上 下
8 / 8
初めてのバーチャルリアリティ!!

イベント2日目!悪徳ギルド!

しおりを挟む
ドライアドで、拘束したプレイヤーは、
気を失っていて話を聞けなかったので、
仕方なく一度拠点に戻ることになった。

「起きないなー。」
ひとまず、地面に置くのは、
可哀想だと思い、敷物の上に寝かせて
観察してみた。
なかなか整った顔立ちをしている。
装備も上級の物だし、初期からの人かも
しれない。
アイテム袋から、アイテムを取り出して、
プレイヤーに使ってみる。

『測定機 レベル4』
指定したモノの詳細を調べられるよ!
レベルによっては…
いろいろわかっちゃうかもね!!

プレイヤー名 ジン 男性
レベル59 
所持スキル 盗賊 風神 隠密
所属ギルド 黄昏時

「やっぱり、初期からの人かな?
 黄昏時…聞いたことないギルド名だな…
 …なに、このマイナス補正…」

補正 
空腹-50%補正 疲労-25%補正 
睡眠-5%補正 

「睡眠の-補正が少ないのは、
 もしかして、今気絶してるから?」
「…ここは…?」
表示されている画面を見ながら
考察していると男性が目を開けていた。
「あっ。目覚めましたか?」
「!アンタ、さっきの…!?」
「あ、起き上がるのはいいですけど、
 立たないほうがいいですよ。」

ぐー!!

そう声をかけたと同時に
起き上がったジンから、
凄まじい腹の音が響いた。
「…」
「…えっと、よければ、食べますか?」
しまっておいたサンドイッチを差し出すと
視線を逸らして、気まずそうに口を開いた。
「いいのか?その…今回のイベントは、
 食料も貴重だと思うが…」
「まだ、余裕があるので、
 大丈夫ですよ。もちろん、
 なにも仕込んで無いですよ。」
「…ありがとう。」
サンドイッチを受け取り、
ゆっくり食べ始めるのを見ると
製作キットを取り出し、
調理と創造スキルを起動する。
項目を選んで、持っている薬草と
ポーションを入れてできた物を差し出した。
「これも飲んでください。
 かなり、お疲れみたいなので。」

『ポーション改 レベル7』
疲労回復にも使えるポーション。
良薬口に苦し…

「本来なら、飲みやすい様に、
 果物とかで味を整えるんですけど、
 ちょっと手持ちにないんで…」
「いや、サンドイッチだけでも十分だ。
 流石に、飲み物までもらうのは…」
「私が飲んでもしょうがないんで。
 苦いですけど、飲んでください!」
遠慮するジンに、強引に手渡すと
もう一度、測定機の情報を見る。

補正 
空腹-40%補正 疲労-22%補正 

少しだけ良くなった状態に、
一息つくと、製作キットを片付けた。
「かなり酷い-補正が、
 かかってましたけど、
 何があったんですか?」
その言葉に、男性は、
飲んでいたポーションを床に置いた。
「…食事の礼に教えておく、
 もし、黄昏時というギルドから
 声を掛けられても絶対に入るな。」
「黄昏時?」
(確か、この人の入っていたギルドの
 名前…だよね?)
「俺は、ジン。このゲームを結構初期から
 プレイしている。
 俺が、所属している黄昏時という
 ギルドは、誰でも歓迎という名目で
 いろんな場所でギルドに入らないかと
 声をかけている。」
ギルドに所属している者が声かけをして、
人を集めるのは、基本的な事なので、
特に違反ではない。
「聞いてるだけなら、活動熱心な
 初心者にお勧めできるギルドですね。」
「外から見ればな。
 俺も声を掛けられて、
 試しに入ってみたが、中はクソだ。」
ジンの言葉に、一瞬固まり首を傾げる。
「えっと…ジンさん?」
ジンは、忌々しそうに、舌打ちして
画面を開いて見せてきた。
「これを読んでみろ。
 それで、全部わかる。」
「……え?なにこれ?
 こんなギルドあるんですか?」

