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第2話
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家に帰った夏生は寝室に向かいベッドに座った。
「幽霊なのに唇の感触を感じた、何で?」
「おかえり」
母親が現れると夏生は兄、渚のことを話した。
「制服姿の兄、渚さんに会った」
「え…」
「渚さんは何で自ら命を奪ったの?」
「……」
「渚さんが言ったんだ、俺が産まれてすぐ自ら命を奪ったって」
「……」
母親はベッドに近づき夏生の側に座り口を開いた。
「中学校の先生をしている夏生が心配で現れたのね」
「お母さん、何で渚さんは自ら命を奪ったの?」
「見た目のせいで渚は同級生からいじめを受けていたの」
「見た目ってあの青い髪と瞳」
「そう」
「お母さんとお父さんはいじめのこと学校に言わなかったの?」
「何度も言ったわよ、言ったけど…」
悲しくなった母親は寝室から出ていった。
夏生は身体を倒し天井を見つめながら校長にいじめのこと聞く決意をした、そしてそのまま眠りについた。
翌日、夏生は新しいスーツ姿でダイニングに向かいお母さんとお父さんと一緒に朝ごはんを食べ始めた。
「……」
「……」
「……」
無言で母親と父親と夏生は朝ごはんを食べ続けた。
それから暫くして夏生が口を開いた。
「ごちそうさま」
席を立つと夏生は食器をキッチンに運び玄関に向かった。
「夏生」
「……」
靴を履き夏生は振り返り父親を見つめた。
「夏生、お前は渚のように簡単に自分の命を奪うなよ」
「行ってきます」
夏生は家を出て車に近づき運転席に乗り込むと中学校に向かった。
ー中学校ー
駐車場に車を止め夏生は校長室に向かった。
ドアをノックし夏生が「瀬戸(せと)です」と声をかけると中から「どうぞ」と声がした。
ドアを開き中に入りドアを閉めると夏生はソファーに座っている校長に近づいた。
「今、良いでしょうか?」
「良いですよ」
「……」
夏生は向かい合ってソファーに座り真剣な顔で校長に質問した。
「瀬戸渚を知っていますか?」
「瀬戸渚…誰ですか?」
「瀬戸渚は俺の兄でこの学校に通っていましたがいじめで自らの命を奪いました」
「……」
「学校に訴えても学校は何もしてくれなかったと母が言ってました」
「何が言いたいんだ」
「兄をいじめた生徒と一緒に墓の前で兄に謝罪してください」
「あの事件は終わった事件だ」
「終わった事件?息子を失った両親は終わった事件にならない永遠に、警察に知り合いがいます、知り合いに調べてもらいます」
怒った夏生がソファーから立ち上がりドアに近づくとドアが開き生徒、小峠が現れた。
小峠は中に入りドアを閉め口を開いた。
「瀬戸渚、懐かしい名前だな」
「小峠君?」
「夏生先生が渚の弟だなんて思わなかったよ」
「渚をいじめていた同級生は俺だ」
「え…」
「俺は学生じゃない、いずれはこの学校の校長になる」
「……」
混乱の夏生は校長室を出ていき屋上に向かった。
ー校長室ー
「司(つかさ)、何で言ったんだ、あいつ警察に言うぞ」
「おじいちゃん、俺に任せて」
司は校長室を出ていった。
ー屋上ー
夏生は立ち尽くしながら涙を流した。
そこへ幽霊の渚が現れた。
「夏生、何で泣いてるんだ」
「俺…生徒と付き合ってるんだけど…その生徒、生徒じゃなく…渚さんをいじめていた人だった」
「小峠司」
「……」
涙を流しながら夏生は渚を見つめ頷いた。
渚は夏生を抱きしめた。
「今すぐ別れろ」
「学校も辞める」
「それが良い」
渚は泣き続ける夏生をギュっと抱きしめた。
その後、渚は夏生を知り合いの男性の元に連れて行った。
渚はインターホンを鳴らした。
ドアが開き陣川直人(じんかわなおと)が現れた。
「渚!」
「直人、暫くの間、夏生を匿ってほしいんだ」
「良いけど」
「ありがとう」
幽霊の渚が姿を消すと直人は夏生を家の中に入れた。
司は屋上に現れ口を開いた。
「いないか」
