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1章 波乱の開幕
待望の姫の誕生
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その日マタタビ王国第22代目の王であり賢王と名高いシエル=スコティッシュは、仕事である政務をしながら執務室で貧乏ゆすりをしていた……
容姿端麗であり他の女性も選り取り見取りの状態であったが一途な愛妻家としても有名なシエルの妻であり美人で穏やかなルーナが分娩室に入ってから、すでに24時が経過していた…医者の見解では初産であるルーナはだいたい陣痛から出産まで14時間から16時間あたりで産まれるだろうと言っていたが…既に丸一日が経過し私は母子ともに心配で仕方なかった…
(この世界に人間はいませんが、人間に耳と尻尾が生えたような状態の為、妊娠期間、出産人数は人間と同じような設定です)
妊娠6ヶ月にあたりになり定期検診を受け性別は女児であると分かり、2人の子ならきっと可愛い子が生まれてくるわねと私とルーナは喜んだものだが…あまりに長い時間に
[アナタ、行ってくるわね!元気な赤ちゃんを産んでみせるわ]と笑顔で意気込んでいたルーナと我が子が今にも自分の前から消えてしまうのではないかと不安に苛まれた。
"姫はまだか……ルーナは無事なのか…"
いても立ってもいられず執務室を行ったり来たりする私を見かねた宰相であるノエル=ソマリが声をかけてきた。
『王よ、ルーナ様は初産ですし予想以上に時間がかかるのが通例です!ルーナ様は健康的な女性ですし何も問題はないかと…そんなに心配なのであれば我々の神であるムーン様にお祈りしてみては?運が良ければ何かお告げが聞けるかもしれません…』
"そうだな、では至急マタタビを城の中にある礼拝堂の神棚に捧げてくれ"
『かしこまりました!至急そのようにいたします』
時間は既に30時間が経過したが、姫の産声どころか、侍女の報告するもない為、シエルは降神の準備が整った礼拝堂へと急いだ。
"ムーン様、妻と娘は大丈夫でしょうか?いまだに娘が産まれる兆しがないのです…どうか妻と娘をお救いください"
数秒後礼拝堂の神棚に取りつけられた鈴がシャンシャンと鳴り、白銀に光り輝くオッドアイの猫又であるムーン様の幻影が現れた。
【安心せい!母子ともに無事じゃよ!出産時間が予定時間より遅れておるのは、儂の加護をそなたの娘に付与したりしていたからじゃ。できれば彼女の名前はナツメと名づけてやってほしい…ちなみにそなたの娘は別世界で生きていた記憶持ちじゃがそなたの娘に変わりはない。この世界にはない技術は逆に知らないこともあるかもしれぬが大切にしてやってほしい】
"もちろんです!!"無事に産まれてきてくれるだけで私には十分です"
【ホッホッホ、そう言うと思っておった!じゃからお彼女の転移先をお主のところに選んだのじゃ!まもなく時間のようじゃよ!分娩室に行って出産の瞬間に立ち会ってくるがよい】とムーン様はカラカラと笑い消えて行った……
"はい!ありがとうございます!"とシエルはお辞儀をして分娩室に走って行った……
棗side
意識を取り戻した私は、どこか温かくて狭いところに閉じこめられているのに気づいた…
なぜか目を開けることだけはできず耳を澄ましていると誰かが走り寄ってくる足音や呻き声をあげながらラマーズ法を唱えている女性、その女性を介助する助産師さんの声が聴こえてきた。
"ルーナっ、大丈夫か……今ムーン様のお告げを聞いてきたらまもなく産まれるって告げられて…俺が痛みを代わってやれればいいんだが、少しでも痛みが和らぐように手を繋がせてくれ"
[アナタっ来て…っ来てくれたのね。ありがと…う。ふっ、うっ頑張るわ]
奥様あともう少しですよ!今頭が出て来ましたよ…
私は少しずつ今いる場所から追い出されるような感覚に陥った。少しでも早く新鮮な空気が吸いたくて足をバタつかせると、一気に押し出され口の中に急激に空気が入り、むせ返って泣いてしまった…
奥様、可愛い子がお産まれました!お疲れ様でした!と告げ、お母さんとお父さんはどうやら感動のあまり泣いてしまったようだった。
にゃぁ~にゃ~と泣いていると、手早く慣れた手つきで私の身体をぬるま湯で洗い、クルッと柔らかな産着に包み、両親の元に私を差し出すとまずはお父さんに抱きしめられた…
"俺とルーナの元に生まれてきてくれてありがとう。ムーン様のお告げ通りに三日月の刺青が入っているね。本当に可愛らしいな!流石は俺とルーナの子だな。ムーン様が名付け親になってくれて君の名前はこれから棗だよ。これからよろしくなリトルプリンセス"とチュッとオデコにキスをされた。
次はお母さんに抱きしめられた。
[アナタに似て耳折れスコティッシュなのね愛らしいわわ!!瞳の色は私に似てるのかしら。瞳が開くのが楽しみだわ]チュッと頬にキスをされた。
耳折れ?スコティッシュ?どういうこと?
