私が猫又族のお姫様！？

3章 マジョルカ学園編

閑話 長年欲した女 ②

ずっとただ1人を愛する恋をしてみたかった俺が運命の相手に出会ったのは、四つ葉高校の試験会場内であった。まぁ正確には、試験会場に向かう時に出会ったのだが…



その日俺は俺を溺愛する両親に激励され試験会場に向かうために家を出て駅に向かって歩いていると…突如鈴のなるような凜としているのに可愛らしい響きを持った声で声を掛けられた。



「あのっ、いきなりすみません…これ落としましたよ？ホッカイロとお守り。」




と後ろを振り向けば艶やかな黒髪ロングの女の子が両手にそれぞれホッカイロと両親から貰った合格祈願のお守りを手に乗せており一瞬呆然とした俺は慌ててお礼を言った。




<あ、こちらこそすみません。拾っていただいてありがとうございます。>



と俺が手を差し出す前に彼女が俺の片手を取り優しくホッカイロとお守りを乗せて、"それじゃあ私はこれで。"と一礼して去って行った後ほのかにシトラスの香りが辺りに残って、俺が好きな香りだった為になんだか癒されたが、あと5分ほどで高校まで行く電車が来ることを思い出し俺は慌てて2列に並ぶ乗客の列に滑り込んだ。



俺はこの時、俺に打算もなく声を掛けてくる女性が初めてだった為に、いつもと同じような俺とお近づきになりたいという目的の為に近づいてきたと勘違いし女性の顔を全く確認することなく別れてしまいせっかく初めての恋ができそうな予感だったのに自分からそのチャンスを捨ててしまったと激しく後悔した。




だが、運命の女神は俺を見捨ててはいなかった…なぜなら先ほどから何回か言ってしまっているが四つ葉高校の試験会場内で駅のホーム内では顔を見なかった為分からなかったが先ほどの彼女と同じ黒髪ロングでキツすぎない柔らかなシトラス香りを纏った子同じ試験会場内のグループに1人いたからだ。




試験開始までまだ時間がある為、先ほどの彼女が確かめる為に彼女とその友人だろう子の会話に耳を傾けているとやはり鈴のなるような凜としていてなおかつ可愛いらしい声は彼女だった。



彼女は、クリッとした可愛らしい瞳に低すぎず高すぎない鼻、桜色の頬、薄く瑞々しい淡いピンク色の口をしたとても可愛らしい子であり、彼女と同じ試験会場の教室になった俺を含む男子達の視線を一身に集めており、男子ばかりでなく女性の半数ほども彼女の一挙一動を眺めていたが当の本人は、そのどちらの視線も気づくことなく友人の子と、試験開始前の最後の見直しを小声で行なっていたのだった。