上 下
35 / 101
第1章 王国叙勲式

まさかの展開になりました

しおりを挟む
朝日が昇りまだ2人が寝息を立てている頃スカイは、朝食作りの最中にこちらに向かってくる大きなズシーンズシーンという足音が聞こえ調理を中断させセーフティーエリアの存在も忘れ、鍋の蓋を盾がわりに持っていたお玉を剣代わりにして小屋を出た俺の目に飛び込んできたのは、こちらに向かって一歩一歩進んでくる巨大な氷龍であった。


前日まで外は吹雪いており悪天候だった為レオンの話でしか知らなかったサファイアのような綺麗なブルーの双眸がこちらを見つめながら歩いてきていた。


「なっ、なんつーデカイ龍だな。真近で見ると、大きさがなおさらデカく見える……って呑気に独り言言ってる場合じゃねぇ、ここは奴の土俵だ。


どうする、どうする俺!?ってそうかここは、セーフティーエリアじゃねぇか、セーフティーエリアは悪意ある者やエリア内の冒険者に害をなす者を近づかせないはずだ。幸いにも小屋はエリア内だしな…きっと奴が来ても大丈夫なはずだ。」



と自分で思いながらもやはり普段村に住んでいた時とは違いドラゴンなど真近で見たこともない生活だった為、自分のことよりも2人に何かあったらどうする…という恐怖心があった為、有事の際すぐせめて自分だけでも囮になって動けるように小屋の外から動かなかった。


氷龍がついにセーフティーエリアまで到達し俺は生き飲んだ。だが相手はセーフティーエリアを覆う見えない結界(ミラージュ アイ取得後なので俺達3人には見えている)軽く鼻先を触れ合わせただけで、いとも簡単に結果がまるでガラスのようにパリパリと剥がれ、瞬く間に消えてなくなってしまった。


頼みの綱が、あっさりと破壊されたことで俺はあまりのショックで尻餅をついてしまったが、相手はそんなことを歯牙にもかけず俺に顔を寄せてきた。



俺は思わず喰われると思い、条件反射で両腕で頭を庇ったがいつまでたっても衝撃は訪れず不思議に思い両腕を下げ顔を上げると待ってましたとばかりに氷龍に長い舌で顔を舐めまくられた。


「ちょっ、なにすんだ。あははっやめろくすぐったい…」


と笑いながら俺が注意すると、傍目にも分かるくらいにしょんぼりとうなだれており…流石に可哀想になって頭を撫でてやるとまた顔を舐められた。

「ちょ、もうやめろって。あははっくすぐったいての
。」


と俺がしばし氷龍と戯れていると俺ではない巨大なグゥゥーという腹の音が鳴った。



「もしかしてお前腹減ってんのか?」


と俺が聞くと氷龍は一声グオォーと鳴いた。


そこで俺はブイヤベースの調理の途中だったことを思い出した。


「お前さえ良かったら、ブイヤベース食うか?魚の煮込み料理なんだが…」


と俺が言えば頭を下げてコクコク頷いたので、料理を完成させるべく一旦小屋の中に戻った。


氷龍は巨大な為中には入れないだろうからできるまで外に待っててくれと言おうとしたら、一瞬強くドラゴンの全身が発光したかと思えば小屋に入れるくらいのバンビサイズになって俺の後について来たのだった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

転生墓守は伝説騎士団の後継者

深田くれと
ファンタジー
 歴代最高の墓守のロアが圧倒的な力で無双する物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

処理中です...