私が猫又族のお姫様！？

3章 マジョルカ学園編

彼の選択

<ねぇ、ナツメ。彼はどうするの？>


朱雀が咎人と名乗っていた少年を器用に手羽先で指しながら訪ねた。



突如自分自身に視線が集中した少年はビクッと身体を一瞬跳ねさせ、何を言われるのかと小刻みに震えていた。



「あの女の命令で強制的に契約させられていたとはいえ、数々の獣人の誰しもが持つ嫉妬という感情を奪い廃人になった者や既に亡くなった方もいるでしょうから、死なせて楽にはしてやらないわ……。


そういえばずっと考えていたのだけど、相手の感情を嫉妬という感情が具現化した嫉妬石として他者から奪えるのなら、逆になんらかの方法で生み出すこともできるんじゃないかしら？


ねぇ、みんなどうにかならない？もし生み出すことができるのなら、廃人になってしまった人も元に戻せるかもしれないし……。」






<なんとかできるかもしれない…不死鳥の仲間に様々な感情を取り扱う夢魔(バク)という者がいるから何か力になってくれるかも。>





「そう…聞いていたわよね？貴方には２つの選択肢があるわ。1つは牢に入り、死ぬまで過ごすか。もう１つは、バクの元に行って嫉妬石またはそれに代わる代替品を用意できないか聞きに行き、協力出来ることがあれば協力することよ。


どうするの？」






【お、俺は、バクさんの元に行ってわずかな可能性でもそれに賭けたいです。自分の罪が消えるわけでもないけど、人生を狂わせてしまった獣人達の罪滅ぼしをしたいです。アイツとの契約を解除してくれた姫様の為にも……】






「そう、分かったわ。朱雀悪いけど異世界から戻ったら彼をバクの元まで案内してあげて。さぁ、今から帰る準備をするわよ。学園のみんなも心配してるかも。」





<分かったわ！もうすぐ日が沈むから急ぎましょう。>



少年の当面の進路が決まり私達は帰り支度を始めたのだった。