私が猫又族のお姫様！？

3章 マジョルカ学園編

閑話 公爵令嬢の嘆き②

どうにかしてアゼリア様カトレア様、クロム様が作っていると言われる上質なデザインのドレスや髪飾りが欲しい私は、カトレア様がグリム家を訪問した際に以前なぜドレスや髪飾りを断られたのかいまだに納得できなかったので、聞いてみた。




<あのカトレア様なぜドレスや髪飾りをいただけないのでしょうか？>





「残念だけれど……私達が認めた相手にだけ渡すようにしているの。


アゼリア商会についてどんな噂を聞いているのかは知らないけれど、貴族であろうと平民であろうとドレスや髪飾りは販売していない非売品なの。
それにねあくまで私達の作るものは、趣味の範囲だから儲けがなくても気にしないし国民達には安価で手に入るようなガラス細工の根付け(キーホルダー)や刺繍の入ったハンカチなどを売っているくらいだから諦めてちょうだい。」



<そ、そんな。カトレア様は私が嫌いなのですか？>



「いいえ、そんなことはないけれど…世の中にはいくら願っても叶わないこともあるのよ？分かってちょうだい。


ただ、ドレスや髪飾りは差し上げられないけれど、見せてあげることだけはできるわ。もうすぐ王家主催のファッションショーがあるんだけれどどうする、見たい？」


<はい、見たいですわ。どんなものが観れるか今から楽しみです。>


ヴァイオレットは、会場にまで入場してしまえばこちらのものだと二つ返事で了承したが……自分以上に可愛くてマナーもしっかりと身体に叩きこまれた少女があれだけ自分が欲してたまらなかったドレスや髪飾りを付けた状態でファッションショー会場のモデルとして見目麗しい魔界の王子クロム様と現れるとはこの時はまだ微塵も予想していなかった。