いろいろ現状を把握したいのに睡魔に抗えず私は寝落ちしてしまった。
夢の中でムーン様と出会い、告げられた。
【そなたの大事な幼馴染である龍虎兄弟なんじゃが
、ヴァイオレットの瞳で兄である雹は虎一族に。エメラルドグリーンの瞳を持つ弟の霙は龍一族の王子としてそれぞれ転生し、生まれたらしい。早く会えるとよいの!!】とにこやかに告げられ、私の意識は夢の世界に沈んで行った…
容姿端麗であり他の女性も選り取り見取りの状態であったが一途な愛妻家としても有名なシエルの妻であり美人で穏やかなルーナが分娩室に入ってから、すでに24時が経過していた…医者の見解では初産であるルーナはだいたい陣痛から出産まで14時間から16時間あたりで産まれるだろうと言っていたが…既に丸一日が経過し私は母子ともに心配で仕方なかった…
(この世界に人間はいませんが、人間に耳と尻尾が生えたような状態の為、妊娠期間、出産人数は人間と同じような設定です)
妊娠6ヶ月にあたりになり定期検診を受け性別は女児であると分かり、2人の子ならきっと可愛い子が生まれてくるわねと私とルーナは喜んだものだが…あまりに長い時間に
[アナタ、行ってくるわね!元気な赤ちゃんを産んでみせるわ]と笑顔で意気込んでいたルーナと我が子が今にも自分の前から消えてしまうのではないかと不安に苛まれた。
"姫はまだか……ルーナは無事なのか…"
いても立ってもいられず執務室を行ったり来たりする私を見かねた宰相であるノエル=ソマリが声をかけてきた。
『王よ、ルーナ様は初産ですし予想以上に時間がかかるのが通例です!ルーナ様は健康的な女性ですし何も問題はないかと…そんなに心配なのであれば我々の神であるムーン様にお祈りしてみては?運が良ければ何かお告げが聞けるかもしれません…』
"そうだな、では至急マタタビを城の中にある礼拝堂の神棚に捧げてくれ"
『かしこまりました!至急そのようにいたします』
時間は既に30時間が経過したが、姫の産声どころか、侍女の報告するもない為、シエルは降神の準備が整った礼拝堂へと急いだ。
"ムーン様、妻と娘は大丈夫でしょうか?いまだに娘が産まれる兆しがないのです…どうか妻と娘をお救いください"
数秒後礼拝堂の神棚に取りつけられた鈴がシャンシャンと鳴り、白銀に光り輝くオッドアイの猫又であるムーン様の幻影が現れた。
【安心せい!母子ともに無事じゃよ!出産時間が予定時間より遅れておるのは、儂の加護をそなたの娘に付与したりしていたからじゃ。できれば彼女の名前はナツメと名づけてやってほしい…ちなみにそなたの娘は別世界で生きていた記憶持ちじゃがそなたの娘に変わりはない。この世界にはない技術は逆に知らないこともあるかもしれぬが大切にしてやってほしい】
"もちろんです!!"無事に産まれてきてくれるだけで私には十分です"
【ホッホッホ、そう言うと思っておった!じゃからお彼女の転移先をお主のところに選んだのじゃ!まもなく時間のようじゃよ!分娩室に行って出産の瞬間に立ち会ってくるがよい】とムーン様はカラカラと笑い消えて行った……
"はい!ありがとうございます!"とシエルはお辞儀をして分娩室に走って行った……
棗side
意識を取り戻した私は、どこか温かくて狭いところに閉じこめられているのに気づいた…
なぜか目を開けることだけはできず耳を澄ましていると誰かが走り寄ってくる足音や呻き声をあげながらラマーズ法を唱えている女性、その女性を介助する助産師さんの声が聴こえてきた。
"ルーナっ、大丈夫か……今ムーン様のお告げを聞いてきたらまもなく産まれるって告げられて…俺が痛みを代わってやれればいいんだが、少しでも痛みが和らぐように手を繋がせてくれ"
[アナタっ来て…っ来てくれたのね。ありがと…う。ふっ、うっ頑張るわ]
奥様あともう少しですよ!今頭が出て来ましたよ…
私は少しずつ今いる場所から追い出されるような感覚に陥った。少しでも早く新鮮な空気が吸いたくて足をバタつかせると、一気に押し出され口の中に急激に空気が入り、むせ返って泣いてしまった…
奥様、可愛い子がお産まれました!お疲れ様でした!と告げ、お母さんとお父さんはどうやら感動のあまり泣いてしまったようだった。
にゃぁ~にゃ~と泣いていると、手早く慣れた手つきで私の身体をぬるま湯で洗い、クルッと柔らかな産着に包み、両親の元に私を差し出すとまずはお父さんに抱きしめられた…
"俺とルーナの元に生まれてきてくれてありがとう。ムーン様のお告げ通りに三日月の刺青が入っているね。本当に可愛らしいな!流石は俺とルーナの子だな。ムーン様が名付け親になってくれて君の名前はこれから棗だよ。これからよろしくなリトルプリンセス"とチュッとオデコにキスをされた。
次はお母さんに抱きしめられた。
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