黄昏時のギルド規約
・ギルドに入った後、依頼のクリアなどの
 報酬は、9割ギルドに収める事。
・一月に、10万G納めること。
 (収められない時は、今持ってる
  一番いい装備を差し出すこと。)
・ギルドを抜ける場合は、
 ギルドにいる間に集めたアイテム、
 装備、Gを全て納めたのち、
 一括で100万G納める事。

「アイツらは、ギルドに入って一月くらい
 親切に面倒を見てくる。
 一月経ったら、正式な加入だと言って、
 この書類を出してくる。」
「その時に、断れないんですか?」
「…先に、正式に、ギルドに入りたいかと
 聞かれてな。
 それに頷いたら、もう断れない。
 そこに、どんな理不尽があってもな…」
ジンは、置いていたポーションを
飲み始めるが、苦かったのか、
少し飲んで顔を思い切りしかめた。
「噂になっている…悪徳ギルド…ですね。」
「アンタの様な初心者は、さらに狙われる。
 気を付けろ。」
このゲームの中での対人トラブルは、
当事者同士の解決で通っている。
流石に、リアルの方面での恐喝などは、
制裁されるが、ゲーム内であれば、
個人で納得できるまでどうぞご自由に。
という扱い。
「ジンさんは、そのギルドから
 抜けたいんですか?」
「その方法を探してるところだ。
 100万Gの一括の支払いは、
 100%不可能だ。」
「?何故ですか?」
「規約をちゃんと読んだか?
 二つ目の規約に書いてあるだろ。
 ギルドにいる間の金とは、別の扱いで
 100万G集めないといけないんだよ。」
「あっ。ギルドで全て納めたのち。
 って書いてありますね。
 …ジンさん、提案なんですけど…」

「私とパーティ組みませんか?」
その言葉を聞いたジンは、
目を見開いて固まった。




しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

チート級スキルを得たゲーマーのやりたいことだけするVRMMO!

しりうす。
ファンタジー
VRゲーム【Another world・Online】βテストをソロでクリアした主人公──────雲母八雲。 βテスト最後のボスを倒すと、謎のアイテム【スキルの素】を入手する。不思議に思いつつも、もうこのゲームの中に居る必要はないためアイテムの事を深く考えずにログアウトする。 そして、本サービス開始時刻と同時に【Another world・Online】にダイブし、そこで謎アイテム【スキルの素】が出てきてチート級スキルを10個作ることに。 そこで作ったチート級スキルを手に、【Another world・Online】の世界をやりたいことだけ謳歌する! ※ゆるーくやっていくので、戦闘シーンなどの描写には期待しないでください。 ※処女作ですので、誤字脱字、設定の矛盾などがあると思います。あったら是非教えてください! ※感想は出来るだけ返信します。わからない点、意味不明な点があったら教えてください。(アンチコメはスルーします)

Free Emblem On-line

ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。 VRMMO『Free Emblem Online』 通称『F.E.O』 自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。 ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。 そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。 なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~

白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。 王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。 彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。 #表紙絵は、もふ様に描いていただきました。 #エブリスタにて連載しました。

悪役令嬢ですか?……フフフ♪わたくし、そんなモノではございませんわ(笑)

ラララキヲ
ファンタジー
 学園の卒業パーティーで王太子は男爵令嬢と側近たちを引き連れて自分の婚約者を睨みつける。 「悪役令嬢 ルカリファス・ゴルデゥーサ。  私は貴様との婚約破棄をここに宣言する!」 「……フフフ」  王太子たちが愛するヒロインに対峙するのは悪役令嬢に決まっている!  しかし、相手は本当に『悪役』令嬢なんですか……?  ルカリファスは楽しそうに笑う。 ◇テンプレ婚約破棄モノ。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

処理中です...