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第1章 王国叙勲式

見知らぬ声

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<6階層の扉がエンペラーリザードの後ろにあるようだ。戦闘は避けて通れないだろう……。>


悲痛な面持ちで語るフロストを見て俺達はしばし沈黙してしまったが…絶望的な雰囲気を少しでも和らげようとクラウドが切り出した。


《フロスト達氷龍は、奴ら炎龍一族と互角なんだろう?フロストだけに頼りきりになるつもりはないけど、どうにかできないのか?》



<場所が悪すぎるな…マグマと氷では分が悪い。ましてエンペラーリザードは、火山噴火口にへばりついている。


スカイ達人間とは違い我らは、己の司る大自然の恩恵を受けて力を得たり体力を回復する。


ここが5階層のように吹雪吹き荒れる雪原ならまだしも、アヤツは火山から離れない。


我らが氷や雪で力を得るようにアヤツは、マグマや火で力を得るからな……少しでも劣勢を覆すにはまずアヤツをマグマから離さねばならないだろうな。



幸い奴を動かせるかはともかくとして、奴のいる火山周辺には火山活動を終えて冬眠期間に入った火山がゴロゴロある。



そして流れ落ちたマグマ溜まりが巨大な岩のようになって周辺をエンペラーリザードが入るくらいの○の形で囲っている…○の中央に奴を落とせれば、袋叩きにできるはずだ。>


とフロストが考察していると俺の耳にどこかから声が聞こえてきた。




『ぬわぁぁぁ、ダレカダレカおらぬか?ワシの背中にナニカが刺さっているのだ。抜いてくれるなら、ワシに出来ることならなんでも叶えてやろう。』


どこからか不思議な声が悲痛な叫びをあげながらのたうち回る音が聞こえて何気なく顔をあげれば脳内の声と行動に同調するようにエンペラーリザードがいる上から巨大な岩の礫(つぶて)が落ちてきた為俺はサッと避け嫌な予感が的中しないことを祈った。


(暴れているエンペラーリザードが、脳内の声の主人じゃありませんように……)
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