司が屋上から離れようとしたその時、幽霊の渚が現れた。
「……」
司は振り返り幽霊の渚を見つめた。
「幽霊なのに唇の感触を感じた、何で?」
「おかえり」
母親が現れると夏生は兄、渚のことを話した。
「制服姿の兄、渚さんに会った」
「え…」
「渚さんは何で自ら命を奪ったの?」
「……」
「渚さんが言ったんだ、俺が産まれてすぐ自ら命を奪ったって」
「……」
母親はベッドに近づき夏生の側に座り口を開いた。
「中学校の先生をしている夏生が心配で現れたのね」
「お母さん、何で渚さんは自ら命を奪ったの?」
「見た目のせいで渚は同級生からいじめを受けていたの」
「見た目ってあの青い髪と瞳」
「そう」
「お母さんとお父さんはいじめのこと学校に言わなかったの?」
「何度も言ったわよ、言ったけど…」
悲しくなった母親は寝室から出ていった。
夏生は身体を倒し天井を見つめながら校長にいじめのこと聞く決意をした、そしてそのまま眠りについた。
翌日、夏生は新しいスーツ姿でダイニングに向かいお母さんとお父さんと一緒に朝ごはんを食べ始めた。
「……」
「……」
「……」
無言で母親と父親と夏生は朝ごはんを食べ続けた。
それから暫くして夏生が口を開いた。
「ごちそうさま」
席を立つと夏生は食器をキッチンに運び玄関に向かった。
「夏生」
「……」
靴を履き夏生は振り返り父親を見つめた。
「夏生、お前は渚のように簡単に自分の命を奪うなよ」
「行ってきます」
夏生は家を出て車に近づき運転席に乗り込むと中学校に向かった。
ー中学校ー
駐車場に車を止め夏生は校長室に向かった。
ドアをノックし夏生が「瀬戸(せと)です」と声をかけると中から「どうぞ」と声がした。
ドアを開き中に入りドアを閉めると夏生はソファーに座っている校長に近づいた。
「今、良いでしょうか?」
「良いですよ」
「……」
夏生は向かい合ってソファーに座り真剣な顔で校長に質問した。
「瀬戸渚を知っていますか?」
「瀬戸渚…誰ですか?」
「瀬戸渚は俺の兄でこの学校に通っていましたがいじめで自らの命を奪いました」
「……」
「学校に訴えても学校は何もしてくれなかったと母が言ってました」
「何が言いたいんだ」
「兄をいじめた生徒と一緒に墓の前で兄に謝罪してください」
「あの事件は終わった事件だ」
「終わった事件?息子を失った両親は終わった事件にならない永遠に、警察に知り合いがいます、知り合いに調べてもらいます」
怒った夏生がソファーから立ち上がりドアに近づくとドアが開き生徒、小峠が現れた。
小峠は中に入りドアを閉め口を開いた。
「瀬戸渚、懐かしい名前だな」
「小峠君?」
「夏生先生が渚の弟だなんて思わなかったよ」
「渚をいじめていた同級生は俺だ」
「え…」
「俺は学生じゃない、いずれはこの学校の校長になる」
「……」
混乱の夏生は校長室を出ていき屋上に向かった。
ー校長室ー
「司(つかさ)、何で言ったんだ、あいつ警察に言うぞ」
「おじいちゃん、俺に任せて」
司は校長室を出ていった。
ー屋上ー
夏生は立ち尽くしながら涙を流した。
そこへ幽霊の渚が現れた。
「夏生、何で泣いてるんだ」
「俺…生徒と付き合ってるんだけど…その生徒、生徒じゃなく…渚さんをいじめていた人だった」
「小峠司」
「……」
涙を流しながら夏生は渚を見つめ頷いた。
渚は夏生を抱きしめた。
「今すぐ別れろ」
「学校も辞める」
「それが良い」
渚は泣き続ける夏生をギュっと抱きしめた。
その後、渚は夏生を知り合いの男性の元に連れて行った。
渚はインターホンを鳴らした。
ドアが開き陣川直人(じんかわなおと)が現れた。
「渚!」
「直人、暫くの間、夏生を匿ってほしいんだ」
「良いけど」
「ありがとう」
幽霊の渚が姿を消すと直人は夏生を家の中に入れた。
司は屋上に現れ口を開いた。
「いないか」
司が屋上から離れようとしたその時、幽霊の渚が現れた。
「……」
司は振り返り幽霊の渚を見つめた。
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