

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 大して大切でもないアメフトのボールを失った代わりに、俺は最高のおもちゃを手にした。

 そのおもちゃは俺に媚びることなく、拙い英語で時には日本語で文句を言う。

 反応が面白くて、ついついからかってしまう。

 そのおもちゃから、日本でよく使われているという会話アプリをダウンロードしろと言われ、緑色のアイコンのアプリをダウンロードした。

 日本人は緑が好きらしい。

 あいつがよく着ているへんてこなジャージも緑色だ。あんな変な色のジャージは初めて見る。あんな色のジャージが学校指定のジャージなんて、と頭を振る。

 日本は変態の国だと、アーロンが言っていたがどうやら本当みたいだ。

 あの目にまぶしいジャージが…(以下省略)。

 友人のケリーだったら、美意識からデモを起こしてジャージを変えさせるに違いない。

 ミドルスクールの入学登録を終え、おもちゃからお詫びのメッセージが届く。

 怒った顔文字を送った返事に、ぺこぺこ頭を下げて動くとムカつく顔で黄色い猫のスタンプが送られてくる。

 なんだか負けた気がして、俺もなにかスタンプを購入してやれとショップを開く。

 ショップには物凄い種類のスタンプがあって、おもちゃが送ってきたスタンプに負けないウィットのきいたスタンプを探す。

 ようやく気に入ったスタンプを見つけたころには、夜遅くなっており、もう寝ているだろうから返事は朝にすることにした。

 スタンプを見たときのおもちゃ(笑)の反応が容易に想像でき、早く夜が明けないかと思いながら眠りにつく。

 明日はどんな風にからかってやろうかな?
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