放課後の恋

福猫

文字の大きさ
上 下
3 / 7

第3話

しおりを挟む
「夏生が渚の弟だったなんて知らなかったよ」

渚を見つめながら司が口にすると渚が口を開いた。

「夏生と別れろ」

「渚が死ぬなんて思わなかったよ」

「お前が俺にしたこと忘れないし許さない」

「……」

司は渚に近づき向かい合うと耳元で囁いた。

「あれはいじめじゃない、愛情表現だ」

「あれが愛情表現だと言うのか、他の男子生徒の前で身体を重ねることが…あの出来事のせいで俺は男子生徒達に身体を求められ抵抗したら殴られた」

「可哀想に」

司が頬に触れると渚は司の手首を掴み睨んだ顔で見つめた。

「俺は夏生と別れないよ」

「司、お前」

「幽霊はおとなしく成仏しろ」

渚の手を払い除けると司は屋上から離れていった。

「……」

渚は立ち尽くしながら険しい顔でドアを見つめた。

ー陣川直人の家、寝室ー

直人は夏生をベッドに座らせ口を開いた。

「俺はリビングのソファーで寝るから夏生さんはベッドで寝て」

「俺がリビングのソファーで寝ます」

夏生はベッドから立ち上がった。

「良いからベッドで寝て」

直人は夏生をベッドに座らせた。

「直人さん、俺がここで寝て本当に良いんですか?」

「遠慮なく使って」

優しい顔で直人は寝室を出てドアを閉めた。

1人になった夏生はベッドにあがり体育座りで座ると顔を埋めながら涙を流した。

直人はリビングに向かいソファーに座っている渚に近づき側に座った。

「夏生は?」

「泣いてた」

「司に復讐するために現れたのか?」

「両親と弟が気になって様子を見に来たんだ」

「両親に会ったのか?」

「両親は俺が見えない、俺が見えるのは夏生とお前と司だけだ」

「何で俺が見えるとわかるんだよ」

「神様に尋ねたんだ、両親と夏生と直人と司は俺が見えますかと、そしたら神様が両親は見えないが夏生と直人と司は見えると言ったんだ、だから俺は姿を見せたんだ」

「渚、夏生さん、泣いてた側にいてやれ」

「そうだな」

渚がリビングから離れていくと直人はソファーに身体を倒し眠りについた。

渚は寝室の中に入り体育座りで顔を埋めながら泣いている夏生に近づきベッドに座った。

「なぜ、泣いてるんだ」

渚が声をかけると夏生は顔をあげ正座で座り涙を流しながら口を開いた。

「俺は知らないで小峠司に身体を捧げてきた、小峠司が渚さんをいじめた人だと知っていたら俺は小峠司の恋人にならなかった…ゴメンなさい…ゴメンなさい…」

「……」

渚はベッドにあがり夏生を抱きしめた。

「お前は知らなかったんだ、泣くな」

「渚さん」

「……」

渚は夏生の顔を見つめ手で涙を拭い口を開いた。

「渚さんじゃなくて、渚って呼んでくれ」

「渚…」

「可愛いな」

恥ずかしがりながら口にする夏生の姿を見て渚は微笑みその後、唇を重ねた。

「……」

「……」

渚が唇を離すと夏生と渚は見つめ合った。

その後、渚が口を開いた。

「先生は辞めて違う仕事を探したら?」

「あの学校は辞めるけど先生は辞めない」

「そうか」

「明日から別の学校を探さないと」

夏生がベッドからおりスーツを脱ぎYシャツ姿になると渚は夏生を引き寄せベッドに仰向けで寝かせ覆い被さった。

夏生が驚いた顔で見つめると渚は夏生のネクタイを外しその後、Yシャツのボタンを外し肌に触れた。

「渚…」

頬を赤らめながら夏生は顔を横に向けた。

渚は夏生の肌に触れながら「お前と俺は兄弟だけど、俺はお前と身体の関係になりたい」と口にしパンツごとズボンを脱がせ裸にした。

その瞬間、夏生の胸はドキドキ高鳴った。

渚は覆い被さりながら「夏生」と声をかけ夏生を自分の方に顔を向かせた。

「……」

ドキドキが激しく高鳴りながら夏生は渚と見つめ合った。

「嫌がることはしたくない、夏生が嫌なら行為をしない」

「嫌じゃないよ」

「夏生、良いのか?」

「うん」

夏生が頷くと渚は夏生のYシャツを脱がせ全裸にした。

そして幽霊の渚も全裸になり身体を重ねた。

夏生はエロい顔をしながら渚の行為を受け入れ続けた。

それから暫くして夏生は気を失い渚は眠る夏生を抱き寄せた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

フローブルー

とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。 高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

突然現れたアイドルを家に匿うことになりました

雨宮里玖
BL
《あらすじ》 「俺を匿ってくれ」と平凡な日向の前に突然現れた人気アイドル凪沢優貴。そこから凪沢と二人で日向のマンションに暮らすことになる。凪沢は日向に好意を抱いているようで——。 凪沢優貴(20)人気アイドル。 日向影虎(20)平凡。工場作業員。 高埜(21)日向の同僚。 久遠(22)凪沢主演の映画の共演者。

オメガなパパとぼくの話

キサラギムツキ
BL
タイトルのままオメガなパパと息子の日常話。

いつまでもここにいて 改訂版

ゆまは なお
BL
異世界トリップ×オメガバース. αケンタウルス×Ω高校生 2018年5月に参加した「絵師様アンソロジー」からの再加筆転載です。

婚約破棄したら隊長(♂)に愛をささやかれました

ヒンメル
BL
フロナディア王国デルヴィーニュ公爵家嫡男ライオネル・デルヴィーニュ。 愛しの恋人(♀)と婚約するため、親に決められた婚約を破棄しようとしたら、荒くれ者の集まる北の砦へ一年間行かされることに……。そこで人生を変える出会いが訪れる。 ***************** 「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく(https://www.alphapolis.co.jp/novel/221439569/703283996)」の番外編です。ライオネルと北の砦の隊長の後日談ですが、BL色が強くなる予定のため独立させてます。単体でも分かるように書いたつもりですが、本編を読んでいただいた方がわかりやすいと思います。 ※「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく」の他の番外編よりBL色が強い話になりました(特に第八話)ので、苦手な方は回避してください。 ※完結済にした後も読んでいただいてありがとうございます。  評価やブックマーク登録をして頂けて嬉しいです。 ※小説家になろう様でも公開中です。

処理中です...